チノの旅   作:ウボァ(ヽ´ω')
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幻術なのか? …… イヤ…幻術じゃない……! ……イヤ、幻術か? ︎また、幻術なのか…イヤ… なんだこれは ︎?!

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第5話

……怖い!怖い!……怖いっ!

 イタチとオビトの殺気が全身を襲う。体が強張り、手足は小刻みに震える。私の意思では止められそうにもない。

 私だってもうこの世界の住人だ。父の護衛時に命を賭けた戦闘も命を奪った事も少なからずある。何度も自分の命の危機もあった。……でも、それはぬるま湯だと思い知らされた。

 今この場に撒き散らされている殺気は、これまでと比べることも出来なかった。これが本当の殺意という事を否応なしに、私の本能に刷り込まれる。

 呼吸をするのが怖い。息遣い一つで死ぬかもしれない。動くのが怖い。体が動くのを拒否しているようだ。……それでも動けるのは、早く事を済ませたいからだ。体を叱咤し、身を潜めながら行動する。

……一人目…………違う。……二人目……これも違う

 遺体へと近づき、瞳を確認する。その色は黒く絶望に染まっている。死んだ際に瞼を閉じている死体は、小刻みに震える指で開いて確認しなければならない。この僅かな動作もしたくない。

 老人や子供、女性の死体は無視だ。写輪眼を開眼している可能性が高い成人男性を中心に確認していく。

 眼を確認するという事は、その死体の顔を見てしまうという事。そのどれもが恐怖に染まっていた。子供を庇って死んでいるの親の死体。男女で折り重なるように死んでいる死体。妊婦のお腹が突き刺された死体。様々な死と絶望がそこにはあった。

 もう二十を超える死体を見て、十を超える眼を確認した。しかし写輪眼を持つ者は見つからない。そろそろ脱出しないと身の危険もそうだが、心が持たない。今も吐き気をこらえている。常に感じる殺気と広がる惨劇に、心が悲鳴をあげている。

……こうなるってわかっていたのに

 覚悟が足りなかったのか。死の経験が足りなかったのか。それとも心がまだ幼かったのか。

……いや、こうなるってわかっていたから

 私はその考えを飲み込んだ。これ以上この場でソレを考えてしまっては、動けなくなりそうだ。

 そんな中、とある一軒の家の居間で三体の死体を発見する。父親と母親と子供だろう。父親の眼を確認するために、死体に近づく。でもそれは誤りだった。

 「ゴボッ……」

 突如発生したその音に私の体は跳ねた。どうやら父親と思われる死体は、生きていたようだ。喉を切られているので、もうすぐ死ぬだろう。

 その人は私を睨みつけていた。私が探していた赤い双眸で。こちらも幻術対策に血龍眼を発動する。そしてまだ生きている男に近づき、クナイを心臓に深く突き刺した。確実に殺した。


 その瞬間、私は本当の意味で心を殺すという事を知った。いや、私の心が耐えられなくなって、心の自衛の為勝手に死んだだけだろう。

 それから恐怖が無くなった。死者に対する哀れみも、悲しみも感じない。機械のように淡々と医療忍術で写輪眼を取り出す。それを保存液が入った容器へと入れる。

 眼をくり抜かれた男の死体には何も感じなかった。罪悪感も後悔も無い。


 目的を達した私は逆口寄せの術で隠れ家に戻る。壁に背を預け、そのまま座り込んだ。視界の端でノリさんが私を心配そうに見つめている。それを自覚した時、私の心は元に戻った。

 体に付着した返り血を見ると、今さっきまでの体験を鮮明に思い出した。また震えが止まらなくなる。吐き気が込み上げてくる。ここにはイタチもオビトもいないというのに。

 なぜここまで嫌な気分になるのか。それは少し考えれば理解出来た。別に死体を見た事が原因じゃない。殺気にあてられた事も原因だが、これはただの引き金だ。本当はある考えがよぎったからだ。

……わかっていた……あの惨劇は。私はそれを黙認した。未来の為にと、あの犠牲を許容した……知っていて見捨てた

 うちは一族の滅亡を私がどうにかできるはずがなかった。でも、多少出来ることはあったかもしれない。一人でも二人でも逃がすことはできたかもしれない。

 でもそれをあえてしなかった。未来が変わると困るから。未来が変わってしまうのが怖かったから。あえて見捨てた。そのくせシスイだけは助けて。

 原作と違い、もう彼らはもうモブなどではない。れっきとした一つの命だ。私は原作キャラ以外を軽視してしまっていた。物語ではない現実となった今、どの命も等しいというのに。




……まるで私が命の選別をしている







  ………………もう疲れた










 「……主人……ご主人」

 耳元で私を呼ぶ声が聞こえる。いつの間にか寝ていたらしい。私の肩に乗ったノリさんが私を起こしたようだ。起きたくはなかったが、仕方なく反応を返す。

 「……どうしたの?」
 「シスイ殿がお目覚めになりました」

 そっか、シスイが目覚めたのか。本当は眠っている間に写輪眼を移植しておきたかった。そういえば私はどれくらい寝てたのだろう。

 「ノリさん……今は朝?」
 「いえ、昼でございます」
 「……そう」

 それだけ返した。昨日ほどではないがまだ気分が悪い。だが、シスイを放っとくわけにもいかない。重たい体で無理矢理立った。

 「ご主人……」

 ノリさんがいつもと違い、消え入りそうな声で私を呼ぶ。ダメだな、心配させてしまった。私は笑顔を浮かべて、大丈夫だよとノリさんを撫でた。

 寝起きということで手鏡で顔を見る。……酷い顔だ。せっかくの可愛い顔が台無し。何より目付きがやばい。顔でも洗ってくるか。




 「やぁ、調子はどう?」

 前と変わらぬ口調で寝たきりのシスイに声をかける。数日間ぐっすり寝たためか、怪我はだいぶ治っている。その間ずっと私が掌仙術を施していた。治って貰わないと困る。

 「かなり良くなった。多少なら動けそうなくらいにはな」
 「そりゃあ良かった。でも、まだ安静にね。今は治りかけの段階だからさ」
 「あぁ、わかっている。……なぁ、俺が寝ている間に……どうなった?」

 正直言って答えたくない。いや、思い出したくないが正しいのだろう。だが説明するしかない。ありのままに。

 「変わらないよ。うちは一族は昨夜滅亡した。表向きには二人の生き残りを残して……そして、イタチは木ノ葉を抜けた。イタチは任務を完遂したよ」
 「……そうか」
 「それから伝えておく事がある。私はそろそろ木ノ葉を離れる。……シスイはこれからどうする?」

 一族は滅亡。イタチも木ノ葉を抜けた。そして何より、ダンゾウと敵対してしまった。シスイが生きているとわかれば手を打たないわけがない。……それはシスイもわかっているはずだ。




 「もし良かったら、私と一緒に来ない?」


◆◆◆◆◆◆◆


 俺が目覚めると、うちは一族は滅亡していた。俺は……何も出来なかった。体はある程度回復したが、胸の内はボロボロだと自覚する。

 「私と一緒に来ない?」

 そんな中、俺を助けてくれたチノからそう提案された。……彼女の雰囲気が、前に話した時とは少し違ったのは気のせいだろうか?


 俺に帰る家はもう無い。居場所も無くなった。イタチも木ノ葉にはもういない。俺に残されたものといえばサスケだ。イタチの代わりにサスケを見守ってやりたい。だが、木ノ葉にはダンゾウがいる。アイツは俺の存在を許さないだろう。

 三代目に報告すれば、身も保証されダンゾウの動きも抑えることができるだろう。しかし、それはそれで新たな対立を里に生んでしまう。癪な話だが、うちは一族が滅亡し里の危機は去った。今新しい溝を作るのは里に悪い影響を与える。

 それに俺が生きている事でサスケに危害が及ぶかもしれない。俺の口を塞ぐためにサスケを使うなどダンゾウならやりかねない。

 「アンタは自殺した事になっている。ある意味自由。このまま木ノ葉にいるよりかは良いと思うよ」

 チノの言う通りだ。このまま表向き死んでいた方が安全だろう。俺も、サスケも。……助けてもらったのに、今の俺には生きていく目的が無い。むしろ死んだ方が……いや、それはチノに失礼だ。

 「だが……迷惑じゃないか?俺にはもう……」

 眼を失った。忍者にとって、特に瞳術使いにとって、それは戦う力を失ったも同然だ。盲目で戦う忍もいるようだが、それは特殊な能力か長年の訓練が必要。今からではとても身に付きそうではない。

 「……ここに写輪眼がある」
 「なっ?!お前それ……まさか?!」

 うちは一族が滅亡したタイミングで、ここに写輪眼がある。それはつまりその時に取ってきたという事だろう。

 「うん、昨日の夜取ってきた……今思えば、行かない方が良かったけどね」

 うちは一族にとって眼を取られるほど屈辱的な事は無い。だが、その行為は俺の為だ。眼があれば俺はまた……

 「これがあればアンタは完全とは言えないけど、また忍として生きることが出来る……ただ条件がある」

 写輪眼ともなればどこの里も欲しがるものだ。それを対価に彼女は俺に何を望むのか。

 「これから私のする事を手伝って欲しい」
 「……何をする気だ?」

 今更彼女は木ノ葉やサスケを害する行動はしないだろう。余程の事じゃない限り手伝う気でいる。助けてくれた恩くらいは返さなければならない。

 「どこの国にも、どこの里にも、どの組織にもの属さない中立の情報屋。それで各国や各里に対する発言力を得たいんだ」

 情報屋。それは多くの情報を集め、信用される事が必要だ。それは生半可な事では出来ない。そして何よりも、この忍の世において情報の価値は大きい。それを大量に持つという事は、多くの国や組織から狙われる。フリーランスともなれば、どこからの手助けも無い。

 「……危険すぎる」
 「だから写輪眼取ってきたんじゃないか。私戦闘はからっきしだし」

 俺が用心棒という事か。だとしても疑問がある。

 「どうして発言力を求める?」
 「……何かあった時に、何も出来ないのは嫌でしょ。私は……ほら、予知夢で未来見えるしさ。今回のうちは一族みたいに、わかっていて何も出来ないのは辛いんだよ」

 そうか。チノは予知夢を見れるとか言っていたな。それが本当だとしたら……本当はうちは一族を助けたかったのかもしれない。知っていて助けられない、その無力感は今の俺には痛いほどわかる。

 「もしもこの先……今回みたいに大きな事件が起こる未来を見るかもしれない。それを変える事で平和を守りたいんだ」

 まぁ、私の自己満足なんだけどね、彼女はそう付け足す。この時点で俺の心は半信半疑だった。本当に信じて良いのだろうか。俺を利用する為の建前ではないのか。


 しかし、次の言葉で俺は彼女を信用した。


 「アンタには平和を支える名も無き者になって欲しい。それが私からの条件だよ」


 どうして彼女の口からその言葉が出てきたのか。目を洗われる思いだ。……今俺に眼は無いが。

 この言葉で俺は彼女の考えと能力、それが平和に繋がると確信した。自分の忍道とも繋がる。だからこそチノ(平和)を支える名も無き者になる事を決めた。



ちょっと主人公の心弱くし過ぎたかな?というよりいじめ過ぎたかな?

次回も読んでいただけると嬉しいです!







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