偽物の英雄王〜inオバロ〜   作:蒼天伍号

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なお、特に奮闘しない模様。


クレマン奮闘記

「面を上げろ。我が玉体を仰ぎ見ることを許す」

 

 

言葉が重圧となってそのまま身体に圧し掛かる。

それだけで指一つ動かせなくなるが、ここで無理矢理にでも動かさなければ次の瞬間には消し飛びかねないので。

これまでの人生で一番の力を振り絞って、なんとか侍るように顔を上げた。

 

視線の先には、感じたこともないほどの覇気を放つ一人の男。

苛烈に見えて冷静、暴君の様を見せながらも深い智慧を感じさせる不思議な姿。

 

黄金の鎧を見に纏っているが、アレは私でも分かる。

神器だ。

神々にのみ許された至高の品の中でも最上級に位置する逸品。古巣である漆黒聖典の保有するモノと同等か或いはそれ以上。

そんなものを纏った人物が普通なわけがない。

そもそも人間かすら怪しい。

 

 

「……ふむ。伊達に英雄を僭称するだけはあるか。

まあ、いい。

 

ではこれより、この俺自ら、貴様の『価値』を見定めてやろう」

 

 

男の宣言により、私の『命』をかけた裁判が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜偽王side〜

 

モモンたちが墓地に向かったのと時を同じくして、俺はウルクへと帰還していた。

もちろん、千代女と、彼女の捕縛した『アレ』を伴って。

カルナ、シロウ、は依頼があるために別行動だ。

巴には不在時の連絡役、要は留守番としてエ・ランテルの仮拠点に残ってもらった。

 

「最近、チームで活動すること少ないなぁ」

 

まあ、最近は特に色々と立て込んでるので仕方ない面はあるが、冒険者ライフがそれなりに気に入っている俺としては寂しい。

 

 

 

ともあれ、帰還すると共に先ずは『アレ』に処置を施さねばならない。

例の『特定条件下で質問に答えると云々』なアレである。

面倒だが、むざむざ貴重な法国関係者を死なせるわけにはいかない。

 

とりあえず、気を失っている『彼女』に掛かっている時限爆弾を解析する。

宝物庫の中から一級品の魔法探知アイテムを取り出し早速使ってみる。ちなみにアイテムの名は『万能の人(ウォモ・ウニヴェルサーレ)』と言う。

 

「ほう、これはなかなか」

 

結果、彼女に掛けられているものは七位階以上の代物と判明。どうやって使ったのか知らんが、大方巫女姫でも使ったのだとあたりをつける。

 

重要なのは、この術式が『何位階の魔法であっても解除不可』ということ。いや、単純に解除だけなら容易だ。代わりに対象の生命活動も停止するが。

 

「核と魔法を繋げるとは……この世界には面白い魔法があるものだな」

 

当たり前だがユグドラシルには無い、極めて卑劣な術だ。

しかし、合理的かつ優秀な術であるのも確かだ。

 

スレイン法国。

人間こそを至上とし、亜人すら容赦無く殺す苛烈な連中ではあるがその根底にある願いは『世界で最も劣る人間という種の存続』である。

そのためならば手段を選ばない連中だが、人間にとってはまさしく人類の守護者。

fate風に言うなら抑止の守護者みたいなものだ。

 

そう考えるからこそ、俺もかの国にはさほど敵意は抱いていない。

いや、まあ、土の巫女姫の一件ではやらかしてしまったが。

そもそも、『今の俺』にはこの世界の人間はさほどーー

 

 

 

 

ともあれ、『例の爆弾』が仕掛けられているコイツに対しては何らかの予防を施さねばならない。

しかし、どう足掻いても解除と共にコイツは死んでしまう。

 

「ふむ。ならば一度殺すか」

 

単純明快な解決策を選んだ俺は、横たわる『コレ』に対して容赦無く剣を振り下ろした。

 

 

 

 

 

ちなみに、蘇生に際してのレベルダウン及び失敗の可能性については完全に失念しており、蘇生の際に多少あたふたしたことは秘密である。

「宝物庫の最高級蘇生杖でほぼデスペナ緩和蘇生余裕だったわ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜クレマンside〜

 

「スレイン法国が保有する特殊部隊計六つ。その中の最精鋭部隊である漆黒聖典にかつて所属し、第九席次の序列を賜る。

が、巫女姫の一人から叡者(えいじゃ)額冠(がっかん)を強奪したのを機に、法国から追われる身となり隠れ家の意味合いもあって秘密結社ズーラーノーンへと身を寄せる。

 

しかし、追っ手の追跡は執拗なものでありエ・ランテルを拠点としていたズーラーノーン十三高弟が一人、カジットの野望に協力することでそのドサクサに紛れて追っ手を撒こうと思い至る。

 

その過程にて、アイテム使用制限を無視できる生まれながらの異能(タレント)を保有するンフィーレアの誘拐を画策し、偶然居合わせた冒険者チーム『漆黒の剣』の殺害を目論んだ。

 

……間違いはないな?」

 

静かな怒気を込めた赤い双眸がこちらに向けられる。それだけで失禁してしまいそうになるのをなんとか堪える。

そんなことをすれば確実に殺されてしまう、という直感からだ。

 

「……どうした? 何か、弁明があるなら気にせず申してみよ」

 

男は愉快げに笑みを浮かべながら語る。しかし、そのどこにも優しさなどなく、『どうあれ殺す』という感情がありありと見て取れた。

 

「あ……ぅ……」

 

この数分で私のこれまでのプライドやらなにやらは完全に粉砕されている。

この男の怒りに満ちた姿を見れば、当然だ。

神さえ惨殺し兼ねない、凶暴そのもののオーラすら感じられーー

 

ーーあ、ダメ。もう漏る。

 

股下からじんわりと暖かいものが少量漏れ出したところで、男は不意に破顔した。

 

「フハハハハ!! とまあ、凄んではみたものの。貴様が襲撃してくるタイミングはおおよそ見当はついていた。そして、千代女ならば確実にそれを防いで見せてくれるともな」

 

そう言って男は、隣に侍ていたあの忌々しい小娘の頭を撫でた。

その瞬間、小娘はふにゃりと表情を崩して頬を染め、されるがままに身を委ねてしまった。

 

その光景を見ていた、小娘とは逆の位置に立つ()()()()が態とらしく咳払いをする。

 

「畏れながら王よ、今は裁定の最中では?

配下への労い、褒美の下賜は立派なれど、少々タイミングをズラすべきではと具申いたします」

 

「そうであったそうであった。では千代女よ、おって褒美を賜わす故、しばし期待に胸躍らせているがいい」

 

老人の言葉に僅かに不満げな顔を一瞬だけ見せた小娘だったが、黄金の男の最後の言葉にすぐに笑顔に戻っていた。

 

 

しかし、あの老人。只者ではない。

あの男に臆せず意見を述べる時点でもう凄いとしか言いようがないが、なによりもその身からは強者の凄みが発せられている。

 

一定以上の強者、つまり英雄の領域に足を踏み入れた存在というのは一目見ただけでその凄まじさというものが感じ取れることがある。

それは戦いに縁の無いものには感じ取れない程度の実力であったり、逆に大衆にさえ看破できるほどの超級のオーラを持つものもいる。

 

黄金の男は確実に後者。それも、人間種の枠に収まり切らない、亜人種異形種含めた全存在の中でも上位に位置する……と思われる強者だ。

 

神。そう形容するほかない。

 

対して老人は、武に特化した達人ともいうべき隙のなさが感じ取れた。

武練の極致、ただ一つの何か(恐らくは格闘術)を極限まで高め、その技を身体、魂にまで刻みつけた頂点の達人。

例えば、()()()()()()()()()()()()()()()()にも同じものを感じていた。

一目見ただけだが、あの剣士も、凄まじい。

 

 

 

人間というのは、圧倒的な上位者に囲まれると一周回って冷静になるという性質があるようで、今の私はかつてないほどに冷静に物事を考えることができていた。諦めたともいう。

 

 

「で? クレマンティーヌとやら。何か、俺を喜ばせるようなモノ。もしくは俺に『貴様の価値』を認めさせる何かを、持ってはおらぬのか?」

 

価値……。

 

心底愉しげに男は告げる。

つまり、返答次第では命を助けてくれると?

先ほどの怒気は綺麗さっぱりと消えているあたり、冗談というのは確かだったらしいが、それでも、この問いかけに秘められた目的は全くもって不明である。

 

或いは、純粋に、愉しんでいるだけなのか?

少なくとも男にとっては、これは単なる『遊び』に過ぎないのでは?

 

多少、困惑はするがそれでも『僅かでも助かる可能性』があるのならそれに縋りたい。

なので、冷静な脳みそをフル回転させて、なんとかこの男の喜びそうな情報を探す。

なんでもいい、命以外ならなんであってもくれてやる覚悟だ。いや、そうでもしないと確実に納得してくれない。腕やら足やらは当然のごとく切り捨てるつもりだ、内臓だって死なない程度には献上させていただく。

 

「ああ、ちなみに、法国の情報については要らん。すでに貴様の記憶を覗き見て知っているからな。まあ、貴様の持つ情報が大したことのないものばかりで拍子抜けではあったが……。

 

ともかく、そんなものは要らん」

 

男の、一段階低い声に自然と身体が震えた。

武者震いとか、興奮とかじゃない。

純粋な恐怖だ。

 

おそらく、おそらくだが。男にとってつまらないモノを差し出した場合、私は容赦なく殺されるだろう。

 

何か、なにかないのか? この神に等しき超越者を納得させる代物が。

当たり前だが、持ち物は全て没収されているために物は選択肢にはない。となると必然、情報となるわけだが。

 

それも、すでに奪われていたらしい。

 

 

答えの見つからない難問に、自然と身体中から汗が滲み出る。冷や汗というべきものが絶え間なく、どんどんと量を増して溢れ出てくる。

冷静だった思考が、じわじわと迫る死の恐怖によって溶かされ、焦りだけが生まれ出てくる。

 

こんなのは、初めてだ。

 

クソッタレな兄貴と比べられた惨めさ、先祖返りのあの野郎を見た時の底知れなさ。

それら全てを凌駕する恐怖が私の内から流れ出てくる。

 

神の住処に連れ去られ、神話級の超人に囲まれた逃げ場のないこの場所で、私は今、生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされている。

文字通り命懸けの綱渡り状態だ。

 

ーーしかし、たった一つだけ。私は、光を見出した。

 

 

それは先ほどの小娘への対応と同じく、ここに連れてこられた時に居た一人の少女。

見覚えがあった私は、自然とその存在の情報を脳裏に浮かべていたのだ。

 

土の巫女姫。

 

噂では突如として行方知れずになったとか、もう生きてはいないと小耳に挟んでいたのだが。何がどうあって、こんな魔境にいるのか。

そんなことは別にどうでもいいが、この娘。どうやらあの男にいたく気に入られているらしい。

 

ちらっと見ただけでも、

 

『うむうむ、今日も麗しいな小娘よ』

 

『はわわわ、も、勿体なきお言葉でございます王様ぁ』

 

などとイチャコラしていた。

いや、絵面としては完全にアウトなのだがこの男に対してそれが通用するかしないかでいったら確実に後者だろう。

 

小娘だけではない。

 

今も、玉座に座るあの男の膝にもたれかかるようにしている緑髪の……女。これにもあの男はいやらしい目を向けていたことを私はバッチリと見ていた。

 

それらの情報を統合してみると一つの答えが浮かんでくる。

 

つまり、あの男が下半身にだらしないという答えが!

 

 

小さい子にしか興味がない変態という可能性もなきにしもあらずだが、結構幅広い年齢層に対して興味を向けていると私は推測する。

そうなると、シドゥリとかいう女に一切、目を向けない点が気掛かりではあるが。

 

 

あれだけ獣欲に塗れた男であれば、多少年齢がいった女でも差し出されれば気にせず食らうと考える。

 

ならば。

ならば、もはやこの手しかあるまい。

 

 

 

「お、恐れながら、私から王に、献上したきモノがございます」

 

震える口をなんとか開き声を吐き出す。

流れ出る汗が一段と増えてきたが、まだ意識はある。

 

「ほう、此の期に及んで、まだこの俺を満足させるだけのモノを有していると申すか」

 

男は、少しだけ興味を持った様子で応えた。

よし、まだ命を助ける気はあるようだ。一割くらいだろうけど。

 

私は、相変わらずの威圧感と、かつてない羞恥を感じながら、必死に。絞り出すようにその言葉を告げた。

 

「私の処女を! 偉大なる御身に献上したくございます!!」

 

言った。言ってしまった。

これまで2×年間守り続けてきたモノを、この超越者にくれてやると。

 

思えば、クソッタレを超えるために必死に血生臭いことばかりしてきた人生だった。

漆黒聖典に入ってからは、より一層血生臭い日々にどっぷりだ。

別に嫌なわけじゃなく、寧ろ快感すら覚えるほどに私は殺しが好きだ。

 

しかし、数年前にあのクソッタレから「一度も男を紹介されたことがないが……あっ(察し」とか言われてからは、他人事に感じられなくなっていた。というか彼奴マジでブチ殺したい。

昔ならば「どっかでテキトーに」などと考えていたが、ここまで未通で生きてしまうと逆に勿体なくて捨てられない。

 

 

ともあれ、

緊張から妙に意気込んだ形になってしまったが、必死なのは確かだ。

 

私にはもうこれしかない。力は言うに及ばず、知識すら看破され、身ぐるみ剥がされた今の私には文字通りこの身を差し出す以外の選択肢がないのだ。

 

それに、モノは考えようだ。誰にも捧げることなく守ってきたものをこのような超越者に差し出すことができるのならば本望。

要は死ぬよりはマシ、ということである。

 

果たしてかの御仁の反応はーー

 

 

 

 

「フ、フハハハハハハ!!!!」

 

肘置きを叩きながら大爆笑していた。

 

……別に、助けてもらえるならこのくらい恥辱は耐えられる。別に恥ずかしいとか、思ってないし。うん。

 

ところが、王の横に変わらず侍ていた小娘は心底嫌そうな顔をこちらに向けている。

お前には用はない。それに決めるのは王様なのだから。

しかしーー

 

 

「ひっ!?」

 

王の膝にもたれかかる緑髪の女は違った。

ポジティヴな感情の全てを捨て去ったかのような圧倒的な殺意。威圧感を伴った眼光を真っ直ぐこちらに向けているのだ。

 

「コロス、コロスコロスコロス……」

 

「ひぃぃ!!!?」

 

殺意が満タン過ぎる!

ダメダメ、これ死んだ。完全に死んだわ。

恐怖からの狂乱と諦観の中で私はただ身を震わせることしかできない。

 

 

そんな中。

 

 

「待て待てエルキドゥよ。俺とて此奴を妾に加えるなどという考えは抱いていない。それに、此奴の状況を考えればそれしか選択肢がないのも理解できる」

 

「ほ、ほんと?」

 

「ほんと」

 

真面目な顔で頷く王に、女は「わーい」と無邪気な表情で声に出しながら抱きついていた。

……なんだろう、生と死の境目に立っているのに沸々と怒りのようなものが湧き出てくる。

 

これがかの英雄が残した名言『リア充爆発しろ』というやつなのだろうか?

 

 

 

 

 

 

〜偽王side〜

 

どんな言動が飛び出すかワクワクしながら待っていたら予想の斜め上をいく答えが返ってきた。

とりあえず笑ってしまったが、少し考えれば当然の帰結と言えた。

 

だからって別に同情とかは微塵も湧かないが。

 

それに、こいつも中々に美人であるのは確かだ。

正直言うと、抱けるなら抱きたい。

 

とはいえ馬鹿正直にそれを実行に移したなら守護者の離反だけに留まらず、七階層のチート暗殺者に首を落とされかねない。

 

で、結論からしてこいつをどうするのかというと。

 

 

 

「……クレマンティーヌよ。先の発言に偽りはないな?」

 

「え!? は、はははい!! お許しいただけるならば喜んで献上いたします!!」

 

一瞬、呆気にとられながらも必死に懇願してくる。

このままイジメても面白そうだが、さすがに時間の無駄なのでさっさとこの茶番をお開きにする。

 

「フッ……貴様のその浅ましき生存欲、人としての尊厳すら放棄する言動はとても見るに堪えないものであった。

率直に言って、愚の極みよな」

 

「え」

 

俺の言葉に彼女の顔から一瞬にして感情が抜け落ちた。

 

「……だが、それほどまでの生への渇望は寧ろ賞賛に値するものと判断した。

 

よって、貴様の『命だけは』助けてやろう」

 

その時、室内がシン……と静まりかえった。

え、なに、なんか変なこと言っちゃった?

それっぽい感じで言えた自信あったんだけど。

 

まあ、今更止められないのでスルー。

 

「あ……ありがとうございますぅぅぅぅ!!!!」

 

一拍置いて、クレマンティーヌが凄まじい勢いで土下座して叫んだ。

床で額を削り取らんばかりの勢いに、『床の』心配をしてしまう。

ジグラットのデザインはかなり気に入ってるので汚さないでほしい。

 

「よい、とりあえず面をあげよ」

 

「は、はいぃぃ!!」

 

うわ、顔が涙やら鼻水やらで凄まじいことになっている。

……別にSな趣味はないのだが、一連の流れを思い返すと少しだけ気分が高揚してしまう自分がいる。

いかんいかん。

 

「貴様の役目はすでに考えてある。……おい、『例の場所』までこいつを連れていけ」

 

部屋の隅で控えていた衛兵型モンスター『ローマ兵・改』に命じて、さっさとクレマンティーヌを部屋から連れ出させる。

 

それを見届けてから、俺は玉座に深く腰掛けた。

 

「うーん、もう少し面白いことしてくれたら盛り上がったんだがな」

 

「……まあ、王の威光は十分に示せたでしょう。あとは時間をかけてこちらの力を見せ付け従順にしていけば良いかと」

 

『彼』の言葉に素直に頷く。

まあ、囮としての役目が果たせるならばどうでもいい話なんだがな。

 

「……そういえば、奴を見て思い出したが巫女姫の検査の方はどうなった?」

 

「全て異常なし、と聞いております。『軍師殿』も特に見るべき素質は持ち合わせていないと申しておりました」

 

なるほど。ならば巫女姫の価値とは叡者の額冠だけに集約されているということか。

 

そうなると助けたメリットは薄かったか。

 

「……いや、デメリットもさして大きくはない」

 

予定は早まったが何にしろ竜王国はアルトリアに任せるつもりでいた。彼女と彼女の配下ならば亜人どもに対する牽制も十分、その対処においても安心して任せられる。

伊達に原典で蛮族退治していない。

 

「……しかし、本当によろしかったのですかお館様?」

 

不意に横の千代女が不安げに声をかけてきた。

 

「なにが?」

 

「あのなんとかティーという女のことです」

 

ティーの部分しか覚えてないのかよ……という野暮なツッコミは無しにして。

 

「まあ、以前言った通りだ。法国の情報収集が難航しているのはお前の方が知っていよう?

故に奴を使って誘き出すのだ。その役目が果たせるならば他はどうでも良い。終われば好きにして構わん」

 

「なるほど!」

 

嬉々として千代女は頷く。

……いや、やっぱり好きにするのはいかんな。彼女がそこまで猟奇的な人物だとは思わないが、一応クノイチだ。気に入らない奴相手には割とエグいことをするかもしれん。

 

「やっぱ、俺に断ってからな?」

 

「ええ!? そんな御無体な!」

 

いったい何をしようとしてたんですかねぇ?

 

 

 

「とまぁ茶番は終わりにして、だ。

……そろそろ墓地の件も終わっている頃合いだろう。一度街に戻って様子を見に行くぞ」

 

「はっ!」

 

片膝をついて元気に返事する千代女を横目に、俺はエ・ランテルの拠点へと続くゲートを開いた。

 

 

 

 

さて、ここからどうやって彼らとコンタクトを取るべきか。

 




【おまけ】


【名称】カルナ
【異名・二つ名】施しの英雄、懐が広すぎる大英雄

【役職】冥界第五層『虚栄なる空中庭園(ハンギング・ガーデンズ・オブ・バビロン)』守護、空中庭園内大広間守護
【住居】空中庭園の一室

属性(アライメント)】極善[カルマ値:450]

【種族レベル】
なし

職業(クラス)レベル】
ランサー:10lv
アーチャー:10lv
ソウセイ(槍聖):5lv
太陽神の御子(サン・オブ・サン)』:5lv


[種族レベル]+[職業レベル]=100レベル
[種族レベル]取得総計0レベル
[職業レベル]取得総計100レベル

【備考】
エ・ランテルで活動する新進気鋭の冒険者チーム『黄金』!
その前衛担当にして最大戦力と目される神速の槍兵。

しかしてその正体は、インドが誇る大英雄カルナ!
神器の大槍で敵を八つ裂きにしたり、お空に投げて炎をいっぱい降らせたり、目からビーム出たり、更に切っても撃っても傷つかず傷ついても回復しちゃう万能鎧を脱いで超絶必殺技『日輪よ、死に随え(ヴァサヴィ・シャクティ)』を放つことができるぞ!
なお、相手は死ぬ。

おまけについて※特に重要じゃないので気軽にお答えください。

  • 守護者、つまりNPCのみ
  • ギルメンも含む
  • オバロ現実世界のオリ設定とか……見る?
  • 御託はいい、全て載せろ(威圧
  • いらん。

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