チノの旅   作:ウボァ(ヽ´ω')
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シスイ救出からあまり考えてなかったなんて、絶対に言えない!


感想、お気に入り登録、評価ありがとうございます!ぶっちゃけチノを主人公にしたから、読む人少ないだろうなと思ってた。


第6話

 シスイに嘘をついた。予知夢で平和を守るなどと言いながら、私はこれから先多くを見捨てていくだろう。未来の為という免罪符を使いながら。……第四次忍界大戦まで私の心は持つだろうか。

 いいさ、嘘つきにでもろくでなしにもなってやる。薄情にもなろう。非道な事もやってやる。今更引き返すつもりもない。

 写輪眼の移植手術は無事終わった。ついでに彼の体も確認したが、もう動くことはできる。リハビリの必要は無いが、数日間動かしていなかった体だ。無理は禁物。戦闘なんてもってのほかだ。

 手術の際に使った麻酔の効果が切れ、シスイが目覚めた。彼はスムーズに上半身を起こす。数日前までが嘘のようだ。

 「大丈夫?痛みは無い?」
 「……問題無い。それよりも、もう包帯を取っていいか?」

 眼球を移植して、まだ数時間しか経っていない。しかし、私が目隠しの要領で掌仙術をかけていた。無理な動かし方や、写輪眼を使わない限り大丈夫だろう。

 「まぁ良いかな。ただし、写輪眼は使っちゃダメ。馴染んでないと感じたらすぐに言うこと。わかった?」
 「りょーかい」

 シスイは目に巻いている包帯をほどく。そしてゆっくりと瞼を開ける。なんか相手に初めて見られると思うと、初対面みたいに緊張するね。……うん、瞳の動きに異常なしっと。


◆◆◆◆◆◆◆


 数日ぶりに俺の視界は色を取り入れた。久しぶりに瞼を開くと、うすぼけた光景が広がる。焦点が合わせにくい。普段当たり前にしていた事も、数日間できないとこうも難しくなるのか。

 ようやく焦点が合ってきた。見えたのは俺の恩人。チノが俺の顔を覗き込んでいる。声からかなり幼いと想像していたが、それよりも幼いんじゃないだろうか。イタチよりも年下だろう。

 「違和感とか無い?」
 「大丈夫だ。それにしてもお前凄いな。そんな歳で医療忍術まで……ん?どうした?」

 彼女の顔が膨れている。……何か機嫌を損ねるような事をしただろうか。俺としては褒めたつもりなのだが。

 医療忍術には必要なスキルがある。微細ともいえるチャクラコントロール。そして膨大な量の専門知識を修め、それを広く応用する頭脳と根気だ。だからこそ育ちにくい。それをチノは見た目、齢一桁なのに習得している。それは素晴らしい事だ。

 「……シスイってさぁ、歳いくつ?」
 「十五だが」
 「なんだ、同い歳か…」

 
 「…………冗談だろ?」


 「冗談なもんか。私は十五歳だよ」

 この見た目でイタチよりも二歳年上だと?!いや、俺と同い歳だと?!イタチも歳不相応だったが、チノはそれ以上だ。こんなの年齢詐称だろ。

 「……はぁー、まぁいいや。そんな事よりそろそろ出発するよ。服とか適当に用意してるからそれに着替えて。私はこの隠れ家壊して、隠蔽する準備してるから」
 「おっ、おう……」

 俺はチノへの接し方がわからなくなった。


 「お前さ、俺が写輪眼持って不安じゃないのか?」

 俺は着替えながら、隠れ家に何か施しているチノに尋ねる。

 写輪眼の畏怖されるのはその瞳力だ。幻術と催眠を一瞥で行える。それは敵だけでなく味方にも恐れられるものだ。誰だっていつの間にか操られるのは御免だ。その俺の疑問に対して、彼女は作業を止めることなく返答した。

 「んー、私はシスイ信用してるよ。じゃないと助けないもん。それに……」

 そう言って彼女は手を止めた。そして俺に振り向く。そこには俺の質問の答えがあった。


 「万華鏡じゃない写輪眼に遅れはとらないよ」


 チノの眼は血のように赤く染まっていた。そしてその眼を視認した途端、俺の意識は血の海に引きずり込まれた。……幻術だ。血の海で溺れかけたのもつかの間、俺の視界は元に戻る。幻術は一瞬だけだった。



 「なるほど……お前も瞳術使いだったのか」

 目には目を。瞳術に対抗するには瞳術が必要だ。自分が持っているなら、相手が瞳術使いでも対処出来る。もちろん警戒するに越したことはないが。

 「シスイに『別天神』があれば話は別だけどね。この眼は幻術特化の瞳術眼だよ」

 予知能力に瞳術眼、狙われる要素が多い。そのくせ情報で商いをする。鴨がネギしょって、ついでに鍋まで持っているようだ。本来チノの事はなるべく隠すべきなのだろうが、各国に対する発言力が欲しいとなると、当然知名度が必要になる。……俺一人で守りきれるだろうか。


 支度を整え、隠れ家を出る。念の為二人とも変化の術で木ノ葉の上忍風に化けている。隠れ家から地上に上り、少し歩けば火影様方の顔岩の上だ。そこから見る景色は普段と何も変わらない。うちは一族の犠牲の上に、この木ノ葉の平穏は守られた。

 「……思い残す事があるのかな?」
 「無い……と言えば嘘になるな」

 サスケの事が気がかりだ。だが、今から会うことは出来ない。次に会えるのはいつになるだろうか。そして、例え会うことになっても、シスイとして会うことはもう無い。俺はもう死んだのだから。

 「ごめんね……アンタには見守る事しかさせてやれない」
 「お前のせいじゃない。それに見守れるだけでも十分だ。……それにサスケなら大丈夫だろう。なんたってアイツの弟だからな」
 「……じゃあ、そろそろ行こうか」

 こうして俺は木ノ葉を去った。後ろ髪を引かれる思いで。


◆◆◆◆◆◆◆


 木ノ葉からの帰りは来た道ではなく、森の中を進んだ。幸いシスイは長年木ノ葉の上忍だった。感知結界をすり抜ける暗号を持っている。バレないように急ぎ、結界を抜けると次の町へと足を向けた。

 「ここまで来れば、そこまで慎重にならなくてもいいかな。体は平気かい?」

 少し急ぎ過ぎた。私も疲れたし、シスイは病み上がりだ。ここからはゆっくりでいいだろう。

 「問題無い……と言いたいところだけど、やはり鈍っている。体のキレを取り戻すのには多少時間がかかりそうだ。でも、結界を越えたなら警戒は弱めていいだろうな。後は国境を越える時に注意すればいい。一応変化はそのままにしておこう」

 今シスイは三十位の男性。私もナイスバディな大人の女性に変化している。……別に欲望とかじゃない。元の姿とかけ離れるように変化しただけだ。……うぅ、自分で変化しててあれだけど、悲しくなってきた。
 
 「さて、取り敢えずこれからどう動くんだ?情報屋っていっても、一から始めるとなると……」

 情報屋なんて一から始めるつもりは無い。ノウハウも無いし、人脈も資金も無い。だが、これらを全て持っている人を知っている。ついでにいえば、その人の情報網だけである程度やっていける。だから今は……

 「まずは私の屋敷へ帰るよ。路銀ももう尽きるし」
 「屋敷?」
 「そうだよ。一応私大富豪の娘だしね」

 シスイは意外そうな顔をする。それもそうだろう。なぜなら私たちは特殊なのだから。特殊な人間が忍以外で大成するのは難しいどころではない。

 「血継限界の家系で大富豪か……珍しいというか、凄いな」

 私のやっている事と生活基準は不相応だけどね。改めて考えると父は偉大である。一族を滅ぼした後、たった一人で商人として大成功した。アジトは各国に一つ以上は作っている。しかも、そのどれもがアジトと言うより屋敷だ。ただ、武器商人は仕方ないとして、血継限界の孤児たちを集める趣味はやめて欲しい。

 「すっごい悪趣味な人だから、シスイ気を付けてね」
 「あれか?人を馬鹿にしたような性格なのか?」
 「人としては普通だよ。ただ血継限界コレクターなんだ。シスイの写輪眼とか好きだと思うよ」

 シスイが少し怒っている。血継限界、人によってはコンプレックスともいえるものを趣味として集めていると言えば、同じ血継限界としては黙ってはおけないのだろう。本人も血継限界なのにね。


◆◆◆◆◆◆◆


 俺はチノの案内で数日かけて、彼女の父の屋敷がある霜の国の霜隠れの里にやってきている。木ノ葉隠れの里の北西に湯隠れと雲隠れに挟まれて位置している里だ。任務でも来たことが無い小さな隠れ里。その里の外れの大きな屋敷に来た。

 その屋敷に入り、チノにここで待っててと言われて、大きな部屋に一人でいる。彼女の父親はフランクだが、死の商人で血継限界コレクターという悪趣味を持っているらしい。屋敷には多くの使用人の他に、忍らしい子供もいた。その子たちが血継限界の子たちだろう。……複雑な気持ちだ。

 「やぁ〜、君がうちはシスイ君だね。僕は御屋城エン。隠しているけどチノの父親だよ」

 しばらくしてチノと一緒に、奇妙なサングラスをした男が部屋にやってきた。彼は俺に手を伸ばし、握手を求めてきた。

 「話は聞いたよ。大変だったそうじゃないか」
 「チノのおかげで命を救われました。大変だったのは彼女です」
 「本当にね〜……僕に似ず優しく育ったもんだ」

 彼は優しそうな目でチノの頭を撫でた。本人は顔を赤く染めてその手を払おうとしているが。俺の予想していた人物像とは違った。

 「ところでさぁ、シスイ君」
 「なんですか?」
 「君の写輪眼見せ「ちょっと!デリカシー考えて!」……わかったわかった。ごめんて」

 チノが父親を叱りつけている。その光景を見ていると不思議と笑みがこぼれそうになる。それはまるであの兄弟を見ていた時のような。……やっぱり家族っていうのは良いもんだ。

 「はぁ……まぁ、チノを頼むよ。どうも大変な事をしようとしているみたいだからさ」
 「はい」
 「あとチノが可愛いからって変な事しないでよ〜。チノもなんかされてないよね?」
 「無い無い…………あっ……ファーストキスはあげたっけ」

 「は?」
 「……シスイ君?……どういう事かな?」

 待て!何の話だ?!チノの父さんの眼が赤くなってる!俺の記憶にはチノとキスした記憶なんて無いぞ!……なんて殺気だ!この人……できる!

 「シスイ頑張ってね。この人超強いから」

 チノは既に部屋の隅で観戦状態に入っている。くそっ!あとで覚えてろよ!


◆◆◆◆◆◆◆


 私はシスイと父を会わせる前に、父にこれからの事とシスイについて話した。お願いという形で。

 一つ、シスイの素性は私と同じ様に秘匿する事。二つ、父の持つ情報網や資金を使わせて欲しい事。三つ、各地に散らばるアジトを使わせて欲しい事。この三つをお願いした。

 最初は首を縦に振ってくれなかった。要望が聞けないわけではない。私が危険な事をするのが認められないらしい。私の身を案じてくれるのは嬉しいが……無理に押し通した。

 
 そして私は今、下手な芝居でシスイと父を戦わせている。もちろん本気ではないだろう。……父は若干本気出しそうな気もしているが。

 何故こんなことをしたかというと、シスイの実力を知りたかったからだ。もちろんシスイの強さを認めていないわけではない。うちは一族一の手練が弱いなんて思っていない。……だが原作でほぼ戦闘シーンが無かった為、よく知らないだけなのだ。

 私が今まで出会ってきた忍の中では、父はおそらくトップクラスの実力を持っている。その父相手に、シスイがどのように戦うのか知っておきたかった。


 二人は共に眼を赤くし、主に体術と瞬身の術、見ててはわからないが幻術もかけ合っているだろう。屋敷の中で攻撃忍術を使用するとは思えない。……それにしてもシスイめちゃくちゃ速い。部屋全体に彼の瞬身の残像が無数に作られている。分身でも無いため、父が攻撃してもすり抜けるだけだ。だが、シスイの攻撃は全て実体として存在する。こりゃ瞬身のシスイなんて二つ名が付くわけだ。


 痺れを切らしたのか、父は印を結ぶ。それを見た瞬間、私は焦って父の前に立った。父がやろうとしていた術は血之池の秘術。そんなもの使ったらシスイが危ない。


 この後、父を止めるのに苦労したのは言うまでもない。 



最後まで読んでいただきありがとうございます。


これから投稿ペースは落ちると思いますがご了承ください。







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