それではどうぞ
ブランside
翌日、自分の星へと戻った俺とレムは家ともいえる宮殿の中でこの星で採れる茶葉を用いた紅茶を飲んでいた。すると
「あの町の堕天使に?」
俺のある提案にレムは頭に疑問符を浮かべている。三大勢力のトップ達の顔を一度拝んでみようと思った俺は接触を試みた。レムの杖の水晶を見て顔だけは覚えたがやはり実際に会ってみないと人格を見抜けないし。
「そう、そいつらに堕天使トップの居場所とか今、何してんのか吐かせる、それかアポでもとれるか確かめようと思う」
堕天使と天使のトップ達は気がどんなものか分からないのでどこにいるかは分からずじまいであり、あの町の堕天使どもを利用しようと考えていた。
「まぁ、試してみる価値はありますが・・・もし何も情報を得られなかったら?」
「ん?破壊するに決まってんだろ。どうせ堕ちた天使どもだ。今度は地獄にでも堕ちてもらうってことだ」
「あっ、上手い!座布団一枚貰えるかもしれませんよ!」
「いらねーよ。んで、これで堕天使どもが少しでも危機感を覚えればトップか幹部でもこっちに引き寄せられてくるだろ・・・上手くいけばどちらにせよ目論見は達成できる・・・筈だ」
「あれ?自信がないのですか?」
「どうもな・・・万が一堕天使のトップがこの町にいる堕天使どもを気にかけてなかったら失敗だろうなって思って。紅茶美味い」
「そうですね・・・幹部はともかくそこらへんにいる下っ端を気にかけるとはどうも思えませんからね。我ながらいい味出してます」
紅茶への感想を混ぜながら淡々と話していく。
あと、この町というかこの地球で俺の相手になる奴が一向に見つからねぇ・・・まぁ、簡単に見つからないものなのは分かってる。せめて、せめて素質があったり伸び代がある奴が現れたら・・・レムが修行をつけてくれる筈!
そう心に思いながら俺達はまたもや地球へと向かっていった。
三人称side
「フフフ・・・これで私は至高の堕天使に!」
駒王町の町外れにある教会の奥深く、その祭壇で堕天使レイナーレは薄く笑っていた。隣には十字架に磔にされて身動きがとれなくなっている金髪の少女がいた。今にも生き絶えそうなくらいに息が荒くなっており意識が失いかけている。
磔にされてちる彼女の名前は『アーシア・アルジェント』。どうやら彼女はレイナーレに利用され、自身の中にある神器を取り除く儀式が行われているようだ。
「もうすぐ・・・もうすぐよ・・・!」
レイナーレはもうすぐアーシアの神器が自分のものになるということに心を踊らせ、更に笑みが歪んでいく。しかし
「おい」
「!?」
レイナーレは突如背後から聞こえた声に驚き後ろに振り向く。するといつのまに教会に侵入されたのか、そこにはブランが睨みながら堂々と立っていた。
「な、なんなの!?いつのまにこの教会に・・・い、いや、いつの間に私の背後に現れたの!?」
「瞬間移動ってやつだ。あぁ、今にも死にそうな神器所有者か」
ブランは近くで磔になっている少女を一瞥する。
「そ、そこの神父達!!この男を排除しなさい!!」
すると周りにいた複数の神父達がブランに一斉に襲いかかる。しかし
「邪魔」
「な!?」
なんと拳を振りかぶった風圧のみで神父達を粉々に消滅させた。その事実にレイナーレは口をパクパクと動かして一歩も動けずにいた。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
すると磔にされたアーシアが悲鳴を上げるとダランと項垂れ、ゆっくりと息を引き取り神器がレイナーレに移された。
「運がなかったな、シスター・・・仇ってわけでもないが、まぁ・・・コイツの思い通りにはさせねぇさ」
「アハ、アハハハハッ!遂に手に入れたわ!これで私は「黙れ」ひっ!?」
ブランから冷たく言い放たれた一声と殺気に思わず怯えてしまったレイナーレは下級堕天使でありながらも確信できた。『目の前のコイツには絶対に勝てない』と。そう思ったレイナーレはいち早くここから逃げ出さないとと思い話を切り出す。
「わ、私は貴方に何も危害は加えないわ!私に用があるなら何でも協力する!だ、だから!」
「ほう、ならば質問に答えろ。お前、今すぐ堕天使総督、または副総督と連絡はとれるか?俺の名前は破壊神ブラン・・・そう言えば嫌でも俺の話を聞こうとする筈だ」
「は、破壊神!?な、なんでここにそんな化け物が!!」
破壊神と聞いたレイナーレは名前を聞いただけで恐怖がすぐに体を支配し動けなくなってしまう。が、何とか声を振り絞りその問いに答えた。
「わ、私如きがアザゼル様とシェムハザ様に連絡は取れない・・・あの方々に会ったことすらないのよ!」
「ふむ、まぁ想定していた候補のうちの一つの答えだったか。答えてくれて感謝するぞ」
ブランは話を終えると手を前方に翳す。するとそこに
「アーシアァァァァ!!」
「ん?」
ブランが声が聞こえた方向に振り向くと、そこはこの教会の地下の最奥と地上に通じる出入り口であり、そこから前にブランに軽く叩きのめされたグレモリー眷属の2人と茶髪の少年、兵藤一誠の姿があった。この前はブランから相当のダメージを受けたのか、疲労や傷は回復しきっていない小猫と木場をブランは一瞥してからレイナーレに向き直る。
「なんで悪魔が教会に・・・と、まぁそんなことはいいか」
「お前っ・・・この前の!!お前もコイツとグルだったのかよ!」
「んなわけあるか。破壊神がこんな小物と手を組むなんて恥さらしもいいところだ・・・さて」
前回、たった一撃でボロボロになるまでやられたせいか小猫と木場は最大限まで警戒を強めるが、そんな2人にブランは全く興味を示さず、レイナーレの首根っこを掴む。
「が、がはっ!?な、なんで・・・!!」
「悪いな。お前はもう用済みだ・・・精々地獄で反省でもしてな」
「に、逃してくれるんじゃ・・・!」
「そんなわけないだろ。というか誰も逃すなんて一言も言ってない・・・消えろ」
「いっ・・!」
ドォォォォォォォン!!
レイナーレは近くにいたイッセーに助けを求めようとしたが、最後まで喋らせてもらえずそのまま斜め上に放たれた気弾によって消滅した。気弾は天井を貫通しそのまま空高くへと舞い上がっていく。
「予定通りにはならなかったが・・・まぁいいだろ(ついでにこのシスターの神器も破壊してやった。全く、神を崇める奴が神の作ったシステムに振り回されて殺されるとは・・・皮肉なもんだ)」
ブランはさっさとこの場から立ち去ろうとすると、小猫と木場は冷や汗を流しながら警戒を弱めず、イッセーは磔にされて死んだと思われていたアーシアと最後の言葉を交わしていた。どうやら神器を抜かれても息は奇跡的にまだあったようで、少し時間が経つと今度こそ息を引き取った。するとイッセーはブランの胸ぐらを掴んで怒鳴る。木場は止めようとするがイッセーは止まらなかった。
「兵藤くん!」
「お前!神様なんだろ!!?何でアーシアを助けてくれなかったんだよ!!この子は何もしてないじゃないか、とてもいい子だったのに何で死ななきゃいけないんだよ!!」
しかしそんなイッセーにブランは逆にイッセーの首根っこを掴んで持ち上げる。
「ガッ・・・!」
「お前は『神』って存在に何を期待してんだ?神ってのはな・・・居ても居なくても何も変わらねぇんだよ。神器っていう人間にとっては災厄しか訪れない代物をばら撒き、そんでもっていざって時には助けに来ない。それに、そもそも俺はコイツを助けに来たのが目的じゃないし俺は破壊神だから助ける方の神じゃない。そしてコイツを救えなかったのは・・・『お前らが来るのが遅かったから』だ。何で悪魔がシスターを助けに来たのかはどうでもいいが勝手に責任転嫁すんな」
「ッ!」
するとイッセーはブランの言葉に触発されたのか、拳を握りしめ、声を震わせる。
「返せよ」
「ん?」
「アーシアを返せよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
『Doragon Booster!』
イッセーの叫びに応えるように神器が動き出し、手の甲の宝玉が眩い輝きを放つ。ブランはその輝きを眺めるとイッセーから手を離した。
『explosion!』
「ほう、気が一気に膨れ上がったな。といっても・・・」
「うおおおおおおおおおっ!!」
アーシアを見殺しにした目の前の神が許せない。その一心でブランに殴りかかるイッセーだが、それでもブランにとっては蚊に等しい気の大きさだったようで
「ん」
「ガハッ!」
すぐさま木場と小猫にいる位置に向けてカウンターを放ちふっとばした。
「悪いがお前達の相手をしてる暇なんてない。んじゃ」
ブランはその教会から姿を消した。逃してもらえたと小猫と木場は若干の安堵の息を吐くが、その場に項垂れたイッセーに残ったのは悔しさだけだった。
一方、その頃
「ク、クソッ!何なんだよアイツは!」
教会から離れた場所、命からがらに逃げ出そうとする1人の男性がいた。緑色の髪に糸目の見た目はただ好青年に見えるこの男、実は悪魔である。彼の名は『ディオドラ・アスタロト』・・・アスタロト家の次期当主である。彼は先程のブランがレイナーレを破壊するところを見ていた。しかしそれは偶然ではなく
「よぉ、逃げても無駄だぜ」
「!?」
いつのまにか目の前に先程自分が見ていた破壊神 ブランが現れ酷く狼狽する。
「お前、さっきの一部始終を見ていたな?」
「な、なんでそれが!!?」
「気でバレバレなんだよ。魔力とやらを抑えていたのかは知らないが気は全く隠しきれていなかったらしいな」
「僕をどうするつもりだ!?」
「それは今から決める」
怯えるディアドラに近づき、ブランは彼の頭をガッチリと掴む。すると彼の記憶や心の中を読み取ることができ、彼の目的を瞬時に理解することができた。
「へぇ、なるほどな。世界中のシスターをゲスな作戦で堕としてきたと・・・それで今のシスターも自分が助けに行くことで惚れられようとしていたと」
「な、なんでそんなことまで・・・!」
ディオドラは世界中のシスターを無理矢理自分の身に委ねるように堕としていき、快楽を得ていた。それが簡単にバレてしまったことにまた酷く動揺していた。しかし
ドォォォォォォォン!!
突如、ディオドラは隠していた右手を前方に翳すと特大の魔力が込められた弾を不意打ちとしてブランに向けて放った。そしてそれを待っていたかのように次々とブランに向けて魔力弾を放っていく。
「ハハハハハッ!!どうだこの僕の魔力は!!ざまぁみろ!!誰にも僕の邪魔はさせない!!死ねぇぇぇぇぇ!!」
歪んだ笑みを崩さないまま、魔力弾を休まず放っていくディオドラ。しかし
ガシッ!
「ヒッ!?」
「図に乗るんじゃねぇ」
ブランは直撃した魔力弾を受けたにも関わらず、傷一つつかないどころか息一つ切らしていない。ブランはディオドラの左手を掴み手首を180度捻らせる。ディオドラはあまりの痛みに声すら上げられず苦痛に顔を歪ませる。そしてブランはディオドラの眼前に空いた手を翳す。
「破壊」
ドクン!
「ウワァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
そう静かにつぶやき、ディオドラの体から心臓の音に似た音が響くと、ディオドラの全身が足を最初に消滅していく。そして彼の悲鳴は虚しく響くだけであってつま先から頭部の隅々まで紫の粒子状になり、やがてディオドラの全身は跡形も無く破壊された。
「気持ちわりぃ奴だ・・・悪魔ってのはやっぱり欲望に忠実な生き物か。いや、人間もそれは同じか・・・こうやって誰かを虐げることで快楽を得るってくだらないことに知恵を使うことしかできない奴もいる。ザマスの言っていたこと、多少は理解できるかもな・・・アイツは人間全てが悪いって思ってるけど」
こうしてディオドラはこの世から消滅し、これによりアスタロト家の次期当主がいなくなったということで冥界は大騒ぎとなった。まぁ、ブランにとっては特に気にすることでもなかったのだが。
もうめんどくさいんでタグに『三大勢力アンチ』つけます。大規模なアンチは初めてですがよろしくお願いします。
ん?ディオドラ?コイツはここで死んだって誰も文句はないでしょう(笑)
そしてアーシアの神器、完全消滅。この処置は間違ってないと思う、だって死んでるんだもん、まさか生き返らせるなんて思わないじゃん?あっても害悪なだけじゃん?ということで破☆壊