超次元ゲイムネプテューヌ- ゲイムギョウ界に迷い込む戦士と七つの龍玉 - 作:GPSA(´・ω・`)FB
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ネプテューヌ達を捕らえていたアンチエナジーの結界にタイムリミットが迫り、ネプテューヌ達は完全にアンチエナジーへと取り込まれてしまい、更にはマジェコンヌが放ったアンチエナジーのエネルギー砲に直撃したキール。
「ぐっ…くうううぅぅっ……」
しかし、キールは消し炭にはなっていなかった。
ビーム砲によって大きく後ろに後退させられたものの、吹き飛ばされないように耐えていたのだ。
「はぁっ…はぁっ…はあっ……ぐっ……」
「ほう、コレを耐えたか…だが、残念だったな。」
しかし、立っているのも辛いのか両膝をついてしまう。
服がズタボロな上に至る所から出血しており、いつ力尽きて倒れてもおかしく無い状況には変わりなかった。
「正直なところ…お前達は良くやったよ。ここまで私を追い詰めたのだからな。まあ、あと一歩の所で終わったが……」
「黙れっ…まだ、終わっていない……」
守護女神達がアンチエナジーに飲み込まれ、戦う気力すら断たれた候補生達…
そして、目前にある満身創痍ながらも諦めが悪い金色の戦士…
それぞれの様子を見て勝敗は決まったと確信したマジェコンヌは、自分の獲物を槍へと変化させながらキールに近付いて賞賛の意を示しながらも、手に持つ槍をゆっくりと振り上げる。
「そう悲観するな。すぐに同じ所へ逝かせてやろう…ドス黒い絶望の底になぁ!」
マジェコンヌがトドメを刺す為、キールの頭上へと槍を振り下ろしたのだった…
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「(どこだろう?ここ……)」
何も見えない真っ暗な空間で、ネプテューヌはゆっくりと目を開けた。
戸惑いながら辺りを見回してみるが、何も見えない。
「(…私、死んじゃったのかな…?)」
漂っているかのような感覚の中、ふと違和感を感じるものの、答えてくれるものもいなかった。
「(ううん、違う…)」
ただ、静寂に包まれたこの空間の中で聞こえて来る鼓動が自分の死を否定していた。
「(でも…シェアエナジーはもう、届かないはずなのに……)」
アンチクリスタルの結界の中にいる自分達には、外からのシェアエナジーは届かない。
しかし、彼女はシェアエナジーが自身に届いている事を感じていた。
しかし、消失していくはずのシェアエナジーが何故伝わって届いているのかと疑問が現れるものの、彼女の両手には誰かと手を握り合っている感覚が伝わってきた。
「(あったかい……)」
アンチエナジーによって精製された、死を告げる黒い水のせいで体は感覚が無いような冷たさだ。
しかし、4人が互いに繋いだ手は確かに温かさを感じさせていた。
ーシェアエナジーとは女神と守護者の信じる心ー
プラネテューヌにいるイストワールが、妹のネプギアと共にそれを確認した。
ネプテューヌは静かに目を閉じる。
そして、自分の周りにいる…微かながらもハッキリと捉えれている力を感じ取っていく。
「(ノワール…)」
ネプテューヌが右手で掴んでいるのはノワールの右手…
「(ベール…)」
それと、右手と掴み合っているベールの左手…
「(ブラン…)」
そして、その二人の空いている手の間に感じるブラン互いの手からそれぞれが繋がっているように、シェアエナジーが彼女達と包み込んでいた。
「(…そっか。そうなんだね…私達……)」
また、ネプテューヌは近くにあるものと大きな繋がりを感じていた。
必死になって自分達を助け出そうとしている妹達…
どうにかして助け出せる方法が無いか探しているアイエフやコンパ、イストワールを含む教祖達…
そして、何よりも繋がりを大きく感じたのは、無謀な事をしてでも自分達を助け出すため、自らの命を対価に戦っているキールだった。
「(キール…みんな…私達は…此処に居るよ……)」
守護女神達は僅かながらも光を放ち始めたシェアエナジーと共に想いを込める。
その想いが共に届くと信じて…
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「…っ!?」
自身の勝利を確信し、槍を勢い良く振り下ろしたマジェコンヌが驚きの表情浮かべていた。
満身創痍のキールが気を纏った掌で槍の矛を掴んで防いでいたのだ。
「ば、馬鹿なっ…何処にそんな力が!?」
変身の負荷とエネルギー波によって、ろくに立つ事もままならなさそうな大怪我を負いながらも、しぶとく槍の矛を掴んだキールの様子に、まだ無様に足掻く気かと苛立つマジェコンヌ。
しかし、漆黒に染まっている筈の結界の方から僅かに光が射している事に気付く。
「はっ!?」
「まだだ…まだ、終わっていない…アイツらは……」
キールには諦めたような様子は一つも無かった。
それ所か、髪は逆立ち金色の光が彼から静かに発せられ、激しい青色の稲妻が彼を取り囲むように迸る。
力強い目付きは変わらないどころか、彼の瞳には黒い瞳孔を覆うように緑色の瞳が現れ、変化を起こしていた。
「アイツらはまだ…あの中で、必死に抗ってるんだ。」
キールの言葉と共に結界の方向から候補生達は顔を上げる。
その瞬間、禍々しい色に染まっていた結界の中から四つの光が現れたのだ。
紫、黒、白、緑…それぞれの色が僅かながらも強く光り輝いていた。
そう…それは、アンチエナジーに取り込まれた筈の女神達のものだった。
「お姉ちゃんは…お姉ちゃん達はまだ、諦めてない!まだあの中で…私達を信じて戦っている!」
キールの行動と結界の変化がキッカケとなり、座り込んでいたネプギアが立ち上がる。
「それなら、アタシ達も…!」
「お姉ちゃん達が待っているなら…!」
「絶対に、諦めない…!」
更に、ネプギアに感化されるようにユニも、ロムとラムも立ち上がっていく。
「…アイツらが踏ん張って戦っているんだ。俺達が折れてお前に負ける訳には…いかないんだっ!!」
「…あなたを倒します!私達の…全身全霊を賭けてっ!」
そして、流れは大きく変化を見せて変わっていく。
候補生達の体から虹色の光が溢れ出てきたのだ。
まるで、超サイヤ人に変身したキールが気を高めるように…
その虹の光は彼女達だけに留まらず、大気中に虹色の波となって広まっていく。
そんな女神候補生達の覚悟と守護女神達の想いを受け取ったかのように、決意したような表情を浮かべたキールは、自分の中に残っている最後の力を振り絞っていく。
「うおああああぁぁぁっ!!!」
「な、何っ!?」
キールの身体にも僅かに虹色の光…シェアエナジーの力が現れると同時に、自分の命を捨てるような勢いで気を高めていけば、凄まじい気の迸りと共に超サイヤ人3へと変身したのだ。
「だりゃあああぁぁっ!」
「ぐああぁっ!!?」
下手をすれば失敗して犬死するかもしれない超サイヤ人3への変身を…それも、満身創痍のノーマル状態から一気に変身した様子に驚愕したマジェコンヌだったが、その隙を狙われアンチクリスタルの結界に蹴り飛ばされてしまう。
「塵衝ッ!!」
マジェコンヌが吹き飛んだ様子を見たキールは、すぐさま両手を腰に引いた鳥の嘴のような構えを取り、片手の手甲に掌を添えるように重ねて気を高める共に、叫ぶような大声を上げていた。
「殲…!裂……!」
掌に集まる気の塊から碧色の凄まじい稲妻と共に砂のように細かい気の粒子が激しく迸る。
技名を唱える掛け声と共にアンチエナジーの影響で暗くなっている空を吹き飛ばすような勢いで気の光が輝きを増していた。
「ぐうぅっ…ちいっ、ルウィーで放った光線か!そんな隙だらけな技が私に当たると思うな…っ!?」
限界まで気を溜めるつもりだろうか…構えを取っているキールの姿からしてルウィーで放った光線の事を思い出せば、当たらなければ意味は無いと罵倒するように告げるものの、彼女にも変化が起きていた。
もっとも、それはマイナス要素という意味でだが…
「アンチエナジーが…!?私の奇跡が、打ち消されていく…!?」
皮肉にもこの場にいる中で女神候補生以外で最も多く影響を受けていたのはマジェコンヌだった。
マジェコンヌの現在の姿にある、機械のように形成された翼の一部が悪影響を受けて砕け散っていたのだ。
砕け散った翼の一部に気付いて焦りの表情を浮かべるマジェコンヌ。
「くっ!ま、まずい…っ!」
始末した筈の女神達が生き残っているだけでは終わらず、妹達と共鳴してシェアエナジーが異常な程に高まっている事…
何よりも、しぶとく生き残っている上に先程よりも強く高まっている気を纏い、既に技を放つ態勢になっている金色の戦士…
予想を遥かに上回っている現状から、この場は逃げるしかないと判断したマジェコンヌは、不服ながらも撤退する為に勢いを付けて飛翔して逃げていく。
「…っ!?な、何だとっ!?」
ふと、背後から寒気を感じて振り向けば、凄まじい速さで自分を追い付いてきているネプギア達に気付いた。
アンチエナジーの恩恵を最大限に受けている筈の自分に追い付ける訳がないと思っていたのだ。
「逃がさないっ!」
「くっ!うあぁっ!?」
挙げ句の果てには候補生達に追い抜かれてしまい、より焦りの表情が露骨に現れていた。
信じられないような状況に判断が狂ってきたのか、マジェコンヌは来た道を戻るように、振り向いて逃げようと再び背を向ける。
しかし、ユニのランチャーから放たれたビームが、マジェコンヌの背にある右側の翼を撃ち砕いた為、翼を破壊された衝撃でマジェコンヌはバランスを崩して空中で回転してしまう。
「「ええーいっ!」」
「ぐああぁぁッ!?」
大きな隙を露わにしているマジェコンヌに対して、続けざまにロムとラムが二人で杖に魔力を込め、星形の巨大な氷塊を放つ。
態勢を整えたマジェコンヌだったが、氷塊に気付く時既に遅く、防御するしかないと考えて槍で防ぐ。
だが、圧倒的な質量差に負けてしまい、防ぎ切れなかった氷塊をまともに受けて吹き飛ばされる。
「ぐっ…あっ!?」
何とか動こうとしたマジェコンヌだったが、行動する前にネプギアが目前へと迫って来ていたのだ。
至近距離と言っても良いぐらい僅かな距離でM.P.B.Lの銃口をこちらに向けていた。
「消えてっ!」
完全に硬直したマジェコンヌに対して、ネプギアは一切迷う事もなくM.P.B.Lによる最大出力のビームをマジェコンヌへと放った。
「ぐあああああぁぁぁっ!?」
M.P.B.Lの最大出力ビームを受けて結界の壁に叩き付けられてしまう。
異様な強度を誇るアンチクリスタルの頑丈さが仇となり、マジェコンヌは全身の至る所から来る激痛に悲鳴のような叫びを上げながら表情を歪ませていた。
「あぐっ…ううっ……はっ!?」
痛みに身体が動かず貼り付けられたシールのように項垂れていたマジェコンヌだったが、今の状態が最悪な状況だという事に気付き、必死に身体を動かそうとしていた。
アンチクリスタルの結界付近には、超サイヤ人3に変身したまま必殺の光線波を放たんと構えている…金色の戦士がいる事を…。
「ひっ!?」
「波あああああぁぁぁぁっ!!!」
身体中や掌に集まった気が限界を超えたように膨れ上がれば、ネプギア達の猛攻によって結界の壁に叩き付けられたマジェコンヌを射程内に捉え、キールは全身全霊の力と共に勢い良く両腕を前方へと突き出した。
キールが腕を突き出した途端、掌に集まっていた光の玉から凄まじい規模の大きさを誇る巨大な光線が発生し、更には周囲のあらゆるものを破壊していくような勢いを持った衝撃波がマジェコンヌへと押し寄せていく。
「くっ、ううっ!?あ…あぁ………」
もう一度範囲外に飛ぼうとするが、残っていた片翼がシェアエナジーの共鳴と気の衝撃波に耐え切れず崩れてしまう。
そこに、砂のような粒子に変化していた大量の気の嵐がマジェコンヌへと襲い掛かっていた。
「うがあああぁぁぁあああぁぁっ!!!?」
一つ一つの気の粒子が凄まじい勢いで押し上げられている為、まるで散弾のような状態で全身に襲いかかって来たのだ。
散弾というよりも豪雨のような勢いでマジェコンヌへと叩き込まれていく。
規模や威力から考えても、彼女がキールに対して放ったアンチエナジー砲の比では無い。
「はあああああああぁぁぁぁっ!!!!」
「ぬああああああぁぁぁあああぁぁぁぁあああああぁぁぁっ!!!!?」
追い討ちを掛けるようにキールが腕に力を込めれば、光線の範囲はより一層広がっていく。
そして、続けざまに来た本命の巨大光線が一気に押し寄せれば、アンチクリスタルごとマジェコンヌを飲み込んでいくと、アンチエナジーによって発生した暗闇を吹き飛ばす勢いで光線が上空高くへと打ち上がっていったのだった…
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キールが放った塵衝殲裂波の光線が消えた後、そこにはネプギア達の攻撃によって新しくできた数々のクレーターと、地面ごとゴッソリ抉り取られたような地形が出来上がっていた。
アイエフやコンパはキールが構えていた時点で彼の後方へと避難していた為、無事であったが…
「…ぐっ!?っは…はぁっ…はぁっ…はぁっ……」
超サイヤ人3のまま構えていたキールだが、アンチエナジーの暗雲と自身が放った光線が消えたのを確認した直後に変身が解けてしまい、身体中に走る激痛と負荷による疲労感で座り込んでいた。
「お姉ちゃん…」
変わり果てた地形に変化した地上へと降り立ったネプギア達は周囲を見渡し、大切な姉の事を呟くように呼びかけながら探していく。
マジェコンヌは確かに倒した…しかし、ネプギアの呟きに答えてくれる者は居ない。
自分達が助けたかった姉達の姿も何処にも居ない。
「お姉ちゃん…どこにいるの?お姉ちゃんっ……」
ネプギアは諦めずに数歩前に出ながら呼びかけてみる。
しかし、答える声は無い。
折角力を手にしたのに…大切な姉を助け出す事ができなかった。
その事実はネプギアだけでなく、ユニ、ロム、ラムにも十分な打撃を与えていた。
「ここよ…ネプギア。」
雲一つない明け方の空に朝日が昇りだした瞬間、聞き覚えのある凛とした女性の声が聞こえてきたのだ。
ネプギア達は顔を上げ、声が聞こえた方向を向く。
するとそこには変身した姿の女神四人がいた。
「お姉ちゃん…!会いたかったよぉ…っ!う、うわぁぁぁっ…!」
「良かったっ…会いたかった…っ!」
「子供みたいに泣くなって…。でも、ごめんな。心配…かけたな。」
真っ先に飛び出したのはロムとラムの2人だった。
姉の無事が分かった途端にブランの方へと飛び込んで抱き付けば、安堵と嬉しさ、そして不安だった気持ちが爆発したように泣きじゃくっていた。
そんな2人を見てブランは呟きながらも、嬉しそうな表情を浮かべながらギュッと抱きしめていたのだった。
「…えっと、ごめんね。お姉ちゃん…遅くなっちゃって…」
「何謝ってるのよ。大分成長したじゃない…。ありがとう、ユニ。」
「っ!…お姉…ちゃん…!」
こんな状況でどう言えばいいのか分からない様子のユニはいつも通りに話そうとするものの、ややぎこちない様子で謝りながら話してしまう。
そんな妹の様子にいつもとは違い、ちゃんとユニの意思を聞いたノワールは優しく笑みを浮かべながらありがとうと素直に話した。
その言葉に認められた事と救い出せた事で胸一杯になるほどに溢れてくる感情を抑えきれず、ユニは大粒の涙を流しながら嬉しそうな表情を浮かべてノワールに抱き付いていた。
「お姉ちゃん、あのね!私、私……」
「うん。頑張ったわね…ネプギア。…これからはずっと、一緒にいるから…。」
「っ!お姉ちゃん……お姉ちゃんっ!!」
言いずらそうに話し続けるネプギアの様子に、そっと優しく声を掛けるようにネプテューヌ。
大好きな姉の言葉に、もう一人で抱え込む事も苦しむ必要もない事が分かったネプギアは、涙を流しながら嬉しそうにネプテューヌへと抱き着いていた。
「あっ…お姉ちゃん、ちょっと待っててね。」
安堵の表情を浮かべながら、妹が唯一いないベールは一人寂しく妹達の様子を見守っていた。
彼女の様子に気付いたネプギアは姉に一言謝ってから名残惜しそうにしながら一度離れると、ベールに近付いてそっと彼女を抱きしめていた。
「ベールさん…お疲れ様でした。」
「!…ありがとう……」
ネプギアの行動に驚いたベールだったが、自分を気遣ってくれた労いの言葉を泣きそうな気持ちを抑えながらやさしく笑みを浮かべて受け取っていたのだ。
「はぁっ…まったく。ベール、今回だけだからね?」
ベールとネプギアの様子を見たネプテューヌが、少しヤキモチを妬いているように軽くため息を付いて呟くように話すものの、その表情は優しく何処か晴れやかなものだった。
そんな女神達を祝福するように、朝日は彼女達を力強くも優しく照らしていたのだった…
「痛ててて…やれやれ、これでホントに一安心だな。」
感動の再開を水を差さないように注意しながら、ホイポイカプセルから止血剤や回復薬を取り出して応急治療を施していくキール。
彼女達がお互いにそれぞれの気持ちを伝え、本当の意味で繋がった様子を確認すると候補生達の心配事もこれで解決したなと考えていた。
同時に、ゲイムギョウ界での目的も達成された以上、自分の役目もこれで終わりだなと考える。
「(後は、俺が元の世界に帰るだけか…。)」
処置が終われば身体にのしかかる様な疲労感と痛みを感じながら、激戦によってボロボロになった身体を癒す事に専念するかと考える。
後は人知れずにこのゲイムギョウ界からそっと立ち去るだけなのだから…
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前回で終わらせようとしたのに終わらず、結局ズルズルと伸ばしていて後悔中… _(┐「ε:)_
しかもリアで骨折して泣きそう_:(´ཀ`」 ∠):
仕事もあるのに…_| ̄|○
もっと速いテンポで投稿したいのに上手く進めなくて悔しいですが、ボチボチ投稿していきたいと思っています(*´ω`*)