魔導剣士~月光煌く御神不破流~   作:剣の舞姫

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Vivid Strike!も終わりましたねぇ。
リンネたんprpr


第二話 「高町ヴィヴィオ」

魔導剣士

~月光煌く御神不破流~

 

Vivid編

第二話

「高町ヴィヴィオ」

 

 ミッドチルダ中央には様々な施設が存在する。時空管理局のミッド地上本部だけでなく、商業施設として巨大なショッピングモールやオフィスビル、公共交通機関や学校、本当に様々だ。

 その中にはスポーツジムなどの運動施設もあり、区民センターなどは特に格闘技のジムなどがあってインターミドルを目指す子供がよく通っている。

 

「ティオ、着いたぞ」

「うん!」

 

 区民センターの駐車場に車を停めた後、恭也とティオは車から降りてセンター入り口にて入館手続きをする。

 手続きを終えてから上履きに履き替えて向かったのは格技室というべき格闘技のトレーニングルームだ。

 二人が中に入ると、そこには様々な年代の少年少女達が格闘技の練習に打ち込んでおり、二人はその中で良く知った顔ぶれの所へ向かった。

 

「ヴィヴィオ」

「? あ! 恭也伯父さんだ~!!」

 

 金髪の髪に、緑と赤のオッドアイが特徴的な少女、名を高町ヴィヴィオと言い、恭也にとっては義理の姪に当たる。

 彼女はこの区民センターに通ってストライクアーツと呼ばれる総合格闘技の練習を行っていて、恭也とティオもよくスパーリング相手になっているのだ。

 

「あ、あの! お久しぶりです、おじさん」

「ああ、コロナちゃんも、元気そうだな」

「はい!」

 

 ヴィヴィオの次に話しかけてきたのは、ヴィヴィオの友人であるコロナ・ティミルだ。淡い髪色を二つに結った、およそ格闘技には向かない性格をしている彼女だが、彼女には珍しい……それこそレアスキル認定されても不思議ではない魔法があるのだ。

 

「ティオちゃんも久しぶり~! 暫く来てなかったよね?」

「うん、お店の手伝いとかしてたからね。それより、そっちの子は……ヴィヴィオの新しいお友達かな?」

「うん! リオ、おいでー」

 

 リオ、と呼ばれた少女が元気良く走ってきて、ヴィヴィオとコロナの横に並んだ。八重歯が特徴的な活発そうな少女、実力的には、恭也の見立てではコロナ以上、ヴィヴィオと同等か少し下、といった所か。

 

「えっとねリオ、こちらは私のママのお兄さんで、高町恭也さん。それから、その娘さんで私の従姉妹の高町ティオちゃん」

「ヴィヴィオの伯父の高町恭也だ。よろしく、リオちゃん」

「ティオだよ、よろしくね」

「リオ・ヴェズリーです! 最近ヴィヴィオとコロナと友達になって、一緒に此処に通うようになりました!」

「そうか、ヴィヴィオとはこれからも仲良くしてくれると助かる」

「勿論です!」

 

 自己紹介もそこそこに、早速だが恭也とティオは今日来た目的を話し始める。

 

「今日は時間が出来たから、ティオとヴィヴィオに少しスパーをやらせようと思ってな。それと、俺も少しだけ指導のつもりだったが……ノーヴェ、お前がいるなら必要ないか?」

 

 恭也は後ろを振り返ることなく、近づいてきた女性に声を掛けた。

 

「よう恭也、なんだ仕事は休みかよ?」

「ようやくな」

 

 ノーヴェ・ナカジマ、JS事件において管理局に保護された戦闘機人の一人であり、恭也の義娘であるオットーとディードの姉にあたる。

 

「んで、指導だけどよ、徹についてはあたしじゃ無理だし、どの道やってもらうよ」

「そうか、ならスパーの後にでも少しヴィヴィオを借りるぞ」

「おう」

 

 早速だが、中央のリングを使ってヴィヴィオとティオのスパーが行われる事となった。ジャージとTシャツ姿のヴィヴィオに対し、ティオは来た時と同じ白のブラウスにピンクのミニスカートのまま。

 

「あれ? ティオさんって着替えないの?」

「えっとね、ティオさんやおじさんが言うには、普段着だから戦えないなんて事はないように、普段着でも戦えるように鍛えてるんだって」

「へぇ、じゃあティオさんって強いんだ」

「うん、ヴィヴィオってまだ一度もティオさんに勝ったことが無いんだって」

 

 コロナとリオがティオの事について話している後ろで、恭也はリング上の二人を見やる。

 拳を構えて腰を落とすヴィヴィオと、特に構えず自然体で立つティオ、二人とも準備が出来たと判断し、二人の間に立つノーヴェに目で合図を出した。

 

「んじゃ、始め!!」

「っ! せぇえええい!!」

 

 合図と共に、ヴィヴィオが走り出した。左右へステップを踏みながらティオに肉迫し、右拳からのストレートを繰り出すが、ティオは冷静に左腕で弾きつつ右肘をヴィヴィオの顔面目掛けて打ち込む。

 

「わっ!?」

 

 眼前に迫った肘を、ヴィヴィオは驚きながら何とか左手で受け止めたが、それによって視界を奪われた事でティオの次の動きを察知出来なくなった。

 右肘を軸にして回転したティオはヴィヴィオの背後に立ち、足を払ってバランスを崩し背中へ掌を当てる。

 

「っ!」

「かはっ!?」

 

 中国拳法の一つ、寸掌が決まって零距離から衝撃が奔り、ヴィヴィオは肺の空気を吐き出した。だが、それでも反撃しようと崩れたバランスを立て直すのではなく、そのまま前に倒れる際、両手を床に着いて両足を蹴り上げる。

 丁度、逆立ちになるような格好で下から振り上げた足をティオの下顎へ向けた。当然、近距離からのそれはティオでも避けるのが難しく、両手でヴィヴィオの足を受け止める事になったが、そこからがヴィヴィオの反撃だ。

 

「はっ!」

 

 両手で床から跳ね上がり、ティオに掴まれた両足を軸にして一気に立ち上がると、ティオの頭上を飛び越えて背後に降り、がら空きの背中へ左フックを入れた。

 

「うぐっ! っ!」

 

 続け様に右フックも入れようとしたヴィヴィオにティオの右拳による裏拳が襲い掛かり、右フックをキャンセル、そのまま右腕でガードしつつ左アッパーを入れようとした。

 

「甘い!」

 

 左アッパーを右手で受け止め、その腕を取ってヴィヴィオの懐へ背中から入ると、そのまま背負い投げで背中から床へ叩き落した。

 

「っ!? あ……」

「勝負、ありだよ」

 

 痛みを堪えて立ち上がろうとしたヴィヴィオの眼前にティオの手刀が突き付けられ、それで勝負あり。

 諦めたように力を抜いたヴィヴィオに手刀を解いて普通に手を差し出すと、それをヴィヴィオが掴んだのを確認して立ち上がらせた。

 

「う~、また負けたぁ」

「そりゃ、パパに思う存分鍛えられてるし、年季も違うから、まだまだヴィヴィオには負けてあげないよ」

「むぅ」

 

 スパーが終わり、コロナとリオが二人に駆け寄るのを眺める恭也とノーヴェ、二人は今の二人のスパーを見て、特にヴィヴィオの仕上がりについて話し合っていた。

 

「良い感じに仕上がってきたな」

「だろ?」

「ストライクアーツ選手としては中々見られないスタイルを作ろうとしているようだ。あのスタイルはお前が?」

「ああ、つってもまだまだ未完成だけどな。それでも今度のインターミドルまでには仕上げる予定だ」

「なるほど、打撃力不足のヴィヴィオにはピッタリのスタイルだが……その分打たれ弱いあの子には諸刃の剣でもあるぞ」

「まぁ、そこが悩みどころでさぁ」

「ふむ」

 

 大人たちが冷静に話をしている目線の先では、ティオの実力を知らなかったリオが興奮冷めやまぬといった様子で話しかけているようだ。

 

「ティオさん凄ぉい! ヴィヴィオに勝っちゃった!」

「まぁ、3歳の頃からパパにずっと鍛えられてるからねぇ」

「そんなに早くから!? えっと、おじさんってもしかして格闘家さん?」

「ううん、管理局の魔導騎士やってる」

「管理局員!? じゃあ強いんだ!」

「そだよ~、恭也伯父さんは管理局最強って言われてるんだから」

「それも近接戦闘において敵無しって話なんだよね?」

「へぇ~」

 

 何やらリオから恭也へ尊敬の眼差しが向けられた。

 

「おい恭也、リオがお前を尊敬の眼差しで見てるぞ?」

「む……最近は畏怖の眼差しばかりで、慣れてないんだがな」

「そりゃお前、次元最強にして犯罪者の死神、高町恭也を管理局員が畏怖しないわけないっての」

 

 失礼なようで、事実を言われた恭也はため息を零しつつ、この後のヴィヴィオのスパーリングに付き合うためヴィヴィオの下に向かう。

 その背中を笑いながら見ていたノーヴェも、恐らくうずうずしているであろうリオのスパーリングにでも付き合おうかと考えながら、恭也の後を追うのだった。




え~、作者引越しのため、また暫く更新が途絶えます。
次は宮城県塩竃市へ。

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