ハイスクール ライダーxドラゴン ガイアメモリを手にした者達   作:瓦露℃

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…遅れてしまい誠に申し訳ありませんでした。
つい最近まで会社見学と履歴書を書いておりまして履歴書で心が折れかけていました。

しかも来月は面接ですし辛いです…今家に遊びにきてる姪っ子の笑顔を見ると癒されますよ、赤ん坊ですし。
次回も頑張って投稿します、就職決定すればもっとかけるんですけれど世の中そんなに甘く無いですね。

投稿待っている間読者の方からのお言葉が嬉しかったです、本当にありがとうございます!

では本編どうぞ!


(ブレイド)編 File4『動き始める組織、3人の切り札』

翔鬼 side

 

あの後は屋敷を出て龍馬のある寄り道をせずホテルに戻った。

 

今日1日でいろんなことがあったためみんなの顔に少しだけ疲れが見える。

 

「しかし剣崎さんと会えるとは思っても見なかったな…」

 

本来は会うことのない異世界の人物、ディケイドの物語ではディケイド自身が世界を渡り旅をしていたから会えるのだが俺達にはできない。

 

その上この世界は俺が混ざった世界とはいえ仮にも『ハイスクールDxDの世界』、剣崎さん達のいる世界は仮面ライダーという括りの中の『仮面ライダー(ブレイド)の世界』。

 

同じ名前の世界でも人物は異なったりする、だが俺達が会ったのは間違いなく2004年の仮面ライダーブレイドだ。

 

偶然なのか運命なのかは分からない、でもこの2つの世界が一時的に混ざっているのならば何か意味があるはずだ。

 

その意味についてはまだ分からないがいずれ分かる時が来るのではないかと思っているので今は考えないでおく。

 

今日のことを思い返していると龍馬が近づいて来る。

 

「翔鬼、3日前のあのガイアメモリについてのことなんだけれど少し良いかな?」

 

「ん?どうした?」

 

実は3日前にとあるガイアメモリが見つかった。

 

見つかったというより気がつかなかったから無い物的な感じの扱いだったのかもしれない。

 

いつも龍馬が使っている研究部屋で灰色のガイアメモリが見つかったのだ。

 

ただ単に灰色なら気にすることは無かったのだがそのガイアメモリは何も描かれておらずなんの反応も無い。

 

ドライバーだろうがメタルシャフト、トリガーマグナムで試してもなんの反応もなかったのだ。

 

どんな記憶があるのか、もしかしたらまだ記憶が入ってないのではないのかもしれない。

 

どんな性能か検討もつかないガイアメモリ、どうしようもないので一旦保留になっていたのだが…

 

「あれを君達が帰って来るまでの間に少し研究を進めていて分かったことが1つ、あのガイアメモリからほんの少しだが記憶の一部であろうデータが見つかった」

 

「つまり何かしらの記憶はプログラムされている事は確定したという事なのか」

 

「そうだね」

 

「…なぁ、龍馬、このガイアメモリを見てて思ったんだがこれが灰色なのって最初から灰色だった訳じゃなさそうに思えるんだよな」

 

「どういう事だい?」

 

「何だろうな、感覚的にだが何かが抜けて抜け殻のような物になったんじゃいかって考えているんだが…」

 

「…確かに一理あるね、抜け殻か、元々あった記憶が抜かれた事が原因で残骸程度のデータ量が残りガイアメモリとしての機能を全て失ったという推測となるね」

 

元々何かしらの記憶が入っていたガイアメモリ、記憶がどんなものか分かれば龍馬が再度記憶をプログラムしてガイアメモリとして使う事が可能になるだろう。

 

「そのデータがどんな内容なのか分かったのか?」

 

俺の質問に龍馬は首を振る。

 

「残念だけれどそこまでまだ解析は終わっていないよ、とりあえず今日はアンデッドについて調べる事にするよ」

 

「分かった、ほどほどにな、しっかり休めよ?」

 

「君もね?」

 

そうして俺は寝る準備をし、龍馬は本棚を使って検索し始めた。

 

翔鬼 side out

ーーーーーーー

龍馬 side

 

『『アンデッド』…52体のアンデッドと戦うことになると思っていたけれど全てのアンデッドと戦う訳ではなさそうだね』

 

僕が今手に取って見ているのはカテゴリーK(キング)の『タランチュラアンデッド』の本だ。

 

このタランチュラアンデッド、アンデッド中でも1番と言っていいほどの温厚で優しいアンデッドだ。

 

あの剣崎 一真や上城 睦月達の成長を促して少しの期間だがサポートをしていたらしい。

 

上級アンデッドは日本の人間の社会に溶け込んでいる個体が意外といるが珍しくこのタランチュラアンデッドは外国に居た様だ。

 

『…しかし世界中に様々な種族、しかも人間の常識の中には居ない悪魔や堕天使に龍、僕がまだ調べていない種族もあるのかもしれないが…』

 

何故52という種族だけが選ばれたのか分からない。

 

僕がそう呟こうとした時、ふと目に入った黒と緑の本が一冊。

 

その本を見ていると妙に惹きつけられる、だがそれと同時にそれを恐れ手が震える。

 

本能的に恐ろしく感じその本に手が近づくほど体の震えが手だけでなく肩や足まで震え始める。

 

(なんだこの本は!?僕が今まで気がつかなかっただなんて…)

 

手が本に触れた瞬間、体の震えが止まる。

 

本のタイトルを見る、その本のタイトルは…

 

『ジョーカーアンデッド?このアンデッドの本は一体…』

 

そう、アンデッドの本。

 

しかも先程言った通りにアンデッドは52体でその他は人工アンデッドという存在に限る。

 

しかしこの本のタイトルは間違いなく『ジョーカーアンデッド』と言う物、ここにあると言うことは間違いなくそのアンデッドは存在している。

 

内容が気になった僕は本を開こうとしたが鍵が掛かっていることに気がつく。

 

『…流石にそう簡単には見せてはくれないか』

 

僕は顎に手を当てて思考を一度リセットして考え直す。

 

(ジョーカーアンデッド、翔鬼なら何か知っているのかもしれないけれど…)

 

翔鬼はまだ何かを間違いなく知っている、何について知っているのか分からないためあえて聞かなかったのだけれども…

 

それに今日だけでも気になる事がある。

 

僕達が使うドライバーとは全く別の性能で変身する3人、ラウズカードを使用しアンデッドと言う敵と戦う。

 

ガイアドライバーを使いガイアメモリで変身する僕達3人、ドーパントと言う敵と戦い町の人を守っている。

 

似ている…敵と同じ力を使い変身し戦う。

 

…仮面ライダーとは『正義の心を持った怪人』?

 

『駄目だ、考え始めると止まらないね、今日はとりあえず僕ももう休もう』

 

普段なら徹夜で作業するけれど一応旅行で来ているんだし明日に備えて休まないとね?

 

みんなは夜通しで遊んだりしない様にね、僕との約束だ。

 

(ジョーカーアンデッド、ジョーカー…『切り札』、かぁ)

 

龍馬 side out

ーーーーーーー

剣崎 side

 

「ダディャーナザァーン!ムッキー!」

 

大急ぎで来たので襖を強く開けてしまい大きい音を立ててしまう。

 

「「!?」」

 

部屋の中にいた橘さんと睦月がびっくりしてこちらを見ているがそれどころではない。

 

「はぁ…はぁ…」

 

「ど、どうした剣崎?」

 

「さっき、キングが…キングが来て…」

 

俺の言葉に橘さんと睦月が驚いた顔をする。

 

無理もない、あのキングが現れたのだ。

 

「なんだと!?奴は何処だ!」

 

「キングの奴はもう何処かへ行きました、問題なのはキングが教えてくれた情報の事で」

 

「キングが?何故あいつがこちらに情報を教える?しかも剣崎はキングを封印した張本人だから接触を避けると思っていたが…」

 

「情報って一体どんな内容だったんですか?」

 

橘さんと睦月にキングが教えてくれた情報を話す。

 

睦月は驚いた顔をし、橘さんは難しい顔をしている。

 

「それってかなりヤバイじゃないですか!」

 

「…俺は何となくだが予想はできていたがそこまで大きい組織が動いていると言うのか」

 

「はい、でもキングが言っていた事なんで信憑性は低いですがキングの態度や表情を見ている限りだと可能性はあります」

 

キングに限らず誰でも自分が好き勝手に扱われていたら気分を害する。

 

ましてや実験に付き合わされどうなるか分からない状況、何も分からない相手に少なからず恐怖はある。

 

人というのは恐怖に支配されては何もできなくなってしまう、恐らく橘さんが1番分かっているはずだ。

 

いずれ彼らにも得体の知れない恐怖に襲われる時が来る、もしそんなことになったら耐えられるのだろうか…

 

「この件は俺達が思っている以上に危険だったのか…」

 

「それに今回のアンデッドの件を終わらせても次にまた何か起きるって事じゃないですか、今のままだと俺達まで…」

 

「待て、剣崎、先程言っていた手紙を見せてくれ」

 

「これです」

 

俺は手紙を渡し橘さんはその内容を確認している。

 

「…この切り札って言うのはまさか『ジョーカーアンデッド』の事なのか?」

 

「だと思います、だけど仮にそうだとしたら俺と始の2人しかいないんですよ」

 

「剣崎、お前あれから『アンデッド』としての本能は大丈夫なのか?」

 

「…大丈夫です、特に闘争本能みたいなのもありませんでしたし」

 

「そうか…無理はするなよ」

 

部屋に少し重い空気が漂う。

 

「とりあえずこの事はアンデッドの件が終わってから彼らに話すか考えよう」

 

「そうですね、でもとりあえずガイアメモリとかについては教えておくべきかなと」

 

「それについては彼らが詳しそうだからな」

 

「じゃあ今日はもう…ん?」

 

もう寝ましょうか、と言おうとした時近くで誰かの気配を感じる。

 

部屋から出て周りを確認するが先程の気配は無く、ほぼ満月に近い状態の月が夜空で輝いているだけだった。

 

「どうした?」

 

「いや…さっき誰かいた様な気がしたんですけど、まぁ多分気のせいですね」

 

「今日は色々あったから疲れているのかも知れない、そろそろ寝よう」

 

「そうですね」

 

橘さんの言う通りにし俺達3人は布団に入り寝た。

 

剣崎 side out

ーーーーーーー

翔鬼 side

 

次の日、俺達は予定していた時間よりも早めに起き準備をする。

 

準備をしている最中にイッセーが俺のところへ来る。

 

「なぁ翔鬼」

 

「ん?」

 

「今日の予定はどうするんだ?」

 

「今日は少しだけ予定を変更して最初に八坂さん達の屋敷に行ってもう少し何か情報がないか剣崎さん達から聞く、そしてその後は何かない限り予定通りに色んなところを回る、って感じだな」

 

俺の答えにイッセーは少し難しそうな顔をする。

 

「でもアンデッドとかについて他に調べなくて良いのか?敵の拠点とかもまだ分からないし…」

 

イッセーの言いたい事は分かる。

 

今回のアンデッドによる騒動は人為的に起こされた事、それを放って旅行を満喫するのには抵抗があるんだろう。

 

だが…

 

「イッセー…それは確かに俺もそう思っている」

 

「ならなんでだ?」

 

「今回の旅行、1番楽しみにしていたのは黒歌なんだ、今では楽しそうな表情をしていることが多い、でも今はまだあいつははぐれ悪魔の扱いで妹と離れていつ死ぬのか分からない状態で逃げ続けていた」

 

「…」

 

「あいつは辛い事ばかりだった、だから今回の旅行を楽しみにしてたんだと思う、みんなの前では表に出していなかったけれど当日の朝、子供みたいに部屋ではしゃいでいたんだ、せめて今日だけでもな…」

 

イッセーは納得したような顔をして笑う。

 

「そうだな、アーシアも楽しみにしてたし…よし!今日は楽しもうぜ!」

 

「あぁ、ん?そろそろ時間だ、行くぞ」

 

「おう」

 

俺とイッセーは素早く準備をし部屋から出た。

 

龍馬?ホテルの1階でコーヒー飲みながら待っていたよ。

 

翔鬼 side out

ーーーーーーー

始 side

 

ーハカランダ『地下』ー

 

とある店の地下で2人の男が机に座り話をしていた。

 

「それで何の用だ、こっちは仕事がある」

 

「すまない始君、君に橘君達に届けてもらいたものがあるんだ」

 

「届けてもらいたい物だと?」

 

烏丸という男は床に置いていたアタッシュケースを机の上に乗せる。

 

そしてアタッシュケースを開き始の方へ向きを変える。

 

「この3つだ、今回の件は間違いなくこれが必要になると私は考えている」

 

アタッシュケースの中に入っていた物、それは過去にアンデッドとの戦いで使用された道具。

 

「『ラウズアブゾーバー』…アンデッドの封印が解かれるならカテゴリーキングも封印が解かれさらには人工アンデッド、確かに必要だな」

 

「我々の誰かに持って行かせようと思ったのだが部下からの報告でBOARD本社の周りをうろついている不審な者いるらしくてね、もしアンデッドでも来られたら私達には対抗する手段が無い」

 

「つまりアンデッドと戦える俺にこれを届けろということか、だがお前達は大丈夫なのか?」

 

事実、相川 始がこの街から出てしまえばアンデッドと戦える人物がいない。

 

始が京都へ向かっている最中にアンデッドにBOARDが襲われたりでもすれば組織として機能できないほど崩壊しかねない。

 

しかしラウズアブゾーバーを届けなければ橘や睦月達がアンデッドにやられてしまうかもしれない。

 

「確かに危険だ、だが君を向かわせるのには理由がもう1つある」

 

「もう1つ?それはなんだ?」

 

「昨夜橘君からの報告があってね…剣崎君が見つかったそうだ」

 

「!?」

 

始は烏丸の言葉に目を見開き驚いている。

 

そして一瞬嬉しそうな表情になったがすぐに悲しそうな顔をし俯く。

 

「…なら逆に俺は行かないほうがいい、あいつと会う事で『本能』が疼いて自分を抑えられなくなるかもしれない」

 

烏丸は始のその言葉を聞き少し落ち込んだ表情になる。

 

過去の出来事を知っている者、ましてや相川 始は当事者である。

 

始がそう言うのは理解していたが頼まざるを得ないと考えてここに来たのだ。

 

「始君、頼む…君が人間として生きようとしているのは知っていて私は君にとって酷いことを言っていることは自覚している、京都へ向かいこれを彼らに届けて欲しい…」

 

「…」

 

始の頭の中では色んな考えや感情が渦巻いている。

 

自分の友人に会いたい、だがそれはその友人が自分や世界のことを考え姿を消したというのに会えばそれは無駄になるかもしれない。

 

(俺は、どうすればいいんだ…)

 

いつのまにか握りしめていた右手を開くと強い力で爪が刺さっていたのか『緑色』の血が流れる。

 

(あいつはいつも自分では無く誰かの為に戦っていた、そして今も運命と戦い続けている…俺は、俺は何をしているんだ?俺にもできることがあるんじゃないのか?人として生きながらでもできることが!)

 

始は再度右手を握りしめ立ち上がり机の上にあるアタッシュケースを閉じそれを持つ。

 

「烏丸、この件は引き受ける」

 

「始君…本当にありがとう!」

 

「その代わり天音ちゃん達を頼む、なるべく早めに戻ってくる」

 

「分かった、気をつけてくれ」

 

「あぁ」

 

始はハカランダから出てバイクに乗りヘルメットを被る。

 

ハンドルを捻り京都へと向かい出発する。

 

(剣崎、お前はアンデッドなってまでも俺を救おうとしてくれた、今これをお前に届けることが助けになるなら俺はやる)

 

始 side out

ーーーーーーー

翔鬼 side

 

ー八坂邸ー

 

「で、まぁこれを使うことでメモリの毒素がーー」

 

「それが無しだとーー」

 

「ーーになります、ちなみに生身でもーー」

 

「そう言えば細胞を変化させるガイアメモリってのは?」

 

「一応駒王町にある僕達の家に同じか、似たようなものならある」

 

「あー、あれか?でもあれはそんな感じの能力はなかった気がするけど」

 

あの後八坂邸に着いたらすぐに橘さんからガイアメモリについての説明をすることになった。

 

よくよく考えればアンデッドや橘さん達のライダーシステムについてこっちが一方的に知っているだけでこちらのことはあんまり話していなかったなと思い出したので説明をしている。

 

橘さんはかなり驚いていたがアンデッドの対策として何か使えないか考えながらメモを取っている。

 

この件が終わったら量産型スタッグフォンを何機かプレゼントしようかな?

 

ちなみにイッセーは睦月さんに進路の相談をしている。

 

そういや俺も今は高校生に戻って生活しているわけだし進路について考えるべきだろう。

 

「俺としては警察にでもなろうかなって思っていますね」

 

「良いんじゃないかな?結構似合ってるかも」

 

…警察官か〜最近イッセーがあの人に近づいている気がする。

 

この前なんかコーヒーの淹れ方にこだわりを持ち始めたり、しかもコーヒー豆を求めて少し遠出したってアーシアから聞いた。

 

「どうぞ」

 

「あ、どうも」

 

「ありがとうございます」

 

俺と橘さんにお茶を淹れてくれた妖怪は頭を下げると部屋から退室する。

 

俺たちはそれを一口飲み話を続けようとすると後ろから肩をトントンと叩かれる。

 

振り向くとまた別の妖怪がいる。

 

「八坂様が少しお話ししたいとのことでお呼びに参りました」

 

「分かった、すぐに行く」

 

俺はその場から立ち上がりその妖怪に八坂のところまで案内してもらった。

 

翔鬼 said out

ーーーーーーー

一誠 side

 

俺が睦月さんと話をしていると翔鬼が八坂さんに呼ばれたようで部屋を退室する。

 

(一体なんの話なんだろう?)

 

各チームとの代表として話し合うなら橘さんも呼ばれるはずだから違うと思うけど…

 

なんて思っているとアーシアの方をふと見ると黒歌さんの方を見ている。

 

「どうしたんだ?」

 

「あ、いえ、ちょっと…」

 

アーシアに聞くとそう言い再び黒歌さんの方を見る。

 

俺も気になったので見てみると黒歌さんの目線がどこかをチラチラと見ている。

 

その目線を追うと先程翔鬼が飲んでいた緑茶が残っている器が一つ。

 

なんとなく察したので何も言わず様子を見ることに。

 

「あれって狙ってるよな」

 

「狙ってますね、気持ちは分かりますけど…」

 

「え?」

 

なんかアーシアから聞こえたけれど聞かなかったことにする。

 

(お、動いた)

 

周りの目を気にしつつ黒歌さんは片手を器の方に伸ばす。

 

もう少しで手が届く距離になり掴む寸前、だがその時。

 

別方向からもう一本の腕が伸びてきており黒歌さんの手と当たる。

 

「「あ」」

 

もう一本のの腕の正体は案の定グレイフィアさん。

 

手が当たり2人はお互いを見て数秒ほど固まり、そして2人から威圧感が尋常時ではないぐらいに出ている。

 

どうやらお互いを敵と認識したようだ、つまりいつも通り。

 

2人は無言のまま互いの腕を掴み腕が震えるほど握りしめている、しかも笑顔なのが怖い。

 

イイ顔をしている、良い顔ではなくイイ顔なのだ、一言も喋っていないのに恐ろしいのだ。

 

おっと周りの人達も気がついたのか静かになり始めたぞ?

 

龍馬に関しては遠い目をしている、いつも翔鬼の家ではどんな感じなんだよ!?

 

そろそろ誰か止めてくれないだろうか…

 

え?そう思うなら自分でやれってか?あぁ勿論以前止めようとしたさ、止めようとして声をかけた瞬間…

 

『はい?』

『にゃ?』

 

あの2人、ほんのちょっとだけ喋っただけなのに有無を言わせないほどヤバかった、もうやりたくない。

 

龍馬も同じだろう、ほら、周りにいる妖怪の方々が後ずさりしてるし。

 

とりあえず分かったことはある、オンナッテコワイ、まる

 

「失礼するのじゃ…なんか空気が重い気がするのじゃが?」

 

おっとここで九重ちゃんのお出ましだー、何を思ったかは知らないが二人に近づいていく、逃げてぇぇぇ!!

 

「む?茶が残っておるの、ちょっと喉が渇いておったからもらおうかの」

 

そう言い九重ちゃんは翔鬼の器に残っていた緑茶を飲み干す。

 

「「「「!?」」」」

 

その場の全員が動きを止め驚いている。

 

…ヤバない?これ。

 

「ん?兄様のじゃったか、そういえば兄様はどこじゃ?きていると聞いてここに来たのじゃが…」

 

その言葉を聞いて俺や橘さん、争っていた黒歌さんとグレイフィアさんを含めた全員が固まる。

 

な ぜ 分 か っ た!?

 

いや、え?みんな目が点になるほど驚いてるよ?

 

喉が渇いていたから誰のか分からない器に残った緑茶を飲んだのはまだ分かるよ、でもなんで誰が飲んでいたのか分かるんだよ!?

 

「戻ったぞー…?なんだこの空気」

 

そしてこの状況で翔鬼が帰ってくる、翔鬼の声を聞いた黒歌さんとグレイフィアさんは翔鬼に近づき一言。

 

「「少し話があるにゃ(あります)」」

 

「…ハイ」

 

翔鬼は訳も分からず2人に連れていかれ部屋から退室する。

 

ふと龍馬がメモ帳に何か書いていたので見てみると…

 

『翔鬼 ロリコン説濃厚』

 

まぁ多分無実だろうけど頑張れ。

 

一誠 side out

ーーーーーーー

翔鬼 side

 

…あ、どうも皆さん、何があったのかは聞かないでください。

 

先程の部屋でみんな集まって再度話をしていると龍馬の持っているパソコンに反応があった。

 

「ん?おや、何か見つけたみたいだね」

 

「何をしているんだ?」

 

「この地域に可能な限りのスタッグフォンを使って何かないか調べていたんだ、そしてたった今飛ばした内の1機から反応があったんだ」

 

龍馬とパソコンの画面を見ると以前スカラベアンデッドを連れていた男が映っておりその後を追いかけているようだ。

 

男は周りを気にしながら歩いており如何にも警戒してますと言った感じだ。

 

近場の駅の方まで行き男は誰も見ていないから確認してからエレベーターに乗る、その際コッソリとスタッグフォンが足元から一緒に乗る。

 

エレベーターの扉が閉じ男はエレベーターの1階のボタンを2回押し2階のボタンを1回押し扉を開くボタンを2回押す。

 

すると1階と2階しかないエレベーターが下へと動き出した。

 

「…成る程」

 

「地下に奴らの基地があるのか?」

 

「それは見て見なければ分からないが…着いたようだよ」

 

エレベーターが開き男の後をスタッグフォンが付いて行く。

 

エレベーターを出ると長い通路がありその奥へ着くと男が扉を開ける。

 

扉の向こう側には厳重に保管された無数のラウズカード、機械に繋げられている3体のアンデッド。

 

何人ものの白衣を着た研究員が慌ただしく動いている。

 

その光景に驚いているとスタッグフォンが何者かに掴まれたのか動かなくなる。

 

スタッグフォンのカメラの向きが変わり映ったのはあの『キング』だ、しかも怪人態。

 

「キング!?」

 

いつのまにか後ろで見ていた剣崎さんも驚いている。

 

『偵察かい?ご苦労様、でもあれ以上進むとバレちゃうから駄目だよ?』

 

キングは研究員の様子を伺いながら持っている盾の内側にスタッグフォンを隠す。

 

『こうすれば見つかりにくいから、できる限り今はこれで我慢してね』

 

剣崎さんによればキングは協力しようとしているらしい、確かに味方につけられれば頼もしいが信用できるかは難しいところだ。

 

だが今はキングに頼るしかない。

 

キングはラウズカードが厳重に保管されているところに近づき剣でスタッグフォンが通れるほどの穴を作りスタッグフォンをその中に押し込む。

 

『今のうちに1枚か2枚でも持って行きなよ、時間がないから急いで』

 

とキングにそう促される。

 

「龍馬、スタッグフォンに収納機能は!?」

 

「流石に僕もこんなことは想定していなかったから本当に1枚か2枚が限界だよ…」

 

「えーっと手前にある2枚で良いんじゃ?」

 

「カードは慎重に選べ!」

 

『早くして、多分もうすぐ他の研究員が戻ってくる!』

 

龍馬はスタッグフォンに手前にある2枚を取らせて穴から出る。

 

キングはもう一度盾の裏側に戻し近くにあるダクトにまで移動する。

 

『1つ教えておくよ、君達のところに数体のアンデッドが向かっている、気をつけてね』

 

「「「「は?」」」」

 

そう言ってキングはスタッグフォンをダクトの中に放り込む。

 

「…戦闘準備!急げ急げ!」

 

「睦月!一誠君!俺達も出るぞ!」

 

「「はい!」」

 

「龍馬!レーダーに反応は!」

 

「今やっている!…あった、数は…5体!しかも1体は上級アンデッドだ!」

 

「冗談じゃねぇぞ!?」

 

「数は2と3で挟み撃ちでこっちに来ている、上級アンデッドは2体の方だ」

 

「なら俺と剣崎さんが上級アンデッドの方へ向かう!残りの3体は一誠たちが頼む!」

 

「くれぐれも怪我をするんじゃないぞ!」

 

俺達は予め決めていた通りに分かれてアンデッドのいる方向に向かう。

 

龍馬が来ると変身後の体が危険なので八坂邸に残ってもらう。

 

こういう時にあのメモリの重要性が分かるなぁ…

 

ーーーーーー

 

「ここか?」

 

「アンデットの姿が見えませんが…一体何処に?」

 

「…まさか!?」

 

剣崎さんが上を見るのと同時に俺も上を向く。

 

俺たちの目線の先には屋根の上に乗ってこちらを見下ろしている『エレファントアンデット』、そして『ローカストアンデット』。

 

2体とも過去に剣崎さんが封印したアンデットだ。

 

「おいおい、冗談じゃねぇぞ…」

 

ローカストアンデットは大量のイナゴに分裂することができる。

 

もしあいつが町中に飛んでいったら被害がさらに増えてしまう。

 

「…翔鬼、上級アンデットは俺が相手をするからその間にもう1体のアンデットの方を封印してくれ」

 

「…分かりました!行くぞ、龍馬!」

 

俺はダブルドライバーを装着してジョーカーメモリを取り出す。

 

ーーーーーー

 

「いきなりだがヒートで行こう」

 

HEAT!』

 

ーーーーーー

 

JOKER!』

 

「『変身!』」

 

HEAT!』

 

JOKER!』

 

俺たちは変身をし戦闘態勢をとる。

 

「『さぁ、お前の罪を数えろ!』」

 

俺の言葉が合図にありローカストアンデットが俺たちに飛んでくる。

 

タイミングを見計らい炎を纏った右手でローカストアンデットの顔にカウンターを決める。

 

殴られたローカストアンデットは後ろに吹き飛び転がる。

 

そしてすぐに起き上がり己の脚力を利用して先程とは比べ物にならない速度で俺たちの懐に潜り込み強烈な蹴りを喰らう。

 

「ぐっ…」

 

『これは…結構痛いね』

 

「ならこいつで…!」

 

俺はトリガーメモリを取り出しジョーカーと入れ替えようとしたが龍馬に止められてしまう。

 

「駄目だ、トリガーはこのような場所で使えば被害が増える!」

 

「くそっ、なら速攻で決めに行くぞ!」

 

METAL!』

 

ジョーカーメモリとメタルメモリを挿し替える。

 

HEAT!』

 

METAL!』

 

そして俺はメタルシャフトを手に取り構える。

 

メタルメモリをドライバーから抜き取りメタルシャフトに挿し込む。

 

METAL!MAXIMUM DRIVE!』

 

メタルシャフトを横に構えると同時に両端から炎が吹き出す。

 

『「メタルブランディング!」』

 

吹き出す炎の勢いにより体が前に進む。

 

ローカストアンデットは危険を察知し分裂しようとするが間に合わず直撃し大ダメージを受ける。

 

ダメージによりふらつく足で立とうとするがローカストアンデットのバックルが開き封印可能となる。

 

予め渡されていたラウズカードを投げアンデットの体に刺さるとローカストアンデットがラウズカードに吸い込まれカードが手元に飛んで戻ってくる。

 

「よし!」

 

『今すぐ剣崎さんのところに向かおう、上級アンデットを相手に1人は難しい』

 

「あぁ、今すぐ行こう」

 

ーーーーーー

 

俺たちが剣崎さんのところに着くと剣崎さんはかなり苦戦していた。

 

「ウェ…ぶぇ!」

 

剣崎さんは変な声を上げて殴り飛ばされる。

 

エレファントアンデットの鉄球が剣崎さんに向けて攻撃してきたが俺たちが間に割り込みメタルシャフトで弾き飛ばす。

 

「あっぶねぇ!」

 

『右手が少し痺れてるね、ローカストアンデットよりも威力が高いことは確実だ』

 

「それにエレファントとだけあって硬そうだな」

 

「あぁ、奴は生半可な攻撃は通用したない」

 

剣崎さんとうまく連携が取れれば行けるのだろうが生憎俺たちは出会ったばかりで正直連携が取れるとは思えない。

 

『このまま睨み合い…も無理そうだね』

 

エレファントアンデットが少しずつこちらに近づいてくる。

 

そしてアンデットが右腕を振り上げるとその直線上に爆発が起こる。

 

俺たちはその爆発をまともに喰らってしまい吹き飛ばされる。

 

「ぐあぁぁ!」

 

『くっ、正直に言ってこのままでは勝ち目は薄い、何か方法は無いのか!?』

 

「以前はラウズアブゾーバーを使って封印できたけどカードも無い今の状態じゃぁ厳しいな…」

 

この間にもエレファントアンデットが距離を詰めてくる。

 

「翔鬼、君は一旦ここから逃げてみんなを呼んできてくれ…時間なら俺が稼ぐ」

 

「剣崎さん!?何を言ってるんですか!」

 

「だがこのままだと2人ともやられるぞ!」

 

確かに剣崎さんの言うことは間違ってはいない、だがアンデットに有効な戦力は剣崎さんだ、この人が怪我で戦えなくなるのは避けなければならない。

 

そもそも俺は誰かを見捨てるなんてことはできない。

 

「俺、戦いますよ、俺は切り札で仮面ライダーですから!」

 

「翔鬼…分かった、無茶だけはするなよ?」

 

「はい!」

 

『やれやれ、それに付き合わされる僕の身にもなってほしいね』

 

なんだかんだで一緒に戦ってくれる龍馬も元々ここから離れるつもりは無かったのだろう、逆に残るって言いそうだ。

 

「行くぞ!」

 

翔鬼 side out

ーーーーーー

次回予告

 

「剣崎!」

 

「奴らの拠点も分かりましたしいつ攻め込みますか?」

 

「ラウズカードが…このまま放置しておくだなんて不用心すぎますね」

 

「よく来てくれたね、仮面ライダー諸君」

 

「あいつは!?」

 

「俺は戦う…運命に抗い続ける!」

 

「さぁ!振り切るぜ」

 

次回

(ブレイド)編 File5『6人の仮面ライダー、敵地への潜入』

 

翔「え〜、実は来月面接とのことで作者が面接終了するまで投稿はおそらく無いかと思います」

 

一「とか言ってるくせにこの作品のキャラ達でクトゥルフ神話TRPGをプレイしているところを書きたいとかなんとか」

 

龍「やることやってからにしておいて欲しいけれどね」

 

作「もうしわけございませんでした…」

 

翔・龍・一「次回もよろしくお願いします」




今回は如何でしたか?
いつも通り質問や提案を受け付けております。
オリジナルメモリを翔鬼君達に使わせるとしたら本編でコカビー戦に1本出そうかと思います。
それではまた次回お会いしましょう。

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