デート・ア・ライブver.hope! 〜東方希望録 シーズン2第1章〜   作:紡ぎ手@異人

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さて、ここからは普通のデート・ア・ライブとは思わないでいただきたい!…と言いたいけど、時折原作通りになるからなぁ…



昼地灰人を止める為。
五河琴里を助ける為。
目的は多くて、手段は一つしかなくて。
東方希望録シーズン2、始まります。


灼爛殲鬼(カマエル)〉、"使用,,(ユーズ)

五河琴里は士道が好きだ。それは間違いない。間違いないのだが、彼女はそんなにそれを表に出したりはしない。それも人前で。白いリボンを付けた時は少し表に出るものの、人前で出すことはやはり少ない。黒いリボンで出すなどありえない。それなのに。

「士道、来なさい。」

「琴里…」

「………」

目にハイライトがない。"使われている,,証拠だ。

「どうするの?白狼…」

壊す右手(クラッシュ・ライト)で琴里に触れられれば大丈夫だが、警戒されているからな…灰人に。」

「………」

ちらりと、俺と琴里…いや、灰人の視線が交差する。つまらない、といった顔だった。お前はそんなんじゃないだろうと、言われているような…

「…フラン。貴女もよ。」

「…私も?」

琴里(灰人)はフランも連れて外へ出る。放っておくことも出来ないため、付いていく。

 

 

 

 

 

近くの公園まで歩き、琴里(灰人)が止まる。

「…五河士道。」

「…え?」

琴里(灰人)がフルネームで士道の名を呼んだ。まるで別人にでもなったかのような、そんな呼び方。

「ど、どうしたんだよ…琴里…?」

「っふふ。鈍いですねぇ。そんなのだから五河琴里から何度も蹴られたりするのですよ。」

瞬間、目の前が爆ぜた。

「っ!?」

士道が一瞬目を覆う。そして、光が収まると同時、次に熱さが襲った。

「っ熱……」

「ふむ…なかなかいい力ですね。〈灼爛殲鬼(カマエル)〉と言うのですか。」

「っお前…琴里じゃないな…!」

士道が琴里が誰かに操られているのを理解すると同時に、空間震警報が鳴り響く。琴里(灰人)の霊力に反応したのだろう。

「さて、五河士道。貴方を殺すのは後です。その前に…」

琴里(灰人)はこちらを、フランを睨み、

「フランドール・スカーレット。貴女です。」

底冷えするような声で、そう言った。

「フランを…?」

「ええ。夜月白狼。貴方を堕とした張本人を、跡形もなく燃やし尽くします。」

そう言うと、琴里(灰人)は手を掲げ、その名を呼ぶ。

神威霊装・五番(エロヒム・ギボール)。」

瞬間、琴里(灰人)の身体に炎がまとわりつき、その身を霊装へと変えていく。

「っ!?琴里!」

「待て士道!アレは…!」

「ふふ…これが完全なる精霊の力…」

「…白狼、どうする?応戦はできるけど。」

灼爛殲鬼(カマエル)〉を手で弄ぶ琴里(灰人)を睨み、フランは言う。

「ま…待ってくれ!アレは身体は琴里なんだろ!?フランが能力を使ったら!」

「使わないよ。それは絶対にしないから。安心して。でも、このままでもいけないでしょ。」

「作戦は決まりましたか?では…行きますよ!」

大きな戦斧を手にフランに襲いかかる琴里(灰人)

「!禁忌"レーヴァテイン,,!」

それを察知すると同時にフランも霊力を解放。炎剣を呼び出し、振り下ろされる戦斧を受け止める。

「ほう…やはり悪魔の妹と呼ばれるだけはありますね。天使の一撃を受け止めますか。」

「あまり私を見くびらない方がいいわよ?世界の先にいるあなたまで焼き尽くすかもしれないから。」

フランがそう言うと同時に、四人に分身する。

「フランが四人に…!?」

「禁忌"フォーオブアカインド,,。フランのスペルのひとつだ。あれがある限り、フランの人数的優位は揺るがない。」

しかし、琴里(灰人)の余裕が消える様子はない。

「ふふ…人数が増えれば勝てるとでも…?」

「…どういう事かしら?」

「すぐにお見せしますよ、〈灼爛殲鬼(カマエル)〉!」

琴里(灰人)の声に呼応し、戦斧から炎が吹き出し、勢いが増す。

「っ!」

「フラン!」

霊力を一気に解放。間に入ろうとするも、

「来ないで!」

「っ…でも!」

「私は大丈夫だから!とりあえず琴里ちゃんを抑える!」

フランは言って、レーヴァテインにさらに霊力を送り、負けじと勢いを増す。

「む…やりますね。しかし…」

「させないよ。禁忌”カゴメカゴメ,,。」

琴里(灰人)が何か仕掛けようとするものを、フランは弾幕を張ることで封じる。

「チッ…厄介な!」

「ふふ…もっともっと楽しませてね?」

「……」

はたから見ればフランが有利に見えるこの状況。しかし俺は、不安をぬぐえずにいた。

「…だめだフラン…灰人相手にいろいろだしたら…」

「遅いですよ。夜月白狼。忠告は戦う前でなければ。…”凶化使用(バーサクユーズ),,。」

琴里(灰人)が手を掲げる。すると、辺りの風が強くなる。

「っ!?」

「自分の弾幕を食らうと良いです。」

風によって運ばれた弾幕は、本体のフランに殺到する―――

「きゃあああああ!」

弾幕が炸裂し、煙でなにも見えなくなる。しかし、すぐに煙は晴れる。

「全く…せっかくのスペルがブレイクしちゃったじゃない。」

そこに立っていたのは、無傷のフラン。どうやら他の分身体が盾となったようだ。

「フラン!」

「士道君。止めないでね?私今、すごく楽しいんだから。」

フランの目は何時もよりも紅く、妖しげに揺らめいていた。

「”壊す右手(クラッシュ・ライト),,。」

密かに灰人の”使用(ユーズ),,を”壊す,,為に、スペルを使いつつ、フランを見守る。

「なぁ、白狼…」

「なんだよ。」

「…大丈夫だよな?」

「おいおい。俺の恋人が信じられないってのか?フランも精霊と同レベルで人間やめてんだぞ?吸血鬼だし。」

「でも!あの力は…!」

士道の不安を俺は笑って、

「安心しろよ。すぐに取り返してやる。」

俺は右手を握りしめ、笑った。




11月が待ち遠しい…

灰人。お前が何を思ってこんなことをしたのかは知らない。でも、すぐに辞めさせる。この右手で!次回、東方希望録シーズン2!
お前の、その能力(げんそう)をぶち壊す!
俺は琴里へ手を伸ばす。

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