ハイスクールD×D 第0宇宙の破壊神   作:オラオラドララ

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今回は第7宇宙へとお邪魔します。つまり、あちら側の主人公とのご対面です。

原作って読んでても全ての設定や展開を完璧に覚えてるってわけでもないんだよねって言う人、多分いると思います。私もうろ覚えな時がありますし、最新刊だってまだ読んでませんから。それで、この前20巻をチラッと読み返して見たところ、なんかイリナがミカエルに用意してもらった子作り部屋?があったじゃないですか。それを使おうとゼノヴィアとイリナが誘惑してきたのを、イッセーが『俺が疲れてくる時にしか誘惑してこない、ムラムラしてる時には誘ってこない』とか『自分から行くのは他の女の子の手前故に難しい』で結果、二人が空気読めない奴ら扱いされてるのを見て、流石にこの時のイッセーはクズすぎないかと戦慄してしまいました。要するに、俺に合わせろってことでしょうか?これを見てイッセーを擁護できるファンは勇者じゃないかなっていうくらい酷いありさま。お前、それでもハーレム王になるやつなんか?割と多い頻度で眷属達とズッコンバッコンしてそうなライザーの方がまともじゃないか?

それではどうぞ


第16話 第7宇宙へお邪魔します

ブランside

 

数日後

 

「お前ら、今日は修行は無しで『ある所』に行くぞ」

 

朝起きて、飯を食った後に『さぁ、修行の時間だ』とでも言いたげにやる気を出しているティアマットとオーフィスにそう言うと、2人は首をかしげる。

 

「行くって……どこへ?」

 

「第7宇宙だ」

 

「えっ、他の宇宙に行けるの!?本当に!?」

 

ティアマットは随分とワクワク感を膨らませているが、オーフィスはまだ首をコテンとさせており理解が追いついていないようだ。なので、コイツのために俺は手短に説明をする。

 

「他の宇宙、地球、食べ物、食べられる」

 

「わーい、やったー」

 

伝わった。マジで伝わったぞ。

 

「まぁ、食べ物もそうだが、お前達には俺以外の強敵ってのをその目で見てもらいたいってのもある」

 

「強敵……?」

 

「そうだ。それは俺と同じ種族の『サイヤ人』っていう奴らだ」

 

「サイヤ人……レムギットさんから聞いた宇宙でも名高い戦闘民族って聞いたけど、地球では多分知ってる人なんていないわよ」

 

「当たり前だ。俺の故郷、『惑星サダラ』って場所は既に『滅んだ』。それに、こっからでも地球からでも何万光年も先にある遠い位置の星なんだ。接点がないのは不思議じゃない」

 

「へぇ……って、滅んだってどういうこと!?まさか、前の破壊神に破壊されたの!?」

 

「バカ、違えよ。惑星サダラは破壊神じゃなく、その時期に台頭してきた『宇宙海賊』の親玉に破壊されたんだ」

 

「宇宙……海賊……?そ、それって……何……?」

 

「知らなくていい。もう、そいつらもいねぇんだからよ……」

 

あまり自分の事は長々と話すのは好きじゃない故に、溜息を吐いて俺は話を戻す。

 

「事前にアポはとってある。あとはレムに移動を任せて向かうだけだ。レム、頼むぞ」

 

「かしこまりました」

 

俺が後ろからレムの肩に手を置き、その俺の右肩にティアマット、左肩にオーフィスが手を置いたのを確認したレムは光の速度よりも速く、この星を出発してこの宇宙とは別の宇宙、『第7宇宙』へと向かっていった。

 

(ちょっと待って……さっき、故郷が滅んだということはサイヤ人はこの人以外死んだってことよね……じゃあ、何で師匠はどうやって生き延びたの……?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三人称side

 

第7宇宙。その宇宙にもブランが住む星があるように、この宇宙の破壊神、『ビルス』が住む星もある。ここはその星の広い平野であり、その上空では黒髪のサイヤ人の二人が格闘限定による組手を行なっていた。

 

「へへっ、また腕ぇ上げたなベジータ!」

 

一人は、不敵に笑うサイヤ人、『孫悟空』。地球育ちのサイヤ人であり、これまで数々の強敵から何度も地球のピンチを救ってきた戦士。そして、この宇宙の破壊神、『ビルス』とも一戦交えてから、この星で修行をさせてもらっている身でもある。

 

「フン、いつまでも貴様の後追いは御免だからな!でやっ!」

 

もう一人の厳つい顔の髪が逆立ったサイヤ人は『ベジータ』。元々は地球を侵略しにきたサイヤ人であるが、悟空達や愛する者と触れ合っていく中、気高きプライドを持ちながら徐々に穏やかな心を作っていった。今は地球で暮らしており、悟空と同じくこの星で時々ビルスの付き人である『ウイス』に修行をつけてもらっている。

 

「お二人とも、ザマスとの戦いを経て更に強くなったようですね」

 

「フン、まだまだ全然僕には敵わないだろうけど」

 

レムギットとは正反対の長身の天使、ウイスと見た目が人型の猫っぽい人物が破壊神ビルス。二人は悟空とベジータの組手を眺めて感想を述べる。

 

「そういえばビルス様、今日はブラン様が来る日ですよ。レムギットからの通信によると、そろそろ来る頃かと」

 

「アイツか……顔を見るのは久しぶりだな。おいお前ら、一旦やめろ!今日はアイツが来る日なんだ!このままだと煩くて仕方ないったらありゃしない!」

 

その叫びで悟空とベジータは動きを止めるとビルスとウイスの元へと降り立った。

 

「あ、あぁっ!そうだった!今日は第0宇宙の破壊神が来るって(めぇ)にビルス様が言ってたもんなぁ」

 

「しかも、ソイツは俺達と同じサイヤ人って聞いたな。興味深いが……果たしてどんな奴なんだ……」

 

「なぁ、やっぱり強ぇのかなぁ」

 

悟空のつぶやきに対してはウイスが答えた。

 

「勿論、強くなければ破壊神にはなれませんからね。貴方達はここでの修行はまだ数年程しか経ってませんが、その第0宇宙の破壊神ブラン様はその倍以上の年数の修行をこなしています。ですが、実践の多さで言えば貴方達の方が上だとは思いますよ」

 

ウイスの言葉に二人は感嘆の声を上げる。すると、ビルスの耳がピクリと動いたかと思うと、彼の目がゆっくりと開かれる。

 

「……来たか」

 

ビルスの呟きに皆が反応し、目線の先の上空を見ると光の速度を超えて現れた人物達がこの星に降り立ち、ビルス達の元へと歩み寄ってきた。

 

「久しぶりだな、ビルス」

 

 

 

 

 

 

 

ブランside

 

着いた着いた。ここにくるのは久しぶりだ。

 

俺達はビルスが住む星に到着する。視線の先にはこの第7宇宙の破壊神ビルス、さらにその横にはそれに仕える天使、ウイスもおり、後ろには見覚えのあるサイヤ人二人がいた。

 

「お久しぶりです。ウイス」

 

「そうですねレムギット……あら、もしかしてそれは……」

 

「はい、これはハーゲンダッツというアイスクリームです。お土産ですよ〜」

 

「あらまぁ!これはこれはとーーっても美味しそうなアイスクリーム!今は冷やして後に頂きましょうか!」

 

近づくとまずはお互いの天使が挨拶を交わし、レムギットは地球でティアマットと一緒に買ってきたアイスクリームをウイスに渡した。

 

すると、俺はビルスの後ろにいる奴らに視線を移してみる。

 

「お、おいベジータ……あの破壊神、オラとおめぇが合体した姿の『ベジット』にそっくりじゃねぇか?」

 

「言うな……!貴様と合体など思い出すだけでもヘドが出るんだ……二度とそのことについて触れるな……!!」

 

なにやらコソコソ話をしているサイヤ人が二人。あぁ、神tubeで見た第7宇宙のサイヤ人か。それにしても、何やら俺と顔が似ている気がするな……まるで、あの二人を足して二で割った姿が俺って感じで不思議な気分だ。

 

「久しぶりだな『ヴェルドラ』……いや、今はブランと言った方が正しいのか。僕が眠っている間に破壊神に就任しただなんて、相当強くなったらしいね」

 

「まぁな。じゃなきゃ破壊神になんてなれねぇよ」

 

「ふーん、その後ろの二人は何だい?もしかして、コイツらと同じで修行中の身って感じかい?」

 

「まぁ、そんなとこだ」

 

その後、破壊神同士で挨拶を交わす。オーフィスとティアマットはビルスを一目見ると、戦慄していた。恐らく、俺と同じ気質の神の力を感じ取ったのだろう。

 

(ウッソでしょ……分かってはいたけど、あまりにも私達と纏う気の質が違いすぎる……!こんな濃密な神の気……近寄るだけでも息がつまるわよ……!)

 

俺とビルスの挨拶が終わると、ビルスの後ろにいたサイヤ人の一人が前へと出てきた。

 

「オッス!あっ、いや!こ、こんにちは、わ、私は孫悟空というものでお、おっしゃいます!」

 

コイツは孫悟空という名前か。なんだかぎこちない挨拶だ……逆に聞きづらいぞ。

 

「敬語が苦手なら普通にしてくれていい。同じサイヤ人としてのよしみだ。特別にな」

 

「本当か!?いやー助かったぁ!この話し方はよくわかんねぇから……ん?そっちのおめぇらは破壊神なんか?」

 

「我?」

 

オーフィスは首をかしげる。

 

「バカか。服装を見れば破壊神かどうかなんて普通分かるだろうが」

 

ビルスにそう言われて悟空はハッとなってその後、にへらと笑う。どこか抜けている部分があるようだ。オーフィスは自分達のことを指されたことでハッとなって一歩前へ出る。

 

「我、オーフィス。今、破壊神見習いとして修行してる。えっと……よろしくお願いします」

 

おぉ……コイツが敬語を使った挨拶をしている……偉い!偉いぞ!初めて会った時よりも随分成長しているじゃねぇか!

 

「私はティアマット。地球では五大龍王なんていう名前負けしてる異名で呼ばれている破壊神ブランの弟子兼パシリよ」

 

自分で言うのか。実際そうだけど。

 

「オラ、孫悟空!おめぇ達とは違って破壊神にはならねぇけんど、色々あって、ここでもっともっと強くなるために修行してんだ!」

 

「へぇ、そんな人もいるんだ……ねぇ、貴方もそうなの?」

 

ティアマットは悟空の隣にいるサイヤ人にもそう聞く。

 

「フン、俺はコイツに抜け駆けされたくないだけだ」

 

ティアマットはベジータが悟空にライバル意識を抱いているのだと察する。しかし、ティアマットは思い出す。自分達の地球での強者は、自ら強くなろうとするものなど数える程しかいないという事実を。その後話を聞く限りだと、悟空の他の仲間も強くなるための努力をしているというのに、自分達の宇宙の地球といったら比べることすら恥ずかしくて仕方なかったのだろう。

 

「なぁなぁ、アンタ第0宇宙の破壊神、ブラン様っちゅうんだろ?」

 

「如何にも。俺が第0宇宙の破壊神ブランだ。それで……そっちの奴、お前の名前は?」

 

「……ベジータだ」

 

もう一人のツンツン頭のサイヤ人はベジータという名前のようだ。ぶっきらぼうだが、名前を名乗るだけでも礼儀はなっているようだな。

 

「俺はお前ら第7宇宙のサイヤ人に興味が沸いてな。見たぜ、あの第6宇宙の格闘試合……アレを見て一度お前らの顔を見ておきたかったんだ」

 

「じ、じゃあさ!お願いがあるんだけんど、ちょっとオラと手合わせしてくんねぇかな?頼む!!」

 

「何?」

 

 

両手を合わせて頭を下げるまで懇願して来るとは、破壊神に手合わせを挑む奴なんて珍しい光景だ。見たところ胴着を着ていることから武闘家っぽい気がするが……いや、これはサイヤ人としての闘争本能が勝っているか?

 

すると、ベジータが先を越されたと思って焦りながら孫悟空に詰め寄った。

 

「おいカカロット!それは俺がやろうとしていたことだ!抜け駆けは許さんぞ!!」

 

……カカロット?

 

そういえば、孫悟空って絶対にサイヤ人につけられそうな名前じゃねぇよな。ってまぁいいか……そこは別に重要ではないから気にしないでおこう。

 

「えぇ〜!?ずりぃぞベジータ!オラが先に言ったのによ〜!!」

 

どちらも先に戦いたいと融通がきかない第7宇宙のサイヤ人……なるほどな、二人で戦うという選択肢がない辺り、一人で俺を倒したいって思ってるんだろうな。

 

「んじゃ、じゃんけんで決めようぜ。ベジータ」

 

「フン、いいだろう」

 

仲良しか。というか、俺まだ戦うなんて言ってないんだが……。……しかし、これはチャンスだな。このところずっと戦ってないし、地球の奴らとの戯れなんかカウントに含みたくないから丁度良かったぜ。

 

「「じゃんけんポン!あいこでしょっ!しょっ!しょっ!!」」

 

結構長くあいこが続いたが、ついに決着はついたようだ。勝者は……。

 

「よっしゃーっ!オラの勝ち〜!!」

 

「チッ!!」

 

悟空の勝利のようだ。ということで、ベジータは今日の所はお預けってことになる。しかし、ビルスは何やらイライラしながら怒鳴り散らしてきた。

 

「おいお前らぁぁぁっ!ここは僕が住む星だぞ!戦うかどうかを勝手に決めるんじゃなーーい!!戦闘の余波で宮殿が壊れたらどーするんだぁぁぁっ!!」

 

「いやいや、大丈夫だってビルス……遠くで戦うし、レムやウィスの二人の張る結界があれば問題ないだろ」

 

「ぐっ……ぬぐぐ……フン、まぁいいや。壊れたらそっちの地球の食べ物を献上してもらおうかな」

 

「いいぜ」

 

(チョロい……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三人称side

 

話は決まり、ブランと悟空は離れた場所で空高く上昇をすると、レムギットとウイスは余波で宮殿が壊れないように二人の周りにバリアを張って保険をかけた。

 

悟空は身体を伸ばして準備運動をし、ブランは空気を殴るかのように連続で何もないところにパンチを繰り出して彼なりの準備運動をする。両者、身体が充分に動くことが確認するとお互いを見つめ合う。

 

「そういえばブラン様、聞きてぇことがあるんだけんど、いいか?」

 

「ふむ、何だ?」

 

「ブラン様からは超サイヤ人ゴッドやブルーでもねぇのに、神の気を感じられるんだ。何でだ?」

 

「何だ、そんなことか。俺は長年、この星にも流れている神の気を身体に慣らしすぎたせいかこの状態でも神の気を纏うことが出来たんだ。勿論、解くことも可能だがな」

 

「ひゃぁ〜すげぇや!オラは超サイヤ人ゴッド以上にならなきゃ神の気を纏えねぇからな……もっともっと修行していつかブラン様みたいになっぞ!!」

 

「いい心がけだ……さぁ、いつでもかかってこい」

 

「へへっ、なんか初めてビルス様と会った時を思い出したぞぉ……よしっ!」

 

悟空は亀仙流という一流の武闘家として過ごしてきた隙のない構えをし、そして表情もキリッとしたものへと変化する。

 

「だりゃっ!」

 

「フッ!」

 

悟空はゼロからの一気に加速によりブランとの距離を詰めると、連続で拳と蹴りを放っていくが、ブランはそれを腕を盾にし、弾いたりしてダメージを最小限に防いでいく。

 

「そらっ!」

 

「ッ!」

 

ブランはこちらの番だと思い、悟空が攻撃の手を止めた瞬間に拳を放つ。しかし

 

ピシュン!

 

「な!?」

 

そう見せかけ、拳が当たると思った瞬間、それはフェイントで本命の瞬間移動をして悟空の背後に回り込み、回し蹴りを放った。しかし

 

「やべぇっ!ハァッ!」

 

「むっ!?」

 

悟空は上空に狭範囲の気弾を放つと、それを噴射機のようにして下へと避けた。ブランはその悟空のとっさの判断と行動に舌を巻く。

 

(今のは完全に死角だったし、フェイントまでいれて反応は遅れたはず……避けるのだって精一杯だったようだが、機転をきかせて気弾を放ち、それを噴射機にして躱したってところか。単なるバカってわけじゃねぇな、コイツは……戦闘センスが高いバカだな)

 

「ふぅ……まさか瞬間移動まで出来るなんてよ……けど、まだまだ!」

 

「ハァッ!」

 

悟空は距離を取り、今度は横に移動しながら気弾を放っていく。ブランはそれを高速移動で避け、何とか悟空との距離を詰めようとする。瞬間移動で近づいてもいいのだが、さっきの対応を見て悟空は瞬間移動を知っている、もしくは使えるのだと判断した故に彼にはもう不意打ちは通用はしないと踏む。

 

「なら……単純に攻めてくか。フッ!」

 

「!」

 

ブランが気弾を掻い潜り距離を詰めると再び肉弾戦へと移る。拳や蹴りをぶつけ合う度に轟音が辺りに響き、ブランも悟空も流れを変える為に頭で戦況打破のイメージする。

 

「だりゃりゃりゃりゃ!」

 

「だだだだだだだだだっ!」

 

悟空が殴り、ブランも時に受け流し自分から殴っていき、悟空もそれを受け流すの繰り返し。今のところ戦況は五分五分に見える。だが、その戦況を揺るがしたのはブランだった。ブランは一度防御に徹し、悟空の打撃を弾いていくようにいなし、カウンターを行うタイミングを見計らっていた。

 

「そこだ!」

 

「ぐぅぁぁっ!」

 

放たれた拳を上方に弾くと、すぐさま懐に潜りこんで鳩尾に一撃を与え、その後、首の後ろのうなじに肘鉄を喰らわせて悟空をぶっ飛ばす。

 

「うわぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

悟空は上空から急降下していくものの、何とか体勢を立て直してブレーキをかけるように勢いを止める。

 

「へへへっ、流石だなぁブラン様!もっとワクワクしてきたぞぉ!」

 

「俺はまだ全然だ。もっと楽しませられないのか?」

 

「まだまだ余裕って顔してんなー?……だったら!フッ!」

 

ドォォォォォン!!

 

悟空が構えを直して力を込めると、彼の髪が逆立って金髪という金色の戦士の姿へと変わった。

 

「ほう、超サイヤ人か」

 

「ブラン様もなれるんだろ?見してくれよ!」

 

「フッ、いいだろう。ハァァッ!!」

 

ドォォォォォン!!

 

ブランも力を込めると、金色のオーラを放ちながら超サイヤ人の姿へと変わった。そして、それを見ていたティアマットは驚きの声を上げる。

 

「ちょ、何あれ!?なんか金色になってるわよ!?」

 

その問いに対してはベジータが答えた。

 

「あれは超サイヤ人だ。サイヤ人が戦闘力を上昇させる為にする変身……通常での、ある程度の戦闘力が必要かつ、純粋で穏やかな心、または悪の心を持ち、激しい怒りや悲しみによって目覚める伝説の戦士だ」

 

それを聞いて、オーフィスはあることを思い出す。

 

「あれ……見たことある」

 

それはブランと初めて会った日のこと。オーフィスはトドメの一撃を放たれた時、一瞬だけブランが金色の戦士になったのを見た。アレを見て、自分は絶対に勝てないと思うほどの圧力を感じたことを思い出したのだ。

 

「オラの得意技……見してやんよ!」

 

悟空は気合を入れて気を高め、更に上空へと飛翔するとと、斜め下方にいるブランに向けて両手首を合わせて手を開いて、体の前方から腰にもっていく。

 

「かー……めー……」

 

次に腰付近に両手を持っていきながら、体内の気を集中させて両手の間に淡い青色のエネルギーを形成していく。

 

「はー……めー……」

 

(アイツの掌からエネルギーが形成されている。それに、どんどん気も上がっていく……なるほどな。なら、やってみるか)

 

ブランは悟空から特大のエネルギー波が放たれるということが分かり、迎え撃つ為に前方に手を翳すとブランの掌にも悟空と同じ淡い青色のエネルギーの塊が形成されていく。

 

「波ぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

「ハァッ!!」

 

ドォォォォォン!!

 

悟空のかめはめ波とブランの気功波……お互いに放ったエネルギー波がぶつかり合い、鍔迫り合いの状態となる。一見、ブランが押しているようにも見えるが、悟空は負けじと力を込めて何とか押し返そうとする。

 

「ぎぎぎぎぎっ……負けねぇぞ……!」

 

「やるじゃねぇか。だが、これならどうだ?」

 

ブランはもう片方の空いている掌にエネルギーを形成すると、今放っている気功波に重ね合わせるように赤い気功波を放ち、それらは混ぜ合わさると紫色の巨大な気功波へと変わった。

 

「負けっかぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

悟空は叫ぶも、どんどん押し出されていき、いつ押し負けてもおかしくない。しかし、これで終わる悟空では無かった。

 

「なら……久し振りに、アレやってみっか……体持ってくれよ!!超界王拳(スーパーかいおうけん)ーーーッ!!」

 

「なっ……!!」

 

悟空が叫ぶ。すると、彼の身体が赤いオーラに包まれ、かめはめ波のエネルギーの大きさも膨大なものへと変わった。そして

 

ドォォォォォォォォン!!

 

一気に鍔迫り合いを制し、ブランは反撃の隙もなくエネルギーの奔流に飲み込まれていってしまい、そのまま地面へと墜落する。悟空は赤いオーラを纏うのをやめ、先程ブランが墜落した地面を見る。巨大なクレーターが出来上がり、砂塵が巻き起こっているところにブランは脱出するように飛翔すると再び悟空の前に現れ、首をコキッと鳴らすと腕を組んで悟空を評価する。

 

「土壇場で力を増幅させたのはなかなかの不意打ちになったぜ。今の技、第6宇宙との格闘試合でもやっていたやつだな?」

 

「あぁ、今のは『界王拳』っちゅう技で……体力をごっそりと持っていくのを引き換えに身体能力を増幅させる技なんだ。イタタタッ……あぐっ……この状態で久し振りに使ったせいか結構ダメージきちまった……!!」

 

「しかし、まだまだ余力はあるようだな」

 

「へ、へへっ……流石破壊神だ……まだ息切れすらしてねぇなんてよ。でもオラ、こんな不利に見える(たたけ)ぇでもすっげぇワクワクすっぞ!」

 

「なら、もっと力入れてみるか?」

 

「そうこなくっちゃ!」

 

ブランと悟空は構え直すと、同時に加速してお互いに向かって飛んでいく。

 

しかし

 

「「そこまでです」」

 

「「!?」」

 

悟空の拳をウイスが、ブランの拳をレムギットが指一本で受け止めた。悟空とブランは押し込もうにもビクともせず、仕方なく引き下がるとレムギットが口を開く。

 

「ブラン様、今日はここまでにしておきましょう。たった今、あの日本神話勢からの連絡を受けました。要件は同盟による誘いに関する答えを出したとのこと……なるべく早く話をつける為に、ここは一度お帰りになった方がよろしいかと」

 

それを聞くと、ブランと悟空は超サイヤ人を解除した。

 

「……ちぇ、仕方ねぇな。今はこちらよりも、地球の問題を片付ける方が優先事項か」

 

ブランは仕方なくレムギットの言うことに従い、悟空に向き直る。

 

「ブラン様、帰っちまうんか?」

 

「そういうことだ。すまないな孫悟空、またの機会があれば、今度は全力でやろうぜ」

 

「あ、あぁ!今日はあんがとな、ブラン様!またやろうぜ!」

 

悟空とブランはサイヤ人として、またもう一度戦う事を約束すると、ブランはレムギット達と共に元の宇宙へと帰る準備をする。帰る前に、ブランはビルスと向き合って少々の会話をする。

 

「今日はサンキューな。なかなか有意義な時間だったぜ」

 

「まぁ、僕もだよ。久し振りにお前が戦う姿を見た……本当にあの頃から強くなったようだな」

 

「もしかしたら、今ならお前にも勝てるかもしれないぜ?」

 

「何だと……!?」

 

不敵に笑うブランの言葉にビルスは睨み、低い声で呟く。ブランはビルスから放たれる神の気のプレッシャーには負けず、同じく神の気のプレッシャーを放って威圧することで見えない戦いを繰り広げた。すると

 

「「いてっ!」」

 

お互いに仕えている天使が杖を頭上から軽く叩いたことでその戦いはすぐに終戦した。

 

「こらこら、大人しく帰りますよ」

 

「ビルス様も、軽い挑発に乗らないで下さい」

 

「「……チッ!」」

 

破壊神同士は実際に肉体での戦闘を行ってはならない。お互いに戦うことで破壊のエネルギーの余波が広がり、それは、すなわち宇宙の消滅を意味するのだ。

 

「おいビルス!あまり修行サボってると早いうちにコイツらに追いつかれるぞ!ププッ、そんな事あったらダッセぇな!」

 

「んなことあるわけないだろうが!さっさと帰れこのクソガキのぺーぺーが!!」

 

「おい!俺はもうぺーぺーじゃねぇよ!!……じゃあな!!」

 

最後に別れの言葉を交わし、レムギットの肩を掴み、その背後にティアマットとオーフィスもブランの肩を掴むと、彼らはこの星を出発して自分達の住む宇宙へと帰っていった。

 

「またなー、ブラン様ー!」

 

 

 

 

 

 

 

帰り道の途中、オーフィスはブランの戦いを見て思った。修行中の身とはいえ、まだまだ自分はブランの足元に及ばないと。

 

「ししょー、悟空も強かった。我も、もっと頑張って強くなる」

 

「おう、頑張れよちびっ子」

 

「あっ、オーフィスの呼び方はちびっ子に変えたんだ?あれ?じゃあ私は?」

 

「うーん、コーヒーかな」

 

「いや、それ結局『豆』繋がりじゃない!うわぁぁぁぁん!!私、いつになったらマシな名前で呼ばれるのぉぉぉぉぉぉっ!?」

 

ブランは流石に可哀想になってきたし泣き声も煩いと思ったのか、ティアマットと普通に呼ぼうとした。しかし、長くて呼びづらいのか、妥協してこれからは『ティア』と呼ぶことにした。

 

「あれ……結構……というよりも……十分良い呼び名になってる……?」

 

「なんだ、コーヒーが良いのか?」

 

「いいや全然!まーーったくそんなつもりはございません!!ひゃっほぉぉぉぉうっ!!やったぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

「気持ち悪っ」

 

「気持ち悪いですね」

 

「気持ち悪い、ティアマット」

 

「アンタ達、いい加減泣くわよ?」

 

 

 

 

 

 

ブランside

 

自分達の星に到着すると、俺は昼寝をする為に宮殿に戻ろうとするところをレムに止められた。

 

「そういえばブラン様。先程、ウイスから耳寄りな情報を手にしたのですけど……これには私も驚きを隠せません」

 

「ん?お前が驚くなんて相当だな……何なんだ、その情報って。まさか、俺達の宇宙の地球にはない美味い食べ物があるのか!?」

 

この時、俺はこのことを聞かなければ良かったのではないか?とのちに自問自答を繰り返した。それは何故か?それは……それすらも考えたくないほどの事態を聞かされたからだ。

 

ワクワク感に満ちた俺の顔を、レムは背中を向けたまま口を開く。

 

「全王様が二人に増えたようですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっし、寝るか」

 

聞き間違いだと願いたかった。夢だと思いたかった。しかし、それが現実だと理解するのに俺は丸三日間もかかることとなった。




よく考えたら悟空に赤龍帝の籠手があったら普通にビルス超えられそうですよね。赤龍帝の籠手はリスク無しで倍加できるし、まぁあったとしても悟空は神器に頼らなそうだけども。

ドラゴンボールでは、何年かけて修行をしても誰か仲間が死んでしまったり、魔人ベジータのように命を賭けても倒せない魔人ブウがいたりと、敵キャラのあまりの強さに絶望しそうになった時が多々ありました。フリーザやセルだって結構どころかかなり人気のある敵キャラじゃないですか。

しかし、D×Dの敵といえばこれがまた何の魅力もないイッセー接待キャラとよく言われるのです。まぁ、修行シーンなんか全然ないし、やたらと覚醒シーン多めだし、一人のへっぽこ転生悪魔がたった一年で悪魔業界のトップに登りつめられる易しい世界ですから……なんか緊張感がないというか、『うわっ、どうやったら倒せんの?』、『どういう方法で倒すのか?』みたいな予想のワクワク感が出てこないんです。とりま新しい力でボコる、または乳パワーでなんとかする……これしかないもの。それもアンチ勢に叩かれる理由の一つ。

あと、この時期の第7宇宙は力の大会が始まる前、つまりエイジ780なのですが、まだこの時はブルマの妊娠も始まったばかりで悟空とベジータは一緒に修行をしていると考えてもらっていただけると幸いです。そして、第0宇宙も含めた力の大会を、本編が終わったに番外ストーリーで描こうと思いますのでしばらくは悟空達は出ない予定です。

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