自警団に入ったロヴェルはクロム一向と共に町の安否を確認確認した後、町を出て出発していた。
だが、出発してから暫くして夜になってしまい、森の中で野営する事になった。
「じゃぁ、俺とルフレとロヴェルで食料を調達してくる。フレデリクとルフナとリズは野営の用意をしていてくれ」
クロムの指示で其々の担当に当たり、作業を開始した。
ロヴェルは一先ず、クロムに言われた様に食料を探して森を散策するも、一つ問題が発生した。
「・・・全く分からん。何が食べられるんだ?」
それは長い間、闇の王として人間を止めたロヴェルにとって過酷な試練だった。
長い間、食事なんて物を取らなくても生きていけたロヴェルにとってはどれも同じに見えてしまう。
ロヴェルは途方にくれて戻ろうとした矢先。
「ん、何だ・・・この気配は・・・?」
ロヴェルは食料探しに手間取っていた時、何か異様な気配を感じ取り空を見上げると、そこには大きな門の様な物が現れていた。
「門・・・にしては大きいな・・・」
ロヴェルは門を見ていた時、門から数体の亡者の様な兵士がぞろぞろと沸き出してきた。
亡者の様な兵士はロヴェルを見つけるも、ロヴェルを無視して何処かへ向かってしまった。
ロヴェルは唖然としながらその後ろ姿を見送っていると、後ろから殺気を感じ取った。
「・・・ッ!?」
ロヴェルは咄嗟にロングソードで防ぐと、距離を取って斬り掛かってきた相手を確かめた。
ロヴェルが見た物は黒い鎧兜を纏った黒騎士だった。
黒騎士は剣と盾を構えてロヴェルに再び攻撃を繰り出そうしてきた。
「ちッ!」
ロヴェルは舌打ちをすると同時にカイトシールドで黒騎士の攻撃を弾き返し、体勢を崩した黒騎士の腹をロングソードで深く突き刺した。
黒騎士は深く突き刺された事で膝から崩れると、ロヴェルは黒騎士を蹴り飛ばすと、黒騎士は消えた。
「何なんだ一体・・・」
ロヴェルは悪態をつきながらクロム達の元に戻ろうとした時、周りに気配を感じ取った。
「・・・囲まれたか」
ロヴェルはそう呟くと、周りから黒騎士、銀騎士の集団がロヴェルを囲みながら現れた。
「グヴィン王の犬共が・・・意思も無いくせに主を討った俺を殺そうと追い掛けていたのか・・・よくもこの長い年月を・・・」
ロヴェルは武器を構えて騎士達を迎え撃とうとした時、騎士達が突然、吹き飛ばされた。
吹き飛ばされた箇所からゆっくりと歩む上級騎士の鎧兜を黒く染めた様な鎧を着た人物が現れた。
「・・・誰だ?」
異様な鎧兜を身に付けている人物は無言のままその場にいたが、ゆっくりとその場から立ち去ってしまった。
ロヴェルはその人物に見に覚えはないが、鎧兜に見に覚えがあった。
その鎧兜とは、ロヴェルが今使っている上級騎士の鎧とは異なる別の上級騎士の鎧が、深淵の闇に染め上げられ黒くなり、深淵の鎧と呼ばれる物になった物だ。
深淵の鎧は深淵の力によって大きく強化されているが、変わりに深淵の闇による呪いでロヴェル以外の者が着込むと正気を失う様になったのだ。
「正気を失う呪いの鎧を着ていた・・・偶然、似た様な鎧だったのか。それとも・・・」
ロヴェルは考えていると、また騎士達がロヴェルを囲もうと迫っていた。
「はぁ・・・考えるのは後だな。今は・・・」
ロヴェルはそう呟いた瞬間、黒い靄がロヴェルを包みあげロヴェルは上級騎士の鎧から深淵の鎧へと装備を変えた。
上級騎士の鎧の黒色で、背中には古いボロボロのマントと言う異様さを出しているのと同時に何処か王者の風格が漂わせる。
「グヴィン王の犬共よ・・・お前達のその忠誠心に敬意を表して・・・俺は闇を司る王としてお前達を葬ろう」
ロヴェルはそう言うと、一本の剣を取り出した。
その剣はかつて、神剣ファルシオンが現れる前まで誰もが恐れたロヴェルの愛剣・・・深淵の魔剣と呼ばれる物だった。
深淵の魔剣はロヴェルが闇の王として即位すると同時に、カアスが送った物で、ロヴェルがこの剣を使い始めてからと言う物のファルシオンで討たれるまで敵無しだったのだ。
「さぁ・・・来い」
ロヴェルがそう言うと同時に、戦いが始まった。
闇の王としての最初の戦闘である。
【深淵シリーズ】※オリジナル
上級騎士が突然、深淵によって変異した装備。
深淵の力で防御能力は格段に上がっているが、ロヴェル以外が使えば正気を失ってしまう恐れがある。
少し違うとすれマントを羽織ったと言う所である。
【深淵の魔剣】※オリジナル
ロヴェルの愛剣である魔剣。
闇撫でのカアスが王として即位したロヴェルに献上した物であり、強大な闇を纏った神剣ファルシオンと対の剣。
・ロヴェル専用武器