えっと、今回は・・・多分、今までで一番短いです。ですが、内容が濃いというかエグいというか・・・見て頂ければ分かります。
ちなみに、今回のお話は少し前まで放映されていた某ジードのストーリーを躊躇しつつ、色々とスパイスを加えました
。やはり『コイツ』が出るなら、あんな(色々と)生ぬるいストーリーや展開じゃ『面白くない』と個人的に思ったからです。
では、どうぞ~
何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・
―――タス・・・ケテェ!!―――
とある大都市の近くの団地に響き渡る警報サイレンの音と・・・悲痛な、まるで「助けて」と叫んでいるようにも聞こえる、まるで鳥のような姿をした怪獣の鳴き声。そして―
『バルカンスパークル !!』
―――ドォン!!―――
―――!?タス・・・ケテェ・・・!!―――
大都市の近くの団地で大暴れを続ける怪獣に放たれた黄金の光の奔流。その光の奔流が怪獣に当たった瞬間、怪獣は粉微塵に吹き飛び、辺り一帯には怪獣の破片である青い欠片が降り注いだ。
『ふぅ、終わった・・・』
そんな光の奔流を放ったのは、全身を黄金の鎧で包んだ遠い宇宙から来た巨大な
「よし、ジードがヤツを倒し終えた・・・みなさん、よろしくお願いします!!」
「「「「おおぉーーーっ!!!」」」」
そんな
「では皆さん、回収したヤツの破片は各家庭の冷凍庫で凍結させて下さい。尚、今回の怪獣の凍結に使用した冷蔵庫は後日、我がAIBが無償で交換致します」
というあの黒スーツの女性の言葉を受け、怪獣の破片を回収した団地の住民たちは回収した怪獣の破片を各家庭の冷蔵庫で冷凍保存したのだった。
ちなみに、何故こんな事をしているかといえば、先の怪獣はいくらバラバラにされても蘇るが、凍結させられるとその再生力を失うと黒スーツの女性が属する組織が判明させたからであり、団地の住民たちは自分たちのために戦ってくれる
しかし、彼らは知らなかった。これが後に起きる大惨事の幕開けになるとも知らずに。
バラバラにされ、凍らされてもなお消えることの無い怪獣もとい
―――タス・・・ケテェ!!―――
「はーい、出来たわよ~!今夜はねぇ・・・肉じゃがよ~!!」
「うわぁ、おいしそう!ねぇ、パパ!」
「うん、そうだねマユ。本当に美味しそうだね」
「ちょっと!『美味しそう』じゃなくてちゃんと『美味しい』のよ!!失礼しちゃうわねぇ・・・」
「あはは、ごめんごめんルミナ」
時刻は夕飯時。暴れる怪獣が退治された大都市近くの団地にはすっかり平穏で平和な日常が戻っていた。そんな団地に住む両親と一人娘の三人家は、今まさに夕食を食べようとしていた。
ちなみに、その一家の夕食は味噌汁に白ご飯、そして・・・「あの破片」が入っている冷凍庫から出したほうれん草を使ったおひたし、同じく冷凍庫から出した肉を使った肉じゃがと唐揚げが食卓に並んでいた。
「うん!この肉じゃが本当に美味しい!!これ、どうやって作ったの?」
「でしょ?お隣の奥さんから教わって作ったのよ。ちなみに、この唐揚げもおひたしもね」
「へぇ~、そうかぁ。うん、でも本当に美味しいね。これなら毎日食べられるし、食べたいね」
「あら、そう?なら毎日晩ご飯は肉じゃがと唐揚げのローテーションにして、お弁当も同じく肉じゃがと唐揚げのローテーションに―――」
「ち、ちょっと。流石に今のは冗談だってば・・・そのローテーション本気でやらないよね?」
食卓に並ぶ料理に舌鼓を打ち、平和で当たり前の家族団らんの一時を謳歌する一家。だが、異変は何の前触れも無く突然にやってくるのだ・・・
―――ガチャーン!!―――
「!?ど、どうしたのマユ!!?」
「だ、大丈夫かマユ!?」
突然、それまで普通に食事をしていた娘が持っていたお茶碗を取り落としてその場にドサッと倒れ込んだ。そんな娘は全身にビッショリと汗を浮かべ、顔色もどす黒く変色していた。更に、
「うっ!?うぅ・・・お腹が・・・痛い!!?」
「な、何だ・・・この痛み・・・は!!?」
突然愛娘が倒れたことに動揺していた両親であったが、今度は両親も突如として激しい腹痛に襲われてその場に倒れ込んだ。その際、先に倒れた娘は元より次に倒れた両親も・・・腹部が異常なぐらいに膨張し始めていた。と、ここで―
「うっ・・・ぶっうぅ!!?」
「おっ・・・おえええぇぇぇっ!!?」
それまで激しい腹痛に悶えていた両親と愛娘は今度は嘔吐した。そんな一家であるが・・・何と、その吐瀉物は真っ青だった。その青さはまるで、否、この日の昼間に拾って冷凍庫に入れた「あの破片」と全く同じ青さであった。
「いた・・・い!?痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!?いた・・・いっ!!?」
「た、助けて・・・誰か・・・助け・・・てぇ!!?」
「し、死ぬ・・・このままじゃ・・・死ぬ!!!」
あの一家が揃って異常な腹部の膨張と腹痛に悶えながら青い吐瀉物をまき散らしていた頃、団地中で同じ事が起き、団地は阿鼻叫喚の様となっていた。そして―
「あっ・・・あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!?」
―――ブチッ・・・ブチブチッ!!―――
団地の住民の悲鳴が、それも「断末魔」が聞こえた直後、何か・・・肉が裂けるような嫌な音が聞こえ、それに伴って先の断末魔はピタッと止んだ。すると、
―――タス・・・ケテェ!!―――
団地の至る所からまずは断末魔が聞こえ、次にあの肉が裂けるような嫌な音が聞こえると断末魔が止んで団地は静寂に包まれた。
だが、そんな静寂に包まれた団地のど真ん中に・・・何と、あの鳥のような星獣が
―――タス・・・ケテェ!!―――
星獣はその身を濡らす赤い血をあえて拭うことはせず、あの甲高くもどこか悲痛な叫びにも聞こえる雄叫びを上げながら団地を破壊し始めた。そんな星獣であるが、あえてその身を濡らす血を拭わなかったのには理由がある。
―――タス・・・ケテェ!!―――
口から黄色いガスを、その実は超高濃度の放射能に汚染
―――タス・・・ケテェ!!―――
そんなこの星獣もとい巨影「再生怪獣 ギエロン星獣」の鳴き声は、様はどこか・・・どこか「やりきった」感に包まれていた。そう、実はこのギエロン星獣は人間に『復讐』するために地球へやって来て、それをやり遂げたのだ。
愚かにも
だからギエロン星獣はその身を濡らす血を、人間どもへの『復讐の証』を拭うことはしなかったのだ。
―――タス・・・ケテェ!!―――
だがギエロン星獣の怒りは、悲しみはまだまだ収まらないし、収めるつもりはギエロン星獣には毛頭ない。
もし、ギエロン星獣の怒りと悲しみが収まるとしたら・・・それは、ギエロン星獣を自分たちの身勝手で怪獣の姿へと変え、挙句はギエロン星獣の収まることない『怒り』を、星獣の生きる事を諦めない『執念』を、自分をこんな姿に変えた人間どもに対する星獣の『復讐心』を、ギエロン星獣の持つ『生命力』を理解しようともしなかった
―――タス・・・ケテェ!!―――
如何でしたか?
今回は49年ぶりの登場が話題になりつつも、現状の円谷プロの上層部が「金余ってるし、何か有名なヤツをテキトーに出そっか」という、実にテキトーな発想で白羽の矢を立てられたギエロン星獣が登場です。金城哲夫氏が知ったらどう思うか・・・
ちなみに、件の「金余ってる」とは円谷が行った「ファンから義援金募って怪獣だそう・ザンドリアス編」のことです。
いや、別にいつまでも悲劇の怪獣でいろとは言わない。それを言ったらゴジラもゴモラも、ペガッサ星人も悲劇のキャラだから永遠にシリーズに出てこれないし、人気が出なかっただろうから。
ただ、逆に言えば悲劇性を無視してメチャクチャ無双するゴジラ(VSとか顕著)やゴモラ(大怪獣バトルとか顕著)みたいな演出ならいいんだ。
ただ『ジード』の、何か何とも言えない演出&前述のテキトーな理由で出したのが僕は嫌なんですよね・・・やるなら徹底して悲劇をやる、やるなら徹底してバトルする、みたいにちゃんと方向性を示して欲しかったですね。