異世界転生にも法律はあるんですよ!   作:(´鋼`)

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前回のあらすじ。
・能力【創造】をゲット
・転生者を処刑することに成功
・異世界が消滅するのが早かったことに対して疑問を覚える主人公


第5話 『俺にとって厄介な相手』

 おはよう諸君!突然だが寝坊しかけたことはあるか?まぁこれは誰にでもあるわな、その原因は自分が夜遅くまで起きてるからだけどな!

 

 で、今の俺なんだけど……完全に遅刻しそうです。

 

 

「どーしてこーなったんだっけ!?」

 

『そりゃキチンとした睡眠を取れてないからでしょうに』

 

「あの時の処刑で疲れたのに、何で意識は闇の中に行かなかったんだろうかね!?」

 

『そりゃキチンとした』

「天丼は止めろ!」

 

 

 ってか、真面目に走らねぇと遅れそうだ。俺の学校チャイムが鳴ったと同時に席に着かねぇと遅刻扱いになるんだよなぁ……。というか周囲の人が俺に視線を向けてるんだが?

 

 

「それよか大神、お前その姿で浮遊して平気なのか?」

 

『そもそも私達は本来見えませんから。処刑時のパートナーとして組む人以外では見えてませんよ』

 

「成程…………って、それだと俺が独り言してる奴だと思われてるってことかぁ!?」

 

『傍から見ればそうでしょうね。まぁ他の処刑人なら見えますけど』

 

 

 他の処刑人……他のかぁ。そう考えてくると俺不味いポジションに居るんだよなぁ。

 

 

『どうしました?』

 

「いや、他に処刑人が居たら不味いなぁ……って」

 

『それは御心配なく。確率的にありませんから』

 

 

 何かこれでフラグ立った気がするのは俺だけか?

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

「あっぶねぇ、ギリセギリセ」

 

「この命知らずめ」

 

「お前に言われたかねぇ」

 

 

 今俺と話している野郎の名は『伊勢崎 遊馬(いせざき ゆうま)』。同じラノベ仲間であるが、コイツが読むのは原作と二次創作。つまり先に原作の小説を読んで、次にその小説のお気に入り二次創作を読むという変態両刀(パイ)である。

 

 というのも原作は原作で面白いが、二次創作は作者の技量によって神作になったり駄作になったりする事が必ずある。コイツも最初自分の中の神作を見つけた時の感動が忘れられず、それ以来こんな読み方をしているのだ。

 

 俺も分からんでもない。確かに原作にどう自分の考えた設定を組み込むかによって二次創作は大きく揺れ動くからな。あ、これって異世界とかにも共通すんのかね?

 

 

 

「ってかお前さ、ホント馬鹿だよな」

 

「誰が馬鹿だ、すっとこどっこい」

 

「だってほら、この学校の風紀委員……」

 

「oh……」

 

 

 そうだ、そうだった。アイツ本当に厳しいんだわ。そういや遅刻しそうで廊下走っただけで〆られたんだっけ?その時は注意喚起で終わったけどよ。

 

 

「お前も大変だな。その厳しい風紀委員が、まさかの幼馴染だなんてよ」

 

「お前の彼女と交換するか?2次元の」

 

「あれだけは無理無理」

 

 

 そう、そして俺の幼馴染である。幼稚園、小・中・高と一緒になってる腐れ縁だ。だがどうも俺のことを嫌悪しているのか、何かと難癖付けてくる。つっても会ったとしてネクタイ曲がってるから直すとか、髪ボサボサだから直すとか……完全にオカンじゃないか。

 

 

「でも幼馴染が風紀委員って……どこの同人誌だよ?」

 

「んなr18展開が起きる訳ねぇだろ俺とアイツに限って。大体俺が授業中に本読んだだけで説教って、意味分かんねぇよあの貧乳」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すまんな、貧乳で」

 

 

 背後から寒気がする。目の前の遊馬の表情が強ばっている。そしてこの声の主は……間違いない、鉄十字団に怨みを持つ!

 

 

「スパイダーマッ!」

 

 

 殴られました。いや後ろ向いた途端に右側頭部に拳を叩き込みますかね普通?そのせいで倒れたんだけど。どうしてくれんの?

 

 そんな感情を浮かべつつ何やかんやでそいつを見る。黒髪長髪、適度な微乳に……今日の色は水色か。

 

 

「ぐおっ!」

 

「お前なぁ……!また見たな、私のを!」

 

「この体勢からだと見えるんだよアーホ」

「ふんっ!」

 

 

 痛い痛い痛い痛い!何か頭がミシミシ言ってる!軋んでるから!ちょっと待っ…………ん?幻覚かな、何かコイツの背中から羽っつーか翼が生えてなくね?

 

 

「ちょい……おま、それ何?」

 

「はっ?」

「ッ!?」

 

 

 そーいや隠し事を指摘されるとビックリする癖があったなコイツ。遊馬は……見えてなさそうだな、つまりコイツも「す、すすすまんが用事を思い出した!」あ逃げた。

 

 

おい大神、もしかしなくてもよ

 

『……処刑人ですね。あの人も』

 

 

 倒れた状態で床から上半身だけ姿を現してる大神と話す。どうやら俺の近くには転生者処刑人が居るらしい。どこのラノベだよ?

 

 『久城(くじょう)明日輝( あすか)』、それが俺の幼馴染の名前だ。しっかし、あの背中の翼は何だったんだ?

 

 

『どうやらですけど、あの人と協力してるの【天狗】ですね』

 

天狗?あの鼻高の?

 

『【鴉天狗】という種類に分類されます。といっても私より位は低いので、あの人からは今は私と龍神も見えませんがね』

 

「はぁ〜」

 

「何でそのまんまになってんだよ?」

 

「俺にも事情があるんだよ」

 

 

 ともあれ俺は立ち上がって痛めている頭部を労いつつ授業を続けていく。他にあと5時間あるからなぁ……つらたん。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 さて6時間目だ。あと1時間我慢我慢……

 

 

『空翔さん空翔さん』

 

「んぁ?」

 

「どうした藤宮」

 

 

 ……おいぃぃいい!大神さんよぉ急に声掛けんじゃねぇよ!変な目で見られてるよ絶対よぉ!おいサムズアップを笑顔でするんじゃねぇ!

 

 

「す、すんません。何でもありません」

 

「……そうか」

 

 

 あっぶねぇなぁもう……。それで?

 

 

大神、何の用だ?

 

『いえ、また処刑依頼が着ましたので』

 

「……またかぁ、他の奴にできないわけ?

 

『貴方には最高の能力与えてるんだからこき使われなさいっていう神々からのお言葉が』

 

fuc○God

 

 

 心の中で中指立てるのさ。さて……本題の方に移りたいが、おっとチャイムが鳴ったか。これで本格的に依頼内容が聞けるな。

 

 

大神、依頼内容はよ

 

『はいはい。えーっとですね、今回の対象は【時間停止】の転生者です』

 

時間停止?また厄介なモンを

 

『まぁざっくり内容を説明するとですね。時間止めて所構わずr18行為してる訳です』

 

「くそ野郎じゃねぇか」

 

『あ、いえ性別女です』

 

「百合かよ」

 

 

 あーでもまてよ。TS転生とか結構あるからなぁ、つまりは元男か?でも元が女でも百合の奴も居ると思うけどよぉ……それじゃあ元の性別どっちだ?

 

 

『あぁ、あとそれと』

 

「ん?」

 

『今回他に協力者が居ますので』

 

「はぁ〜、んで誰?」

 

『えーっと……久城明日輝さんです』

 

「…………はっ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

〔一体どういう事か説明してもらおうか!藤宮!〕

 

「電話越しにうるせぇな。落ち着けアホ」

 

〔アホだと……!っと、それよりどうしてお前が処刑人なんだ!?そんなの聞いてないぞ!〕

 

「俺だって知るか。昨日急に選ばれたんだからよ」

 

 

 嘘は言ってないぞ。だって昨夜急に説明された挙句、能力貰って転生者処刑したし。

 

 

「兎も角、さっさと寝てDVRに集合。じゃあな」

 

〔あ、こら待t〕

 

 

 待たない(無慈悲)。電話を切って電気消して布団の中に入る。……言っとくが既に夕食食べて風呂入ってパジャマだからな!誰に言ってんだろ俺。

 

 

『ぃよっと。はい、じゃあ行きますよ』

 

『りょーかい』

 

 

 大神がDVRの空間への入口を開ける。前回通りに幽体で入って用意された衣装を着る。

 

 そんな時、また別の入口が開いた。んでそこから出てきたのは

 

 

 

 

 

 

 

 下着姿の明日輝であった。

 

 

 

 

 

 

『死ねえええええええ!』

 

『ぶべらぁッ!』

 

『おー飛んだ飛んだ』

 

『何をそこまで気にするのやら』

 

 

 大神が何か侮辱したあとに聞こえた声が最後……な訳ねぇだろオイ!

 

 

『おい明日輝!お前幾ら何でも殴ることは無いだろ!』

 

『あっちを向け!』

 

『へぶしっ!』

 

 

 今度はビンタされて後ろに体を移動させられてうつ伏せの状態となった。アイツの怪力マジて何なのよ?何か近くでガサゴソ聞こえてるし。

 

 

『空翔さん、幾ら何でも女の子の下着姿を見るのはちょっと……』

 

『お前の服装にもツッコミたいけどなそれだったら!』

 

 

 事実、何で俺の協力者が際ど過ぎる格好してんのか意味が分からん。男の理性崩壊を起こさせるつもりなのか貴様。あと龍神よ、立たてせくれてサンキュ。

 

 痛む頬を擦りながら明日輝の方に向く。何時の間にサラシを巻いたのかは置いておくが、その服装短時間で着れるヤツじゃ無かった筈だが?そんな明日輝の衣装は完全神社で見かける巫女服であった。1歩後ろには黒い翼の生えた人間っぽい見た目の鴉天狗、容姿は男……か?

 

 そんな明日輝は大神を見てワナワナと震えている。あ、これは不味いな死ぬぞ。

 

 

『貴様……!とうとう犯罪にまで手を染めたかぁ!』

 

『コイツ俺の協力者!お手伝い!神の眷属!分かる!?』

 

『貴様はこの絵面の時点で犯罪者だ!』

 

『くそ理不尽なんですけど!』

 

『あーもう!収集がつかない!』

 

 

 後ろに下がっていた鴉天狗が明日輝を拘束して動きを止めさせる。ってか真面目に危ねぇなオイ。

 

 

『不思議な人ですねぇ』

 

『原因の大半はお前の存在だろうがよ』

 

『酷い』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 漸くある程度明日輝が落ち着いた所で転生者紹介。今回の転生者の名は『葛木(かつらぎ) 明日和(あすな)』、今の性別は女だがr18行為を【時間停止】の能力でしまくってるエグいレズビアンである。

 

 そして罪状なのだが、神々からしてみればこの行為は目に余る。まず人間が定めた倫理的にもアウト、次に街中など人目に付きやすい場所で行われているため被害者の尊厳が不味いことに。このままでは世界が運命に到達する前に壊れると判断して処刑対象者となったらしい。

 

 つーかその内容を俺と明日輝に聞かせても良かったのだろうか?流石に俺と明日輝に限って、そんな関係にまで発展する確率は億に1つもないが年頃の奴に見せて良かったのだろうか?俺の最初の奴は完全にあれだったから幾分か耐性は付いてるが。

 

 兎も角説明を聞いた俺たちは用意された穴に飛び込み、制限時間のある中転生者を捜していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




さて次回予告だ

俺たちは時間停止能力の転生者を見つけたんだが、迂闊に処刑するために実体化しても時間を止められてアウトになる可能性が非常に高い。だが明日輝の方は猪突猛進気味、なので俺は秘策を取ることにした。

次回!『異世界転生にも法律はあるんですよ!』

第6話 『こんなんチーターや!』

次回もお楽しみに

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