巨影都市オブ・ジ・エンド   作:銀色の怪獣

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どうも、銀色の怪獣です。

さて今回は…正直って、出てくる『巨影』が『巨影』なだけに、その『巨影』が出た原作のお話がお話なだけに気分が悪くなるかもしれません。なので、先に謝罪いたします。申し訳ありません。

ですが、このお話は原作での投げっぱなしな展開に僕なりに決着を付けたいと、もっと言えば僕が書いてる『大怪獣バトル伝説・交わる世界』という方では出せない・似つかわしくないと思い、雰囲気が似合っているであろうこちらの小説で件の『巨影』を出しました。

なので、その点だけは留意していただけると幸いです…

では、どうぞ


第二十三話 因果応報と『巨影』

何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

「目印を付けましょう人間に お花をあげましょう赤い花 恨み花よ増えていけ 今日は誰がかかるか楽しみね・・・」

 

どこかの大都市の片隅にある小さな林の中から聞こえる少女の歌声。

見れば、その林の中にある岩を積み上げて作られた塚の前に一人の少女がいた。

この少女の名は「岩坪 カナエ」といい、大都市の中にある児童養護施設で暮らしている。

そんなカナエは暇さえあればこの林に、林の中にあるこの塚にやって来ている。そして、塚へやって来たカナエが何をするかと言えば―

 

「ふふっ、また咲いてる・・・また花が咲いてる。これでまた(・・)配れる。ふふふっ・・・」

 

そう言って、カナエは手にした剪定(せんてい)バサミで塚に咲いていた血のような色の花を一輪摘み取った。

実はカナエが暇さえあればこの塚へやって来ている理由は、この塚に生い茂る蔦植物(・・・)の世話を行うのと、その蔦植物が咲かせる血のように赤い花を摘み取って"誰でもいい"のであげることだった。しかし、カナエは何故そんなことをしているのだろうか?

 

「さて、じゃあさっそく配りに行こうかしら―――」

 

件の赤い花を摘み取ったカナエは不気味に、薄ら笑いを浮かべながら塚から離れようとしたが―

 

「うっ!?あっ―――」

 

それまでずっと屈んで赤い花を摘んでいたのに急に立ち上がった瞬間、カナエは立ちくらみを起こして転倒した。

しかも悪いことは連鎖するもので、カナエは転んだ際に地面に頭を強く打ってしまい、頭や膝を擦りむいて血を流したままその場でしばらく気絶していた。これがカナエの命運を左右することとなる・・・

 

―――

 

 

 

 

「あら、どうしたのカナエちゃん?食べないの?」

 

「何か・・・食欲が湧かないんです・・・」

 

日は暮れて人々が帰路につく頃、大都市の中にある児童養護施設では夕食の時間となっていた。

そんな中、意識を取り戻して養護施設に帰ってきたカナエだけは食事を取らずに、というか何か気分が悪くて食事を取ることが出来ないでいた。

 

「まぁ・・・だったら今はとりあえずお部屋で横になってきたら。貴女の分のご飯は残しておきますからね」

 

「はい、そうします。じゃあ部屋に行きます」

 

そんなカナエを見た職員の女性がカナエに休むように促し、カナエもそれに従って食事を取らずに自室のベッドで横になっていたが、いつの間にか眠りに付いていた。そのせいで、自身の身に起きた異変に気付けずに・・・

 

 

 

 

「き、きゃあああああぁぁぁぁぁーーーっ!!?」

 

早朝、児童養護施設内に響く悲鳴。それはカナエのものであった。それを聞きつけた職員や他の子供たちがカナエの部屋に行くとそこには―

 

「な、何で・・・!?何で私・・・お腹が膨らんでるの!!?」

 

そう言って・・・ポッコリと膨らんでいる自分の下腹部を見つめて茫然自失としているカナエがそこにいた。そんなカナエの下腹部を見れば、誰もがこう言うだろう、

 

「カナ・・・エちゃん・・・貴女・・・妊娠したの!!?」

 

その場にいるカナエを含めた全員が言葉を失っている中、どうにか言葉を絞り出した職員の女性の言う通り、今のカナエは誰がどう見ても妊婦、それも臨月の妊婦と言っても間違いがない程にカナエの腹部は膨れていた。

 

 

 

 

 

「カナエちゃん!カナエちゃん出て来なさい!!とにかく病院に行こう、ね?」

 

「嫌!絶対に病院なんて行かない!!」

 

先の出来事から数時間後、カナエの部屋の前では騒ぎが起きていた。

というのも「とにかくまずは病院に行こう」ということで養護施設の職員がカナエを病院へと連れて行こうとしたのだが、当のカナエは即座に部屋に逃げ込んでそのまま籠城してしまい、職員の説得には絶対に応じず、更には部屋の扉を開けられないようにとバリケードまで作って部屋に閉じこもる始末であった。

 

「カナエちゃん!とにかく病院に行かないと!!そうしないと貴女に何が起きてるのか分からないでしょ?お願いだから出て来て!!」

 

「嫌!絶対に嫌!!私、絶対に部屋から出ないから!!」

 

尚も続くカナエと職員の押し問答。だが、それは終わりの見えない堂々巡りであった。

 

それにしても…何故、カナエはここまで病院に行くのを拒んでいるのだろうか?普通、自身の見にこんな異変が起きたら何が何でも病院に行って調べてもらいたくなりそうなものだが…

 

「大丈夫…大丈夫だからね。私が、お母さんが守ってあげるからね。私は…私を見捨てた"あの女"みたいなこと、あなたにしないからね…」

 

そう言って膨らんだお腹を優しくさすりつつ、その中に宿っている(・・・・)命に、脈動を(・・・)続ける命に語り掛けるカナエ。

そんなカナエの表情は穏やかであり、同時にその身に宿った命を「何が何でも守る」守ろうと決意した母親、それも聖母マリアの如き「母性」に満ち満ちていた。

カナエを虐待した挙句に捨て、児童養護施設(こんなところ)に置き去りにした彼女の母親のような人間にならないために、という一種の使命感とともに。

 

そのせいでカナエは盲目となっていたのだ。カナエが処女懐胎したモノ(・・)が…聖母マリアが懐胎したのが聖人であったのに対し、カナエが懐胎したのは聖人とは真逆(・・)の性質の『モノ』だとも気付けずに…

 

 

 

 

「うぅ…あぁ…っ!痛い…痛い…!!産まれる…産まれ…るっ!!」

 

「カナエちゃん!?カナエちゃん大丈夫!!?もしかして…産まれそうなの!!?」

 

カナエがお腹に新し命を宿してから数か月後、その日は突然やって来た。

あの日以来、施設の職員たちはカナエの強情…その強い決意と母性に根負けし、カナエがお腹の子を育むのを見守っていた。そんなカナエがたったいま産気づいて苦しみ始めた。

 

「き、救急車!救急車呼んで!!」

 

「いま呼んでるよ!!」

 

「カナエちゃん!?カナエちゃん大丈夫!!?いま救急車が来るからね!それまで頑張って!!」

 

産気づいて苦しむカナエのために救急車を呼びに走る職員、横たわって苦しむカナエの手を握ったり声かけをする職員、集まった野次馬の子供たちを遠ざける職員、といった具合に施設内は大騒ぎとなっていた。

 

「うぅ…ダ、ダメ…我慢でき…ないっ!!」

 

最初こそ気合で耐えていたが、とうとう耐え切れなくなったカナエがそう言った瞬間―

 

「あっ―――」

 

「カナエちゃん、どうした―――あっ!?は、破水した!!?」

 

カナエが…破水したのだ。その直後、

 

「!?い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いっ!いた…い゛っ!!?」

 

破水した直後に襲ってきた陣痛。その味わったことのない激痛に絶叫し、悶絶していた。だが、それでもカナエは必至で歯を食いしばって力んだ(・・・・)。その結果―

 

「産まれ…そう…!出てきそ…う!!」

 

「ええっ!?」

 

産気づいた妊婦が「(こら)える」のではなく「(りき)め」ば当然ながら産まれる。実際にr陣痛をこらえきれずに力んでしまったカナエの下腹部からは"お腹の中の命"が産まれ出て来ていた―

 

「き、きゃあああああぁぁぁぁぁーーーっ!?な、何よコレ(・・)ーーーっ!!?」

 

というカナエを介抱していた女性職員の恐怖と嫌悪感に満ち満ちた絶叫が響き渡った。何故なら、その女性職員は見てしまったのだ。カナエから産まれた命が人外の―

 

―――キィヒィイイイ…オギャアァ…―――

 

―――ザシュッ!!―――

 

「がっ!?あがっ…!?あぁ…あ…?」

 

カナエが産んだ…人外の"ソレ"は腰を抜かしていた女性職員に触手を伸ばして突き刺し、血を吸い上げて物言わぬミイラへと変えた。すると、女性職員の血を吸い上げた"ソレ"の体に一輪の赤い花が咲いた。まるで血のような深紅の花が…

 

「どうして…!?どうして、どうして…あなた(・・・)が私のお腹から出て来たの!?どうなってるの!!?」

 

一方で、文字通り「お腹を痛めてまで」出産したカナエは自分のお腹に宿っていた"ソレ"を見て二つの理由(・・・・・)で驚愕していた。

まず、一つ目は当然ながら自分のお腹から産まれ出たものが赤ん坊では無く…いや、一応は赤ん坊だろう。何故なら、少なくとも"ソレ"はカナエのお腹の中で育っていたのだから。

ただし"ソレ"はカナエの傷口(・・)からカナエの体内に侵入し、まるで胎児のようにカナエに育んでもらっていたという事情があるからだ。

だから、少なくとも"ソレ"はカナエの子と言っても過言ではない…ただし"ソレ"は人外であり、それも動物ではなく頭頂部に花を咲かせ、口らしき部分から外へはみ出る牙を持った、無数の蔦が絡み合って出来たような「植物の化け物」であったが。

 

そして二つ目の理由であるが…カナエはこの植物の化け物を「知っている」のだ。

何故なら、この植物の化け物はカナエがよく行く大都市の片隅の林の中の塚に生息(・・)している、カナエが世話をしている(・・・・・)化け物なのだ。カナエが配った赤い花を目印に、不幸な自分と違って幸せそうにしている連中を殺してくれる頼れる存在、その名も―

 

「あはは…あははは…あははははははっ!そうか!そうなのね!!そうよね!私が、私がっ!人をあなたのエサにしているこの私が、赤ちゃん産んで幸せになれるハズないもんね!!所詮、あなたは私を利用していただけなのね!!あなたにとって、私もエサにしか過ぎなかったのね!!そうか、そうなのよね!?バサラ―――」

 

―――キィヒィイイイ…オギャアァ…―――

 

 

 

この日、大都市の片隅にある児童養護施設で大捕り物があった事に加え、二名の(・・・)命が失われた。

その元凶、それは…亡くなった二名の内の一人の少女、岩坪カナエの胎内に寄生し、カナエに自分を我が子のように育てさせ、一時の幸福感と母性を満たした後に絶望させて殺した外道にして巨影「蔦怪獣 バサラ」であった。

 

だが、今回の事態は全てバサラが原因なのだろうか?もしも、もしもあの時…カナエが変に母性を起こさずに、ちゃんと病院に行って診てもらっていれば今回のような事態にはならなかったのではなかろうか?

 

だが、それは絶対に叶わなかったであろう。何故か?カナエに限らず、子を思う母の思いは強い。

特に、その母に愛されず、愛に飢えていたカナエは自分に宿った「命」に自分の母がしたような仕打ちを絶対にしまいと誓ったからだった…それを利用されたカナエは不幸と言う他に無かった。

 

ただ、自身が不幸だからと言って他人を巻き込んで不幸に、バサラのエサにしていたカナエにとっては…「不幸」ではなく「因果応報」だったのではあるが。

 

―――キィヒィイイイ…オギャアァ…―――

 




まず初めに…非常に後味の悪いお話になって申し訳ありません。

正直言いますと、今回のお話は原作『巨影都市』でも出ていた『ウルトラマンタロウ』の「二大胸クソ話」として有名な内の『血を吸う花は少女の精』を自分なりに決着をつけたいと、教育的なメッセージが込められるようで実は投げっぱなし&いい加減で終わったタロウでの原作にケジメをつけたいと思って作った話です。というか、あのクソガキに何も制裁が加えられないのが一番いかんだろ…別に殺せとは言わんが、流石にアレは…

正直言います、あの話を幼稚…子供向けすぎるタロウでやる意味ありますか?いや、やってもいいんだけどさ…別にハッピーエンドにしろとか、岩坪かなえを改心させろとか言いませんよ。事実、タロウの放送当時は全国で子供の死体遺棄・虐待・その他の子供に関する犯罪が頻発したために、このようなお話を作ったとは聞きました。

しかしですよ。ラストのかなえの新しいバサラを求めて墓場をうろつくシーン、そんなかなえを放置するタロウ(東光太郎)や防衛チーム、しかもタロウたちは偉そうに「世の中を憎んでいた~」とか言ってたくせにかなえを放置…正直、投げっぱなしにもほどがありすぎです。

だから、いずれ僕なりに決着をつけたいと思ってこんな話を作ってしまいました。読んでくださった読者の皆様に不快な思いを、嫌な気分にさせてしまって申し訳ありませんでした。

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