巨影都市オブ・ジ・エンド   作:銀色の怪獣

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どうも、作者です!

今回は・・・おそらく、みなさんがあまり知らない巨影が出ます。

だって、その巨影はテレビや映画などの映像作品には出ていないのですよ・・・一体、何でしょうね?

是非とも読んで確かめて下さい!!




第五十三話 『巨影』・卒業

『『俺色に染めろ!ルーブ!!』』

 

『ジーッとしてても、ドーにもならない!!』

 

『諸先輩方!光の力お借りします!!』

 

勇敢に、そして勇ましく悪の怪獣や宇宙人と戦うウルトラマン(ヒーロー)たち。

 

そんな彼らは常に、いつの時代も人々の憧れだ―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぉ、いいぞ!行け行けウルトラマン!!」

 

大都市、の片隅にあるマンションの一室にて、一人の男がテレビを見ていた。

 

そんな男はテレビの中で戦う"ヒーロー"に声援を送っていた。

 

そう、男というのはいくつになっても、あるいはいつの時代でもヒーローが大好きで、憧れ、ヒーローたちが活躍する夢の世界に憧れ、そして応援したくなるものだ―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うるさーい!赤ちゃん起きちゃうでしょ!!テレビの音、小さくしてよ!!」

 

「は、はいっ!?ご、ごめんなさい・・・」

 

が、そんな男の憧れを、夢の世界を一瞬で崩壊させる怒鳴り声(・・・・)が男のすぐ後から聞こえた―――男の妻の怒鳴り声だ。

 

「アナタねぇ、いい加減にしてよ!朝っぱらから大きな音でテレビつけて!!ご近所迷惑でしょ!!」

 

「ご、ごめんなさい・・・」

 

"夢の世界"に浸っていた男―――27歳のいい年した父親、がスヤスヤと眠る愛娘を腕の中に抱いている妻の怒鳴り声で現実に引き戻された瞬間だった。

 

「で、もう番組は終わったの?」

 

「う、うん。終わったけど・・・」

 

「そう、じゃあミルク買って来てね。夜の分がなくなりそうだし」

 

「分かりました」

 

「あ、あとついでにこのメモに書いてるのも全部買ってきてね。ヨロシク~」

 

「ふーい・・・」

 

「返事は『はい』でしょ。将来、赤ちゃんがマネしたらどうするつもり?」

 

「・・・はい。行ってきます」

 

妻に渡された買い物のメモを手にしつつ、今の今まで"夢の世界"にいた男は買い物に向かった―――

 

「はぁ、いい年してウルトラマンとかバカみたい。大人になったんなら卒業して欲しいわ。子供と一緒に楽しむとかならいいけど、大人が子供の見るものに夢中になってどうするのよ」

 

という、妻の愚痴を背に受けながら―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その年でまだウルトラマン見てるの!?強者だなぁ」

 

「ヒーローや怪獣は卒業すべきだよ」

 

「ばっかみたい。ウルトラマンだってさ。いい大人が―――ダセぇ」

 

「ウルトラマンとかを見るのは幼稚園までで、小学校に上がったら卒業するのが当たり前なんだよなぁ・・・」

 

「もう大人なんだし、ウルトラマンや怪獣は卒業すべきだよ・・・アレは子供が見るもので、子供の(・・・)ため(・・)のもの(・・・)なんだからさぁ・・・」

 

 

 

 

「だよなぁ・・・分かってるんだよねぇ・・・分かってはいるけど、好きなんだからどうしようもないんだよねぇ」

 

妻に渡された買い物メモを片手に、スーパーマーケットで買い物する27歳の父親が、ヒーローや怪獣が大好きな"夢見る大人"が、妻や一般的な(・・・)感覚の(・・・)人々(・・・)から常に言われる言葉を思い出し、ため息を吐きながら買い物をしていた。

 

そう、男は確かにウルトラマン(ヒーロー)や怪獣が大好きだ―――が、男は既に"大人"だし、同時に"父親"だ。

 

だからこそ親として、子供を立派に育てるため、いつまでも"夢の世界"―――否「虚構の世界」に入り浸るわけにはいかないのだ。

 

「"虚構の世界で夢に酔いしれている、外見だけは大人で心はいつまでも子供"という人間を育てたくないんだよ、僕は」

 

「別に好きでもいい。夢を見たっていい。でも、大人が子供を押し退けてまで楽しむのはみっともないわ。ああいう人たちを『大きなお友達』って言うのよ」

 

という、有り難い言葉が示すように、前述の父親の葛藤もごく自然なことなのだ―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ?自分で稼いだ金なんだからどうしようが勝手だろ?何でガキに遠慮しなきゃいけなんだよ?」

 

「今や、俺らオタクが作品や経済を回してるんだよ!金も落とさないガキに気を配る必要なんてナシ!!」

 

ところがどっこい、最近はこんな主張がごく当たり前に、当然のように受け入れられている―――確かに、これは紛れもない事実だ。

 

だって子供はお金を持ってないし、企業だって儲けてナンボ、商売なんだから売れてナンボ、時代に合わせてニーズに合わせて変えないと"生き残れない"のだ―――予算を無視し、湯水のように資金を使う一方、利益などを全く考えなかったために、名前だけは超有名ながら経営が超赤字で、倒産して他の会社の傘下に入らざるを得なかった某プロダクションがこの日本には存在している・・・それが社会の事実なのだ。

 

「戦艦、刀と擬人化してヒットしたし、次は怪獣を擬人化しよう」

 

「えぇ・・・怪獣を擬人化、ですか・・・?」

 

「そうそう、今時はとりあえず擬人化すれば売れるの。それもムチムチのボインボイン、あるいはロリにすりゃいいんだよ」

 

「・・・・・・・・・」

 

「絵師は・・・あぁ、この絵師で良いか。この絵師、人外娘とかよく書いてるし。何よりも安く依頼できるし」

 

「え!?で、でも・・・この人ってエロゲーの会社の人ですよね?そんな人に書かせるんですか・・・」

 

「・・・何?お前、さっきから反論ばっかりだけどさ、じゃあお前ならもの凄く儲かるアイデアでもあるの?」

 

「は、はい。ありますよ。今は王道(・・)が少ないですから、もっとバトルも力を入れて、デザインももっとカッコよく―――」

 

「あのなぁ・・・今時、王道とかどーでもいいの。っていうか、逆に王道とかしようとすれば予算がオーバーしちゃうの。カツカツなの。分かる?」

 

「・・・そ、それは・・・その・・・」

 

「それに、どうせ"中の人"やるならタンクトップのオッサン(スーツアクター)じゃなくて、可愛い娘ちゃん(今時の声優)の方がオタク共も飛びつくんだよ。分かる?これはな、ビジネスなんだよビジネス」

 

「・・・はい・・・」

 

とあるプロダクションの一室にて行われている会話があった。

 

見れば、件の企業のお偉いさんがとある新企画の企画説明を行っていた―――その説明に色々と反論する一人の若い男、かつて少年時代から憧れを持っていた件の企業にやっと就職し、子供の頃に抱いていた夢を叶えようとした矢先、経営陣や企画体勢がガラッと変わり、どうにもついていけない社員、だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く分かってねぇな!何で怪獣を擬人化、っていうか女体化するんだよ!?しかもあんな・・・エロいデザインに!意味がわからねぇよ!!」

 

「・・・まぁな」

 

「それにだ、何で声優なんて使うんだ!?怪獣には声優ごときが足下にも及ばない、素晴しい"鳴き声"があるじゃないか!それを使ってポ〇モンみたいに会話させればいいんだよ!

そうすりゃ声優のギャラ節約になるし、何よりも『この怪獣はこんな鳴き声なのか』って視聴者も勉強になるじゃねぇかよ!!」

 

「・・・確かになぁ」

 

「って言うか、俺が一番言いたいのは・・・子供に安心してみてもらえる番組に、子供が『カッコいい!!』とか『スゲェ!!』ってなる怪獣やヒーローを出したいんだ、作りたいんだ!!

なのに・・・なのに・・・何だよ、アレは・・・何が擬人化だよ・・・しかも、エロゲーの会社のライターにデザインさせるとか・・・子供が検索して、そういう絵が出て来たらどうするつもりなんだよ・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

日が暮れて大都市にも夜の帳が降りた頃、とある架橋下にあるおでんの屋台から聞こえるくだを巻く声、それも明確に怒り、嘆いているような声―――あの某プロダクションに所属しつつ、どうも最近のプロダクションの経営陣や経営方針のやり方についていけていない社員にして怪獣デザイナーの男、が同僚とおでんの屋台で一杯やっていた。

 

「はぁ・・・せっかくあの会社に就職したのに、意味がねぇな・・・俺が持ち込んだこの怪獣、没くらっちまったよ」

 

「え、マジで?その怪獣が没って・・・設定もすごいし、見た目もシンプルだけどカッコよくて、武器も分かりやすいイイ怪獣なのに?」

 

「そうなんだよ・・・せっかく考えた自信作―――『宇宙凶獣 カイザーギラレス13世』がダメだったさの・・・」

 

件のおでん屋の屋台でくだを巻く某プロダクションの社員二人は昨今のプロダクションの経営方針の変更による変化(・・)を嘆きつつ、同時にデザイナーは自分が提出した怪獣、

 

直立二足歩行の「ザ・王道」の怪獣形態にして、全身を眩い黄金の鎧で覆いつつ、右手には鉄球、左手には大きな鍔つきの長剣を携えた怪獣、

 

『呪われた血族の末裔にして、数千億年に渡って幾多の宇宙文明を滅ぼし続けた破壊者。

その破壊者の宿命は13世という最も不吉な数字にまで引き継がれ、歴代最強最悪の宇宙凶獣が誕生した』

 

という設定を持つ怪獣「宇宙凶獣 カイザーギラレス13世」

 

の設定までもメモったデザイン画を同僚に見せつつ、件のカイザーギラレスが没をくらったと同僚にこぼした。

 

「でも、何でカイザーギラレス13世が没なんだ?こんなにカッコいいし、シンプルだけど武器も分かりやすい・・・『シンプル・イズ・ザ・ベスト』で、アピールポイントも分かりやすい怪獣なのに―――」

 

項垂れるデザイナーの自信作だったカイザーギラレス13世が没をくらった、という事が信じられない様子の男が素直に、純粋な疑問を口にすれば、

 

「・・・その『シンプル・イズ・ザ・ベスト』ってがダメなんだとさ」

 

「えっ?何で―――」

 

「今時の怪獣はとにかく色々と武器とか盛って、デカくスゴく見せないとダメなんだとさ―――人形、フィギィアにしたときに高値で売れるように、色々と武器とか盛っておけば人形とかの売値を高く設定できるから、だとさ・・・最近、武装したりカードやメダルを使うヒーローが多いのと同じ理由だよ」

 

「あぁ、なるほど・・・」

 

項垂れたまま、同僚が口にした疑問に答えるデザイナー。

 

そう、デザイナーの考えたカイザーギラレス13世が没だった理由も全てはプロダクションの経営方針ゆえだったのだ。

 

「はぁ~あ・・・最近は何でもかんでも金金金、売り上げ売り上げ売り上げ、話題話題・・・金儲けばっかりだ。

楽しい、面白い、スゴい、じゃない・・・とりあえず金儲けが第一。オマケに、ターゲットは子供じゃなくて大人のオタクしか視野に入れてない。

その結果が擬人化、あるいは昔の怪獣を設定も何もかもを無視して出す始末だ・・・あの頃の、俺らが憧れてた頃のプロダクションはどこに行ったんだろうなぁ・・・」

 

酔いが回ったのも手伝い、とにかくくだを巻くデザイナーの男は嘆いていた―――かつて夢見たプロダクションに、少年の頃に憧れ、夢に溢れていた少年時代からずっと憧れていたプロダクションに就職したはいいが、現実があまりにも違った・・・それもごく最近に変わってしまった"残念さ"が余計にデザイナーをガッカリさせていたのだ。

 

と、ここで―

 

「でもさぁ・・・ぶっちゃけお金がないと、売り上げがないとダメじゃん?

売るにしろ作るにしろ、お金がいるんだよ。予算にしろ資金にしろ、売り上げがないと出ないじゃん。

あくまで商売なんだし、売れてナンボだよ。時代が変わればニーズは変わるんだしさ。いくら俺たちが納得するもの作っても、売れてお金が入らないとダメ―――」

 

相変わらず嘆き、くだを巻くデザイナーの男に対して同僚が何気なく言った"ド正論"・・・コレが悲劇(・・)を招く。

 

「・・・オイ・・・!」

 

「え、なに―――って、どうしたんだよ、オイ・・・?なんで怒ってるだ―――」

 

不意に、デザイナーの男が同僚の言葉を遮った―――デザイナーの男は目をつり上げ、唇を血が出るほどに噛み締めて同僚を睨んでいた。

 

当然、それに気付いた同僚が嫌な汗を掻いた―――直後、

 

「お前だけは、お前だけは分かってくれると思ってたのに!なんだその言い草は!!所詮、お前もプロダクション側(あっち側)なのかよ!?

そうだよなぁ!?興味があるのは評判や手柄、それについてくる金や名声だけなんだろ!!?」

 

「ちょ、オイ・・・落ち着けよ―――」

 

「うるせぇ!もうお前なんて同士(・・)だなんて思わねぇ!!

お前はプロダクション側(あっち側)の味方なんだろ!?どうせ、ここにいるのも惨めな俺を笑いものしたいだけなんだろ!!?そうだよなぁ!?そうに違いないんだよなぁ!!?」

 

「ちょ・・・た、大将!これ、お勘定!!オツリはいらないからっ!!」

 

「・・・はーい、まいど~」

 

「じゃあ!!」

 

「あっ!?待てよこのヤロ―――」

 

デザイナーの男が(酒の力もあるとはいえ)完全にイってるレベルで切れたことに恐怖した同僚は勘定を置き、オツリを受け取ることもなく逃げるようにその場から去ったのだった。

 

同僚が去りし後、

 

「どうてだよ・・・どうしてだよぉ・・・お前だけは分かってくれると思ったのに・・・お前は俺と同じ怪獣(・・)好き(・・)の同士(・・・)だったんじゃないのかよぉ・・・」

 

それまでの怒り狂った様子から一転、泣き崩れるデザイナーの男―――ついカッとなって言ってしまった事への後悔、そして何よりも・・・自分のことを、怪獣やヒーローへの愛を持つ同士だと思っていた同僚があんな冷めた事を言っていた事への失望がデザイナーの男を悲しませていたのだ。

 

すると、

 

「辛いよねぇ、お客さん。分かるよぉ」

 

「へっ?」

 

「いやねぇ、私は昔っから見てるからねぇ、怪獣を・・・絶海の孤島に住む巨大野獣、水爆が生んだ大怪獣、氷の下から蘇った火を噴く大怪獣、南海の孤島に住む巨大蛾、そして遠い星から来たヒーロー・・・色んな怪獣を見てきた。

だからこそ思う。今は違う―――怪獣よりも金儲け、お客さんを楽しませるよりもお金儲け・・・全くもって違うよねぇ」

 

「・・・っ!大将ぉ・・・!!」

 

デザイナーの男に対し、おでん屋の主人―――顔を白塗りにした、太った喜劇王(チャップリン)のような男はうんうんと力強く頷きつつ、激しく同意した。

 

当然、自分の言い分や気持ちをおでん屋の主人が理解してくれた事にデザイナーの男は嬉し涙さえ流した・・・そんなデザイナーの男をおでん屋の主人は嫌らしい笑みを浮かべつつ見た直後、

 

「そこでだお客さん・・・こんな(・・・)ネタ(・・)あるんだけど・・・どうだい?」

 

「へっ?何コレ・・・?」

 

不意に、おでん屋の主人は屋台のおでん鍋に菜箸を突っ込み、おでん鍋の底に沈んでいた―――"赤い球"を取り出して皿に乗せ、デザイナーの男に差し出した。

 

「これはねぇ・・・お客さん(・・・・)の願いを(・・・・)叶えて(・・・)くれる(・・・)究極のアイテムだよ」

 

「俺の・・・願い?」

 

「そう、お客さんの願いだよ。お客さん、怪獣が好きなんだろう―――それも、強くて怪獣(・・)らしい(・・・)怪獣(・・)が?」

 

「・・・確かに、俺は強くて怪獣(・・)らしい(・・・)怪獣(・・)が大好きだ―――誰かの操り人形なんかじゃない、みんなに恐れられて、大暴れする大怪獣を!!」

 

「おぉ、素晴しい!それでこそ怪獣だよねぇ。やっぱり、怪獣は暴れてこそ、己の力を誇示してこそ怪獣なんだよねぇ・・・『暴れなければ大きな動物と変わらない』とかヌカした輩もいるが、怪獣ってのは動物なんかと訳が違うから怪獣、そうだろお客さん?」

 

「そうだ!その通りだ!!怪獣は動物とは一線を画する力を、能力を持つから怪獣なんだ―――そんな怪獣を、宇宙人ならともかく人間ごときがペットや相友達に出来るわけがないんだ!!怪獣は、怪獣は・・・恐れられてこそ怪獣なんだっ!!!」

 

おでん屋の主人がデザイナーの男に差し出した赤い球・・・人の欲望を際限なく取り込み、人の願いを具現化させる究極のアイテム、を手にしたデザイナーの男は思いの丈を、男が持つ怪獣への思いの丈を叫んだ―――その瞬間、

 

―――願エ、我二願エ・・・願イヲ何デモ叶エヨウ・・・ソレガ、我ガ役目・・・―――

 

「!?た、球が喋った―――」

 

突然、デザイナーの男が手にした赤い球が喋った(・・・)―――人間が持つあらゆる欲望、金銭欲、名誉欲、支配欲・・・そのようなありとあらゆる欲望を叶えるため、超科学によって造り(・・)出された(・・・・)赤い球にかかれば喋ることなど他愛もない。

 

同時に、デザイナーの男は全てを理解した。

 

"コレは夢じゃない、現実だ"

 

と。

 

だからこそ、やるべき事も分かった。

 

―――サア、願イヲ言エ・・・ドンナ願イモ叶エヨウ・・・―――

 

「俺の願い、ソレは―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大人の事情とかいう、そんなちっぽけな、どうでもいいくだらねー理由で活躍の場を奪われちまった、俺の(・・)怪獣(・・)の晴れ姿を見たい!!

赤い球よ、願いを叶えてくれっ!!!」

 

―――ソノ願イ、叶エヨウ―――

 

デザイナーの男は願いを、一人の"怪獣のデザイナー"としての願いを赤い球に願い、赤い球はその願いを・・・叶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――グオオオオオオオオォォォ!!―――

 

「で・・・たぁ!本当に出た!マジで・・・マジで、カイザーギラレス13世だっ!!!」

 

怪獣デザイナーの男の願いを赤い球が叶えた事で「ちっぽけでどうでもいいくだらねー理由」もとい「大人の事情」で活躍の場を奪われた男の怪獣―

 

直立二足歩行の「ザ・王道」の怪獣形態にして、全身を眩い黄金の鎧で覆いつつ、右手には鉄球、左手には大きな鍔つきの長剣を携えた怪獣、

 

『呪われた血族の末裔にして、数千億年に渡って幾多の宇宙文明を滅ぼし続けた破壊者。

その破壊者の宿命は13世という最も不吉な数字にまで引き継がれ、歴代最強最悪の宇宙凶獣が誕生した』

 

という設定を持つ・・・否、その全てを具現化(・・・)した(・・)存在、巨影「宇宙凶獣 カイザーギラレス13世」が雄々しくも禍々しい咆哮を轟かせた。

 

「素晴しい・・・さて、ではあの怪獣のお手並み拝見といきますか」

 

具現化し、産声がわりの咆哮を轟かせたカイザーギラレス13世を、"我が子"であるカイザーギラレス13世を見て嬉し涙すら流す怪獣デザイナーの男を尻目に、いつの間にかおでん屋の主人―――その実は宇宙人にして、様々な世界を渡り歩く能力を有し、渡り歩いた世界で掘り出し物の怪獣を捕獲しては売りさばく『怪獣バイヤー』の異名を持つ宇宙人『宇宙魔人 チャリジャ』が変装を解き、カイザーギラレス13世の動向を観察していた。

 

全ては、カイザーギラレス13世がどれほど役に立つか―――どれほどの高値で売れるか見極めるために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――グオオオオオオオオォォォ!!―――

 

「!?ば、化け物だーーーっ!!」

 

「た、助けてーーー!!」

 

「に、逃げろーーーっ!!」

 

 

―――グオオオオオオオオォォォ!!―――

 

―――ドォオオオォォォン!!――――

 

「「「ぎ、ぎゃああぁぁっ!!?」」」

 

燃え盛る街、もうもうと上がる黒煙と爆炎、そして・・・その燃え盛る街のど真ん中で暴虐の限りを尽くし、大暴れを続ける巨影―――あのカイザーギラレス13世がそこにいた。

 

「いいぞいいぞカイザーギラレス13世!全部ぶっ壊せ!一人残らず焼き払え!!とにかく畏怖されろ!!!それでこそ怪獣―――俺の考えた最強の怪獣だ!!」

 

―――グオオオオオオオオォォォ!!―――

 

そんなカイザーギラレス13世を興奮気味に、それでいてまるで子供の晴れ姿を見守る親のように嬉しそうに見つめる一人の男―――あの怪獣デザイナーの男、がカイザーギラレス13世が暴れる間近にあるビルの屋上に立っていた。

 

「何で・・・何で怪獣が・・・それも、カイザーギラレス13世が現実にいるんだよ・・・!?こんなの、ありえないだろ・・・!!?」

 

不意に、カイザーギラレス13世の"晴れ姿"を嬉しそうに見つめる怪獣デザイナー男の背後で声が聞こえた―――怪獣デザイナーの男に呼び出され、ビルの屋上にやって来た怪獣デザイナーの男の同僚だった。

 

「オイオイ、これは紛れもない現実だ・・・アレはマジの、本物のカイザーギラレス13世だ―――俺の自慢の"息子"だよ。

んで、これは息子の"晴れ舞台"さ―――怪獣なら街をぶっ壊してナンボ、暴れてナンボだからなぁ。

んで、そんな"晴れ舞台"を是非ともお前にも見てもらいたくてなぁ・・・お前なら俺の気持ち、分かるだろ?怪獣好きの同士として」

 

目の前で実際に動き、吠え、そして全てを蹂躙するカイザーギラレス13世を見た同僚は、ただひたすらに「ありえない」を繰り返すばかりだったが、それを怪獣デザイナーの男がバッサリと否定した―

 

"これは紛れもない現実だ"

 

と。

 

―――グオオオオオオオオォォォ!!―――

 

「こ、こっちに来たぞーーー!!」

 

「く、来るなーーーっ!!」

 

「い、嫌だ!死にたくないっ!!」

 

―――グオオオオオオオオォォォ!!―――

 

―――ドォオオオォォォン!!――――

 

「「「ぎ、ぎゃああぁぁっ!!?」」」

 

 

 

 

 

「おぉ!スゲースゲー!今ので何人ぐらい吹っ飛んだんだろうな?なぁ、何人ぐらいだと思う?」

 

「・・・!・・・!!・・・!!!」

 

「・・・んだよ、何か言えよ。つれねぇな」

 

相も変わらず暴れ続け、目に映ったものは全て壊し、殺し、文字通り「怪獣らしく」振る舞うカイザーギラレス13世と、そのカイザーギラレス13世をあろうことか"応援"する怪獣デザイナーの男を同僚は呆然として見ることしか出来なかった。が、

 

「おかしいよ・・・」

 

「んぁ?何か言ったか―――」

 

「こんなの、間違ってる!そりゃ、俺だって怪獣を暴れさせたいとは思うさ!!でも、それはあくまでフィクションの世界の中じゃないとダメなんだ!!

こんな、こんな・・・現実の世界で、それも実際に人を殺してまで怪獣を暴れさせるなんて間違ってるぞ!!

もうこんな怪獣(・・)ゴッコ(・・・)は止めろ!怪獣(・・)ゴッコ(・・・)は卒業しろよ、俊介(しゅんすけ)―――」

 

目の前の惨状を前に、ひたすら言葉を失っていた同僚の男は必死で言葉を絞り出した―――これがいけなかった。

 

「オイ・・・今なんっつった・・・!!?」

 

「だから、こんな怪獣(・・)ゴッコ(・・・)は卒業しろって言ったん―――」

 

「ふざ、けんじゃねぇーーーっ!!!」

 

「がっ―――!?」

 

突然、同僚を怪獣デザイナーの男―――「俊介」が殴り飛ばした。

 

そんな俊介は明らかに怒っていた。何故なら、

 

「『怪獣ゴッコ』だと!?俺のカイザーギラレス13世の晴れ舞台を怪獣ゴッコだと!?(ひろし)テメェ、その言葉は俺たち怪獣好きの間じゃ一番の禁句だって分かってるだろうがよっ!!

怪獣をバカにするその言葉、俺たち怪獣好きにとって一番ムカつくその言葉を、お前が言うとかどういうつもりなんだよ!!?」

 

俊介が同僚―――「浩」を殴り飛ばした理由、それこそ浩が俊介に言い放った彼ら怪獣好きにとっての禁句「怪獣ゴッコ」を口にしたばかりか、自慢のカイザーギラレス13世の晴れ舞台をその怪獣ゴッコ呼ばわりされたからだ。

 

しかし、

 

「お、お前がやってるのは紛れもない怪獣ゴッコだ・・・怪獣ってのはフィクションの世界の中にしかしない。空想の産物だ・・・だからみんな好きになれる、だからみんな嫌わないんだ。

だって・・・現実にいたら危ない。ビルよりデカくて、口から火やら光線やら吐いて、戦車やミサイルでも倒せない・・・そんな化け物(・・・)を好きになるヤツがいてたまるかよ。だから、みんな怪獣はフィクションの世界の存在だって分かってるんだ。

でも、お前はそのフィクションの世界の化け物を現実世界に呼び出した・・・もう、みんなその怪獣を好きになることはないぞ。だって・・・危ないからな。危険だからな。人を殺して街を壊すからな」

 

「・・・・・・・・・」

 

浩の言った言葉に押し黙る俊介。

 

何故なら浩の言葉は紛れもない正論だからだ。一片の隙もない、反論のしようも揚げ足の取りようもないド正論だからだ―――

 

「浩・・・お前、バカか?」

 

「はっ・・・?俊介、なに言ってんだ―――」

 

「あのな浩、そんなの俺は分かってるんだぜ?

怪獣がフィクションの世界にしかいない?当たり前だろ。あんなデカくてぶっ飛んだ能力があるのがいてたまるかよ。

怪獣が現実にいたらみんなに嫌われる?当たり前だろ。怪獣は怪獣ってだけで怖がられて、デカいってだけで経済を麻痺させて混乱させるんだよ。

そんなの、俺ら(・・)にとっては常識だろ(・・・・)。俺らは怪獣のことをよく知ってるからな」

 

「じ、じゃあ、何で―――」

 

必死の思いを、思いの丈を叫ぶ浩を、俊介は憐憫の目で見つめつつ、俊介もまた浩に一片の隙もない、反論のしようも揚げ足の取りようもないド正論をぶつけた―――彼ら怪獣好き(・・・・)の人間(・・・)にとっての(・・・・・)ド正論(・・・)にして常識(・・)をだ。と、同時に、

 

「お前の言う通りさ。俺が今やってるのは怪獣ゴッコさ・・・でもな、こんなすげぇ怪獣ゴッコ、普通なら絶対に出来ないぜ?

見て見ろよ!マジの怪獣が、生きてる本物の怪獣が目の前にいるんだぜ!?しかも、その本物の怪獣は俺の言うこと聞いて暴れてくれる―――こんなの、最高じゃねぇか!!

ソフビで出来たニセモノじゃない、オモチャじゃない、マジの怪獣で暴れられる・・・こんなチャンス、もう二度と無いんだ!!だから、俺は全力でカイザー(・・・・)ギラレス(・・・・)13世で(・・・)怪獣ゴッコ(・・・・・)をするんだ(・・・・・)!!」

 

「・・・はっ?はぁあぁっ!!?俊介・・・お前、なに言ってるんだ・・・?」

 

興奮気味に、それでいて本当に嬉しそうに話す俊介と、俊介の放ったまさかの言葉を受けて呆然とするしか無い浩。

 

そう、あろうことか・・・俊介はカイザーギラレス13世で怪獣ゴッコをしているのだ―――怪獣が大好きで、いまだに夢見る・・・大人に(・・・)なれない(・・・・)大人(・・)として―――

 

―――グオオオオオオオオォォォ!!―――

 

―――ドォオオオォォォン!!――――

 

「おっ―――」

 

「えっ―――」

 

不意にカイザーギラレス13世が放った光線、の余波によって俊介と浩がいたビルが崩れ落ち、二人は瓦礫の中へと消えていった―――カイザーギラレス13世が、怪獣という存在が持つ人知を越えた力・・・の余波によってだ。

 

 

やはり、怪獣は人間ごときにはどうしようも出来ないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「素晴しい!これは素晴しい!!これならトンデモナイ高値で売れるでしょう!ということで、さっそく捕獲を―――」

 

俊介と浩が崩れたビルの瓦礫の中へ消えた直後、それまでずっとカイザーギラレス13世の暴れっぷりを傍観していたチャリジャが、カイザーギラレス13世の背後の空中に姿を現わした。

 

そんなチャリジャは相当にご機嫌だった―――目を付けていたカイザーギラレス13世の強さ、怪獣らしさ、恐ろしさ、全てがチャリジャが今まで捕らえ、売りさばいてきたどの怪獣よりもスゴかった。

 

だからチャリジャはカイザーギラレス13世を売りさばけばどれほどの利益になるか、あるいは自分で使ってもいいかな。等とのんきに考えていた―――『取らぬ狸の皮算用』をしてしまっていたのだ。

 

さっさとカイザーギラレス13世を捕まえればよかったのに―

 

―――グオオオオオオオオォォォ!!―――

 

「えっ―――」

 

―――ドォオオオォォォン!!――――

 

不意にカイザーギラレス13世が吠えた―――瞬間、カイザーギラレス13世の十八番、カイザーギラレス13世の体を中心として、その全方位に無数の、逃げ場にないほどに無数のビーム光線を放つ技、を放った。

 

当然、完全に油断していたチャリジャが無数の、逃げ場のないほどに全方位に放たれるビーム光線から逃れられる訳も無く、チャリジャは悲鳴すら上げる間もなく塵となって消え失せた。

 

―――グオオオオオオオオォォォ!!―――

 

「いい・・・ぞ・・・カイザーギラレス13世・・・お前は、誰か・・・に・・・使われるよう・・・な・・・怪獣じゃ・・・ない・・・怪獣は・・・ペットや家畜とは違う・・・って思い知らせ・・・ろ・・・」

 

チャリジャを屠ったカイザーギラレス13世、の得意気な後ろ姿を見て、虫の息の俊介は嬉しそうに言葉を漏らし他・・・直後、俊介はガクッと項垂れるとそのまま動かなくなった。

 

だが、その時の俊介の顔は―――とても満足げだった。

 

「怪獣好きの最期は・・・やっぱ、怪獣に殺されることだよな。それでこそ真の怪獣好きってモンだよ」

 

「えぇ~・・・いくら怪獣好きでも、怪獣に殺されるのはちょっと・・・」

 

「なに言ってんだよ浩。車に撥ねられたり、心臓発作で死ぬよりも怪獣に殺される方が怪獣好きとしては誇れる死に方じゃねぇか」

 

「そ、そうかなぁ・・・」

 

かつて、浩は俊介と怪獣について色々と語り合った際、こんな事を言っていた―――かつて言った言葉が現実となったのだ。

 

何という皮肉―――否、"真の怪獣好き"を自称する俊介にとって怪獣に殺された事は、ましてや自分の自信作のカイザーギラレス13世に殺されるならば本望だろう。

 

だから俊介は笑顔で逝ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――グオオオオオオオオォォォ!!―――

 

―――ドォオオオォォォン!!――――

 

「う、撃て撃てー!これ以上、怪獣の進行を許すなーーーっ!!」

 

「撃て撃て!一刻も早く怪獣を駆逐するんだ!!」

 

「ダメです・・・戦車大隊、損耗80%!どうやっても怪獣は止まりません!!」

 

「い、一体どうすればいいんだよ・・・!?」

 

突如として大都市のど真ん中に出没し、その巨体と圧倒的な強さで全てを"蹂躙"する巨影「宇宙凶獣 カイザーギラレス13」に対し、出動した自衛隊の戦車大隊や戦闘機部隊が砲撃を行っていた。

 

だが、カイザーギラレス13世のあまりの圧倒的な強さの前では自衛隊など何の役にも立たなかった。

 

「な、何かあの怪獣には弱点は無いのか!?円谷作品に出てくる(ウルトラ)怪獣なら怪獣に弱点があるのに―――」

 

―――グオオオオオオオオォォォ!!―――

 

―――ドォオオオォォォン!!――――

 

「「「!?ぎ、ぎぃやぁあああ!?ああぁ・・・あぁ・・・」

 

尚も止まらないカイザーギラレス13世の進行と暴虐を前に、一人の自衛官が怪獣にとってのお約束(そんなこと)を呟いた―――矢先、件の自衛官は同僚や戦車もろともに吹っ飛んだ。

 

だが、残念ながらカイザーギラレス13世には弱点なぞ存在しない。

 

何故か?

 

 

「『怪獣は必ず倒される運命にある。死ぬと決まった運命を背負い、生まれてきた哀れな怪獣に一度でいいからこの世界を征服させてやりたいんです』って迷言あるじゃん?

アレさ、仕方ないとはいえ怪獣が可哀想だろ・・・だから、俺は絶対にカイザーギラレス13世に弱点は作らない!カイザーギラレス13世は無敵の、最強の、弱点ナシの大怪獣なんだ!!」

 

とある男が、カイザーギラレス13世の生みの親にして、怪獣好きの男は自信作のカイザーギラレス13世に弱点を作らなかった。

 

同時に、男は怪獣を愛していた―――怪獣というフィクションの世界の産物から卒業していなかった。

 

卒業しておけば、距離を保っておいてくれたら勝てたかもしれない。 

 

あるいは―――怪獣に"愛"がなければカイザーギラレス13世は弱かったかもしれない。

 

マグロ食ってるイグアナ

 

11億円の大赤字を出したカメとエリマキトカゲの出る怪獣特撮映画

 

神だ何だとか言われているクセに、呆気なかった黄金の三頭の宇宙竜

 

のように、登場する怪獣を創造したスタッフ(人たち)に"愛"がなければ出てくる怪獣も弱く、勝てたかも知れない。

 

だが、カイザーギラレス13世を作った俊介は怪獣への愛に満ち満ちていた―――だからカイザーギラレス13世には弱点が存在せず、無敵だった。

 

不完全だからこその希望―――不完全で抜け目があるからこそ、弱点もある。

 

完全完璧だからこその絶望―――もうそれ以上にどうしようもなく、抜け目も無い、文字通りの完全無欠。

 

残念ながら・・・カイザーギラレス13世は怪獣への愛に満ち満ちた男によって生み出された完全無欠の怪獣だった。

 

だから倒せないのだ。

 

「もう大人なんだし、ウルトラマンや怪獣は卒業すべきだよ・・・アレは子供が見るもので、子供の(・・・)ため(・・)のもの(・・・)なんだからさぁ・・・」

 

「"虚構の世界で夢に酔いしれている、外見だけは大人で心はいつまでも子供"という人間を育てたくないんだよ、僕は」

 

「別に好きでもいい。夢を見たっていい。でも、大人が子供を押し退けてまで楽しむのはみっともないわ。ああいう人たちを『大きなお友達』って言うのよ」

 

もしも俊介がこの言葉の通り怪獣を卒業、あるいは一定の距離を保っていればカイザーギラレス13世に弱点が生まれたかもしれない。

 

だが、俊介は違った―――だからカイザーギラレス13世は完全無欠だった。

 

「ヒーローや怪獣は卒業すべきだよ・・・それが大人になるって言うことさ」

 

「大人は一歩下がって、子供に譲るべきだ。それが卒業するってこと、大人になるってことさ」

 

そう、大人は一歩引いて、次の世代に(こどもたち)に譲ってあげる"気遣い"を持てる、持つべき存在だ―――

 

「はぁ?自分で稼いだ金なんだからどうしようが勝手だろ?何でガキに遠慮しなきゃいけなんだよ?」

 

「今や、俺らオタクが作品や経済を回してるんだよ!金も落とさないガキに気を配る必要なんてナシ!!」

 

「カッコいいな~!買い占めよっと!!」

 

「いいわぁ~!〇〇ちゃんが声やってるとかマジ最高!!次回も見るぞぉ!!」

 

残念ながら、今はその大人になれない―――譲ったり、気遣うことが出来ない

 

「肉体的には大人でも、精神は子ども・・・あるいは子ども以下」

 

な人間が増えている。

 

「お前の言う通りさ。俺が今やってるのは怪獣ゴッコさ・・・でもな、こんなすげぇ怪獣ゴッコ、普通なら絶対に出来ないぜ?

見て見ろよ!マジの怪獣が、生きてる本物の怪獣が目の前にいるんだぜ!?しかも、その本物の怪獣は俺の言うこと聞いて暴れてくれる―――こんなの、最高じゃねぇか!!

ソフビで出来たニセモノじゃない、オモチャじゃない、マジの怪獣で暴れられる・・・こんなチャンス、もう二度と無いんだ!!だから、俺は全力でカイザー(・・・・)ギラレス(・・・・)13世で(・・・)怪獣ゴッコ(・・・・・)をするんだ(・・・・・)!!」

 

あの俊介もそんな人間の一人だったのだろう―――

 

「戦艦、刀と擬人化してヒットしたし、次は怪獣を擬人化しよう」

 

「えぇ・・・怪獣を擬人化、ですか・・・?」

 

「そうそう、今時はとりあえず擬人化すれば売れるの。それもムチムチのボインボイン、あるいはロリにすりゃいいんだよ」

 

「・・・・・・・・・」

 

「絵師は・・・あぁ、この絵師で良いか。この絵師、人外娘とかよく書いてるし。何よりも安く依頼できるし」

 

「え!?で、でも・・・この人ってエロゲーの会社の人ですよね?そんな人に書かせるんですか・・・」

 

「・・・何?お前、さっきから反論ばっかりだけどさ、じゃあお前ならもの凄く儲かるアイデアでもあるの?」

 

「は、はい。ありますよ。今は王道(・・)が少ないですから、もっとバトルも力を入れて、デザインももっとカッコよく―――」

 

「あのなぁ・・・今時、王道とかどーでもいいの。っていうか、逆に王道とかしようとすれば予算がオーバーしちゃうの。カツカツなの。分かる?」

 

「・・・そ、それは・・・その・・・」

 

「それに、どうせ"中の人"やるならタンクトップのオッサン(スーツアクター)じゃなくて、可愛い娘ちゃん(今時の声優)の方がオタク共も飛びつくんだよ。分かる?これはな、ビジネスなんだよビジネス」

 

「・・・はい・・・」

 

 

とはいえ・・・世の中はかなり変わってしまった。

 

だから俊介だけが悪い訳でも、特別でもないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アナタは"大人"になれていますか?

 

あるいは・・・

 

アナタの周りには"大人になれる環境"が存在していますか?




如何でしたでしょうか?

今回は2018年の12月に販売された小説

『ティガ・ダイナ&ウルトラマンガイア~超時空のアドベンチャー~』に登場する怪獣こと『宇宙凶獣 カイザーギラレス13世』に登場してもらいつつ、色々とメタなネタをねぇ・・・

※浩、俊介も件の小説のキャラをモチーフにしてます。

また、

「"虚構の世界で夢に酔いしれている~」は脚本家、故・首藤剛志さんの発言。

「『大きなお友達』って言うのよ~」は声優の久川綾さんの発言

です。(首藤さんは『虚構の世界で~』に「大人になれない大人」に増えて欲しくないという願いを、久川綾さんは『美少女戦士セーラームーン』のイベントで子供を泣かせた"みっともないオタク"=「大人になれてない大人」を心配した発言、ということで今回のお話にピッタリなので引用させて頂きました)

ちなみに、作中の会話がエラい生々しい、エラい内部事情的な理由は・・・まぁ、フフッ・・・(ちなみに、僕の相方は怪獣とかに理解あるので助かりますが)

正直、件の『超時空の~』を呼んで思ったのは・・・

「コレ、長谷川圭一さんの本音&愚痴の詰め合わせじゃね!?」

ですかねぇ・・・いや、マジでそうでしょ。小説を読めば僕が言いたいこと分かります。

今回、色々と過激に書きましたが・・・別にね、怪獣やヒーローが好きでもいいんですよ。僕も好きですし。

ただ、やはり大人が子供を押し退けてまで"子供のためのもの"に夢中になるのは間違っていると思う・・・やはり、大人は一歩引くか、趣味の合う人同士でやるべきかと。

公の場でいい年こいた大人がやるのは・・・ねぇ?(休みの日にポ〇モンセンターの前とか通ってみて下さい。いい年した大人が、子供のための、子供が座る椅子やソファーを占拠してゲームしてる・・・そういうのです)

ですが、同時に明らかに企業も"オタクのみ"を狙ったようなのばかり出してるのも、まぁ、うん・・・

ま、とりあえず

「マナーを守って、楽しく、それ相応に振る舞いましょう」と「"思いやり"を大事に」ですかね、今回いいたかったのは。

余談ですが、個人的にツボに入ったのは件の小説内で

『バラエテェイ番組で芸人たちが特撮ヒーローをあれこれ懐かしく語る番組~とある人気芸人が『怪獣はただの脇役、単なるヒーローの引き立て役』的な発言をした』

という一文を見て「長谷川さん・・・色々と見てるんだなぁ」と「あぁ、"あの番組"の"あの〇〇芸人のアレ"か」と合点がいったのですかねぇ(笑)

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