デート・ア・ライブver.hope! 〜東方希望録 シーズン2第1章〜 作:紡ぎ手@異人
魔女。
魔法を使い、悪をなしたり、善を成したりする。
しかし、魔女という、普通の人間とは違う存在は、セイレムのように、迫害される。それは、精霊という、元は●●であったものでも、変わらないようだ…
東方希望録シーズン2、始まります…
「"パワーソード,,!」
力の剣を手に、ASTに向かって突撃する。
「総員散開!近くに寄ると死ぬわよ!」
しかし、向こうも戦闘の経験はそれなりにある。近距離武器への対処法をよく心得ている。散り散りになり、マシンガンやら光弾やらが飛び交う。
「だが、離れとけば絶対に安全だと思ってるあたり、甘いぜ。"スピードダガー,,in my leg!」
俺は一本の短剣を足に溶け込ませ、地を蹴る。すると直ぐにASTとの距離が縮まる。
「っ!?な…」
「速さが足りないな?」
「くっ…」
「そら、殺しはしないから地面に落ちな!」
「〈ホープ〉…貴方の好きにはさせない。」
「鳶一折紙…だったか。俺の剣を止めたのは褒めてやる。だがな、この剣に、鍔迫り合いは無謀だぜ!」
クンッ!と少し力を入れただけで折紙のレイザーブレイドは飛んでいく。
「なっ!?く…」
「パワーソードってのは力を司る。人間の力で鍔迫り合いなんて出来ねぇよ。」
そのまま剣をふり抜く。しかし、折紙は上体を逸らし、髪の毛先を少し散らす程度に被害を留める。そしてそのままバク転。俺の足元から折紙の踵が飛んでくる。
「っと。ぶねぇな。」
俺はそれをバックステップすることで躱す。そして、躱した先に銃弾の雨が降り注ぐ。
「!"ドラゴンシールド,,!」
盾を創り、銃弾を防ぐ。しかし、止まっているため、折紙に隙を見せることになってしまう。
「!今!」
「ち…!"
まぁ、それも突くことの出来ない隙ならば意味は無いのだが。迫り来るレイザーブレイド。正確に首元を狙っているその斬撃が───────ピタリと、止まった。
「─────」
折紙は気づいていない。気づけない。
「"
一人で語ってみても、認識できる者はいない。
「おっと。まぁわかりやすく言うなら────
苦笑しつつ、俺はその場を離れる。そうして、十分離れた所で、
「そして時は通り過ぎる。」
瞬間、世界に色が戻った。
「っ!?」
折紙は目の前から俺が消えた事に驚き、
「馬鹿な…
ASTの隊員達も、突然の事に混乱する。俺はその時には霊力を収める。…
「なんでアンタがここに居るのよ。」
なぜか、隣には七罪がいるのだが。
「それはこっちのセリフだぜ…」
ため息混じりに俺は答える。七罪の姿は人前に現れる時のあのお姉さんスタイルではなく、真の姿である、小柄な少女スタイルであった。
「…ASTにでも追われてたの?」
「ま、そんなとこだよ。ゴタゴタしててな。霊力を解放してたから追われちまった。」
「はぁ…でも、私も霊力出しっぱなしよ?」
と、七罪は気になることを言った。
「…あれ、なんでだろ…」
「私に聞かれても困るわよ……」
七罪は呆れ気味に言った。
「で、どうするの?これから。」
「あー…とりあえず帰らねぇとな。フランもいるし。」
「ふぅん…やっぱり私なんかと一緒じゃつまんないわよね。そうよね!」
と、七罪は言い出した。
「いや、そういうつもりで言ったんじゃねぇよ!フランだって霊力持ちなんだ、ASTに追われてる可能性だってあるんだよ。」
「そりゃあ…そうだけど…」
「…どこか連れていきたいとこでもあるのか?」
帽子のつばを押さえる七罪の顔を覗き込もうとするが、
「べ、別に!どこでも行けばいいじゃない!」
「えぇ…(困惑)」
と、このように顔ごと逸らされてしまうのだった。
「あ、いた!白狼!」
「!フラン!」
建物の陰から走ってきたフランを見つけ、合流する。話を聞くに、一応琴里の案件は終わったようだった。
「それにしても、また七罪ちゃんと会うとはね。」
「ああ。ま、良かったよ。元気そうで。」
「な、なによ…こんな私を気にかけてなんになるって言うのよ…」
相変わらずのネガティブさだった。だがまぁ、それを解消するのは士道の役目であって、俺の役目ではない。
「いや、無関係だったならまだしも、もう関わりあっちまったからな。さすがに何かあったら見捨てらんねぇよ。」
にへら、と笑う俺。フランは呆れ顔で、
「そんなこと言って、いつも誰彼構わず助けるくせに。」
「それは希望としての性だからな。仕方ない。」
「ちゃんと自分のことも気にかけてよ?」
「分かってるよ。」
と、こんな風に打てば響くような会話をしていると、七罪はむくれた顔をしていた。
「…七罪?」
「むうう…」
「な、なんだよ…」
俺は訳が分からず、困惑したままだった。
「白狼のバカ!SNSで炎上すればいいのに!」
「精霊なのに妙に現代慣れしてんなおい!」
七罪の叫びにツッコミを入れる。
「あー…白狼鈍感だからなぁ…悪意とかには敏感な癖にね…」
フランが何かをつぶやくも、俺には聞こえていなかった。三人で話しながらではあるものの、それなりに長い時間歩いた為、家に着いてしまった。
「あ、俺ん家着いちまったな。」
「…相変わらずでかいわね。」
七罪は紅く窓の少ない洋館を見上げる。
「いつまでも故郷離れが出来ないんだよなぁ…」
苦笑しつつ、俺は自宅へと入る。リビングへ一直線し、ソファに腰かける。
「…ふぅ、お疲れ様、二人とも。」
ふにゃりと俺達に笑いかけるフラン。
「おう。お疲れ。」
「お、お疲れ…」
フランは直ぐに冷蔵庫へと駆けていく。
「…元気ね。フランは。」
「そりゃ、取り柄のひとつだからな。」
「…士道たちとの話を聞いていたけど、恋人、なんでしょ?」
「ああ。行き着くまで長かったけどな。」
俺はラノベを読みつつ、こちらをじっと見続ける七罪の質問に答えていく。
「…私、嬉しかったの。」
「…」
「あの日、白狼の言う"異変,,が街を襲ったあの日、今まで誰も私を見てくれなかった。あの日も、そうなんだって思ってた。でも、違った。」
七罪は立ち上がると、俺からラノベをすっと奪い、ご丁寧に栞を挟み、俺の手を握って言った。
「貴方は私を見てくれた。
じっと。頬を紅く染めて俺に語りかける七罪。
「あの日が偶然お前が
少しからかうような口ぶりで俺は逃げる。
「そうかもね。確かに、一日前後にズレただけで、私はきっとここにいない。それか、未だに偽りの私を晒していたわ。でも、あの日に出会ったのよ。他でもない、本当の私が出ている時に。」
ああ、この流れはまずい。段々と察していく。きっとこれは、流れというものを大きく揺らがせてしまう。だから、そうさせないために、俺は口を開く。
「七罪。その先を言っても意味が無いことくらい、お前はわかっているはずだ。」
七罪が俺の目を見て言うように、俺も七罪の目を見て話す。
「っ…」
「俺にはフランがいる。大切な人として。傷つけたくない人として。それは七罪。お前もなんだよ。その先を言えばきっと、俺達はかなり大きな傷を負うことになる。」
「っじゃあ!この気持ちはどうしたらいいって言うのよ!私を見てくれるのはあなたしか居ないの!あの銀の短髪は射殺すような目をするし、あの青髪だって、心の中じゃ私をどう思ってるかわかんない!白狼しかいないの!私が心から信頼できるのは!」
その双眸から、大粒の涙を溢れさせて。七罪はそう叫んだ。きっと、フランにも聞こえているのだろう。あとから説教確定か、と思いつつ、俺は七罪になんと答えるか考えていた。手を出したのは俺だ。あの日、七罪を助けずに"異変,,を倒していれば、こうなってはいない。きっとそのうち士道と出会い、心を開いていただろう。だが、確証はない。"異変,,によって殺されていたかもしれない。何にせよ、助けたことに後悔はない。だが、流れを大きく変えた影響がこうやってやってきたならば、いけないとわかっていても考えてしまう。
『この子がこうなったのは俺が助けたからではないか?』と。
実際そうなのだろう。ならば、責任はとらねばなるまい。
「七罪。俺とフランは別の世界から来た。それは前にも言ったよな?」
「…うん。」
「つまり、俺達はいずれこの世界を去る。そういう運命だ。」
「…ついてく。」
「本気か?」
「本気よ。」
「知らない奴らばっかりだぞ?」
「この世界でだって変わらないわ。」
「この世界以上に危険な世界だってあるかもしれないぞ?」
まどマギとか。
「白狼が何とかしてくれるんでしょう?」
「俺任せかよ!まぁやるが…」
「…嫌なら嫌って、ちゃんと言いなさいよ…」
「…悪い。けど、流れってやつを大きく壊すことになるから…」
「…」
ああ、俺はきっと、最低なことをやろうとしている。
「…
俺は狂華達にやられたことを、今度は七罪にやろうとしている。
「…嫌。嫌よ…私は、この記憶を"壊され,,たくない!失いたくない!絶対に…!」
七罪は直ぐに察知したのか、家から出ていく。
「………俺、は……」
「全く。バカ白狼。
フランは俺の右手を見て言う。
「…まぁ、私を第一に考えてくれるのは嬉しかったけどね。」
…一体、何が正解だったのだろうか。月のように白い髪に混じる黒い髪を撫でつつ、俺は天井を見上げた。
「…あ。テスト終わったから次は修学旅行だね。」
…悩み事は増えることはあっても、減ることは無いらしい。
大変待たせましたぁ!
なり垢やリアルが忙しく、色々書けませんでした…
だんだんと何がしたかったのか忘れていくのほんと怖い…
七罪との件は有耶無耶なまま、俺達は修学旅行へと向かう。
そこでまた、俺達は精霊に出会う。
次回、東方希望録、シーズン2!
白狼の髪ってそんな美竹さんみたいだったっけ?
俺はようやく気づかれる。