天才物理学者が人理修復の為に呼ばれたようで   作:戦兎
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こんなにも至れり尽くせりでよいのでしょうか…
正直驚きを隠せてないです、はい

それではどうぞ


特異点Fの戦い 決着

ビルドとマシュがセイバーに向かって走る。
対するセイバーはその手に握った黒く禍々しい剣を構え、二人に向かって走った。そして、お互いの得物がぶつかり合う。甲高い金属音が洞窟内に響く。私は思わず耳を塞いでしまった。

「ほう…やるじゃないか、盾の少女に見慣れない戦士よ」

「お褒めに預かり光栄ですってか?」

「っうぅ…!!」

ビルドは余裕がありそうだが、対するマシュは余裕がなさそうだ。盾でセイバーを吹っ飛ばし、又突進していく。ビルドも同様だった。幾度となく続く鍔迫り合いの末、キリがないと判断したセイバー。魔力を解放し、二人を吹っ飛ばした。

「きゃっ…!」

「おっと…大丈夫?」

「は、はいっ」

吹き飛ばされたマシュを片手で支えるビルド。
そのわずかな時間がセイバーにアレを使わせる時間となってしまった。二人が体制を立て直すと同時に洞窟全体が揺れる。揺れの発生源は紛れもなくセイバー。構えた黒剣が黒い魔力を纏い始め、巨大な剣と化した。それを見た私は直感で二人にセイバーの真名を叫ぶ。

「ビルド、マシュ!!セイバーの真名が分かった!」

「本当ですか、先輩?!」

「……まぁ、コレを見たら分かると言っていたな。クーフーリンも」

「うん。セイバー…彼女の真名は、アルトリア・ペンドラゴン。かのブリテンの王だよ」

「……本気?」

アルトリア・ペンドラゴン。伝説ではアーサー王とされる。
選定の剣を抜き、円卓の騎士達をまとめた王。その手に持つ聖剣エクスカリバーは湖の乙女が選定の剣を鍛え直した剣。その剣を収める鞘は魔法の鞘と呼ばれ、身につけている間は傷を負ってもすぐ癒えるという現代では考えられないものだった。(聖剣に関しては諸説あり)
そのアーサー王が時を経て私達の前に立ち塞がっている。そして、彼女が放とうとしている宝具もその伝説の剣になぞらえた名称だった筈。

「約束された勝利の剣、エクスカリバー…」

「……そう。それがアルトリアの宝具」

「そうこうしている内に使おうとしているけど。宝具」

「ちょっ…戦兎、それ先に言って?!」

ビルドが何気なく言った直後。
アルトリアが「エクスカリバー・モルガーン!!」と叫び、魔力の塊と化した巨大な剣を振り下ろす。咄嗟に前へ出たのはマシュ。盾を前面に出し、身体全体で支えていた。ビルドもマシュの後ろから盾を支えてくれている。それでも段々後ろへ押しやられていく。

「マシュ、頑張れ!」

「っ…はい!戦兎さん!!」

「「負けてたまるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」

二人が叫んだ後、私も二人の支えになる。
マシュの右手に触れた途端、私の右手にあった令呪の一画だけ消滅し、魔力となってマシュへ流れ込む。それと同時にマシュの盾が防壁を形成し始めた。それはまるで城壁の一部。格段に向上した防御範囲を見たアルトリアは驚愕の表情を浮かべていた。そして、宝具は終わりを告げる。魔力は霧散し、剣の大きさも元に戻る。

「はぁっ…はぁっ…」

「……よし。後は俺が」

息を荒らげるマシュを後ろへ下がらせ、ビルドは茶色と水色のフルボトル、ゴリラとダイヤモンドをベルトに装填。レバーを回し、ベルトを介して形成される装甲を纏う。

「ビルドアップ!」

〈輝きのデストロイヤー!ゴリラモンド!イェーイ!!〉

仮面ライダービルド、ゴリラモンドフォーム。
姿が変わったビルドを見たアルトリアは終始固まっていたがすぐに剣を構えて突進してきた。

「所詮虚仮威しだっ!!」

「それはどうかな?」

「何っ…?!」

ダイヤモンドの左腕を盾にし、アルトリアの剣を防いでいくビルド。防戦一方になっていると思っていたが、急に攻勢に出るビルド。左腕で剣を防ぎつつ、右腕のラッシュを叩き込んでいく。ゴリラのパワーがアルトリアの体力を確実に削っていった。

「こんな、巫山戯た奴に…っ!!」

「それは心外。こう見えて平和主義なんだよ、俺。ただまぁ……仲間を傷つける奴には容赦しないけどさっ!」

渾身の右ストレートを叩き込んで、アルトリアを洞窟の壁に叩きつけた。すぐにボトルを入れ替え、フォームチェンジをする。

「ビルドアップ!」

〈鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イェーイ!!〉

「さぁ、行くぜ!」

〈READY……GO!ボルテック・フィニッシュ!!〉

今回はあの方程式っぽいのは出現しなかった。
代わりにビルドの右脚、戦車のキャタピラを模した右脚にエネルギーが集まっていく。それが最高潮に達した時、左脚の兎の力で高く跳躍。空中でキックポーズをとってアルトリアに突撃。仮面ライダーの十八番、ライダーキックだ。

〈イェーイ!!〉

「はぁぁぁぁ!!」

「ぐうぅっ…!!」

ビルドとアルトリアの力がせめぎ合い、辺りに亀裂をもたらす。マシュは私の近くに退避させたけど、亀裂は私達の足元にまで到達していた。
やはり戦兎は凄い。変身も凄いけど、英霊と互角に…多分それ以上に渡り合えている。戦い慣れしているとかそんな問題じゃない。戦兎には何かがある、そんな気がする。そして、二人を中心に大爆発が起きた。
戦兎はビルドの変身を強制的に解かれ、血だらけで地面に転がっていた。対するアルトリアも又、額やこめかみ等に血の跡を残す。それでも尚、剣を持つ力はまだあるようだ。

「いってぇ…」

「戦兎?!大丈夫…?」

「なんとか。それより奴は…?」

私とマシュがアルトリアの方に視線を送る。
アルトリアの足元から光が漏れ、段々と登っていく。どうやらギリギリで戦兎が勝ったようだ。あのせめぎ合いの中、英霊の核を破壊していたらしい。
すると戦兎は空のボトルをアルトリアに向けた。その途端、アルトリアから出る光が粒子となってそのボトルへ吸い込まれていく。助けるつもりかと思ったら違うみたい。光の粒子を吸い込んだボトルはその形状を変え、色がつく。それを見た戦兎は子供のようにはしゃいでいた。何事かと思ったら、その手に収まるボトルの絵柄が獅子の絵柄に変わっている。

「戦兎、それは…?」

「まさかと思ったら、ビンゴだった。ライオン、獅子の成分がアルトリアから採れるとはね」

「成分…?」

「そ。俺が使ってるフルボトルの中身って言った方がいいかな?」

「そ、そう…」

凡人の私には到底分からない領域だった。
サーヴァントだって有機物、要するに生きている。という事は成分もあるという事にもなる(本当かどうかは怪しい部分ではあるけど)。ビルドの力の源がそれらの成分を封じたボトルというのは前もって説明された。
その製造方法は明かされてなかったけど、今目の前で実践してくれた。戦兎曰く、「本当なら浄化が必須なんだけどね」との事。どうやら成分を一旦浄化しなければ使用不可みたい。だけど今回はそれを必要としなかった。何故なのかは戦兎が研究を進める事だろう。少なくとも、私が関わる事じゃないのは分かった。

「ふっ、私の力すらものにするか。流石と言うべきか?桐生戦兎」

「おま…なんで俺の名前を?」

「何、誰かの入れ知恵という奴だ。つい先程まで私はお前の事を知らなかったのは確かだからな。全く、座に還る奴に何を吹き込むかと思えばこんなくだらん事か…」

アルトリアを侵食している光は既に首元まで到達しており、あとすこしで座に還るだろう。
私達は最期まで見届けた。そして、金色の光が消えると同時に小さい欠片を見つける。それが聖杯だと分かった時、急いで回収しようとした。だけど、それは誰かの手に収まる。見上げると、帽子を被った男性が見えたが、顔を確認する暇はなかった。洞窟全体が激しい揺れに襲われたからだ。

「何事?!」

「崩れるんじゃ…?」

『立香ちゃん、マシュ、戦兎君!そこはもう崩れる!急いで退避してくれ!』

ロマニが叫ぶと同時に洞窟の唯一の入口が瓦礫で埋まってしまった。揺れは段々と激しくなり、遂に私達が居る場所も崩れ始めた。

「Dr.?!どうにかならないんですか?!」

『こちらから強制的にレイシフトを行う!少しの辛抱だ、耐えてくれ!』

既に私達は宙に浮いていた。離れないようにお互いの手を握る。それと同時に意識は闇へ沈んだ……



















……どれくらい経ったのだろうか。
目が覚めるとそこは見馴れた天井がある。どうやらギリギリ帰ってこれたようだ。ひと安心し、戦兎とマシュを探しに行く。暫く探したら、頭に包帯を巻いた戦兎が私に手を振っていた。

「……よかった、気がついたみたいだ」

「戦兎?」

「マシュが心配してたよ。行ってあげて」

「うん」

戦兎に促され、マシュの元へ向かう。
廊下で一人、消滅間際のアルトリアから採取した成分により完成したライオンフルボトルを手にしたまま外を眺める戦兎。彼が考えている事は多くあるが、その中で一際強く考えている事は……

「万丈、マスター、美空、紗羽さん。俺は必ず東都に戻る。それまで待っていてくれ…」

自分がお世話になっている人達の事だった。
だが、彼はまだ知らない。この戦いはまだ始まったばかりであり、自分はそのスタート地点に立っただけだという事を。そして、これからの戦いはより激しくなるという事も。



特異点Fの戦いはこれで一区切りとなります。
アルトリアに戦兎の名前を教えた人物。それが誰なのかは今後の展開で明らかになるでしょう。

そして、最後に立香達より先に聖杯を回収した男性。彼の正体は話が進むにつれて分かるかと思います。

それでは次回をお楽しみに…







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