カレンdays   作:日常屋

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高校になって出来た彼女はまさかの帰国子女なのでした!


思わぬ買い物

のどかな田舎に在る小さな駅。
「エイト~!!」
雲一つない今日に響く元気な声。
「お!来たなぁ!」
ごく普通な高校生男子、俺[川崎 永翔(えいと)]には幸い彼女が居て、さっきの元気な声の主が正しく我が彼女[九条 可憐]である。
「お待たせシマシター!」
「よし、じゃあ行こう!」
「ハイ!」
なんの躊躇いも無く手を繋ぎホーム同士を連絡する踏切を渡る。
…プルルルルルル!…間もなく2番線に、列車が参ります。危険ですから黄色い線までお下がり下さい。間もなく列車が参ります。ご注意ください。…
ホームに上がったと同時に放送が鳴り、313系二両編成がゆっくりとホームに滑り込んできた。
「グッドタイミングデース!」
「いやちょっとギリギリやったかもな」
「間に合ったからOKデスヨー!」
「まぁ確かにそうかも」

[整理券をお取りください。お降りのお客様は前より車両の一番前のドアをご利用ください。この列車は快速の名古屋行き、ワンマン列車です。]
青いシートに腰掛けて一息つく。
[ドアが閉まります。ご注意ください。]
プシュー…ピンポン♪ピンポン♪…シュー!!
列車はゆっくりと走り出した。
[ピンポンパンポーン♪この列車は快速の名古屋行き、ワンマン列車です。次は河原田、河原田です。河原田でお降りのお客様は前より車両の一番前のドアをご利用ください。]
「カレンー?」
「なんデース?」
「名古屋に着いたらどうするー?」
「んー…」
カレンは少し間を置いて
「お昼ご飯にシマショー!」
と答えた。
「分かった。じゃあ、あっちに着いてから決めよう」
「ハイ!」
のどかな風景を駆ける快速名古屋行きはやがて河原田駅に到着した。

三重から愛知に入って二つ目の永和駅。
「アレ?もう着いたデース?」
「いや…反対から来る列車とすれ違うのに止まったんやろ」
[ご利用頂きましてありがとうございます。列車行き違いの為、しばらく停車します。]
「ほらな」
「本当デース!」
しばらくすると反対からゆっくりと313系が入線してきた。
「さぁ動くよ」
「やっとデスネー」
再び列車はゆっくり動き出した。

永和駅を出て軽やかに駆ける列車は愛知に入って三つ目の蟹江駅を通過し、このまま一気に名古屋まで行くか!?…と思わせといてなかなかそうは行かないものである。
[ご利用頂きありがとうございます。列車行き違いの為しばらく停車します。]
「またデスネー」
「春田駅か。ここでも良く止まるんだよな」
「なかなか着かないデスネー」
「うん…」
しばらくして反対からまた313系がやって来てようやく列車は走り出した。
「もう流石に止まらんはず」
「そうだといいデース」
坂を下り、列車はグングン加速していく。
「速い!速いデース!」
「このままの勢いで行って欲しいな」
「ハイ!」
その望み通り、列車は名古屋までの最後の駅である八田駅を猛スピードで通過し名古屋車両区の横を駆け抜ける。
[ピンポンパンポーン♪ご乗車ありがとうございました。間もなく終点、名古屋。名古屋に着きます。]
やがて列車はゆっくりとホームに入線した。

「到着デース!」
「定刻通りだな」
「お昼ご飯デース!」
「うん!」
まずは階段を降りて改札を出る。
「さて、どこに行く?」
「どこにシマショー」
「ここら辺なら駅の中とか高島屋とか名鉄百貨店に飯屋が集まってるよ」
「エイト~。わたし、味噌煮込みうどん食べたくなってキマシタ~」
「味噌煮込みうどんなら、高島屋の中に専門の店があるな」
「じゃあそこに行くデース!」
「分かったー」

高島屋レストラン街直結エレベーターとレストラン街専用エスカレーターを伝い13階へ登ってきたカレンと俺。
「え―っと……あった!!」
「どれデース?」
「アレ」
俺が指を指す先をカレンはまじまじと見つめた。
「…山…本…総…本…家…」
「うん」
「総本家って…なんデース?」
「え…うーん……分からん!とにかく行こう!」
「ハイ!」
いそいそと入店して席につく。
「味噌煮込みうどんと言っても色々あるんだよな」
「ワタシ……コレにするデース!!」
「早!…えっと、卵入りの味噌煮込みうどんか。じゃあ俺それは……それの大盛りかな」
「決まりデース!」
「あぁ」
あっという間に決まってしまった。
注文してあとは来るのを待つのみ。

味噌煮込みうどんが到着した。
「頂きマース!」
「頂きます!」
ジュルルと温かい麺をすする。
「美味しいデース!」
「それなら良かった…」
どうやらカレンの口に合ったようで一安心。
その温かい味噌煮込みうどんは俺とカレンの腹をしっかりと満たしてくれた。
「ご馳走さまデシタ!」
「ご馳走さま」
満たされた体で店を出る。
「さて、どうしよ?」
「どうするデース?」
「昼飯だけ食って帰るのもなんか勿体無いよな」
「じゃあ…地下にイキマショー!」
「地下?…食品売り場?」
「ハイ!」
「分かった」

エレベーターとエスカレーターを乗り継いで一気に地下へ舞い降りた。
「食品売り場に一体何の用があるんだ」
「エ~イ~ト~♡」
「何ー?」
「これ買って欲しいデース!」
「えっとー………え…」
カレンが指を指したのは何の変哲もないチョコレートのサンプル。
「チョコレートか。てかコレどこの…………って……え…」
「どうしたデース?」
「ご…ゴディバ…」
「ハイ!ゴディバデース!」
何のためらいもなく言い張るカレン。
「え…えっと……コレで…いいよな?…」
「うぅん!それじゃ嫌デース!こっちのおっきいのデース!」
「……一番高い奴!!」
「エイト!お願いデース!!欲しいデース!」
「んん……分かった。買ってやるよ」
「はぁ♡……ありがとデース!」
カレンの目が輝いた。
「全く、カレンはワガママな子だな」
「エイトにはいっぱいワガママ聞いてほしいデース!」
「なるべく聞くようにする」
「ハイ!」
思いもよらぬ買い物をしてしまった。
「さーてお次はー?」
「ワタシはもう満足したデース」
「満足した?まぁ俺も今日は特に用無しなんだけどな」
「帰るデース?」
「そうするか」

地下からJRの改札に上がってきた。
「さて、亀山行きは何時のがあるかなー?」
「…14時06分デース!」
「…あぁもうちょっとしたら入線してくるかもな…ホーム行く?」
「行くデース!」
「はーい」
河曲までの切符を買いいざ、ホームへ。

[チャンチャンチャーランチャンチャンチャンチャン♪間もなく、12番線に快速 亀山行きが到着します。黄色い線までお下がりください。この列車は桑名、四日市の順に停車し、四日市からは各駅に停車します。]
ホームに上がると同時に放送がなり、313系が滑り込んで来た。
「行きと同じデース」
「JRはそんなもんやよ」
プシュー…ピンポンピンポン♪
開かれた扉から車内に入るも並んでた人が少なかったので普通に座れた。

[12番線から列車が発車します。ご注意ください]
…ジ――――!!…
…プシュー…ピンポンピンポン♪…シュー!…
毎度聞き慣れたドアチャイムと共に扉を閉めて列車はゆっくりと名古屋駅を離れてゆく。
「思わぬ買い物をしてしまったな」
「油断禁物デース!」
「本当にそれやわ!」
名古屋駅から約45分で無事河曲へ帰ってきた。












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