Fate/Grand Order ~孤高の剣士~   作:黒ヶ谷・ユーリ・メリディエス

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 どうも、おはこんばんにちは、黒ヶ谷・ユーリ・メリディエスです。

 日を跨いだけど24時間以内で三度目の投稿ダゼ!

 文字数は約一万四千。地味に増えていってるのはわざとではない。自分で自分に呆れた。

 本作の視点はもう基本三人称、思考・感情描写は一人称的視点で固定しようかなって。

 今話では私がFGOを始めて最初に回したストーリー&フレンドガチャで出て来た鯖を二騎登場ダゼ!(ただしかなり最後の方)

 あと本作のオルガマリーは原典より幾分か落ち着いてるけど、慌てようは健在ダヨ。

 ではどうぞ。




序章:3 ~召喚~

 

 

 ロマニを始め、オルガマリー達は、キリトが放った質問に対し疑問を覚えざるを得なかった。

 

 此処は、現実なのか。

 

 その問い掛けは、内容も不可解だったし、その言い回しも不自然だった。

 これは、と言っていたなら、まだ現実を認識していないのか、あるいはハッキリと現実を認識する為の問いなのかとも考えられた。

 しかしキリトが放った問いは『此処』という場所についてだった。

 まるで『自分は現実には居なかった』と、そう捉えられる内容だったのだ。

 

『――――キリト君、どういう意味の問いなのか、尋ねても良いかい?』

 

 意図も問うている内容についても分からない以上、下手に答えは出せないためロマニはまず情報を求めた。その内容から、目の前の現地協力者という少年が知りたい事に当たりを付けて、答えようと考えたのだ。

 ロマニは確かに時に空気を読めない言動を取る。

 しかし職務や役割はキチンとこなす大人であり、子供であろうキリトの疑問を解消してあげようと世話を焼く面を持ち合わせる、善良な人間だった。

 同じ轍を踏まないよう尋ねたロマニに、キリトは一瞬悩んだ。

 そもそも先ほどの問いは、『この世界は別の仮想世界なのだろう』という己の予測が誤っているのではないかと不安を抱き、焦燥に駆られ、真実を知りたがったが故の失言だった。オルガマリー達には己の情報を秘したというのにこれでは本末転倒である。

 だが先ほどの問いの内容を正確に伝え、求める答えを得るには、自らの身の上というものを語らなければならない。

 オルガマリーやロマニ達にとっては常に目の前に広がる全てが現実世界の出来事だ。

 キリトにとっては生きる世界が仮想世界と現実世界の二つあるが、通常そちらが異質なのである。ロマニ達の認識が普通なのだ。

 その認識の差異がある以上、キリトは己が求める正確な答えは得られないと理解していた。

 

「――――ぁ、ぅ……!」

 

 理解していたが、語ろうとすると上手く言葉を発せられず、音としても成立していない声ばかりが出るだけ。

 キリトは恐怖を抱いていた。

 顔を合わしたばかりの、まだ名前くらいしか知らない間柄で己の情報を伝える事の恐怖心があった。過去無数の人々に、名前は勿論顔すら初見の者からすら疎まれていたからこそ、キリトは恐怖心を抱いていた。

 そして、自身の予測が誤りである事を確定的にする事への恐怖があった。

 半ば確信めいたものを抱く程までに、キリトはオルガマリーやロマニ達の会話から、己が居る世界は現実で起きている事なのだと認識していた。すなわち最もあり得ない可能性――――ゲーム世界の装備/能力のまま現実世界に居るという状態を肯定し始めていたのだ。

 それは普通あり得ない事態である。ゲームの能力で現実に出るなどフィクションの話だ、現実に起こり得る筈がない。

 だからそんな事はあり得ないと、そう、キリトは信じていた。

 いや、最早信じたかったと、過去形になっている。それ程にキリトは現実的な思考を持っていた。

 ただそれを信じる事を、認める事を、恐れているだけなのだ。

 だがロマニとオルガマリーの沈痛、焦燥、怒り、嘆き、哀しみといった感情を見て、触れて、嫌でも現実での出来事なのだと認識させられる。

 仮想世界は全てプログラムで再現された世界だが、人の心や感情、記憶といったものは、現実世界でのそれと変わりない『本物』であると、キリトは考えていた。その価値観が幸い/災いして、キリトは真実をほぼほぼ掴んでいた。

 ただそれを認めたくなくて。

 でも認めざるを得なくて。

 その鬩ぎ合いが、キリトを上手く言葉を発せない状態へと陥れていた。

 ――――しかし、究極的にキリトは現実を見る思想の持主であるが故に、どういう結果になるかは定まっているも同然だった。

 キリトは目の前の出来事から目を背ける事を良しとはしない主義故に、恐れはしても、認めたくない事実でも、最終的にはそれら全てを受け止める選択を常に選んできた。それがキリトの生き方だった。

 それしか知らなかった。

 故に呼吸を整え、気を静めた後、キリトは己の身の上を明かす事にした。自身が生きた世界の事を、生まれた世界の事を。

 

『――――そんな、馬鹿な』

 

 桐ヶ谷和人/キリトという少年の素性を、成り立ちを、大災害の中心である街に居る経緯を知った一同で最初に口を開いたのは、ロマニだった。四人の中で最年長であり、更に情報的にも《観測者》という立場故に多く持っているからこそ最初に立て直す事が出来た。

 だからこそ誰よりも早く、キリトの存在の異常性へ理解が及んだ。

 及んでしまった。

 

『キリト君、君は今、2024年から来たと言ったね?』

「確かに、そう言ったけど」

『だとすればおかしいぞ、実に不可解だ……良いかいキリト君。《フィニス・カルデア》が在る、立香君や、マシュ、所長に僕が真の意味で生きる時代は、2016年なんだ』

「――――は?」

 

 厳かに、慌てさせないようにゆっくりとロマニは真実を口にした。

 年代の食い違いという、本来あり得べからざる事実を知ったキリトは、初っ端から思考が真っ白になる程の驚愕を覚えた。何しろ仮想世界の姿、性能のまま現実に来て混乱していたところに、今度は時代が違うという追い打ちが来たのだ、驚きで思考も止まるというものだった。

 ある程度の事は受け容れる冷静さを取り戻していたキリトも、これには混乱するしか無かった。

 それでもどうにかしようと、何とか事実を事実として認識し、思考の橋に寄せる事で思考を回し始める。

 だが現実は非情だった。

 

『そして今君や所長達が居る場所の年代は2004年だ』

「は……え、な……えっ?」

 

 続けて明かされる、ロマニが居る場所と己が居る場所の更なる年代の相違。

 キリトは今度こそ理解が追い付かなくなり、思考が止まった。

 表情を困惑に満ちさせたキリトは、虚空に浮かぶ男性の顔から視線を離し、立香やマシュ達に視線を向ける。本当かと言外に問う視線に、三人は不憫に思いながらも揃って首肯した。

 嘘だと、キリトは叫びたかった。

 しかし少なくとも現実の都市である事が分かる以上、ロマニ達の言を一方的に否定する事が出来なかった。そも、怪しさや理解の不能さで言えば、己の身の上や事の経緯の方も負けず劣らずの突飛さなのだ。それを一応信じてもらった以上、己もまた彼らの言葉を信じる事が道理だと思い、叫びを飲み下す。

 

『――――っと、所長、そろそろ通信の電力が一旦切れそうです。後の説明は任せても良いですか?』

 

 気を取り直し、今度はカルデアや異なる年代に来ている理由について問おうとしたところで、ロマニが映るホログラムからピピーッ、と無味乾燥な電子音が響いた。ロマニの発言から、通信に割ける分の電力が尽きそうな事が分かった。

 《イミショウシツ》というものを今現在無事な機器と人員を総動員して何とか避けているので、無駄な電力は使えない現状で、短時間の通信がやっとである事をキリトは悟った。

 故にキリトは無理矢理訊こうとはせず、数歩ホログラムから下がる事で、オルガマリーから説明を受ける事の意を示した。

 それを見てオルガマリーやロマニは感心した。先ほどの苦しみ様、悩む素振りからここで慌てて問いを投げるかと思っていたのだが、存外精神の立て直しが早かったためだ。

 そんな少年を視界の端に納めつつ、オルガマリーは医療部門トップの言葉に頷いた。

 

「分かりました。説明は私が後で纏めて行います、貴方は今出来る最善を尽くしなさい。この特異点は私、藤丸、マシュ、そしてキリトを探索メンバーとして何とかします」

『了解しました。通信は今後適宜行えますので、緊急事態の時は繋いで下さい。あと、物資支援として、英霊召喚の為の触媒を送りますね――――健闘を祈ります』

 

 ロマニがそう言ってから数秒と経たない内に、床に置かれ青白い光を発する大盾の上に幾つかの物体が出現した。それを契機とするようにロマニが映っていたホログラムが途切れる。物資を送るので丁度電力を使い切ったらしかった。

 大盾の上に現れた物資は、キラキラと七色に輝く石だった。五芒星よりも更に多く四方八方に角を見せるその石が大盾の上に合計で六つ存在していた。

 その石を見て、オルガマリーがほう、と感嘆の息を吐いた。どことなくマシュも希望を見た明るい面持ちになっていた。

 キリトと立香だけがその物資を何に使うか分かっていなかった。

 その拳大の石をオルガマリーが三個、マシュが三個手に取り、それぞれがキリトと立香に渡す。

 

「さて……キリトに私達の目的について話そうと思うのだけど、その前にこの物資を使って英霊召喚を行いましょう。キリトへの説明は召喚に応じてくれた英霊達への説明と同時に行います」

「「英霊、召喚……?」」

 

 石をキリトへ手渡しながらのオルガマリーの言葉に、男は二人揃って首を傾げた。カルデアに所属する立香も初めて聞く単語だった。

 そんな立香の様子を見て、オルガマリーは眉根を寄せる。

 

「ちょっと、キリトならともかく、あなたも英霊召喚を知らないの? まさかと思うけどサーヴァントについても知らないんじゃないでしょうね」

「あの、所長、先輩は一般家庭の出ですし、集会の直前にカルデアに到着したばかりだったので講習を受けていないんです……知らないのも、無理からぬ事かと」

「む……そういえば、そうだったわね。それなら仕方ないけど……はぁ、何でこんなへっぽこ魔術師がマシュのマスターなのよ……」

「えっと……す、すみません……」

「謝らないでよ。私が惨めになっちゃうじゃない」

「ええー……」

 

 オルガマリーのセリフに理不尽なものを覚えつつ、立香は半笑いを浮かべる。マシュはオルガマリーの対応を見慣れているので見守るに留め、キリトは苦手意識が芽生えている故に下手に口出ししないよう引っ込んでいた。

 一通り鬱憤を晴らしたらしいオルガマリーは、それから立香とキリトに、サーヴァントについて語り始めた。

 

「サーヴァントというのは魔術世界に於ける最上級の使い魔と思って良い。人類史に語られる様々な英雄、偉業、概念など、そういったものが召喚され、霊体として現世に降霊した存在なの。加えて実在していようと居なかろうと彼らが『地球で発生した情報』である事は同じだから、伝承や伝説に語られるだけでも彼らはサーヴァントとして召喚出来るわ。英霊召喚とは、この星に蓄えられた情報を、人類の利益となるカタチに変換する儀式の事だから」

「ふむ……じゃあギリシャ神話や北欧神話なんかも?」

 

 キリトにとって馴染みのある伝承・伝説と言えば、義理の姉の自室にあったギリシャや北欧の神話だった。特にギリシャ神話に於ける英雄ヘラクレスには神々に与えられた十二もの無理難題な試練を突破した話から、憧れそのものをキリトは抱いていた。

 もしかしたらヘラクレスを召喚出来るのかと機体を持ち、光の無い瞳が活力に満ちる程の姿に、さしものオルガマリーも苦笑を禁じ得ないまま首肯した。

 

「流石に神霊ともなると格が大き過ぎてスケールを小さくしても召喚は不可能だけど、神話に語られる英雄であれば理論上は可能な筈。分かりやすく言えば、ヘラクレスやアキレウスは召喚出来るけど、ゼウスやヘーラー、アポロンは不可能といった感じよ」

「……じゃあ、サーヴァントを使役するのが、マシュの言う《マスター》?」

 

 首を傾げながらキリトが尋ねれば、再びオルガマリーは首肯する。

 

「その認識で合ってるわ。過去の英霊を使い魔にした存在が《サーヴァント》であり、これと契約を交わし使役する者が《マスター》よ」

「ちなみにですが、サーヴァントには基本となる7つのクラスが存在し、それらは英霊の逸話・能力、適正の有無によって変化します。先ほど神霊の話で触れましたが、《サーヴァント》は謂わば英霊という本体のスケールダウンです、そうしないと人間の魔術師ではリソースとなる魔力が足りませんから。そのためその英霊が持つ一部の側面だけを固定化し、クラスとして当て嵌める――――それがサーヴァントであり、クラスというものです」

「クラスはそれぞれ《セイバー》、《ランサー》、《アーチャー》、《ライダー》、《キャスター》、《アサシン》、《バーサーカー》があり、どんな《英霊》であれ、必ず何れかのクラスになって顕現する。真名こそが英霊の伝承、弱点になるから、クラスはそのプロテクトという役割にもなるわ」

「「へぇ……」」

 

 オルガマリーとマシュによる説明の連続に、初めて知る事ばかりな男二人は最早生返事しか返せなくなっていた。理解が速い方のキリトですら追い付かなくなっている時点で未知な事の概念が多く、また理解に困難さがあるという事である。

 二人からすれば、サーヴァントや魔術師という単語に漸く理解を持ったのに、今度はそこに新たに《魔力》という単語が出て来たのだからまたチンプンカンプンになり始める。

 加えて、キリトにはまだ理解していない事があった。

 

「じゃあ、マシュの《デミ・サーヴァント》というのは、どういう存在なんだ?」

「「――――」」

 

 キリトからすれば、それは単純な疑問でしか無かった。

 話を聞いた限り、《サーヴァント》とは霊体であり、決して物質的な存在では無い。しかし字面から読み取ると何れかの英霊の《サーヴァント》が、マシュと融合しているように受け取れる。

 その事実はオルガマリーとロマンのやり取りで把握出来たが、しかし所長の方の反応が酷く気掛かりだった。まるで、あり得ないとでも言いたそうな、そんな反応を再開直後に見せていたのである。

 その時は理解が追い付かなかったので流していたが、《サーヴァント》について理解を得た今なら分かるだろうと、そう思ってその質問を投げただけだった。

 だが予想に反し、打てば響くような明朗な説明を二人はしなかった。オルガマリーはばつが悪そうに顔を背け、マシュはそんな彼女を見て静かに目を伏せるだけ。

 これは訊いてはマズい事だったかと、キリトでも察した。

 

「……その、話したくなかったら、別に無理はしなくていいから……」

「――――いえ、概要だけでも知っておいた方が良いでしょう」

 

 キリトの気遣いを、しかしオルガマリーは両断した。どこか確固たる決意を秘めているような面持ちでマシュの状態について語り始める。

 それは半ば、マシュの契約者である藤丸立香へ、己のサーヴァントへの理解を持ってもらう指導のようにも見えた。

 《デミ・サーヴァント》。

 それは生身の人間に、霊体である英霊の技術、知識、経験などを融合という過程を経る事で引き継ぐ、謂わば人工英霊の結晶と言える存在の呼称。

 特異点と呼ばれるこの街へ来る前に大怪我を負ったが、そんな彼女を救う為に一人の英霊が、核である霊基や能力などを全てマシュへと引き継がせ、生き永らえさせた結果《デミ・サーヴァント》へと覚醒したのだという。謂わばほぼ偶然の産物だった訳だ。

 そんなマシュのクラスは《シールダー》。盾を武装とする守備に特化したサーヴァントであり、護りに関してはピカ一だという。

 ちなみに、通常であれば《サーヴァント》はマスターから魔力というエネルギーを供給してもらわなければ、現界を維持出来ない。契約はエネルギーを受け渡しする回路を繋ぐためのものだ。マシュもその為に契約を交わし、立香から魔力を提供してもらい、戦闘を円滑に進めるようにしているという。

 だがマシュは生ける英霊であり、魔力を生産する生身も有しているため、通常の英霊との契約状態に較べマスターへの負担は小さいらしかった。更にカルデアの電力によるバックアップで更に負担を軽減しているので複数のサーヴァントを一気に使役出来るという。

 その為に、ロマニは英霊召喚の為の石を送って来たのだという。

 

「ロマニは雰囲気が緩いし、空気を読まない緩さが目立ちますが、あれで仕事には真摯な人間です。こちらの事情も理解してこれらを送って来たのでしょう」

「こちらの事情……?」

「……端的に言えば、役職や家の問題を少しでも和らげるために、今回の探索で成果を上げられるよう援護してくれたのよ。さっき凍結保存を指示した47人でここに来て調査する筈だったけど、カルデアを壊滅に追いやる爆発のせいで死傷者が大量に続出している。次のチームを組もうにも資金繰りやその他諸々で到底一ヶ月で終わる話では無いわ。カルデアも一枚岩では無いからその間に各方面から非難は轟々、最悪カルデアはアニムスフィア家の管理から取り上げられる。それを抑え込むための手柄を立てられるよう気を回してくれたのよ……まったく、ロマニのクセに生意気なんだから」

 

 カルデアの者が特異点と呼称する街へ調査に赴く理由はまだ語っていないので、それでも分かる範囲でオルガマリーは説明した。

 浮遊城にて様々な組織の折衝や関係維持を図って来た身であるキリトは、そんな彼女の姿に同情を抱いた。自分はまだゲームだった上に敵を倒すだけで良かったが、オルガマリーの場合は相手を納得させ、説き伏せる手段を講じにくい中でそれを為さなければならなかったのだ。自分が経験した苦難以上の事が多い役職にある事を素直に凄いと思った。

 そして、そんな彼女を陰ながら気遣う存在が居る事に、かつて自身を案じてくれていた人々を思い出し、また何とも言えない心地をキリトは覚える。ホームシックとは言えないが、もう二度と会えないのではないかという想像が沸き立ち、胸がざわめいていた。

 

 *

 

「では、これから英霊召喚を始めます」

 

 説明が一段落付いたため手早く召喚をする事になり、オルガマリー達は大盾の周囲に集まった。七色の石はキリトと立香が三個ずつ持っている。

 英霊召喚をするにあたって必要な触媒は、《聖晶石》と呼ばれる魔力の塊に等しい七色の石だ。一度召喚するのに必要な個数は三つである。

 当初はカルデアが正式に認めたマスターである立香が二騎召喚し、契約を結ぶ計画だった。

 だがそれをするにあたって、立香の魔力量の少なさ、カルデアのバックアップの程度が少ない事が災いし、一騎しか使役出来ない事が分かった。マシュが基本自力で魔力を生産し、消費するというサイクルを築いているが、戦闘時は僅かに魔力を持って行くので、それを考えると長期戦を考慮して一騎が妥当であるとなったのだ。

 となれば、残る一騎分は、カルデアが設備を修復してからであっても遅くはない話になる。

 しかしオルガマリーはその貴重な一騎分を、キリトに費やす事を決断した。

 オルガマリーはサーヴァントを使役する適正こそ持たないが、しかし魔術師としては一流の中でも上位に位置する者である。素養があり、且つ努力を怠らなかったオルガマリーの目は、立香の何倍もの魔力量をキリトが内包している事を見抜いていた。

 故にこの街での戦いの間、カルデアのバックアップは通信や《イミショウシツ》を回避する為の観測に必要な電力を除いた分をほぼ全て藤丸立香のサーヴァントの戦力に要する魔力補給へ回し、キリトは召喚の際にバックアップを受けるだけで、平時の現界維持から戦闘に至るまでの魔力供給を自力で行う事になった。

 つまり契約形式は両者同じであるが、カルデアのバックアップの有無が変わるという事である。

 

「基本的にカルデア式の英霊召喚は召喚者の呼び掛けに《英霊》が応える形で果たされるので、召喚早々殺される事はあまり無いと思って良いわ……理性が無い《バーサーカー》や、各英霊達の逆鱗を踏み抜かなければ、だけど」

「所長、いざ召喚する前になって不安を煽るような事は言わないで下さいよ……」

 

 半ば脅すような運試しとも言える事実を突き付ける女性に、立香が何とも言えない微妙な面持ちで抗議する。

 オルガマリーとしても意地悪で言った訳では無く、中にはそういった事態になり得るのだと教える意味も込めての言葉だった。

 

「そのための《令呪》です」

 

 《令呪》とは、サーヴァントと契約した際に現れる聖痕の事で、立香とキリトの両者はそれぞれ右手の甲に現れている。紅の紋様のそれは全部で三画分存在し、三回分、マスターである二人は己が契約したサーヴァント達へ絶対命令権というものを行使出来た。

 それは《サーヴァント》によって殺される事を防ぐ自衛手段であり、敵との戦いの際に援護する力を与える手段でもある代物。

 カルデア式の《令呪》は参考元となったものと異なり、一日一画分回復していく反面、その効力は幾らか減衰しているという。自害の命令は可能だが、しかし遠方に居る《サーヴァント》を目の前に呼び戻すといった魔法の域に等しい現象までは起こせなくなっている。可能なのは《令呪》という形に集約された魔力をサーヴァントへ与え傷を癒す、魔力を充填させ大技を放たせたり威力を増幅する、一時的に身体能力を強化する、そして自害させる程度である。

 《バーサーカー》を引いた場合、理性を喪っている状態だと視界に映る存在全てをマスターであろうと殺しかねないため、基本は自害が安定。加えて現界や戦闘に必要な魔力量も莫大なので燃費が悪く、現状に於いて非常に引きたくないクラスなのである。

 元々《バーサーカー》は、伝承的にそこまで強くはない英霊の強さを押し上げるべく、理性を犠牲に狂化というスキルを以てステータスを上げたクラスの事を言う。

 理性が無いという事は、すなわち生前あった技術も喪われているという事。

 オルガマリー達にとって《バーサーカー》の存在は厄介だが、キリトの個人的な事情でも技術が喪われているというのは嬉しくなかった。

 キリトは他者の技術を見て学び、己を成長させる事で、最も己を鍛えられる。自分だけで鍛えるのにも限界があり、その限界を突破する為の起爆剤が『他者の成長を見る事』なのである。

 英霊とは完成した存在なので成長では無いが、しかしそれでも戦い方は参考になる。それが己の成長に繋がると確信を抱いているからこそ、そういう事情でキリトも《バーサーカー》は召喚したくないと思っていた。

 ――――そんな思考をしている時点でキリトはカルデアに行く気満々になっている。

 オルガマリーも半ば自然な流れでキリトをカルデアに招くつもりでいた。それは戦力的な意味が大きいのだが、特異点という異常な場所という事情にも関わっていた。

 カルデアがタイムスリップ同然の事をしている理由は、未来に於いて人類の生存を確認出来なくなったから。その理由が未来に無い以上は過去にあると判断し、過去の異常を見て、それを特定した。その異常な場所がキリト達が今いる特異点と呼ばれる場所なのである。

 カルデアが呼ぶ《特異点》は、謂わば人類史というドレスに付いた『染み』。そこに存在するだけで価値を損なわせてしまう害悪。

 凍結保存された47名とマシュ、藤丸立香は、その染みを取り除く為に編成されたチームだった。染みこそが未来を喪わせているのだから、これを修正する事で未来を取り戻すのだ。

 ――――だが、特異点の異常を取り除き、歴史を修正すれば、その場所は『無かった事』になる。

 歴史に無かった場所が特異点なのだから、歴史の前後の辻褄が合えば、人類史から弾き出されていた特異点は消失する。

 つまりキリトがカルデアに行かなければ、半自動的に消滅するのだ。

 オルガマリーは様々な事情から辛辣な印象を人に与えるし、時に口は悪く、当たりも強い事がある。しかし決して悪人では無い。追い詰められているが故にきつくなっているだけで、根は善良な人間なのだ。そうでなければ人理保障の職務に忠実にあろうとはしない。

 そんな善良な人間としての心が、キリトを特異点に残し消滅させる事を拒んでいた。

 仮にキリトが特異点に元から存在する地元民であったなら、消滅は自然な事故にそうは思わなかった。心苦しくは思うが、しかし消滅、すなわち『自分達は会わなかった』という歴史こそが正しいのだと己を納得させられた。

 だがキリトの事情を知り、地元民では無く世界を超えた流浪の人間であると知ったからこそ、保護しようと考えた。

 貴重な戦力として確保したいという思惑の他に、ただ只管に善良な思考でカルデアに招こうという思惑があった。

 ――――そうオルガマリーは自身に理論武装をぶつけ、納得させた。

 真相は逆。カルデアに招く際に『戦力になるから』と周囲を納得させられるだろう理由を持たせておこうと考えたからこその行動である。

 良くも悪くも、オルガマリーは決して悪人にはなり切れない人間なのだった。

 

「じゃあ最初は立香、あなたからよ。年上としての威厳を見せてやりなさい」

 

 そんな女性の指示により、先に召喚するのは立香に決まった。

 魔術師として新米どころでは済まない初心者なのに威厳も何も無いのではと思いつつ、それでもやはり見栄を張りたくて、立香は所長の指示通りに三角形を描くように石を並べていく。

 頂点にそれぞれ並べ終わった後、ロマニが英霊召喚システム・フェイトを起動した。

 七色の石が魔力へと還元され、物質としての形を喪い、空気へ解ける。その七色の光が盾の上で円を描き始め、三つの光輪と共に眩い極光が放たれた。

 青白い光が収まった後、大盾の近くには先ほどまでは無かった人影があった。

 その人影は腰ほどに届く青みがかった髪を一つに括った侍だった。顔の造形は日本人のそれで、背丈は立香よりも遥かに高く、されど背に吊る長刀は長身の侍よりも更に長い。臙脂色の着物の上から雅な陣羽織に羽織る侍は、細身に見えるが意外に肩幅は広くも映る不思議な立ち姿をしている。

 その侍が己の眼前に居る人間四人を認めると、にやりと口角を釣り上げた。

 

「――――《アサシン》のサーヴァント、佐々木小次郎。此処に参上仕った。して、マスターは誰かな?」

 

 軽薄そうな笑みを浮かべながら青年はそう名乗りを上げた。

 佐々木小次郎。

 それは日本有数の剣豪《宮本武蔵》の好敵手として語られる剣士の名であり、若くして巌流を極め、向かうところ敵なしとされる程の天才剣士だったという。

 幼いキリトですら知っている名前故に、英霊への知識を深める為に勉強をしていたオルガマリーとマシュは勿論、日本人である立香もその名を知っていた。

 知っていたからこそ、首を傾げる事になる。

 

「ふむ、その表情から察するに私の名前とクラスについて疑念を覚えたようだな?」

 

 侍の側としても、その疑念は抱かれて当然だった。彼の剣豪の好敵手として知られる剣客が暗殺者のクラスで現界するのはおかしいと理解していたのだ。

 

「あ……えっと、すみません。有名な剣客の名前なのに、セイバーじゃないんだなって思って……」

「こ、こら立香?! あなた何て事を……!」

 

 それを察した侍の促しに素直に肯定する立香。

 オルガマリーは早速やらかした立香を焦りと共に叱り付ける。英霊にとって己の名や格とは誇りそのものと言ってもよく、それを貶めるような発言とそれの肯定は、謂わば禁句。地雷原や逆鱗と言って良い程のタブーなのだ。

 先ほど注意したというのにこの男は! とオルガマリーは内心で憤慨と英霊を怒らせる事に対し涙目になっていた。

 ――――しかし、オルガマリーと立香が幸いしたのは、そんな事に侍が拘らない点だった。

 

「ははっ、いや、別に構わんよ。今し方《佐々木小次郎》と名乗りはしたが、私自身は名も無いまま死んだ無名の剣客故、そも名乗りなど出来はしない。ただ『伝承にある剣技を使える』という共通点から《佐々木小次郎》という皮を被せられた亡霊に過ぎんのでな」

「……えっと、つまりあなたは便宜上《佐々木小次郎》の役目を担ってはいますが、中身の人物、生前は無名の人間だったと?」

「応とも、盾の少女よ。私は畑仕事の傍ら、暇潰しとして日がな一日棒振りしていただけに過ぎんつまらん男だ。私の事は一振りの刀と思ってくれれば構わんさ……して、マスターは誰かな。先ほどから目を輝かせているそちらの少年かな?」

「「「え?」」」

 

 マスターが誰か確認をする侍は、微苦笑を禁じ得ないとばかりの面持ちで予想を口にした。

 そう言えば静かだなと思いながら三人がキリトへ目を向ければ、当の少年は光の無い黒い瞳をしていながら目一杯期待を膨らませるという器用な面持ちで小次郎と名乗った侍を見詰めていた。

 これには小次郎含め四人は揃って微笑ましく思った。

 オルガマリー達は英霊への憧憬や尊敬故の期待だと考え、小次郎は未だ磨き切られていない原石たる少年の気概を好ましく感じたが故に。

 キリトはデスゲームの世界で生き抜く為に己を磨いていたが、ゲームに興じるよりも前に義理の姉から武道を教わっていた身でもある為、武道に通ずるものへの興味関心は人一倍強い方だった。

 それ故に、キリトは非常に佐々木小次郎に――――伝承と同じ剣を使えるから、という理由で召喚された侍に、強い憧れと尊敬を抱いた。

 英雄と呼ばれる者達は大半が波乱な人生を歩み、その果てに偉業を成し遂げ、人々に知れ渡る。

 しかし目の前にいる侍は人に知られる事無く、名無しのまま死んだという。それなのに英霊へと至る剣技を身に着けたのだ。キリトにとって目の前にいる侍の境地はある種己が目指すべき到達点の一つとして映っていた。

 純粋な技術と努力だけで英雄へと踏み入れる事も可能という事実こそが、キリトに強い関心を抱かせ、同時にその困難さの一端を知っているが故に尊敬の念を抱いていた。

 天才だから、才能が有ったから、という理由でキリトは諦めない。キリトにとって才能とは成長速度や経験値倍率の事で、才能が無くても成長は出来ると固く信じているのだ。そうでなければやってられない部分もあった。

 努力だけでも最強に届くかもしれないという可能性を見た事が、キリトの感情を呼び起こしていた。

 

「いえ、小次郎さん。あなたのマスターはこちらの先輩です」

「あ、えっと、初めまして、藤丸立香です。よろしくお願いします」

「ふむ、そちらがマスターだったか。ではこれからよろしく頼むとしようか」

 

 マシュの訂正もあって立香―小次郎主従の関係は無事に成立した。

 小次郎は比較的近代の生まれなので他の英雄達に較べて膂力は高くないが、反面生涯を剣に捧げる程の巧さがある。小次郎の武器は己の剣技のため、そこまで魔力を消費しない事が判明した。

 そのためある程度であればキリトにも魔力を回せる事がロマニの通信で分かり、オルガマリー達は思わぬ朗報に歓喜した。

 その一幕の後、続けてキリトが大盾の周囲に石を配置する。それからカルデア側がシステム・フェイトを起動し、召喚を開始した。先ほどと同じ現象が満ち、ほぼ一瞬にして眩い光が放たれ、そして消える。

 

 光から現れた人影は宙に浮いていた。

 紫紺色の薄手のクロークを纏い、黒いフードとマントを纏った女性は、フードから覗かせる蒼い口紅を塗った唇を喜悦に歪めていた。

 

「――――あら、随分と可愛いマスターなのね?」

 

 妙齢の女性と分かる妖艶な声音で、眼下で己を見上げる黒尽くめの幼子を見て言う。

 魔女の一言が思い浮かぶその様を見て、クラスが《キャスター》である事は名乗りを聞かずとも察せた。続けて名前は何だろうと各々は考える。

 キリトは自らが召喚した《サーヴァント》がどんな力を持ち、どんな戦い方を可能としているかを思考していた。

 そして残る立香のサーヴァント、小次郎は――――

 

「何だ、誰かと思えば女狐ではないか。何時ぞやは世話になったな」

「「「「へ?」」」」

 

 淡々とした口調で、しかしからかうような面持ちで宙に浮いてキリトを見て笑む女性を《女狐》と称した。

 小次郎が生きる時代には魔女なんて存在は概念自体無い筈であるが、しかし旧知の仲であるような物言いに四人の思考が一時停止すると共に、罵倒に近い呼称で呼ばれた女性が小次郎へ視線を向ける。

 その姿からは、どこか少女に近い不満というものをキリトにも感じられていた。

 

「あら、誰かと思えばアサシンじゃない。あなたも召喚されていたのね」

「応さ。何時ぞやの夜とは違いしっかりと正規のマスターと契約しての現界よ。此度は十分に私の剣を振るえるというもの、いやはや、何時ぞやとは違い胸が躍るというものよ」

「あらあらご挨拶ね」

 

 ニヤニヤと笑みながら小次郎が皮肉を口にすれば、《キャスター》はクスクスと口元に手を当てて艶然と笑声を上げる。

 そのやり取りを、オルガマリーは生きた心地がしない状態で見守っていた。つい先ほど小次郎の竹を割ったような性格で窮地を脱したというのに、今度はキリトが召喚したサーヴァントとの間で問題が起きそうな予感がしているのだ。オルガマリーは非常に胃が痛い思いをしていた。

 そんな人間が居る事も知らず互いを挑発し合っていた侍と魔女は、しかしどちらからともなく視線を切り、会話を打ち切った。

 

「それで、坊やがマスターで良いのよね?」

「あ、うん……桐ヶ谷和人。キリトって呼んで欲しい。よろしく」

「ええ、よろしく、キリト。私は見て分かる通り《キャスター》、真名はメディアよ。神代随一の魔術師の腕で貴方をしっかり支援してあげる」

「なぁ……ッ?!」

 

 魔女の名乗りを聞いて、現代の魔術世界の知識がこの場で最も深いオルガマリーは喘ぎを洩らした。

 メディア。

 それはギリシャ神話に語られる【裏切りの魔女】で知られる女性。アルゴナイタイのリーダーに惚れる呪いが掛かっている間様々な悪逆非道な真似をしてでも振り向かせようとしたが、最後にはその男に裏切られ、捨てられ、一生を終えたという悲劇の女性。肉親を己が手で殺し続けたが故に【裏切りの魔女】で知られる事になった英雄だ。

 そんな女性は、本人が口にした通り確かに神代で随一と言える魔術師と言えた。何しろヘカテー直々に魔術を教わったというのだ。現代の魔術師では発音できない神代言語の魔術を扱うとなればその威力・効果は桁違いとなる。

 極論メディアの魔術による支援があれば小次郎の膂力を強化して大英雄に匹敵させる事も不可能では無い程に、メディアという英雄の魔術は他を隔絶しているとされている。

 実際のところ、史実として本当なのかは不明だ。

 だが多くの魔術師が『メディアの魔術はそういうものだ』と認識している以上、キリトによって召喚されたメディアは事実としてその魔術を使える事になっている。

 それを考えれば小次郎の直接戦闘力、メディアの神代魔術による支援・援護、攻撃に防御魔術、そしてマシュの物理的な護りが揃っているので、バランスが良いと言えた。

 加えて基本無力と言えるマスターだが、キリトに関してはエネミーであれば拮抗以上の戦闘を可能とする。こちらもメディアの援護を加味すればそれ以上の戦果を叩き出せるだろう。強化の魔術を施せば今後通用しない可能性があるエネミーの打倒すら不可能では無いかもしれない。

 どちらが召喚したサーヴァントも現状に於いて最高級と思えたオルガマリーは、心の中で全力でガッツポーズを取り、気分を上向きにしたのだった。

 

 






 はい、如何だったでしょうか。

 立香鯖は佐々木小次郎、キリト鯖はメディアになりました。

 正直槍ニキ、ロビン・フッドの選択もあったんですが、よくよく考えたらキャスニキと縁を結んでから槍ニキの方が良いし、ロビンは第五特異点で縁を結んでからの方が良い気がしたので、没に。

 なので土地繋がり且つ(メディア・リリィは別として)ストーリーに絡まない鯖を選びました。

 また小次郎はキリトの技術的な部分の成長の起爆剤に、メディアは戦闘可能な範囲を広げるバフ役として選出した理由もあったりする。メディアって凄く便利キャラだと思うんだ……(メディえもん並み感)

 特異点Fクリア後なら青王や黒王も出せたんでしょうがね……自分、アルトリア顔は黒王しか居ないので、青王は出せませんが。

 原点でもそろそろ青王の出番を出してあげてもいいと思うのは私だけ? あとそろそろ強化してあげても良いと思うんだ、Fate/の顔なんだし。

 ……そういえば、メディアとキャスニキだとどっちが勝つんだろうか。時代的にどっちがより昔だっけか……?

 まぁ、本作だと多分メディアは支援、キャスニキは攻撃という感じの役割になるでしょうが。

 尚、キャスニキとメディアが味方鯖として揃うと、キリトの一時的強化バフがモリモリになったりする。あらすじ通りエネミーを倒せる暴挙の成立ですね(白目)

 では、次話にてお会いしましょう。



 ――――ちなみにこれまでの三話、一度もマテリアルを見返さずに書いてたりする。



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