巨影都市オブ・ジ・エンド   作:銀色の怪獣

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どうも、銀色の怪獣です。

前回、前々回とキワモノというかアレなのが続いていたので、今回はお口直しということで割と普通というかメジャーを出します。
多分、というかコイツはみんな絶対に知っていますからね。それに見た目もキモかったりしないし。

ということで、是非ともお口直しの回をお楽しみ下さいませ~


第十七話 古の『巨影』

何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

「よし、っと・・・これでここに飾るヤツは全部か?」

 

「みたいだな。じゃあ、今度はあっちか・・・はぁ、ダルいなぁ」

 

「だよな・・・本当に嫌になっちゃうぜ、この展示物の量・・・」

 

とある大都市の中心地にある巨大なドーム。そのドームでは数日後に開催を控えた万国博覧会のため、世界各国から集められた珍しい品々、

 

ジョンスン島にいたという古代恐竜の剥製

ロリシカ国のインファント島の守り神を象った紋章

ウエスター島の巨大彫刻石像『悪魔の笛』

呪術師・魔頭鬼十郎や鬼神・宿那鬼を倒した剣豪・錦田影竜の黄金像

パプアニューギニアの魔境で見つかった巨大オパール

工事現場で見つかった赤い液体と青い液体が入った古代のカプセル二つ

鬼の台丘陵の洞窟で見つかった七千年前のミイラ

漂流岩礁から見つかった大量の勾玉

夜鳴き蕎麦屋に化けていた妖怪が使っていたというチャルメラ

「護国聖獣」なる神獣の伝説などが記されている『護国聖獣伝記』という古文書

3000万年前の超古代文明のタイムカプセル

 

といった具合に、実に多種多様で珍しい品々が世界中から万国博覧会のために集められ、博覧会の関係者たちはその展示に大忙しだった。

そして、事の発端はそんな博覧会のために集められた品々を関係者たちが展示していた際のふとした出来事であった―

 

「オイ、どうするよコレとコレ?」

 

「どうするって・・・どうしようか?展示しないわけにはいかないよなぁ・・・」

 

開催が数日後に迫り、世界各国より集められた珍しい品々を展示する作業を行う博覧会の関係者の男が二人、とある品々を前に困惑していた。というのも、

 

「そうは言うけどお前・・・こんなボロボロでみすぼらしい戦車と、足が無くなってる恐竜の化石とか展示したら客に笑われるぜ?」

 

「っていうか、そもそもこの戦車と恐竜の化石ってどこが送ってきたんだろうな?送り主の名前、リストに載ってなかったらしいぜ?」

 

「えぇ、マジで?何か怖くないか、ソレ・・・」

 

関係者の男たちを困惑させていた品の正体、それはかなりボロボロでみすぼらしい見た目の古くさい戦車と、後ろ足が無くなっている恐竜の化石であった。

実はこの二つの品も博覧会の展示物になる予定ではあるものの、他の展示物に比べれば見た目が悪いというかみすぼらしく、正直言って誰でも展示するのを躊躇う感じではあった。

加えて、件の戦車と恐竜の化石は他の展示物と違って所有者が、どこの国や人物が貸し出してくれたのかが不明であった。以上のことから、戦車と恐竜の化石は展示しようかどうか関係者たち全員が悩んでいたのだ。すると、

 

「オイ、お前たち。手が止まってるぞ?サボるとはいい度胸だな・・・」

 

「「!?ぶ、部長!!別にサボってなんかいませんよっ!!?」」

 

「・・・いや、サボってたよな?これは減給処分に―――」

 

「「そ、それだけは勘弁して下さい!!もう絶対にサボりません!!この通りです!!どうか、御慈悲をっ!!!」」

 

「・・・はっはっはっは!冗談だ、冗談。お前たちもこのボロ戦車と足無し恐竜どうするか悩んでたんだろう?見りゃ分かるって」

 

「「そ、そうなんですか・・・よかった・・・」」

 

不意に、男たちの後から男もとい博覧会の関係者の部長が現れ、戦車と恐竜の化石を前に手を止めている男たちの肩に手を置いて驚かせた後、更に男たちを色々と驚かせていたが最後は「全部冗談だ」と言って笑い飛ばしていた。

 

「おぉ、そうだ。お前ら、手が空いてるなら手伝え」

 

「「わ、分かりました。で、何を?」」

 

「ん?あぁ、それはな―――」

 

と、ここで部長は本来の目的を思い出し、二人の男を連れて一旦その場を離れた。

 

 

 

 

 

 

「オーライ、オーライ、はーいストップ!!おーし、バッチリだ」

 

部長が二人の男を連れてその場を離れてから数分後、部長たちは「ある物」を持って戦車と恐竜の化石の元へ戻ってきていた。

そんな三人は今、持ってきたクレーン車を使って恐竜の化石をつり上げた後、何と戦車に恐竜の化石を乗せていた。しかし、何故こんな事をしているのだろうか?

 

「ふむ、これで見栄えが少しはよくなったな・・・全く、上の連中も変な指示出すよな。『あのボロ戦車と恐竜の化石を合体させて、客が喜びそうな展示物に仕上げろ』だとか・・・」

 

「というか、部長・・・ただ戦車の上に恐竜のせただけでいんですか?」

 

「お言葉ですけど、これじゃあただのできの悪いアイコラっていうか魔改造っていうか、客に笑われるような・・・」

 

「仕方ないだろ。これ以上どうしようもないんだから。じゃあアレか?恐竜バラして、戦車に組み込むか?そんな手間暇かかること、お前らやりたいか?無論、俺は手伝わんが―――」

 

「部長!ナイスアイデアでございます!!もう最高です!!!」

 

「その通りですよ!これ見た客は大絶賛しますって!!いやぁ、流石は部長です!!!」

 

「そ、そうか?そこまで褒められると照れるな、オイ・・・」

 

二人の男は部長の指示の元、クレーン車でつり上げた恐竜の化石を戦車に乗せた後、三人がかりで恐竜の化石を戦車に結束バンドなどで固定させて一つの展示物に仕立て上げた。

実は部長は上の人間に「ボロの戦車と、足が欠損している恐竜の化石をどうにかして展示物にしろ」という指示を受けており、悩んだ挙句で戦車の上に恐竜を乗せるだけというやっつけ感あふれる・・・シンプルな行動に出たのだった。

 

「よし、じゃあ後はこうして・・・ネームプレートを置いて完成だな」

 

そんなこんなで、どうにか上の人間からの無茶ぶりを片付けた部長は最後の仕上げに戦車と恐竜の化石を合体させた物の側にネームプレートを置いた。そんなネームプレートに刻まれていた名は―

 

「名付けて『恐竜戦車』!どうだ、実に分かりやすくていいだろう?」

 

「「・・・・・・・・・」」

 

「ん、どうした?俺のネーミングセンスが素晴らしすぎて言葉も出ないか?」

 

部長が戦車と恐竜の化石を合体させた物に付けた名前、その名は「恐竜戦車」という実にそのまま・・・シンプルイズ・ザ・ベストな名前だった。その名の前では二人の男は固まるしかなかったが・・・

 

「でもまぁ、これで上の連中の指示は片付けたしよしとするか。それにしてもだ、こんなオンボロ戦車と、足の無いデカいトカゲの化石をわざわざ展示するとかご苦労だよなぁ。全く、倉庫にでも放り込めばいんだよ」

 

三人が全ての作業を片付けた頃には日はすっかり暮れて就業の時刻を過ぎていたが、本来なら部長はもうとっくに帰宅できていたのだ。しかし、部長は上の人間から急に無茶な指示を与えられ、その結果で帰宅が遅れたというかサービス残業をするハメになった。

そのため、部長はサービス残業をするハメになった元凶を、彼が作り上げた恐竜戦車にされてし(・・・・)まった(・・・)戦車と恐竜に向かって悪態をついた。

 

「よし、じゃあ上がるぞお前ら」

 

「「はーい」」

 

散々恐竜戦車に向かって悪態をついた部長は気が済んだのか、今までのブスっとした態度から一変してスカッとした表情になり、二人の男を連れてその場を後にした。

 

 

三人がその場を離れ、更には博覧会の会場となるドームからは人っ子一人いなくった。そんな時だった。

 

―――キュルキュル・・・キュルキュルキュル・・・―――

 

―――グルルル・・・グルルルルッ・・・!!―――

 

不意に、謎の音が聞こえた。その音の発生源は・・・何と、あのボロボロの戦車と足の無い恐竜が、その二つがむりやり合体させられた「恐竜戦車」からであった。

そんな恐竜戦車であるが・・・驚いたことに、誰もいないにもかかわらず戦車のキャタピラが激しく回転し、戦車の上に乗せられている恐竜の化石がひとりでに、まるで生きているかのように動き、更には骨だけにもかかわらず「唸って」いた。

こんな事、絶対に有り得ない光景なのだが・・・紛れもなく戦車も恐竜も動いていた。そんな戦車と恐竜だが、実はそれぞれに悲しい過去があった。

 

―――キュルキュル・・・キュルキュルキュル・・・―――

 

まず、戦車はかつての戦争の際に実際に戦地に赴き、数多くの人間を乗せて戦い、同時に数多くの人間を殺した過去がある。だが、戦争が終わると戦車は時代の流れの中でその存在を、背負ってきた過去を忘れ去られた。

 

―――グルルル・・・グルルルルッ・・・!!―――

 

次に、恐竜の化石は太古の昔に繁栄し、数多くの恐竜の中でも「最強」と名高い恐竜の一族のものであった。だが、栄華を極めた恐竜たちは突如として宇宙から飛来した隕石によって一瞬で死に追いやられ、その後は骨となって何億何千万年もの時を暗い地底で過ごして地球の歴史から忘れ去られていた。

 

しかし、その歴史の闇に忘れ去られた戦車も恐竜の化石もこうして万国博覧会にて展示され、今を生きる人間たちに過去の栄華を、過去の歴史を刻み込むまたとない機会を与えられるハズであった・・・だが何の因果か、戦車にしても恐竜の化石にしても人間にバカにされ、挙句はその身を弄ばれた・・・挙句、明日から始まる博覧会ではその弄ばれた体を多くの人間の前に晒され、金儲けの道具に利用される・・・これが戦車と恐竜の化石には耐え難い事であった。

 

―――キュルキュル・・・キュルキュルキュル・・・―――

 

―――グルルル・・・グルルルルッ・・・!!―――

 

だからこそ、戦車も恐竜の化石も・・・「怒った」のだ。そして、二つの怒りが一つとなって一体(・・)になった時、惨劇の幕が上がる―

 

 

 

 

 

―――グルルル・・・グルルルルッ・・・!グルオオオオォォォッ!!―――

 

「う、うわあああぁぁぁっ!?何だアイツは!!?」

「に、逃げろっ!轢き殺されるぞーーー!!」

「た、助けて!誰か・・・たす・・・け・・・て・・・」

 

突如として夜の大都市に響き渡る人々の悲鳴と破壊音、そして・・・街中に轟く巨大な「怪獣」の咆哮。

見れば、大都市のど真ん中で怪獣が大暴れしてビル群を破壊し、逃げ惑う人々を轢死(・・)させていた。そんな怪獣だが、実に特徴的というか奇怪な見た目をしていた。

 

―――グルルル・・・グルルルルッ・・・!グルオオオオォォォッ!!―――

 

「な、何じゃありゃ!?デッカい戦車の上にデッカい恐竜が乗ってる!?」

 

相変わらず破壊と暴虐の限りを尽くす怪獣を見た誰かが言ったように、見た目は巨大な恐竜で足が無いかわりに下半身が・・・というか「巨大な戦車の上にこれまた巨大な恐竜が乗っているだけ」という実に出オチ・・・何とも言えない見た目をしていた。

 

―――グルルル・・・グルルルルッ・・・!グルオオオオォォォッ!!―――

 

「う、うわあああぁぁぁっ!?こっちに来たぞーーー!!!」

「に、逃げろっーーー!!」

「た、助けて!誰か・・・たす・・・け・・・て・・・」

 

―――グルルル・・・グルルルルッ・・・!グルオオオオォォォッ!!―――

 

「ぎゃあああぁぁぁっ!?ああぁ・・・あぁ・・・」

 

しかし、見た目こそアレだが怪獣はとにかく凶暴であり、逃げ惑う人々を容赦なくキャタピラで轢き殺し、更には目から放つ光線や戦車の砲台から放つ爆撃まで使って文字通り人々を、街を「蹂躙」していた。

 

―――グルルル・・・グルルルルッ・・・!グルオオオオォォォッ!!―――

 

力の限り暴れ、吠える謎の怪獣。その目は怒り狂い・・・同時に悲しそうであった。何故なら、この怪獣は誰かに自分を「認めて欲しかった」のだ。

遙かなる歴史の波に飲まれ、存在も何もかもを忘れられた怪獣もとい「戦車」と「恐竜」は過去(・・)の繁栄を、過去の栄光を現代で最も繁栄し、栄光を掴んでいる人間に認めて欲しかったのだ・・・

 

 

この日、日本のとある都市が崩壊した。

そんな都市の崩壊を引き起こしたのは実に奇怪な見た目を、かつての大戦で人間のために役立ち、そして忘れ去られた「戦車」と、人類が繁栄する遙か昔に地球を支配し、栄華を極めた地球の歴史の先人たる「恐竜」の怒りと、悲しみと、無念が融合した巨影「戦車怪獣 恐竜戦車」であった。

 

だがもしも・・・人類が恐竜戦車に敬意を払い、恐竜戦車が訴えたかった事を理解していたなら、恐竜戦車はこんな暴挙には出なかったであろう。

だが、残念なことに自分たちこそが霊長の長であると、自分たちこそが地球(このほし)の支配者だと思い込ん(・・・・)でいる(・・・)おごり高ぶった人類にそんなことは・・・出来ないだろう。

だから恐竜戦車は暴れるのだ。地球(このほし)で太古の昔から現代まで永遠と続く「自己表現(ぼうりょく)」によって己を人類に認めさせるために・・・

 

―――グルルル・・・グルルルルッ・・・!グルオオオオォォォッ!!―――

 




如何でしたか?

今回は『ウルトラセブン』よりあの大人気怪獣にして「出オチ感が凄まじい」や「成田亨氏が一目見てブチ切れ、円谷プロに身限りを付ける原因を作った」と言われる恐竜戦車が登場です。 
ま、まぁ・・・見た目のインパクトはスゴいし、芸術家の成田氏なら嫌がりそうなアホ・・・あり合せで作ったデザインだから良くも悪くも有名な怪獣ですね。
是非とも、リメイクして欲しい。もうザンドリアスとかノイズラーじゃなくて、恐竜戦車リメイクして欲しい。出たら視聴者が大喜びするよ本当に。

ちなみに、今回は冒頭の博覧会の展示物の下りに特撮に詳しい方ならニヤリと出来る各作品の登場アイテムをあげました。みなさま、どれだけ分かりましたか?

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