地球
「とうちゃーく!着きましたよブラン様!」
「おう、サンキューな。降臨!満を持して・・・ってところか」
遠く離れた星から僅か40分で地球に到着した破壊神ブラン、その付き人天使であるレムギット。ブランは周りを見渡して自分がどこにいるかを確かめる。
「ここが地球か・・・食べ物調達はレムに任せてるから初めて来たが・・・なかなか良い星だな。空気が澄んでて心が安らぐ・・・技術も発展してるし文化も進んでる・・・やはり破壊するには惜しいな」
建造物や空を飛んでいる飛行機、町にいる人々を見てそう言う。一方、レムギットはブランの服装を見て首を傾げている。
「ブラン様、破壊神の正装だとこの地球の人物に不審な目で見られる可能性があります。直ぐにちょうどいいお召し物を。ホイ!」
レムギットが杖を掲げると一瞬でブランの服装が黒いジーンズと白いジャケットに変わり、レムギットも天使の正装ではなく短いスカートとワンピースの姿に変わった。
「よし、これなら変な目で見られないだろ。てかお前はそれでいいのか?」
「結構自信作なんですよ!えへん!」
無い胸を張らせて誇らしげになるレムギット。ブランはそんなレムギットを一瞥してから町を歩き出した。
「そういえばここはなんて名前の町なんだ?」
「あっ、今のはスルーなんですね。コホン、えーっと・・・ここは『駒王町』という所ですね」
レムギットは杖の水晶に映し出されている情報から抜き出して説明をする。一方、ブランは何かを考える様子で歩きながら口を開く。
「なぁレム。ひょっとしてこの町に『人間じゃない奴が複数』いるのか?」
「おぉ、流石ブラン様。気付くのがお早いですね!そうです。『4つ』ほど感じられる気が『堕天使』のものですね」
『気』とは生きているものに備わっている体内エネルギーの比喩である。戦闘に用いる場合、気功波として放つ以外にも、体の一部分に込めることで攻撃力や防御力を上げたりすることができる。訓練すれば相手の気の強さや位置を感じることが可能で、数億キロ離れた相手の場所さえ分かってしまう。また、気の強さをコントロールすることで気配を隠したり、強さをカモフラージュすることができる。訓練次第では気を完全に消すことができ、その場合肉眼で探すしかなくなる。今、ブランは多くの一般人とは別の異様な気を察知しているのだ。
「4つか・・・よし、覚えたぞ。これが堕天使の気だな・・・てか俺達からみれば堕天使も人間として区別するがな・・・まぁややこしくなるからここでは堕天使は人間じゃなく人外として区別しよう」
「そしてそれよりも多く存在するのが『悪魔』ですね」
「ふむふむ・・・1人でいるものや同じ場所に複数人いるのが悪魔だな。・・・よし、これも覚えた・・・チッ、ゴミ屑のように小さい気で分かり辛いぜ。それよりも何でこの町にそいつらがいる?なんかよからぬことでも企んでいやがるのか?」
「・・・どうやらこの町を管理しているという悪魔がいるようです。はぐれ悪魔を狩って人々を守ってるとか」
水晶を眺め怪訝な顔でそう言うレムギットにブランは眉を潜める。
「ふーん、一応そんな奴もいるんだな。じゃあまずは気付かれずにしっかりと管理ができているか監視してみるか」
因みにブランとレムギットは『神の気』という特殊な気を纏っており普通に訓練をしていても神の気を感じ取ることは出来ず、それが可能なのは神の気を得る為の訓練をする、同じ神として存在している者などが例として挙げられる。
「よし、早速しゅっぱーー」
そこまで言いかけると
グゥゥ〜
意気込むブランを遮るように鳴った腹の音。2人の間になんとも言えない空気が漂ったがたがブランは「フッ」と笑って体の向きをくるりと180度変えた。
「早速、腹ごしらえだ!レム!俺は前にお前が言っていた『天ぷら』というものを食べてみたいぞ!」
この微妙な空間を乗り切ったと思ってるブランを見てレムギットは「はいはい」と少し呆れながらもブランを天ぷら屋に案内した。
「な、なんだこの美味さは!!?この『天つゆ』とやらの組み合わせがベストマッチじゃないか・・・!!レ、レム・・・お前は俺に内緒でこんな美味いもの食ってたってのか!?」
「フフーン♪ブラン様にもこの美味しさが分かったようですね!!」
レムギットオオスメと思われる天ぷら屋の中でブランは初めて食べる海老の天ぷらを食べて感動している。その顔は珍しい物を発見しワクワクしている子供を彷彿させる。
「この衣と中のプリップリした海老が何とも言えない絶妙なハーモニーを醸し出してる・・・地球とは素晴らしいな!!」
「フフフ・・・お金はあります!どんどん食べましょう!」
「レム・・・!!」
ブランは今までお世話になってきたレムギットがこれ以上ないくらいに輝いていると感じ、心の中でサムズアップする。側からみれば子供にお金を払わせているニート野郎、ロリコン野郎などと思われるかもしれない。しかし今のブランはそんな事は関係無く、ただひたすらに天ぷらを味わい尽くす。
「地球に来て・・・良かった・・・!!」
この幸せな時間を死ぬまで大事にしようと決心したブラン・・・しかしこの2人が今日味わった幸せを忘れさせる悲劇が今日、この日に訪れる事を・・・2人は知らなかった。
「おい、レム」
「・・・はい」
「この町の悪魔は町を管理してるんだよな・・・人間を守るために」
「・・・はい」
「管理してるとか断言するんなら死者なんて出すべきじゃないよな?てか出さないよな普通」
「・・・はい」
「堕天使に侵入されてることに気づいてて・・・このザマ?」
「・・・はい」
何故このような応答をしているのかというと、2人は天ぷらを食べた後、予定通りにこの町の管理者がしっかりと管理しているか確かめにきた。すると2人は『1人の男』に1人の堕天使の女がすぐ近くにいる事を察知した。いや、正確には堕天使が人間のフリをして男に近づいてきたと言う方が正しいだろう。ブランとレムギットはその2人の様子を杖の水晶から見ていた。レムギットが言うには『男の中に宿っている力』が気になり、それを危険視した堕天使が彼を始末しようとしているのではないかと予想し、ブランは彼を助ける為に管理者が現れるだろうと思っていた。しかし現実はブランの予想を上回る事態が起きた。何故なら
管理者は現れず、『男は殺されてしまったのだから』。
「・・・人間、殺されたな」
「・・・はい」
ブランは表面には出てないものの、彼の表情には確かな怒りが感じられた。
ドラゴンボールの要素を取り入れたら仙術の気と種類を同じにしていいのか迷う。まぁ同じでもいいか・・・。前回、1話目だというのに沢山の感想を貰えて感謝の極みです。更新は遅いですが何卒よろしくお願いします。今回はレムギットについての紹介です。
レムギット
・名前の由来はカクテルの一種『ギムレット』の文字を入れ替えたもの。
・先代破壊神ブランからの付き人。見た目は髪の長さはショートカットで第10宇宙天使のクスと同じ程の身長。普段は元気な女の子という感じだが、由々しき事態になるとちゃんと冷静なりシリアスモードになる。
・第7宇宙の天使であるウイスとはお互いの美味しい食べ物を話し合う時が多く、ウイスは地球に訪れる前まではレムギットの土産話を聞いて羨ましいと思っていた。
・ブランから『レム』と呼ばれていて案外気に入っている。ブランからすればただ単に呼びやすいとのこと
以上です。何か分からないことがあれば質問を受け付けます!それでは
次回もお楽しみに!