あの名作フラッシュになったネタをゼロ魔で 一発ネタ
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あの名作フラッシュになったネタをゼロ魔で 一発ネタ

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ジャン♪

TEST


この中に一人 in ハルケギニア

トリステイン魔法学院の中庭は物々しい雰囲気に包まれていた。

皆、何事かと集まって来ている。

 

「この中に一人!」

 

男はぎろりと集まった人々を睨み回した。

 

「神聖アルビオン共和国皇帝がおる。

 お前やろ!」

 

「余はそのような者ではない」

 

「お前やーーー!!」

 

男はすぐさま魔法衛士隊に引き渡され、チェルノボーグ行きの馬車に揺られることになった。

思わぬ大物の出現に、広場からは大きなざわめきが起きた。

 

 

「この中に一人!

 無口な奴がおる。

 お前やろ!」

 

「……」

 

「……」

 

「……違う」

 

「お前やーーー!!!」

 

「この中に一人!

 オカマがおる。

 お前やろ!」

 

「いやぁん、違うわぁん」

 

「お前やーーー!!!」

 

 

「この中に一振り! インテリジェンスソードがおる。お前やろ!」

 

「違うぜ」

 

「お前やーーー!!」

 

声を発した錆びた剣は、衛兵にほいとブン投げられ、塀の外へと飛んで行った。

 

「俺の剣―――!!」

 

黒髪の青年が悲鳴を上げた。

 

 

「この中に一匹!韻竜がおる。お前やろ!」

 

「違うのね」

 

「お前やーー!」

 

ゴツンッ

 

「イタッ!お姉さま、ゴメンナサイなのね、許してほしいのね!」

 

ゴツンッゴツンッ

 

青髪の少女の無言の怒りを人々が遠巻きに見守る中、かの男はまたも高らかに声を上げた。

 

「この中に一人、魔法の腕を鼻にかける奴がおる。お前やろ!」

 

すると、長い黒髪に漆黒のマントをまとった不気味な男性が、高圧的な声で返事をした。

 

「「決して、そのようなことはないが?」」ヘンザーイ

 

「お前やーー!」

 

 

「この中に一人、エルフがおる。お前やろ!」

 

「蛮族に答えるつもりはない」

 

「お前やーー!」

 

サッと彼の近くから人が遠のいた。

 

 

「この中に一人、食通がおる。お前やろ!」

 

「違います」

 

指差された太っちょの男子生徒が、風邪っぴきのようにしゃがれた声を上げた。

 

「じゃあ、九九の二の段、言うてみ」

 

「くいちが九、くに十八、くさん二十七、くし焼きは強火の遠火に限る」

 

「お前やーーー!!」

 

 

「この中に一人、金持ちを鼻にかけた奴がおる。お前やろ!」

 

「違うわよ」

 

金髪ツインテールのツンとした少女が声を上げた。

 

「じゃあ、九九の四の段、言うてみ」

 

「しいちが四、しにが八、しさん十二分にあります」

 

「お前やーーー!!」

 

 

「この中に一人!盗人がおる。お前やろ!」

 

「違いますわ」

 

緑髪の眼鏡を掛けた理知的な女性が、返事を返した。

 

「あんたがこの前書いた領収書読んでみいや」

 

「畏まりました。『100エキュー、確かに領収いたしました。土くれのフーケ』」

 

「お前やーー!」

 

女性は杖を振るって巨大ゴーレムを召喚しかけたが、

その場に居合わせた魔法衛士隊にすぐ取り押さえられた。

 

「この中に一人!

 スケベじじいがおる。

 お前やろ!」

 

「違いますがの」

 

「じゃあ、使い魔の役割言うてみ?」

 

「色々あるが、一言で言えば主の忠実なしもべであることじゃ。

 主の命があれば、例え火の中、水の中、スカートの中・・・」

 

「お前やーーー!!!」

 

「おお、この老いぼれをイジメるでない」

 

衛兵に引きずられながら、老人はつぶやいた。

 

 

「この中に一人!

 虚無の使い魔がおる。

 お前やろ!」

 

「違います」

 

「じゃあ、ロード・オブ・ザ・リングの登場人物言うてみ?」

 

青いジャージの少年は、頭をひねりながら答えた。

 

「ホビットのフロドだろ、冥王サウロンだろ、それに魔法使いのガンダールヴ!」

 

「お前やーーー!!!」

 

その叫びと共に衛兵がそそくさと現れ、少年の両脇を抱えてどこかへ引きずっていった。

 

「あ、おい、何すんだ!やめろーーー!!」

 

伝説の登場に、広場は喧騒に包まれた。

 

 

「この中に一人!」

 

再び皆の緊張が高まった。

 

「虚無の担い手がおる。

 お前やろ!」

 

「違うわ!」

 

返事を返したのは、ピンクブロンドの髪が美しい、一人の少女だった。

口をキュッと結び、問い掛けた男を睨み付けている。

 

「じゃあ、ちょっとこの本読んでみ」

 

少女は、男が手にした古めかしい本を受け取ると、真っ白なページを捲った。

 

「この世のすべての物質は、小さな粒より為る。四の系統はその小さな粒に干渉し・・・」

 

「お前やーー!!」

 

また男が叫んだ。

 

「ちょっと、何すんのよ!私がヴァリエール家の娘だってこと、分かってるんでしょうね!?

 離しなさいよ!」

 

彼女も先ほどの少年と同様、衛兵にいずこかへ連れ去られていった。

 

 

 

 

「この中に一人、冴えない中年男性がおる。お前やろ!」

 

「いやー、お恥ずかしながら」

 

「お前やーーー!!」

 

指摘されたはげ頭の男性は、なおも気恥ずかしそうに頭を掻いている。

 

「ストレートやないかい!捻りなさい捻りなさい捻りなさい!

 ぐぐっと捻って捻りなさい!!

 捻りなさい捻りなさい捻りなさい!!!」

 

広場に集まった皆が声を揃えて、かの男性教諭に声を掛ける。

 

「「「せーの、捻りなさい捻りなさい捻りなさい!

 捻りなさい捻りなさい捻りなさい!!

 捻りなさい捻りなさい捻りなさーーい!!!」」」

 

 



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