今回はリンが初めて外に出て人間の世界に触れます、今回からちょいちょい仮面ライダーネタを挟んでいく予定です(仮面ライダーの登場はし)ないですが、あまりしつこくは入れないつもりなので特撮好きな方も、全く見たことない方も見ていただければいいなと思います。
今回も生暖かい目でご覧になっていただけるとありがたいです。
「おいリン、今日はお前の服を買いに行くぞ」
俺はリンと朝食を取っている時に前触れもなく宣言をした。俺の唐突な発言によりリンはスプーンを咥えたまま固まっていた、元々この休み中に服は買いに行くはずだったのだが何故乞う唐突に結審したのかと言うと、主にこいつのせいだ、部屋を用意してやったにもかかわらずこいつは寝るときに俺のベッドに侵入して来た、それだけならまだいいのだが、ワイシャツを着ているせいで色んなな部分が俺の肉体に直で当たって来る、正直自制するにも限界がある。それに無駄にアクティブに動くのでYシャツを着ているといろんな部分が見える、これでは俺の精神が持たない。
「ボク、これ気に入ってるんだけどな、、、」
「気に入っているも何もそれは俺の制服だ、予備含め二着しかないからお前の私服にしてやるわけにはいかない」
しょぼんとするリン、不愛想だが感情が表に出やすいなこいつは。
「朝食が済んだら出かけるぞ」
俺はそう言って外出用の着替えの俺が小学校のころに使っていたハーフパンツとTシャツとパーカーを投げてよこす、こいつの背丈ならこれくらいが合うだろう。
俺はそのまま空の食器をシンクにぶち込み、着替えをするため自室へと向かった。
◇
ショッピングモールに着くとリンは目を輝かせていた、表情はあまり動いていないが、、、
「珍しいか?」
「別に、、、」
なぜこんなところで意地を張る必要があるのか。俺はそのままリンを連れて、洋服が売っているフロアへと向かう、ガラス張りの店の前を歩いて行き気に入った物があるかを尋ねてゆく、するとリンは一つの店を指さした、その店に目を向けた時俺は目を疑った、リンが指さした店は俗にいうロリータ服を集めた店だったからだ、常人はこのような物を私服には選ばない。
「これがいい」
小さく呟くリン、一概に否定するのもいけないと思い、とりあえず試着だでもと店に入店した。
「いらっしゃいませ~、凄い美人さんですね。」
入店するなり口からそう漏らした、恐らく自然と口から出たものだろう、リンの美しさは自然にできたものと言うよりも、元々そう造られた様な美しさだった、例えるなら、人間と言うより人形の様な感じ。
「試着したいんですけれど」
俺がリンに変わって店員にそう言うと、かしこまりました、と言って俺たちを試着室へと案内した。
そしてリンのサイズに合うであろう物を持ってきてリンに渡した。
「司、ちょっとまってて」
リンはそう言って試着室のカーテンを閉じた、中からごそごそと着替える音が聞こえている。
「綺麗な彼女さんですね」
やたら楽しそうに店員が話しかけてきた。
「いや、別n」
「皆まで言うな、ですよ、いえ、最近こういうの流行ってるじゃないですか」
「いやそんなs」
「皆まで言うな、です」
なんだこいつ、やたら人の話を遮るって言うか人の話を聞く気がないのだろうか。
「この店でもですね、似合うはずもない、顔面の人が多く来るんですけどね、正直見ててつらいんですよ、こういう服は着るべく人が着るべきなんすよ」
敬語が崩れてきたぞ店員。
「彼女さんを見た時びっくりしたんすよ、これなら確実に似合うと確信しました」
「だから彼女じゃ」
「いいんすよ、皆まで言わなくて」
馴れ馴れしく肩をポンポンと叩いてくる店員、正直ムカつく。リン、早く出てきてくれ、俺はいち早くこの場、いや、こいつから離れたい!
楽しみっすね、とニヤニヤする店員、俺はお前が隣にいる時点で楽しみなんて感情は無い。そんなことを考えているとシャーっとカーテンが開いた。そこに立つリンの姿を見て俺は言葉を失った。
「どう?似合う、かな、、、」
リンがそう言った。結論から言うと物凄く似合っていた、まるでこの服を着るために生まれてきた、いやこの服を着るために作られたようだ、フリルやレースの付いた真っ白なワンピースはもともと浮世離れしたリンの美しさを一層引き出していてリンをより人形の様に見せていた、今まで俺の頭の中を支配していたイライラもどこかへ吹き飛んでいた。
「司?」
俺の顔を覗き込むリン、俺は我に返り、あぁ似合ってる、と控えめ反応した、こういう時に素直になれないのが俺の悪い癖だ。
隣にいた店員も俺と同じく絶句しているようだったが、すぐに我に返ったようで、称賛の声を漏らした。
「司、ボクこれがいい」
リンが俺の服の裾をクイクイと引いてそう言ってきた、視界をリンの顔を方へ向けると、上目遣いでこちらを見ていた、その破壊力は凄まじく、世界の破壊者や凄まじき戦士もその戦いを取りやめるであろう物だろう。
「そ、そうだな」
俺はそう無意識に呟いた。
「それじゃあ、これに合わせた靴はいかがですか~」
横から店員が靴を勧めてきた、どっちみち買うつもりだったから別に構わないがこいつの声を聞くと妙にイラっと来るのは何故だろうか。だが、リンに似合う靴を買ってやりたかったのでしぶしぶ靴も購入する方針になった。よほど気に入ったのかその服と靴を身につけた状態で他の日用品の買い物へと移行した、これに関してはスムーズに進んだ。その後は俺も夕飯を作るのが億劫であったため総菜を購入していくことにした。
「夕飯に食べたいものとかあるか?」
俺がそう聞くとん?と言う顔をしていた、恐らく人間の食べ物をよく知らないのだろう。俺は聞き方が悪かったと思い問いを訂正する。
「苦手な物はなんだ?」
「ん~、魚、」
猫と言えば魚と言うイメージがあったのだが間違いだったのか?
「そうか、猫って魚が好きなイメージだったんだけどな」
「それ、偏見、猫にも好き嫌いは、ある」
リンは頬をぷくっと膨らませてそっぽを向いた。そのしぐさが何だかかわいらしく思え、不思議と彼女の機嫌を取り持つ気になれなかった。何となく、その仕草をもう少し見ていたくなったから。
「なんで嫌いなんだよ」
特に気にはしていないことだった、リンがの苦手な物がわかるならそれはよし、何故嫌いかなんて知ってもめんどくさいだけだから正直どうでもよかったのだが、会話を続けるための何気ない感じで質問をする。
「眼が嫌い、気持ち悪い、後臭い」
意外と臭いに敏感なのか、服装と言い、この身核、この場合嗅覚と言う方が正しいのか、まあそれは置いておいて、こいつを一言で表すなら、、、、わがままお嬢様かな。召使になるのはごめんだ、なんて考えながら少し拗ねたこいつの様子を眺める。
「じゃあ魚介は避けるか、、、」
リンに聞こえる声量で独り言を呟き、俺は総菜コーナーへと足を運ぶ。
揚げ物コーナー、そのすぐ近くに煮物、そしてハンバーグやオムライスの弁当のコーナーが並ぶ。総菜特有の食欲をそそるいい匂い、自宅で作る食事とはまた違うが、こちらにはこちらの良さがある。最近の総菜は味もよく手軽であるため買ってしまいがちになると言うものだ。
「司、これ何?」
腰を低くして指をさしながらリンは言った、その指の先にはパック詰め鶏のから揚げが置かれていた。唐揚げがわからないのか、まあ当然と言えば当然、眼にすることも少ないだろうしな、そもそも猫の体にこれは少々脂っこ過ぎるだろうしな。
「それは鳥のから揚げだ」
「これが鳥?、でもこれ羽が生えてない」
ジトっとした視線でこちらを見つめる、否、睨んでると言う方が正しい、そんな視線でこちらを見つめるリン。この視線から察するに全く信じていないな。見た目だけとっても衣のせいで肉らしさが失われているので揚げ物と言う概念を知らないのであれば徒然の反応だろう。
「あのな、人間はな根が付いたままの鳥は食べない、と言うか生の状態で肉を食べることが殆どないんんだ。そいつは鳥の肉ににんにく、しょうが、醤油、酒で味付けして衣をつけて油で揚げたものなんだ。」
何言ってるのかわからないと言う目で俺を睨みつけるつけるリン。そうか、ちょゆみ量や作り方を言ってもわかるわけないか、そもそも油で揚げると言って通じるのか。
「簡単に言うとその衣の中に肉が入ってんだ」
説明を幼稚園児でもわかるレベルに訂正する。
「むぅ、それならそうと早く言って、、、難しいこと言ってもわからない」
また拗ねた、こいつの扱いは予想以上に難しいらしい。
「そうか、それはすまん」
「むぅ、気持ちが籠ってない」
この手の事はよく言われる、普通に話していても感情が籠っていないのは生まれつきだ、まあ今のは謝罪の感情など込めたつもりは無いのだが。
「で?それにするか?」
「話逸らすな!」
ご立腹のリンが俺の袖をグイグイとぴっぱった、何と言うか凄く子供っぽい。
「俺の質問に答えろ」
俺は無理やり話しの方向を変える。
「あぅ、じゃあそれで、、、」
叱られた子猫の様に耳がぺたんと折れた。なるほど、こう言う猫らしさもあるのか、不愛想で感情が読み取りにくい所があるがこう言う仕草を見ることで感情の変化を読みみとることも出来そうだ。猫の気持ちだか何だかったていう書籍を後で購入しておこう。
「じゃ、他の総菜も適当に買って来るか。」
俺は辺りを見渡してあまり栄養が偏らないように、と言ってもちゃんと計算するでもなく何となく色どりをよくするレベルでのこと。
それらをカートに入れてレジを通し、少し重めのビニール袋を片手に家路に着く。
服が気に入ったらしく帰り道でのリンは少し機嫌がよかった、さっきの事はまるで覚えていないと言う顔だった。
“こんな生活がこれから続くのか”心の中でそう呟きながら俺の傍らを歩く少女に目を向ける。
「ん?」
俺の視線に気づいたリンがこちらに視線を向ける。
「似合ってるな、と思って」
俺は珍しく素直な気持ちを表に出した。俺の言葉を聞いたリンは頬を赤くしてそっぽを向いた。
「ありがと、」
自信にも聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声でリンは呟く。周りに人間が居なかったことと、この道が異常に静かだったことが重なり、その言葉ははっきりと俺の耳に届き、そして俺の鼓膜を支配した。俺はまた素直になれずに、その言葉を心の中に閉じ込め、足を進めた。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
余談なのですが、リンの魚介嫌いは猫が魚嫌いでも面白いかな?と言う事と私青山菊の魚嫌いから来ています。リンの言っていた魚が嫌いな理由は私が魚介を苦手としている理由だったりしますw
話がそれてしまい申し訳ないです。
次回は司の学校での友人などが登場する予定です。近々キャラクタ設定も公開する予定です。
これからも猫耳拾いましたをよろしくお願します。