天才物理学者が人理修復の為に呼ばれたようで   作:戦兎
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戦兎「なんか俺ばかり戦ってる気がする」
作者「気の所為」

それではどうぞ
(通算UA一万突破!コレを読んでくださった皆様、ありがとうございます)


第一特異点の戦い其ノ伍

ジークフリート。邪龍ファブニールを倒し、返り血を浴びて不老不死となった竜殺しの英雄。
歴史にあまり詳しくない自分でもすぐに分かった。

「謝られても困るというか、助けてもらったから謝る必要無い気が…」

「そ、そうですよっ」

「そうか。こんな俺でも役に立てた事、嬉しく思う」

イマイチ調子が狂う。物腰が低すぎるというかなんというか。初対面でもジャンヌはこんなんじゃなかった。
失礼かもしれないけど、正に正反対。

「ジークフリートさん。よかったら私達に協力してくれない…かな?」

「何故だ?貴女には頼れる人達が居るだろう。俺の力を借りなくても十分な筈だ」

「邪龍が此処に居る、と言ったらどうだ?伝承通りであればアンタ以外にアイツは倒せない筈だ」

俺が邪龍という単語を出した途端にジークフリートの表情が一変した。やはり憎き相手なのだろう。
もしかしたら、"邪龍を倒す為だけにこの地が彼を呼び寄せた"のかもしれない。
世界というのは悪影響を与える物に対しては敏感だ。ある世界では膨大な悪に対抗すべく抗体を作り出したという一例もある。世界がそうするのは滅多に無い。

「分かった。そこの仮面の男が言うのが本当ならば俺は力を貸そう」

「それならば、実物を見てもらった方が──」

ジャンヌがそう言いかけた時だ。俺達が向かう筈だった街から人々が逃げる足音と悲鳴、耳を劈くような龍の雄叫びが聞こえてきた。あの雄叫びは間違いない、邪龍だ。

「立香(先輩)!」

「うん、行こう!」

立香の合図で一斉にそこへ向かう。間に合うと思いたかった。だが、俺達の行く手を阻むかのように見慣れない二人が立ち塞がる。立香に頼み、すぐさまDr.に調べてもらった。

『魔力反応、間違いない。英霊だ。気をつけて!』

「クラスは分かるの?Dr.」

『推測でしかないけど、おそらくアーチャーとライダーだと思う』

「アーチャー。遠距離か…」

「なら、アーチャーは戦兎に任せる。私とマシュ、ジャンヌとジークフリートはライダーをやろう」

「了解。さぁ、実験を始めようか」

腰に提げているタカとガトリングのフルボトルを取り出す。ゴリラとダイヤモンドのフルボトルを抜き取り、タカとガトリングを振ってから装填、レバーを回す。

〈Are you READY ?〉

「ビルドアップ!」

〈天空の暴れん坊〜!ホークガトリング!イェーイ!!〉

仮面ライダービルド、ホークガトリングフォーム。
このフォームの時のみ展開する橙色の翼で大空を飛び、アーチャーと思われる英霊の気を引く。

「アンタの相手は俺だ。撃ち落とせるなら撃ち落としてみろよ!」

「貴様っ…!」

挑発に乗りやすいのだろうか。安直だったのにすぐに俺に向けて矢を放ってきた。Dr.の言う通りこの英霊はアーチャーで合っていた。ただまぁ…服装諸々が気になる。猫耳に緑を中心とした狩人が着そうな服、猫の尻尾まである。猫又なのかと思ったが、違うなと思い直す。猫又ならまず弓は使わないだろう。

「その羽、撃ち落とす!」

「悪いけど、そうはいかないんだよ」

ホークガトリンガーのバレルを回し、弾数を増やす。
今回はフルバレットまで貯めなくても大丈夫な筈だ。とりあえずフィフティまで貯め、発射する。
流石アーチャーの英霊だけあって立て続けに矢を放ってくる。それはいいんだが、ホークガトリンガーの弾数には勝てなかったみたいだ。最初は防いでいたが対処しきれなくなり、大半が被弾する。

「くうっ…!」

「大人げないかもしれないけど、これも戦いなんでね」

「……ふっ。流石は仮面ライダー、か」

「って、アンタもか…」

やはり筒抜けらしい。初見の英霊にさえ知られているとは。それはそれとして、理性はあるとはいえ、黒ジャンヌ(仮)の手下(だと思う)というだけで倒さねばならないとは。ヴラドは別としてだが、やはり気が引ける。
とりあえず変身は解除し、ドリルクラッシャーだけを持つ。相手は戦意喪失している筈だ。これ以上傷つける意味など無い。

「……どうした?」

「どうしたも何も、これ以上傷つける意味は無いと思っただけ。こう見えて平和主義なんでね」

「ふっ、おかしな奴だ。戦場ではそれが命取りとなる!」

矢を放ってくるが、素早くモード変更したドリルクラッシャーで難なく撃ち落とす。
その後も何発か飛んでくるが、全て撃ち落とした。弾切れの心配など無い為気兼ねなく撃てる。

「人の気持ちに気づけよな、本当に…」

ぼやきながらガンモードのドリルクラッシャーに忍者フルボトルを装填する。

〈READY……GO!ボルテック・ブレイク!!〉

ドリルクラッシャーの銃口に手裏剣型のエネルギーが蓄積されていき、最大まで貯まった時にトリガーを引く。
貯まったエネルギーは目の前に居る英霊に向かって飛び、着弾して爆発を起こした。
多分無事じゃない筈だ。手加減など一切していない。煙が晴れた時に見やれば跡形も無く消えていた。

「……コレだから戦うのは嫌なんだよ」

心を痛めながらも立香達の元へ急ぐ。向こうはまだ戦っている筈だ。

















ライダーの攻撃をなんとか捌きながら攻撃を加える。
それでもなかなか倒れてくれない。耐久には自信があるようだ。ジークフリートとジャンヌが押しているように見えるが、そうでもなかった。マシュも息切れし始めている為、速攻で片付けないと…

「流石ね、カルデアのマスター」

「…えっ?」

油断していた。目の前に現れたライダーに気づく事が出来ずに杖の一撃を貰ってしまった。溝落が強く押され、呻き声を上げながら後ろへ吹っ飛ばされる。だけどすぐにその勢いは止まった。

「大丈夫か、カルデアのマスター」

「え、あ、はい。大丈夫です」

「ならいい。奴は俺達でなんとかする。自分の身を守る事だけに集中していてくれ」

いつの間にか後ろへ回っていたジークフリートに抱きとめられていた。突然だったからびっくりしたけど、英霊でも男なんだなと内心思う。
優しいというより紳士的なのかな。竜殺しの英雄とは思えないけど、先の龍を一撃で沈めた所を見たからなんとも言えない。
後から戦兎も合流し、戦線はこちらが有利になってきたが…何故か戦兎の動きが鈍いというか私を守る事に集中しているように見える。どうしたのか小声で聞いてみると、なんとか教えてくれた。

「……今更かもしれない。でも、人に似ているのを倒さねばならない事に罪悪感を覚えてしまったんだよ、俺。平和主義だからさ…」

「そ、そう。でも…そんな気にしなくてもいいんじゃないかな?彼等を倒すんじゃない、彼等を救ってるんだって思えば」

「救う?」

「そう。人類を滅ぼす為だけに歴史は焼却されて、その歪んだ歴史を守る為だけに歴史に名を残す英霊が喚ばれているとしたら、私はそんな事許せない。英霊は道具じゃないんだから」

「そうか、そうだよな…」

どうやら吹っ切れたようだ。ひとまず今回は守りに徹すると言っていたが、次からはまた前線に戻るだろう。
でも、戦兎もやっぱり人間なんだなと思った。英霊でも人と同じ感情はあるし、血も流す。それを見て尚理性を保ったまま討ち滅ぼすならただの殺戮者だ。

「……頑張るしかないんだよ、私達にはね」

そう小声で呟く。誰にも聞こえないように。



























その頃のカルデア。
カルデアを彷徨っていた謎の人物は医療室に運ばれ、手当てを受けていた。その場にはDr.ロマンも居る。

「見た所、戦兎くんに関係がありそうだね」

流石Dr.。この人物を一目見ただけで戦兎と関係があると分かったようだ。それもその筈、謎の人物はあのベルトを肌身離さず持っていた。それが決定的な証拠になったのだろう。戦兎という名前を聞いたその人物は顔を上げた。

「アンタ、戦兎を知ってるのか?!」

「嗚呼、知ってるよ。今は確か…オルレアンに行ってるかな?」

「オルレアンだぁ?何処だよ、そこ」

ロマンは彼に教えてあげたのだが…さっぱり分からないと言った様子だった。仕方なく、名前だけでも聞いてみる。自分の名前を教えてから。

「僕はロマニ・アーキマン。皆からはDr.ロマンと呼ばれているかな。君の名前を、教えて欲しい」

「俺か?俺は万丈、万丈龍我だ」

その男、万丈龍我が戦兎に会えるのはそう遠くないだろう。



多少強引だったけど万丈龍我登場です
さて、この先どうなるでしょうか…

次はいよいよ決着になるかと思います。

それでは次回をお楽しみに…







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