第二十六話
百年程の時が経った。空亡も妖怪の体にも慣れてきた。しかし百年経っても母禮が死んだことを割り切れていなかった。時々空亡達は一つ分多く料理を用意してしまうこともある。今日も空亡は母禮の墓に参りに行く。
母禮の墓はとても大事にされており、よく天魔や椛に文。母禮に世話になった妖怪が来ている。そんな場所に空亡は五年間隔で来ていた。来ると母禮の墓に人里から買っていた酒などを供えている。
「母禮様、もうすぐ旅立ちます。俺達を見守ってください」
空亡は百年の間、経造と戦い続けたり、天狗の中で、天魔の次に速い、文と競ったりなどの、日々を過ごしていた。焔龍はもう空亡達をに遅れないようにと、天魔に弟子入りした。焔狐は術の種類を増やし、九尾を超え十尾と為った。空亡が墓から帰ろうとすると。足音が聞こえた。その方を見ると、椛が現れた。椛は空亡を見るなり言ってきた。
「やはり此処に居ましたか、空亡」
「椛か、何の用だ?」
「なんの用って、空亡達そろそろ旅に出るんですよね。焔龍さん達は、準備できてますよ」
「もうそんな時間か、ありがとな椛」
空亡は椛に微笑んで、礼を言った。ここ何十年かは空亡は強くなるのに必死であまり笑わなくて、空亡が笑ったことが嬉しいのか、椛は機嫌がよくなり耳を揺らしながら
「仕方ないですね早く行きますよ」
「行こうか」
空亡は墓を離れ椛と共に屋敷に帰る。帰る途中に椛は、話を始めた。
「でも百年前は驚きましたよ、いきなり帰ってきたと思ったら妖怪になっていて、それに母禮様は居なくて、空亡が毎日辛気臭そうにしていて、私も辛かったんですからね、それに何かに憑りつかれたように経造さんと戦って強さを求めて」
椛は百年前の事を語るそれに空亡は顔を搔いて言った
「あの時は母禮様がなくなって俺は、何時も考えていたなんで母禮様に庇われたんだろうってそれで強さを求めた、まあそれで寝ずに一年間近く鍛錬してたら、椛に怒られたからなあれは怖かったぞ本当に」
「あれですか私も言いすぎましたが空亡も悪いんですよ」
空亡は、あの時の事を思い出した。母禮が死んで半年間、毎日の様に能力を限界まで使い、そのあと経造に無理を言って鍛錬に付きあって貰った。経造や焔龍達の前では、寝たふりをして、夜になると抜け出し、ずっと大鎌を使い人型達と戦っていた。人型達は渋ったがそれが空亡の命ならばと従った。そして行われるれるのは殺し合い、人型達は空亡を殺す力で、空亡はそれまでに体を酷使し続けていた為、死に掛ける事も多々あった。自分でも何故狂わなかったのか不思議でならない、そんなある日椛に見つかった。
今日も殺し合いを続けた。腕はほぼ動かなないもう何日寝ていないだろうか半年辺りからわからなくなった。焔龍達の食事を作んないと、母禮様がい居ない分、頑張らないといけないのに俺が、やばい意識が保てないもう無理だ。そして俺の意識はそこで落ちた。倒れる時に視界の端に見覚えのある白髪を見た気がする。
椛は焦っていた。眠れなくて困っていたら。遠くから金属がぶつかる音が聞こえ、敵襲かと思って行ってみたら、空亡が人型の怪物と殺しあっていた。止めようと思ったが空亡の頭がおかしくなるほどの殺気を受け動けなくなっていた。殺し合いが終わり空亡が不意に倒れた、急いで空亡を担いで、屋敷に向かう。屋敷に付き急い扉を開ける。その音で焔龍達は起きる。そして何事かと急いでやって来た。空亡を見て焔龍は慌てて言った。
「椛!何があったの!?」
ここ一年間落ち込んでいた焔龍は久しぶりに大声を出し取り乱している。椛にもそんなこと分からない、自分にも分からないことを聞かれても困るのだ。
「私にも分かりませんよ!そんなことはいいから早く部屋に運んでください!」
「了解しました椛殿!」
そして焔狐は慌てながらも空亡を受け取り部屋の運ぶ、空亡は一週間目を覚まさまなかった。焔龍達は毎日看病したが意味はなく無意味に終わった。それから更にに一週間空亡は目覚めた。空亡に椛は問いただす。
「空亡!何をしてるんですか!私たちは心配したんですよ!」
空亡は、それを無視して、外へ行こうとしていた。椛はそれで更に怒る。空亡を引っ叩き無理やりと止める。それに焔龍達は唖然となった。そのまま空亡に捲し立てる
「行かせませんよ!空亡貴方は何やってるんですか!焔龍達に心配かけて、ふざけてるんですか!」
「もっ椛?」
空亡は椛の今まで見たことない剣幕に思わず後ずさる。それを逃亡と勘違いしたのか引き寄せて。
「何してたか言ってください!今すぐ」
空亡は勘弁して白状し始めた。
「えっと、能力で人型達と作って殺しあってた」
それを聞いて椛は更に怒りだした。空亡を引き寄せて腹を殴る。空亡はそれで腹を抑える。
「空亡貴方ふざけていますよね!何故そんな事したのか私には分かりませんんよ、でも貴方は母禮様に焔龍達を任せれたんでしょう!なら死のうとしないでくださいよ……」
椛はそう言い泣き出してしまった。それに空亡は溜まっていたものを吐き出した。
「椛、お前に何が分かるんだ!俺は強くならなきゃいけないんだ!焔龍達を守れるように、強くならなきゃ。だから邪魔をするな!」
空亡は自分を追いつめていた。母禮の代わりに焔龍達を守らないといけない。そんな母禮の渇望に憑りつかれていた。自分は強くならなければならないのに。そんな空亡に椛は泣きながら、掠れた声で言った。
「分かりませんよ、そんなの。それなら尚更死のうとしないでください。死んだら何も守れないんですよ。それに焔龍さん達も弱くないんですよ。それに貴方が死んだら、焔龍さん達貴方を追いますよ。それじゃ意味がありません。何より私は貴方に死んで欲しくない。貴方が好きだから!優しい貴方を愛したから。だから死に急がないでください空亡」
椛はそう告白して、空亡の唇を奪った。焔龍達はさっきまで泣いていた椛がいきなり空亡に口づけをしたことで混乱する
「椛殿何してるんですか!?」
椛は空亡から口を離す空亡はそのことに混乱する。
「椛何する」
空亡はまた口をふさがれるそして時間が経ち。椛は口を離す。
「落ち着きましたか空亡」
「それはこっちの台詞だ椛、何するんだ」
空亡は状況がいまいち飲み込めない、椛はそのまま空亡に言う。
「空亡ともか死のうとしないでください、強くなりたいなら私が付きあいます」
「もうわかったよ椛、もうやんないから許してくれ」
「分かりました約束ですよ」
そこまで言うと椛は気付いてしまった今自分は告白したのだとそして焔龍達が居ることに、瞬間的に顔が赤くなる。そして空亡に慌てて言いだした。
「空亡今すぐ忘れてください、恥ずかしいですから、それに私何してるんでしょうか」
椛は自分のやったことを思い出す更に顔が赤くなった。空亡は椛に照れながら言った。
「えっと椛、多分忘れられない、それとごめん俺は告白の答えが出せない」
「そうですか仕方ありませんね、このことは保留にしましょう何時かまたちゃんとしますよ」
空亡は思い出したら顔が赤くなった。椛も同様に顔が赤くなっている思い出したのだろうか。空亡は話を切りだし難かったが何とか、何とか話を始めた。
「なあ椛俺は母禮様が好きだ。これは変わらない、だからごめん」
「そんなこと知ってますよ、だからここに宣言しましょう。私は貴方を振り向かせます。時間をかけてでも」
「やってみろ椛」
其処に空から声が聞こえる。文の声だ。
「あややや、いい記事が書けそうですよ、見出しは宿儺空亡、椛に勝負宣言!こんな感じでいいですかね」
「文様?」
椛は低い声でそう言った。文は冷や汗をかき始めた。そして椛は文に低い声のまま聞いた。
「文様いつから見ていたんですか?」
「椛冗談ですよ、やだなー私がそんな事するわけないじゃないですか、だから剣を下してくださいお願いします」
「空亡ちょっと用事が出居ました。文様行きますよ」
「空亡お姉ちゃんを助け」
文はそれを最後に椛に連れられどこかに行った。空亡は屋敷に帰る。着くと焔龍達は準備が完了していて。
「空亡……遅いよ……もう……出るよ」
「空亡殿主殿に挨拶を済ませましたよねもう天魔殿に挨拶をしました行きますよ」
「分かった皆行くか」
空亡達はそう言って山を下りた
二章はスタートです。これからもよろしくお願いします。文さんに何があったのかはご想像にお任せします。