巨影都市オブ・ジ・エンド   作:銀色の怪獣

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どうも、お久しぶりです。銀色の怪獣です。

久しぶりの更新ですね・・・お待たせして誠に申し訳ありませんでした。

そのお詫び、というのはおこがましいですが、今回は無数の巨影が暴れます。なので、どうぞお楽しみに!!

一応、テーマとしてはタイトルにもあるように『公を害する』→『公害』ですね。

後、後書きにして色々と小ネタ・解説・次回予告もしております。よろしければご覧下さい。


第五十八話・公を害する無数の『巨影』

何気ない平和で当たり前の日常。もし、その平和で当たり前の日常に異形の存在「巨影」が現れたなら・・・

 

 

 

 

―――キョロロロロロ!フォフォフォフォフォ!!―――

 

 

「!?な、何だアイツはーーーっ!!?」

「ば、化け物だーーーっ!!?」

「う、うわーーーっ!?逃げろーーー!!」

「助けてーーーっ!死にたくないよーーーっ!!」

 

とある白昼の"大国"にある大都市にて―――

 

悲鳴を上げて逃げ惑う大勢の人々

ハンドル操作を誤って交通事故を起こして道を塞ぐ無数の車

そして辺り一帯に響く薄気味の悪い粘着質な音と奇妙な鳴き声もとい「咆哮」

 

という事態が、現象が件の大都市で同時多発的に起こり、今まさに大都市は大パニックの有様となっていた。

 

そんな大パニックの元凶こそ―――

 

―――キョロロロロロ!フォフォフォフォフォ!!―――

 

「化け物・・・だ!ヘドロの化け物だ!!」

 

身の毛もよだつような粘着質な足音を響かせつつ、大都市の中央を流れる大きな運河から巨大な何かが、俗に言う「巨影」が現れた。

 

縦に開いた赤い瞳孔をした目

不気味に発光しながらも時々膨らむ頭部

ボロ雑巾を幾重にも重ね合わせたかのような体

身動ぎする度に聞こえる粘着質な音と、その巨体から流れ落ちる悪臭を放つ汚泥(ヘドロ)で構成された巨影「公害怪獣 ヘドラ」が現れたのだ。

 

そんなヘドラは大都市に上陸すると―――

 

―――キョロロロロロ!フォフォフォフォフォ!!―――

 

―――ベチャ!ドチャ!グチャ!ビチャビチャッ!!―――

 

運河より大都市に上陸したヘドラは体中から辺り一面に、並み居るビル群や道行く車、逃げ惑う群衆へ、と無差別にヘドロをぶちまけ始めた。

 

一体、何の目的が、何の意味があってのことか―――実際、ヘドラがヘドロを建物や逃げ惑う人々にぶちまけているのには意味があるのだ。

 

ヘドラの体を構成しているヘドロに含まれる「ある恐ろしい秘密」があるから。

 

それこそ、

 

「ぎ、ぎぃやぁああぁぁっ!?か、体があ・・・熱い・・・!!?」

「何だコレ・・・!?体が・・・溶け・・・る・・・!!?」

「助けて・・・誰か・・・たすけ・・・て・・・!!」

 

「ひ、ひぃいぃっ!?ひ、人が、人が・・・溶けていく・・・!!?」

 

逃げ惑う人々に降りかかるヘドラのヘドロ。

 

そんなヘドロを人々が浴びれば、あろうことか今の今まで生きて動いていた人々はあっという間に死に絶えた・・・ばかりか、その遺体や服はあっという間に溶け、後には汚泥(ヘドロ)にまみれた白骨が残るだけとなっていた。

 

また、ヘドラが飛ばしたヘドロがビルに付着すればビルのコンクリートが溶け、鉄骨は錆び、結果として並み居るビル群が腐食して倒壊していった。

 

あるいは、ヘドラが飛ばしたヘドロが街路樹や花壇の花に付着すれば、街路樹の緑は一瞬で散り、間違いなく生きていたハズの街路樹は枯れ木となり、花は色を失った枯れ草の有様となっていた。

 

その光景は文字通り異常と言うほかになかった―――事実、異常であるが、同時に「極当然」でもあった。

 

何故なら、ヘドラの体を構成しているヘドロはあらゆる毒素と重金属を始めとした有害物質を秘めている・・・ばかりか、ヘドラの体のヘドロは2000ppm~3000ppmにも及ぶ強烈な硫酸を含んでいる。

 

そう、これがヘドラのヘドロを浴びたものたちが腐り、腐食し、死に絶えてゆく原因なのだ―――ましてや、今回へドラが出現したのは異常なまでに人口が増えたことにより、排出されるゴミの量を異常に増やしつつ、様々な産業廃棄物や汚水、あるいは有害物質を平然と川に、海に垂れ流す"大国"だった。

結果、ヘドラの有害さは、毒性は、強さは、異常なまでに高まっていたのだ。

 

―――キョロロロロロ!フォフォフォフォフォ!!―――

 

目を細め、体を小下身に揺さぶり、声を上げるヘドラ―――笑っているのだ。そんなヘドラが通った後には物言わぬ白骨が、残骸が、廃墟が残っているだけだった。

 

―――キョロロロロロ!フォフォフォフォフォ!!―――

 

自らが殺し、溶かし、腐らせて白骨にした人間たちや廃墟にした大都市を見て笑うヘドラ。

その様を、その行いを見れば万人が怒るだろう・・・残念ながら怒る権利は、ヘドラを責める権利は特に人間に無い。

 

何故ならこの「公害怪獣 ヘドラ」に異常な力を、強さを、危険性を与えたのは他ならぬ人間だ―――川に、海に、大地に、森に、空に、果ては宇宙に・・・と、今や人間が汚してゴミを捨てていない場所は存在しない。

 

―――キョロロロロロ!フォフォフォフォフォ!!―――

 

そして、その人間が汚した自然の、自然の中に捨てたゴミが、有害物質が、水銀、コバルト、カドミウム、鉛、硫酸、オキシダン、シアン、マンガン、バナジウムクロム、カリュウム、ストロンチュウムなどを垂れ流した人類の"業"が巨影・ヘドラを生み出して悲劇を生んだのだ。

 

果たしてこの一連の事案に文句を言う権利が、ヘドラという巨影を憎む権利が人類にあるのだろうか?

 

特に、今回ヘドラが上陸した"大国"はこの先進の時代でも汚染物質をその辺に垂れ流し、異常な量のゴミを分別もせずに捨てまくっている・・・これではヘドラが現れても当然なのだから。

 

―――キョロロロロロ!フォフォフォフォフォ!!―――

 

「ミ、ミサイル発射ーーーっ!!」

 

とはいえ、ヘドラのような特級の危険な存在を野放しにすれば、ヘドラを生み出した"大国"はもとより、他の国々も被害を被るのは火を見るより明らかであった。

なので、当然のように人々はヘドラを退治しようと躍起になった。

が、ただでさえ体が超高濃度の硫酸を含むヘドロで構成されているヘドラには戦車砲やミサイルなどの攻撃は効果を発揮する前に溶ける。

あるいは、そもそも汚泥(ヘドロ)という打撃や砲弾などの質量攻撃が突き抜けてしまう物で出来ているヘドラを倒すのは不可能に近かった。

 

「そ、そうだ!ヤツはヘドロだから乾燥させてしまえばいいんですよ!こう・・・猛烈な火力で炙ってしまうとか、あるいは巨大な放電板をたくさん組み立てて電子レンジのような装置を作って、それでヤツを乾燥させれば―――」

 

そんな中、ヘドラが汚泥(ヘドロ)故に乾燥に弱いと判断した科学者がヘドラの退治方法を軍などに提案した。

 

が、

 

数万トンのヘドロで構成されたヘドラを乾燥させるだけの火力を用意するなど不可能に近い。

 

そんな巨大な電子レンジのような装置、作るのにどれだけの手間や予算、人手がいるか分からないし、そもそもがヘドラが暴れているのに時間がかかりすぎる事を出来るわけも無い。

 

そして極めつけ、というか根本的な問題として―――仮にその装置を作ったとしても、ヘドラが絶命するまでその中にいてくれるだろうか?というか、どうやってヘドラを装置の所まで誘導するのか?そもそも誘導できるのか?

 

といった具合に、学者が提案した方法は問題や欠点がありすぎたのだ。

 

―――キョロロロロロ!フォフォフォフォフォ!!―――

 

そうこうしている間にも、ヘドラは暴れに暴れた。

 

結果、犠牲者は数千万人に達し、オマケに広範囲の自然が蝕まれていった・・・だが、それでもヘドラに対抗する手立ては、人類にはどうする事も出来なった。

 

つまり、もはや人類にヘドラに対して打つ手は無い―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と思われたが、

 

「今だ!ヤツの頭からぶちまけろーーーっ!!!」

 

「「「了解ーーーっ!!!」」」

 

―――ドサッ!ボフッ!!―――

 

―――キョロロロロロ!?フォフォフォフォフォ!!?―――

 

勇ましい上官の声を合図に、ヘドラの上空で飛び回る航空輸送ヘリに搭乗している"大国"の軍隊がヘドラに向かって"何か"を投下し、その"何か"を浴びたヘドラが悲鳴を上げて悶え苦しんでいた。

 

そんな"何か"とは・・・「灰」だった。いわゆる「燃えカス」だったのだ。

 

そう、いま軍隊がヘドラにぶちまけているのは灰だったのだ。

 

しかし、なぜ軍隊はヘドラに灰をぶちまけているのか?

というか、何故ヘドラは灰を浴びると苦しむのか?

 

実は灰というものはアルカリ(・・・・)()なのだ。

一方で、そんなアルカリ性の灰を浴びているヘドラは、ヘドラの体のヘドロは硫酸、つまり酸性(・・)だ。

 

そう、硫酸のヘドロの体を持つヘドラに対し、アルカリ性を持つ灰をかけると「中和反応」が起きるのだ―――結果、ヘドラの最大のアイデンティティーにして危険な点である「硫酸のヘドロの体」を、その硫酸を灰が持つアルカリ性が中和してしまえば、ヘドラの危険性はグッと下がる。

 

加えて、灰は非常に強力な脱水作用も持っている―――ヘドラの、汚泥(ヘドロ)の最大の天敵・乾燥を引き起こす脱水作用、あるいは有害物質などを吸着する作用を灰は持ち合わせているため、ヘドラにとって灰は危険すぎた。

 

そして極めつけが―――灰は一本で数百~数千万円もするために用意に手間取るミサイルや戦車砲と違い、ほぼ(・・)費用が(・・・)かからずに(・・・・・)いくらでも用意できるのだ。

特に、世界中で人口が爆発的に増えている現代ならば灰はいくらでも手に入る―――例えば、島国・日本では年間に約5万トンものゴミが発生し、それに伴って数万トンもの灰も出るという。

 

そして、今回ヘドラが出現した"大国"に至っては年間10億トン超ものゴミを排出している・・・それはつまり、

 

「行け行け!投下して投下しまくれ!!ヤツを灰で(・・)生き埋め(・・・・)にして(・・・)動きを(・・・)封じる(・・・)んだ(・・)ーーー!!」

 

「「「了解ーーーっ!!!」」」

 

―――ドサッ!ボフッ!!―――

 

―――キョロロロロロ!?フォフォフォフォフォ!!?―――

 

次々と無数の航空輸送ヘリから投下される灰に、それこそヘドラを完全に埋めてしまう量の灰によってヘドラは動きを封じられた。

 

そんな灰に埋もれたヘドラは、灰のアルカリ性によって体のヘドロの硫酸を中和され、灰の持つ脱水・吸着作用によってカラカラに渇き、とうとう灰の山の中で全く身動きが出来なくなってしまった。

 

「よし、後は徹底的に燃やすんだ!灰の中まで、ヤツが二度と蘇ってこないようにな!!」

 

「「「了解ーーーっ!!!」」」

 

だが、軍隊はヘドラへの攻撃の手を緩めなかった。

軍隊は灰の山に埋もれたヘドラを、もう身動きすら出来なくなったヘドラに対し、灰の山に燃焼材を浸透させてから火を放った。

その後軍隊は、"大国"は灰の山に埋もれたヘドラを、ヘドラ(・・・)だったもの(・・・・・)を何週間にも渡って燃やしつづけた―――後にはただの"燃えカス"のみが残っただけだった。

 

こうして人類を恐怖のどん底に落とし入れた"人類の罪の化身"ことヘドラは、まさかの「人類が出した廃棄物」によって駆逐されたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、ヘドラの場合はまだ(・・)よかった《・・・・・》。

何故なら、ヘドラは人類が(・・・)対抗(・・・)できる(・・・)対抗手段(・・・・)を用意《・・・》出来る(・・・)相手(・・)だからだった。

 

これが本当に人類に手に負えない相手だったら?

これがヘドラと違って「人類に対抗策が用意できな相手」だったら?

 

一体、どうなるのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――グワゥゥゥゥゥゥ!!―――

 

―――ゴゥオオオォォォッ!!―――

 

―――クゥエエエェェェッ!!―――

 

「!?う、嘘だろ・・・また怪獣が・・・それも、何匹も出て来やがったぞ!!?」

 

あの人類の業の象徴して恐怖の象徴・ヘドラが退治されてからわずか数週間後、ふたたび"大国"に巨影が出現した。

 

それも、複数体が一度にだ。

 

―――グワゥゥゥゥゥゥ!!―――

 

まず、"大国"が河川や海に垂れ流す有害物質や重金属を物ともせず・・・どころか、それらの有害物質をさも美味そうに、掻き込むように食らいながら"大国"の海から現れて上陸したのは、背中に巨大な鰭にして翼を持ち、全身を深緑のなめし革のような皮膚で覆ったワニのような巨影、その名も「魔海獣 ダガーラ」だった。

 

―――グワゥゥゥゥゥゥ!!―――

 

「う、撃て撃てーーーっ!これ以上、ヤツの進行を許すなーーーっ!!!」

 

そんなダガーラに対し、かの"大国"は軍を出動させてダガーラの殲滅を命じた―――これがいけなかった。何故なら、

 

―――グワゥゥゥゥゥゥ!!―――

 

「!?ひ、ひぃいっ!?な、何だこの(・・)赤いの(・・・)!!?」

「オ、オイ!ソレ(・・)に触るな!!触ると―――」

「ぎ、ぎぃやぁああぁっ!?こ、この赤いの襲って(・・・)くるぞ(・・・)―――」

「って、オイ!?アイツ・・・溶けて(・・・・)いくぞ(・・・)!!?」

「そ、そんな・・・人間が生きたまま溶けるなんて・・・」

 

上陸したダガーラに対し、軍は躊躇なく攻撃を加えた。

 

結果、ダガーラは血を流し、その体からは赤い(・・)()が流れ出た―――「赤い血」ではなく「赤い粒」だった。

 

そう「赤い粒」がだ―――まるで珊瑚礁に生息する猛毒を持つヒトデ・オニヒトデのような赤い粒「べーレム」が軍の攻撃で傷付いたダガーラの傷口から流れ出した。

 

ばかりか、流れ出したべーレムは近くで動くものがあれば容赦なく飛び掛かり、それがヒトデも動物でも、果ては機械でも構わずに飛び掛かった・・・ばかりか、飛び掛かったべーレムは飛び掛かった相手に毒を注入したのだ。

 

人や動物が注入されたら最後、体中から赤い泡を吹いては生きながら溶けていくという恐ろしい毒、をべーレムは有しているのだ。

 

それが、べーレムが持つ毒も、あるいはべーレムを体内に有するダガーラも、海に流れ出た汚染物質などを元に、体内の毒素やべーレムを生成していた・・・そう、実はダガーラにしてもべーレムにしても、元を正せば人間が海などに垂れ流した汚染物質を人間に返しに来たようなものだったのだ。

 

つまり、ダガーラやべーレムを責める権利は人間にはないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、幸いにもダガーラやべーレムの毒素は「研究できる代物」だったから、あるいは「生物にしか効かない」からまだ(・・)よかった《・・・・》。

 

これがもしも「研究できない代物」で「生物以外にも効いてしまう」場合だったら?

 

 

 

 

 

 

―――ゴゥオオオォォォッ!!―――

 

ダガーラが"大国"に上陸したのと時を同じくして、ダガーラとは別の巨影が"大国"に現れた。

 

 

―――ゴゥオオオォォォッ!!―――

 

「何だアレ・・・?」

「ト、トカゲ・・・か?」

 

ダガーラとは別の巨影を見た人々はある意味困惑していた。

何故なら、件の巨影は本当に「トカゲ」という他に無い姿をしており、先のダガーラやヘドラと比べれば何の変哲もない、四つん這いで動き回る本当にトカゲそのものの姿形をしていたのだ。

とはいえ、その巨影は全長が60.96メートルもあり、体重は500トンを超える超大物で、更には率先して人間を襲っては捕食する危険な巨影でもあった。

 

―――ゴゥオオオォォォッ!!―――

 

そんな巨影の名は「原子怪獣 リドザウルス」だ。

 

そして、このリドザウルスだが、その実はダガーラやヘドラを鼻で笑う危険性を秘めていた。それこそ、

 

―――ゴゥオオオォォォッ!!―――

 

かの"大国"に現れた巨影・リドザウルスはその巨体で街を蹂躙しつつ、更には行く先々で食欲の赴くままに人を食べ散らかした。

 

「撃て撃て!あのトカゲを駆除(・・)するんだ(・・・・・)!!」

 

―――ゴゥオオオォォォッ!!―――

 

当然、その暴虐を軍が黙ってい見ているはずも無く、軍は戦車大隊や攻撃ヘリコプター部隊を率いてリドザウルスを駆除(・・)しよう(・・・・)としていた―――そう「駆除」だ。

 

そう、軍隊はまるでリドザウルスがそこまで危険でないかのような認識だった・・・まぁ、見た目も行動も完全にトカゲだし、大きさも先のへドラやダガーラに比べれば目で(・・)見て(・・)取れる(・・・)危険性(・・・)は「人を食べる」程度なので軍はおろか一般の人々もリドザウルスを侮ってしまった。

 

これが災厄の幕開けだった―――

 

「ミサイル、発射ーーーっ!!」

 

「「「了解っ!!!」」」

 

―――ドォンッ!!―――

 

―――ゴゥオオオォォォッ!?―――

 

尚も暴虐の限りを尽くすリドザウルスに対し、戦車大隊の一斉砲撃が炸裂してリドザウルスに血を流させた・・・刹那、

 

「うっ!?がっ・・・ぐぁあぁっ!?なん・・・だ!?コレは・・・!!?」

「さ、寒い・・・頭が痛い・・・腹が・・・いたい・・・うっ、げぇえぇっ!!?」

「は、はぁ・・・ど、どうしたんだ・・・立ってられ・・・ない・・・ぞ・・・!!?」

「な、何だコレ!?戦車が・・・戦車が変色して―――う、うわぁああぁぁっ!!?」

 

戦車大隊の一斉砲撃によってリドザウルスの体から血飛沫が飛び散り、その血飛沫が戦車大隊や軍の地上部隊に返り血となって降り注いだ。

 

すると、返り血を浴びた軍人は次々に体に異常を感じ、瞬く間にバタバタと倒れて行き、挙句はそのまま息絶えていた。

 

また、返り血を浴びた戦車や戦闘機は金属が変色し、そのまま計器が狂って使用不能、行動不能になっていた。

 

だが、それも当然の事。実はリドザウルスの体内および血液には未知の細菌が含まれている―――人間を含む生物を蝕み、挙句は無機質などにも影響を及ぼすような未知の細菌が、だ。

 

「ど、どうすればいいんだ!?ヤツの血液をサンプリングしようにも、ヤツの血液に触れることすらままならない・・・検体を採集できなければ、ヤツの秘密が暴けないのに!!」

 

勿論、人類だって黙って手をこまねいている訳も無く、リドザウルスおよびリドザウルスの血液などに含まれる秘密を暴こうと、リドザウルスの血液や肉片をサンプリングしようと試みた。

 

だが、リドザウルスの血液などに含まれる未知の細菌は、仮に防護服を着ていようとも防護服すら透過して人間を蝕み、あるいはドローンやラジコンなどを用いて血液などを採集しようとしても、血液に触れれば機械などでも問答無用で蝕まれてしまう―――つまり、リドザウルスの血液をサンプリングすることは全く叶わない状況だった。

 

それはつまり、人間にとって最大にして唯一の武器である「知識」が使えないという危機だったのである。

 

―――ゴゥオオオォォォッ!!―――

 

―――ドォオオンッ!!―――

 

「な、何だ!?あのトカゲ、口から白い炎を吐いたぞ!!?」

 

一方で、人間たちが自らに手出し出来ない事をいいことに尚も暴れるリドザウルスの身に異変が起きていた―――何と、リドザウルスが吠えるのと同時に口からは白い火焔を吐くようになっていたのだ・・・この白い火炎、実は放射能を多量に含む火炎であった。更に、

 

―――ゴゥ・・・オオオォォォッ・・・!!―――

 

「オ、オイオイ・・・あのトカゲ、タマゴを産んでるぞ・・・」

「ア、アイツ雌だったのか・・・?それにしてもどれだけ産むんだ・・・」

 

不意に、リドザウルスが動きを止めた―――かと思えば、何とリドザウルスが次から次に卵を産み始めた。

そう、リドザウルスは妊娠もとい抱卵していたのだ・・・しかし、このリドザウルスは「雄」である。そう「雄」なのだ―――なのに妊娠もとい抱卵し、産卵までしている。一体どういうことなのか?

 

と、ここで―――

 

―――ピィイィ・・・―――

―――ピィイィ・・・―――

―――ピィイィ・・・―――

―――ピィイィ・・・―――

 

「んっ?って、オイ!?卵が・・・卵が孵ってるぞ!!?」

「そ、そんな!?産んだばかりなのに何で―――」

 

―――ピィイィ!!―――

―――ピィイィ!!―――

―――ピィイィ!!―――

―――ピィイィ!!―――

 

「ぎゃああぁっ!?コイツら、襲ってくる―――」

「マ、マズいぞ!コイツら、親と同じで人を喰うぞ―――」

 

―――ピィイィ!!―――

―――ピィイィ!!―――

―――ピィイィ!!―――

―――ピィイィ!!―――

 

「う、うわぁああぁぁっ!!?」

 

突然、リドザウルスが産み落とした卵が動き、そのまま割れて中から幼体が次々と孵化し始めた・・・ばかりか、産まれたリドザウルスの幼体たちは親と同じく人間たちに襲いかかって捕食し始めた、

 

―――ゴゥオオオォォォッ!!―――

 

―――ピィイィ!!―――

―――ピィイィ!!―――

―――ピィイィ!!―――

―――ピィイィ!!―――

 

親に混じって、だ。

 

「クソっ!なんて厄介なんだ・・・あのヘドロの化け物や、ワニみたいなヤツの方が幾分かマシだぞ!!?」

 

人を喰い、血液や体内に未知の細菌を宿し、口から白い火炎を吐き、挙句は雄なのに妊娠もとい抱卵して産卵までする・・・リドザウルスとは何と危険な巨影であろうか。

 

そんなリドザウルスであるが、実を言えば人を喰って、せいぜい体内や血液に未知の細菌を宿す程度だった・・・それが、その「原子怪獣 リドザウルス」がこうも変ってしまったのは全て人間のせいだった。

 

何故なら、リドザウルスが、リドザウルスという原始の時代より生きていた怪獣に、現代の人間が、特にかの"大国"のように汚染物質や有害物質を山に、川に、海に、空に、と垂れ流して影響を与え続ければ・・・どんな影響を及ぼすか、何が起きるか全くの未知数なのだから。

 

 

そう、今回のリドザウルスの事態も全ては人間のせいだったのだ―――人間が起こした「何が起きるか分からない事態」に「巨影」という人知を越えた存在が絡めば、起きる悲劇や惨劇も計り知れないのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、人間が過去に幾度にも渡って起こしてきた「何が起きるか分からない事態」は、巨影すら巻き込んで影響を及ぼし、時に巨影(・・)への(・・)悲劇(・・)を生むこともある。それこそ、

 

―――クゥエエエェェェッ!!―――

 

「な、何だありゃ・・・!?鳥・・・か?」

「オイオイ、炸鸡(フライドチキン)にするにはデカすぎるだろ・・・!!」

 

けたたましい咆哮を上げつつ、かの"大国"の大都市のど真ん中に空より降り立った一体の巨影、青と赤のツートンカラーの羽毛、巨大な鉤爪の生えた翼、黄色の鋭い猛禽のような目、そして鋭い嘴と嘴の両脇にある巨大な袋を持つ"鳥"の巨影「火山怪鳥 バードン」がかの"大国"に舞い降りた。

 

そんなバードンがかの"大国"で真っ先にし始めたことはといえば―――

 

―――クゥエエエェェェッ!!―――

 

「ぎぃやぁあぁっ!?た、助けて―――」

「や、止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ・・・止めろーーーっ!!」

「ひぃいぃっ!?あの鳥、人を喰うぞ!!?」

 

かの"大国"に降り立ったバードンが真っ先にし始めたこと、それは「食事」だった―――旺盛な食欲と、生き物なら何でも餌にする貪欲さを持ったバードンにとって、たくさんいるし捕まえやすい人間は恰好の「エサ」だった。

 

しかも、かの"大国"は世界で最も人口が多い。

 

つまり、バードンからすれば、かの"大国"は"食べ放題のバイキングレストラン"みたいなものだった。

 

―――クゥエエエェェェッ!!―――

 

「ぎぃやぁあぁっ!?た、助けて―――」

「や、止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ・・・止めろーーーっ!!」

「ひぃいぃっ!?お願い、食べないで―――」

 

嬉しそうな声を上げ、次から次に人間を啄んでは胃の腑に収めるバードン。

 

そんなバードンであるが、腐っても「鳥」故に鳥の習性が残っていた―――鳥というエサを噛まずに丸吞みにする動物は、食べたエサを消化するために「砂嚢(さのう)」という器官に小石や砂を貯めておく習性があり、その鳥の怪獣であるバードンもまた、消化を助けるために石や土を吞んでいた。

 

巨体で、食べるエサも大きく、オマケに膨大な量のエサを食べるバードンの場合、砂嚢に貯めるために呑み込む石や土の量は半端ではなかった。

 

・・・今、バードンがいる"大国"は土壌汚染が進んでおり、オマケに野に、山に、川に、海に、と色んな場所に有害物質などを垂れ流し、不法投棄までしている。

 

なので、

 

―――クゥ・・・エエエェェェ・・・ッ・・・―――

 

ズゥウン、と地響きを轟かせつつ、苦しそうに呻きながら倒れるバードン。そんなバードンは・・・もう死んでいた。

 

その死因だが・・・何と「金属中毒」だった―――鳥の習性ゆえに呑み込んだ石や土に、土壌汚染や環境船が深刻な"大国"の石や土を大量に吞んだために、バードンは体を蝕まれて死んだのだ。

 

そう、あのバードンですら、巨影ですら蝕むほどに、人間たちが自然を汚し、有害物質などを垂れ流していたのだ。

 

同時に、

 

「何故なんだ・・・何故、何故あの鳥の化け物の死体は腐らないのだ・・・?」

 

かの"大国"にバードンが現れ、暴れて死んでからしばらく経っていた・・・が、何故かバードンの死骸は腐敗もせず、あるいは他の動物などに食べられることも、微生物などに分解されることも無く、ただそこに残っていた。

 

何故なら、死んだバードンの体内にはバードンを殺した有害物質などが濃縮されていたからだ―――

 

例えば、かの"大国"が河川や土壌に投棄している鉛や水銀やを始めとした重金属類は防腐剤の役割を果たすため、バードンの死体が腐らなくなる。

 

例えば、"かの大国"が河川や海、あるいは土壌の色を赤色や青色に変色させる程に垂れ流している有害物質は分解できる微生物がおらず、その分解できない有害物質が濃縮されたバードンの死体は、当然ながら動物や微生物が食べたり分解したりするハズも無い。

 

例えば、そんな有害物質が濃縮されたバードンの死体を燃やしたり、埋めたり海洋投棄すれば・・・発生する被害は未知数だった。

 

そう、バードンの死体がずっと残っているのは全ては人間のせいだったのである。

 

こうしてバードンの死体は「人間の業の象徴」を示す"オブジェ"となってずっと残ったという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――キョロロロロロ!フォフォフォフォフォ!!―――

 

―――グワゥゥゥゥゥゥ!!―――

 

―――ゴゥオオオォォォッ!!―――

 

―――クゥエエエェェェッ!!―――

 

ヘドラにしても、ダガーラにしても、リドザウルスにしても、バードンにしても、元から人知を越えた存在・巨影である彼らをより強大に、より恐ろしくしたのが何を隠そう、

 

巨影の被害者面(・・・・)をしている(・・・・)人間自身(・・・・)だということを、努々忘れてはならないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・むぅ、帰るぞラーよ。この星は諦めよう」

 

「えぇ?地球の侵略を止めるんですか?ゴリ博士。博士の作ったネズバートンなら、あの怪獣どもとも互角に戦えそうなのに―――」

 

「・・・フン、あんな化け物どもを意図せずに次から次に生み出し、それでも全く学習しない人類など、この私がコントロールする必要も無い。それに、あの怪獣どもも何と品のないことか・・・あんな怪獣ども、相手にする価値もない」

 

「ゴリ博士、もしかして・・・博士が作った怪獣が、あの怪獣どもと戦ったら負けるから地球を諦めるんでしょ―――」

 

「そんなわけあるか!私の作った怪獣ならば負けるハズない・・・だろうな、多分・・・って、それはもういい!とりあえず、この星にもう用は無いのだ」

 

地球で、地球で最も大きな大陸に存在する"大国"に次々に巨影が現れて暴れていた頃、地球の大気圏外に出て行った一艘の船が、それも宇宙船があった―――その船内には、地球人では無い人外の存在が二名ほど乗っていた。

 

そんな人外の存在、いわゆる「宇宙人」は、宇宙を放浪中にたまたま見つけた地球の美しさに惚れ込み、どうにかして地球を侵略しようとしていた。

 

だが、その美しい地球を、自らの母なる星を自らの手で汚し、挙句は異様な巨影たちを次から次に、凝りもせずに生み出す人類に対し、同時に生み出された巨影たちの異様さに恐れを・・・もとい見限りを付けた宇宙人たちは地球を去ったのだ。

 

「自分の理想と 目的持って、強く生きてる そのはずなのに・・・宇宙の敵だと 言われると、身震いするほど 腹が立つ・・・あぁ、本当に忌々しい!!あの星さえ、地球さえ手に入っていれば!!」

 

「ゴ、ゴリ博士落ち着いて・・・!!」

 

一度は喉から手が出るほどに欲しいと、何としてでも手にれてやると誓った地球を、諦めた宇宙人・・・どうみてもゴリラな、いわゆる「猿人」な二名の宇宙人の内、白い手袋と桃色の礼服のような服を着た猿人は、宇宙船の窓越しに遠ざかる地球を、その地球を諦めざるを得なかった事を怒り、荒らぶり続けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・「宇宙の敵」と言われた猿人にも見捨てられた地球および地球人は、果たして猿人以下なのであろうか?

 




如何でしたか?

今回は巨影が盛りだくさん―――いずれの巨影も、特撮ファンの間では「"今の"中華〇民共和国に出て来たらヤバいよね」と話題の皆さんですね。
もし、マジで今の中〇にヘドラやダガーラ出現した場合、ゴジラを鼻で笑う強さになるでしょうね。

ちなみに、このお話はユーザー・西園弖虎様とお話しする中で構想が出来ました。西園弖虎様、どうもありがとうございます。

で、その構想とは「ヘドラよりも厄介な公害の怪獣が出たら?」ですね・・・

しかし、意外にもヘドラって簡単に倒せますね。
だって、アイツの厄介な点って「硫酸のヘドロで体が出来ている」ですから。ならば、ソレを中和しちまえばいいだけのこと。
んで、僕考案の「灰ぶっかけ作戦」は灰はマジで酸を中和できる・脱水できる・圧倒的質量で埋めて動きを封じる・灰なので安く(ほぼタダで)手に入る・・・少なくとも「酸素爆弾投下作戦」や「電子レンジ作戦」よりはお手軽・現実的だと思いますが・・・?

・・・まぁ、ヘドラが大人しく灰を被ってくれるか謎(それ言ったら、あの電子レンジ作戦とかも大概なので)

次に、ダガーラの意外な恐ろしさ・・・アニゴジの小説・『怪獣黙示録』より引用です。

そして、まさかのリドザウルス・・・ヤツの恐ろしさ、ヤツを含めた怪獣の恐ろしさって「未知であること、よく分からないこと」ですからね。
人間は知恵が、知識があるから勝てる・・・もし、その知識が通用しない以前に「手に入らなかったら?」という感じですね。
って言うか、このリドザウルス完全にジラ・・・まぁ、僕はジラもリドザウルスも好きです。

んで、まかさのバードンは犠牲に―――現実世界でも、オオワシやハクトウワシ、シマフクロウなどの大型の肉食の鳥が鉛中毒・金属中毒で死んでますからね。
というか「巨影でも死ぬほどの汚染」っていう意味で、バードンには犠牲に・・・


そして、最後の"猿人"は・・・『宇宙猿人ゴリ』→『宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン』→『スペクトルマン』とタイトルが何度も変った伝説の番組の悪役たちです。
一応、あの作品も公害をモチーフにしているので・・・今の中〇を見たら、ゴリ博士なら

「毒ウナギ怪獣 イイーラ」(いわゆる『薬漬けウナギ』)
「毒黄砂怪獣 サンドラン」(有毒物質を含む黄砂)
「発ガン怪獣 アクダマーン」(発がん性物質)

とか生み出しそう・・・


以下、小ネタ

フュージョン・ライズ―――

シーリザー+リドサウルス=ゾンビ大怪獣ゾンビサウルス!!(細菌・ダイオキシン・不死・感染症)

バードン+ネズバートン=火山双頭怪獣ネズバードン!!(猛毒・人食い・病原菌・不死)

リドザウルス+ダガーラ=原魔大海獣 リドガーラ!!(細菌・猛毒)

いずれも、病原菌や公害、汚染をまき散らす特級の危険怪獣である。

※上記の怪合体獣たち、いずれもユーザー・青色好き様から頂きました。どうもありがとうございます。

さて、次回は作者が思う「現代社会に出現したら間違いなく危険な巨影」でお話をやります。どうぞお楽しみに~!!

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