邪神イッセーの非日常   作:ミスター超合金

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どーも、ミスター超合金です。描写スタイルを模索する為の作品です。展開は早いです




旧校舎のディアボロス
第壱話 ANGEL ATTACK


 春空の公園、冷静沈着なイッセーにしては珍しく戸惑いの顔を見せていた。原因は彼の視線の先でさ迷い歩いているゴスロリ幼女にあった。

 

 

「イッセーさん! 誰か、イッセーさんの家を知らないっスかー!!」

 

 

「……何だ、ありゃ」

 

 

 金髪の如何にも頭がクルクルパーな小ギャルが、クルクルパーな台詞を叫んで回っている。何ともシュールな光景だが問題は彼女がイッセーの名を口にしている点だ。このまま放置して警察の世話にでもなれば、間違いなく関係者として呼ばれてしまう。

 そうなれば今まで築いてきたご近所さんとの関係もパーだ。

 

 

 また厄介事が増えた、と溜め息を吐きながらベンチから立ち上がった。()()()()()が何であれ、見捨てるのも心苦しい。

 

 

「俺がお嬢ちゃんの探してたイッセーだ。何か用があるのか? 俺としては心当たりがないんだが」

 

 

 少なくともこの幼女とは初対面だし、別に何かをした記憶もない。

 一人で頷いているとゴスロリ幼女は首を横に振って否定した。改めて用を訊ねると彼女は顔を赤くして言い放った。

 

 

 

 

「……ウチと、付き合って下さいっス!!」

 

 

「はぁ?」

 

 

 幼女からの告白を受けたイッセー。羨ましい限りである。

 

 

▼▼▼▼▼

 

 

「ほへぇ、アパートに住んでるんスねぇ。広い一軒家かと思ってたから意外っス」

 

 

「何故ついてきたし」

 

 

 自らをミッテルトと名乗る幼女は結局当たり前のように家までくっついてきた。築40年の風呂なしボロアパートを珍しそうに弄くり回している。そんなミッテルトを尻目にイッセーは冷蔵庫から麦茶を取り出し、渇いた喉を潤すと同時にこれからの事を考え始めた。

 流れで家に入れたものの、何時までも家に居させる訳にはいかない。()()も心配するだろう。下手すれば誘拐犯だ。

 

 

「で、何時になったら帰るんだ?」

 

 

「……告白を受け入れてくれるまで」

 

 

「無茶言うな」

 

 

 合意した日にはロリコン確定である。そんな称号は要らない。本日2回目の溜め息を吐くと昼下がりの空を眺めながら告げた。

 

 

「ま、夕方になったら帰りな。『神の子を見張る者(グリゴリ)』の本部まで送ってやるから」

 

 

 何気無い世間話のように言うと驚いたようにミッテルトは眼を見開いた。バレていないと思っていたのだ。

 

 

「ウチの正体、知って──」

 

 

「堕天使だろ?」

 

 

 

 

 暫くの沈黙の後、バサリと黒翼が拡げられた。1対2枚の可愛らしい翼は紛れもなく堕天使の証だった。

 

 

「……騙してて、ごめんね。ウチはイッセーさんの抹殺指令を下された堕天使っス」

 

 

「襲撃なんざ馴れてるし、気にすんな」

 

 

 何ともやりきれない顔を見て何も言えなくなった。好んで任務を受けた訳ではなく、命令されたから渋々引き受けたのだろうか。

 

 

「これからどうするんだ?」

 

 

「……アジトに帰還するっス。ウチじゃ勝てそうにないっスから」

 

 

 本部ではなくアジトと言う彼女に疑問を覚えた。つまり人間界に仲間と一緒に潜伏しているという事だ。

 何かあるのか。窓に視線を戻して、再び訊いた。

 

 

「上司のレイナーレ様がこの駒王町にアジトを構えて、ある計画を進めている。末端のウチはそれしか知らない」

 

 

 

 

「──じゃあね」

 

 

 不意に軋んだ扉を開けて、ミッテルトは外の世界へ呆気なく消えた。また静かな日常に戻った彼は寝転がりながら、しかしぼんやりと床に落ちていた羽根を見つめていた。

 やがて起き上がると、おもむろに連絡術式を展開した。

 

 

 

 

『どうした、急に』

 

 

「……確認したい事がある」

 

 

▼▼▼▼▼

 

 

 レイナーレの計画に必要なアーシア、任務をしくじったミッテルトは教会の地下室で縛られていた。これからアーシアは神器(セイクリッド・ギア)を抜き取られて死亡し、ミッテルトもお払い箱として処分されるのだ。

 

 

 十字架に張り付けられた二人は特に騒ぎもせず、訪れる死を受け入れていた。視界の端ではレイナーレと同僚の堕天使達が儀式の準備を進めている。

 

 

「……これでアザゼル様の寵愛を受けられる! 私を馬鹿にした奴等を見返す事が出来るわ!!」

 

 

「おめでとうございます。して、ミッテルトが殺害に失敗した人間は如何致しましょうか?」

 

 

「カラワーナに任せるわよ。たかが人間如き、簡単に殺せるでしょう? そこの間抜けと違ってね」

 

 

 そう言ってミッテルトに視線を映した。心底冷たい、見下した眼がレイナーレに突き刺さった。途端に顔を歪める。

 

 

「何よ、そのムカつく眼は! 何処まで私を苛つかせれば気が済むのかしら!!」

 

 

「……」

 

 

「この、使えないクズがッ!! 良いわ、同族のよしみで一思いに殺してやろうと思っていたけど、もう楽には死なせない! 神父共の慰みものにして、ジワジワと苦しませてやるわ!!」

 

 

 悪夢のような宣告も最早どうでも良かった。ツルペタストンな身体がどう扱われようと知った事ではない。だが心残りが1つだけあった。

 

 

「……ウチは最下級レベルの実力だし、標的を探して迷子になる馬鹿だし。用済みとして殺されるのも仕方ないけど」

 

 

「せめて、もう少しイッセーさんと話したかったなぁ……」

 

 

 

 

「そうか、じゃあ話すか。特に面白いネタはないけどな」

 

 

 聞き覚えのある声が隣から響いた。慌ててそちらを見ると眠そうな顔をしたイッセーが立っていた。

 

 




 The wages of sin is death.

 罪の報いは死である。

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