巨影都市オブ・ジ・エンド   作:銀色の怪獣

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お久しぶりです。作者です。

いやいや、最近また新しい作品をやりだしたら&前々から書いてるのも仕上げてたら更新が遅くなってしまいました・・・スミマセンでした。

今回はちょっと捻った、というか「最近の特撮に足りない要素」を「最近の怪獣に足りない"怪獣らしい要素"」を強調したお話にしました。

その要素とは何なのか・・・?

では、どうぞ~


第四十八話 遺恨を遺す『巨影』

何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

 

―――キィシュイイイィィィ!!―――

 

―――キュワォオオォォッ!!―――

 

―――フワォオオォォ!!―――

 

―――フシュイイィィ・・・!!―――

 

「う、うわぁあああぁぁぁっ!?何だあれーーーっ!!?」

 

「ば、化け物だーーーっ!海から(・・・)化け物が上がってきたぞーーーっ!!」

 

「に、逃げろっ!逃げるんだーーーっ!!」

 

 

とある海沿いにある大都市に響く人々の悲鳴と・・・その巨体を仄暗い海の底から現わし、人間たちが収める陸上の大都市に進撃を開始した巨大な生物、俗に言う「巨影」たちの咆哮。

 

―――キィシュイイイィィィ!!―――

 

「や、止めろーーーっ!放せーーーっ!!」

 

「嫌だ・・・嫌だーーーっ!食べないで、食べないで―――」

 

まず、海から上がって大都市に進撃を開始した巨影たちの内、陸地にもかかわらず最も機敏に動き回り、右手の異常発達したハサミで目の前にある物を全て破壊し、左手の槍のようなハサミで逃げ惑う人々を捕らえ、次々に胃の腑へと収めるのは、エビの巨影「大エビ怪獣 エビラ」だ。

 

―――キュワォオオォォッ!!―――

 

「な、何だこの泡!?引っ付いて取れない!!」

 

「ヤ、ヤバい!泡が固まってきてる!!?こ、このままじゃ固まっちまう!!」

 

次に、エビラと同じく陸地でも問題なく行動できる上に、口から吐く粘度の高い泡を逃げ惑う人々に吐き付け、彫刻のように固めたり窒息させたりして暴れるのは、カニの巨影「大ガニ怪獣 ガニメ」だ。

 

―――フワォオオォォ!!―――

 

「ぎゃああぁぁっ!?く、苦しい・・・絞め殺され・・・る・・・!!」

 

「さ、さむ・・・寒い・・・凍えし・・・ぬ・・・」

 

エビラやガニメに比べれば陸地での動きは遅いものの、それを補って余りある「リーチ」と「細かい動きが可能」と「恐るべき筋力」を発揮する"触手"を持ち、海水の温度を異様に低下させ、人間に凍傷を負わせたり時には凍死させる事も可能な程に低い体温持つのは、イカの巨影「大イカ怪獣 ゲゾラ」だ。

 

―――フシュイイィィ・・・!!―――

 

「く、臭い臭い臭いっ!そして気持ち悪いっ!!」

 

「来るなーーー!こっち来るなーーーっ!!」

 

そして、ゲゾラ以上に陸地での動きが遅く、這いずるようにしか動けないものの、全身から放つ異様な臭気と、ゲゾラを鼻で笑う触手使いで逃げ惑う人々を次々に捕らえて食らい尽くすのは、タコの巨影「海魔 大ダコ」だ。

 

 

そう、突如として海辺の大都市を襲撃したのは「大エビ怪獣 エビラ」・「大ガニ怪獣 ガニメ」・「大イカ怪獣 ゲゾラ」・「海魔 大ダコ」という海産物・・・普段は人間に取って食われる、か弱い甲殻類や頭足類だったのだ―

 

―――キィシュイイイィィィ!!―――

 

―――キュワォオオォォッ!!―――

 

―――フワォオオォォ!!―――

 

―――フシュイイィィ・・・!!―――

 

だが、侮るなかれ。

 

今の彼らは人知の及ばない「怪獣」に、人間など足下にも及ばない「巨影」という絶対強者になっているのだから・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、

 

 

「うぉらぁあああぁぁっ!くたばれ化け物どもーーーっ!!」

 

―――ドォンッ!!―――

 

「戦車大隊、砲撃開始!!」

 

「各部隊、射撃開始!!」

 

「「「了解!!!」」」

 

―――ドォオオオォォォン!!―――

 

「こちら対戦車ヘリコプター部隊、目標を視認。これより攻撃します!!」

 

―――ドォオオォォンッ!!―――

 

 

 

―――キィシュイイイィィィ!?―――

 

―――キュワォオオォォッ!?―――

 

―――フワォオオォォ!?―――

 

―――フシュイイィィ・・・!?―――

 

大都市に上陸し、好き勝手に暴れ続ける甲殻類や頭足類の巨影たちに対し、出動した自衛隊の戦車大隊や対戦車ヘリコプター部隊、あるいは徹甲弾や機関銃を装備した自衛隊員たちがエビラ、ガニメ、ゲゾラ、大ダコを一斉攻撃した。結果、

 

―――キィシュイイイィィィ・・・キィ・・・シュイィ・・・―――

 

―――キュワォオオォォッ・・・キュワ・・・オォォ・・・―――

 

―――フワォオオォォ・・・フワ・・・オォッ・・・―――

 

―――フシュイイィィ・・・!?フシュ・・・イィ・・・―――

 

「目標、全体沈黙。殲滅作戦終了します」

 

自衛隊の攻撃により、エビラ、ガニメ、ゲゾラ、大ダコは致命傷を負い、あっという間に沈黙した。

 

そう、いくら並み居る生物とは一線を画する巨体や生命力を有するとは言えども、所詮はエビやカニ、イカやタコが凄まじい殺傷力を持つ近代兵器、あるいは自衛隊の完璧な作戦に敵うはずも無かったのだ―――

 

だが、そこは人知を越えた力を宿す「巨影」に属すエビラ、ガニメ、ゲゾラ、大ダコだ。

 

彼らは死してなお、屠られてなお、人類に禍を遺すこととなる―

 

 

「オイ、聞いたか?」

 

「んっ?何をだよ?」

 

「この間のエビとかの化け物を倒すのに使った銃弾とか燃料がどれだけ金かかったか」

 

「いや、知らないなぁ。いくらかかったんだ?」

 

「何か・・・・・・位だってよ」

 

「!?マ、マジかよ・・・メッチャ資材減ったなぁ・・・」

 

「あぁ、たかがエビとかタコのせいでなぁ・・・」

 

 

海沿いにある大都市をエビラや大ダコが襲い、それらを自衛隊が殲滅してから数日後。

 

とある自衛隊の駐屯地にて、被災した大都市に物資を運ぶための作業をしていた自衛官が何から話していた。

 

そんな彼らの話題は先日の巨影たちの殲滅戦、に自衛隊が費やした燃料や弾薬などの各種資材の消費があまりにも膨大になったという事だった。

 

事実、自衛隊は見事にエビラたちを殲滅した・・・が、その代償として凄まじい量と額の資材を消費するハメになってしまった。

 

とはいえ、民間人の命を脅かし、平和を乱す"脅威"に対処するのが自衛隊の仕事なので当然なのだが―――

 

「とある大都市に出現した巨大生物の影響により、〇〇の株価が暴落しています―――」

「巨大生物の影響により、物流がストップしています。この影響で、〇〇が値上がりしており―――」

「今回の巨大生物の襲撃で被災した人は〇〇〇人に上り、また死者・行方不明者の数は―――」

「政府は被災地への援助のため、開発を計画して事業を断念し、被災地復興を優先する発表しました―――」

 

その一方で、自衛隊が巨影たちに手痛い出費をさせられたなみ、どころか、巨影たちの襲撃を受けた大都市や日本経済そのものがそれ以上の人的・経済被害を受けていたのだ。

 

「クソッ!たかがエビやイカのせいでなんでこんな事に!!」

 

「アイツらさえ、アイツらさえ現れなければ・・・みんな、みんな死ななくて済んだのに・・・!!」

 

「破産だ・・・我が社は破産だ・・・」

 

「明日からどうやって生きていけばいいんだ・・・金も、家も、仕事も、家族も、何もかもが無くなった・・・」

 

 

エビラが、ガニメが、ゲゾラが、大ダコが与えた人的・経済的な被害は数々の悲劇を生んでいた。

 

たかがエビと、たかがカニと、たかがイカと、たかがタコと侮るなかれ。

 

何故なら、彼らは"生きているときは"人々に恐怖を与える「巨影」なのだから―――ならば、もしも・・・その「巨影」たちが"死んだとき"は一体、どうなるのであろうか?

 

 

 

「う゛うぅああぁっ!?」

 

「あ゛あ゛あぁぁっ!?」

 

「ぐ、ぐるじい・・・!た、すけ・・・て!!」

 

「どいて、どいて下さい!急患です!!」

 

「先生、早く診察を!!」

 

「ダ、ダメだ・・・!今すぐ患者を隔離!病棟も閉鎖するんだ!!」

 

先のエビラたちによる海沿いの大都市の襲撃から数日後、奇跡的に無事だった大都市にある病院、あるいは大都市の近くの街などにある病院に次々と急患が運び込まれていた―――ばかりか、運び込まれた急患が原因で病棟が閉鎖される、あるいは患者が院内にいるにもかかわらず、その場で院内の消毒を開始するなどの異常事態が次々に起きていた。その原因は―

 

「えーっ、現在、自衛隊の攻撃で死んだ巨大エビやイカなどの死骸から凄まじい腐敗臭が漂っており、近隣は閉鎖さています―」

 

「巨大エビやタコの死骸の放つ腐敗臭により、一般市民、自衛隊員を問わずに体調を崩して病院に搬送される人が増加しており―」

 

「巨大エビやカニの死骸を目的に凄まじい数のカラスやネズミが集まり、死骸には無数のウジが湧いています。近隣はあまりに不衛生な環境になっています―」

 

という、巨影たちに襲撃を受けた海沿いの大都市をリポートするリポーターたちの言葉が示すように、自衛隊によって殲滅されたエビラたちの死骸は腐敗し始めていた。

 

エビやカニなどの甲殻類、あるいはタコやイカなどの頭足類などは、死ぬとあっという間に体組織の崩壊が始まり、つまりは「腐ってしまう」のである。

 

そして、それは彼らが並み居る動物とは一線を画する「巨影」になっても同じ事だ―――体が巨大になったからこそ、腐った時に発する悪臭の量も、発生する腐敗した肉の量も、腐敗した肉から発生する病原菌やカビなどの量が半端ではないのだ。

 

そう、あの突如として発生した無数の急患や体調を崩す人々は、全てエビラたちの死骸の影響を受けていたのだ。

 

死してなお人間に悪影響を与える・・・腐っても巨影、否、「腐ったから」こそ巨影たちは人々に禍を遺していたのだ―

 

 

 

 

 

 

「う゛ぁああ゛あぁぁぁっ!がぁああぁぁっ!!」

 

「う、うわぁあぁっ!?何だコイツ!!?人を・・・喰ってやがる!!?」

 

「ひ、ひぃいいぃぃ!?ゾンビだ・・・ゾンビだーーっ!!!」

 

エビラやゲゾラたちの死骸が腐敗し始めてから数日後、相変わらず死骸がある辺りは凄まじい腐敗臭が漂い、もの凄い数のカラスやネズミ、ハエやウジが蠢いていた―――ばかりか、突如として人間が凶暴化して人を襲う、まるでゾンビのように人間が人間を喰らって街を徘徊する、ゾンビのようになった人間に襲われた人間もゾンビのようになって犠牲者が増えていく、などの異常事態が起きていた。

 

―――ピュゥウウゥ・・・!!―――

 

その元凶こそ、ゲゾラやガニメを作り出した(・・・・・)存在、ゲゾラたちの体内に潜んでいた宇宙の彼方より飛来したアメーバ状の(・・・・・)宇宙生物(・・・・)だった―

 

その宇宙生物が、ゲゾラたちの体を依り代にしていた宇宙生物が、依り代にしているゲゾラたちが死んで体が使い物にならなくなったため、今度は人間に寄生したのだ。

 

更に、

 

「何たる事だ・・・あのエビ死骸からは凄まじい量の放射性物質が出ている。このままではあの辺り一帯は汚染されてしまうぞ・・・!!」

 

「あのエビの死骸の肉を喰ったカラスやネズミ、ハエやウジを放置すれば放射性物質が各地に拡散してしまう・・・汚染の拡大が止まらなくなってしまう!!」

 

ゲゾラたちの体から抜け出て人間に取り付く宇宙生物も十分に脅威であるが、エビラの体に蓄えられていた、エビラが"生きていたから"こそ、体内に"閉じ込めていてくれた"からこそ、流出することのなかった凄まじい濃度の放射性物質がエビラの肉体の崩壊と共に辺りに流出し、辺り一帯を汚染していた。

 

 

 

―――キィシュイイイィィィ!!―――

 

―――キュワォオオォォッ!!―――

 

―――フワォオオォォ!!―――

 

―――フシュイイィィ・・・!!―――

 

「ば、化け物だーーーっ!海から(・・・)化け物が上がってきたぞーーーっ!!」

 

「に、逃げろっ!逃げるんだーーーっ!!」

 

生きているときは行動するだけで、その場に存在するだけで街に、自然環境に、人々に被害を及ぼし、

 

 

 

―――ピュゥウウゥ・・・!!―――

 

 

「う゛ぁああ゛あぁぁぁっ!がぁああぁぁっ!!」

 

「う、うわぁあぁっ!?何だコイツ!!?人を・・・喰ってやがる!!?」

 

「ひ、ひぃいいぃぃ!?ゾンビだ・・・ゾンビだーーっ!!!」

 

 

 

「何たる事だ・・・あのエビ死骸からは凄まじい量の放射性物質が出ている。このままではあの辺り一帯は汚染されてしまうぞ・・・!!」

 

死んだら死んだで新たに街に、自然環境に、人々に様々な被害や悪影響を、様々な「禍」を"遺恨"として遺していく―

 

それこそが「巨影」が「巨影」たる所以なのだ。

 




如何でしたか?

今回は「人間でも倒せる」とか「そんなに強くない」と言われているエビラ・ゲゾラ・ガニメ・大ダコというシーフードの盛り合わせになりました。

が、彼らだって腐っても巨影もとい怪獣です。

少なくとも、人間が素手では絶対に勝てません。だって「デカい」んですもん。

30mも50mも80mもあるエビやイカやカニやタコに人間が武器も無しに勝てますか?

加えて、彼らは体内に放射能やら未知の宇宙生物(人間にも寄生する)を宿しています・・・そんなの、下手に殺したらよけいエラい事になりますよ?

そもそも、この話を思いついた理由が

「最近の怪獣は『大人しく殺されすぎ・殺されても大人しすぎ』だよな」

と思ったからです。

例えば、

レギオン(平成ガメラ)ではレギオンは倒されても、ガメラにマナを大量消費させて「ギャオスの大量発生」と「イリスの覚醒」を引き起こす。

シーリザー(ウルトラマンティガ)は死んでもゾンビとなって蘇り、腐った体で人々やティガを苦しめた

ガタノゾーア(ウルトラマンティガ)は殺されてもなお怨念としてこの夜に留まり、ガタノゾーアを上回る「暗黒魔超獣 デモンゾーア」へと変貌して世界に"闇"を広げた。

グランスフィア(ウルトラマンダイナ)は死ぬ間際にウルトラマンダイナを道連れにした。

ゴジラは・・・まぁ色々&ゴジラは歩き回るだけで高濃度の放射能を辺りにまき散らす(『シン・ゴジラ』では「ゴジラの放射能は半減期が~」とか"配慮しすぎた"こと言ってましたが・・・)

といった感じで、昔の怪獣さんたちは殺されてもなお被害を出した&タダでは死にませんでした・・・ですが、最近の怪獣さんって劇中では「スゲーだろ!?強いぜ俺は!!」みたいにイキって―――目立ってますが、死んだらそれっきり・・・勿体ないです。

だからこそ今回は「死んでもタダじゃ死なない"怪獣らしい"お話」にしました。

ついでに「死んだらすぐ腐る生物」=甲殻類や頭足類 をチョイスしました。

実際、せいぜい10cm、20cmぐらいのエビやタコでも腐ったらヤバいのに、あれだけデカいエビラたちが腐ったら・・・ヤバいですよね(しかも体内に放射能とかたっぷり)

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