ダンジョンで失った物を拾い集めるのは間違っているだろうか   作:イベリ

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どもっ、イベリです!

はい、今回から完全オリジナルストーリー突入になります。

エイナとベルがメインになるか…まぁ、この話が終わった後はガチ戦闘シーンに入ったり、へスティアandリリパートになったりするのでお楽しみに!

ベル君の新能力を今回ステータス上で見せます。
深くは言いませんが、これだけは守ってください。

暖かい目で見てほしい。

では、どうぞー


※2018/09/29に諸事情…もとい変だなって思ったので魔法詠唱を変えました。


収集から調査まで

「あはは…あのー…エイナさん機嫌直してください…」

 

「いいよー、別に?ベル君がどんな女の子と仲良くしてようと!」

 

「えぇ、私も構いませんよ?ベルさんがどんな女の子と仲良くしていてもっ!」

 

不機嫌MAXのエイナさんとシルさん。一体全体何があったのだろうか…

 

…なんだこれ。

 

事の始まりは、ちょっと前。

何故か、店に入った途端にシルさんが飛びついてきた。その瞬間に、さっきまで機嫌の良かったエイナさんが急激に機嫌が悪くなった。そして、エイナさんを見てシルさんも機嫌が悪くなる。なんだこの地獄。

 

今は2人で睨み合っている。僕の腕に抱きつくシルさんと、その反対の腕にピッタリとくっついているエイナさん。僕を挟んでにらめっこ中だ。

こ、これは何か言った方がいいのだろうか?

 

「あ、あのー…料理を注文しても?」

 

「……」

 

「……」

 

え?無視?睨めっこ続行?

 

どうしたものかと悩んでいると、不意に服の袖を引っ張られる。

 

「…ベル君…今日はふ・た・りで作戦会議と、ベル君のランクアップ祝いだよね!」

 

二人がやけに強調されていたが、まぁ間違ってはいない。

 

「え、えぇ、そうですね。」

 

 

「じゃあ!私たちがお酌しますね?ね?リュー?」

 

「えっ、私もですか?…確かに、クラネルさんにはこれからお世話になるかもしれない。ならば、ここで少しでもお返しをしておきましょう。」

 

「む…」

 

「え?いいんですか?たかがランクアップ程度で…」

 

そう言った瞬間に、2人から驚きの目で見られる。

 

「ベル君!?…それ、本気で言ってる?」

 

「クラネルさん…貴方は周りに関心が無さすぎる…いや、大切な物にしか興味が無いと言った所でしょうか…?」

 

その発言に、僕が不思議に思っていると、不意に周りがザワザワし始める。

 

「ベル…?ベル・クラネルか?」

 

「へスティア・ファミリアの?」

 

「レコードホルダーだよな?イメージと違うな…」

 

「あんなガキが?」

 

「3週間は…いくらなんでも…」

 

「なんでも【剣姫】が苦戦した相手を一瞬でとか…」

 

ん?なぜこんなに噂になっている?たかがレベルが1上がった程度だぞ?アイズさんとかリヴェリアさんは5とか6なはずなんだが…

 

「そっか…言ってなかったね…君の成長速度とか異常なんだよ?普通、レベル2にするには一年以上必要なの。前レコードホルダーだったヴァレンシュタイン氏でも1年かかったんだから。」

 

「えっ、なんですかそれ。初耳なんですけど。」

 

ならば、あまり公表すべきではなかったのではないか?まぁ、時既に遅しと言うやつなのだが…

 

「というか…なんでこんな有名に?」

 

「え?ベルさん知らないんですか?有名になってますよ?ダイダロス通りで大勢のモンスターに追い詰められた主神様の元に颯爽と駆けつけて、尽くモンスターを倒して行ったそうじゃないですか!その前に、ギルドの職員さんも助けたとか!【街角の英雄ベル・クラネル】なんて言われていますよ?」

 

「あれかぁ…ってなんですかそれ…」

 

エイナさんを救った時と、神様を救った時。

 

エイナさんをチラリと見ると、ニッコリと笑う。

その笑顔を見て、心底安心する。

 

…しっかし…英雄ねぇ…やっぱり碌なもんじゃ無いな…

 

そんなことを思っていると、意地悪な顔をしてエイナさんがからかってくる。

 

「一躍人気者になっちゃったねー?ベル君。」

 

「そうですかね?…確かに…ジロジロ見られてますけど…」

 

「名を上げた冒険者の宿命です。クラネルさん。」

 

「そんなもんですかねぇ…」

 

「じゃあ、早速乾杯しよっか!」

 

みんなでジョッキを持つと、シルさんが音頭をとる。

 

「じゃあ!ジョッキを持ってください!準備は出来ましたか?では、行きます!せーのっ」

 

全員でジョッキを掲げる。

なんか恥ずかしい。まぁ…こんな時くらい、楽しくいこう…

 

 

「「「ベル・クラネル【ランクアップ】おめでとう!」」」

 

「ありがとうございます!」

 

 

3人の掛け声と、4つのジョッキがガシャンと合わさる音が心地いい。まぁ、流石にこの後のクエストの関係で酒は飲めないが、祝いという事でミアさんから、リューさんとシルさんを貸すから金を使えとお言葉を貰った。

 

シルさんが配膳してくれたご飯を食べ始めると、僕の話になった。

 

「しかし、こんなにも早くクラネルさんがランクアップするとは…あの強さならば納得ですが…」

 

「ははは、大したことありませんよ。」

 

「ご謙遜を。【ロキ・ファミリア】が苦戦したモンスターを倒したことは壮挙と言うべきです。もっと自分を誇っていい。」

 

「あぁ…多分僕のランクアップの原因は違いますよ?リューさんだから言いますけど…変な男に襲われて、命からがら逃げ延びてのランクアップなんですよねぇ…ちょっと悔しいです。」

 

「なっ…クラネルさんが死を覚悟する相手など…」

 

なんだか、リューさんからの評価がやけに高い。

 

すると、あの現場を見ていたエイナさんが、気分良さそうに僕に声をかける。

 

「そうそう!あのモンスター強かったんだよ?まぁ、そのお陰でベル君はランクアップ出来たわけだけど…でも、私は心配で心配で仕方無かったんだよ?何回胸が張り裂けそうになったか…」

 

「す、すいませんエイナさん…」

 

「でも…」

 

エイナさんがグイッと顔を近寄せて、頬を染めながら優しく微笑む。

 

「かっこよかったよ?ベル君!」

 

「あ、ありがとうございます…」

 

ち、近い…あっ、凄い…いい匂い…神様の花みたいなフローラルな香りじゃなくてフルーティーな香りがする…

 

そう思いながら、顔を逸らすとシルさんとリューさんがこちらをジト目で睨んでいる。いや、シルさんに至っては後ろになにかがいた。

 

「ベルさん…?」

 

「クラネルさん…」

 

「えっ、シルさん後ろになんか見える。えっ、えっ。」

 

そんな感じでわちゃわちゃ楽しく宴会をしていた。

 

そう言えば、仕事のことを聞くのを忘れていた。何時聞こうかと考えていると、シルさんが声をかけてくれる。

 

「ベルさん?何か悩みでもあるんですか?」

 

「あぁ、実は仕事の事で情報を集めたくって…行方不明者の捜索とかなんですけど…何か知ってませんか?」

 

「あっ、その話聞いたことあります!」

 

「本当ですか!ちょっと、噂程度でいいので聞かせて貰えませんか?」

 

「えぇ!勿論です!まぁ、私も冒険者様が言っていたのを少し聞いただけですけど…なんでも行方不明者の方は性別無関係だとか。中でもエルフの方が多いと聞いてます。」

 

「私も同族が居なくなっていることは聞いています…エルフの間では色々な噂が飛び交っている。」

 

「へぇ、どんな?」

 

「…なんでも、無差別に攫われているらしく、冒険者や一般人関係なく襲っている様で…恐れている者もいます。」

 

なるほどな…エルフが多いか…つまりエルフだけじゃないって事か…

 

「エイナさん?」

 

「…ギルドの書類には…────嘘…2人Lv4の冒険者が行方不明になってる…でも、これは男性…ごめん、ほかはわからない…」

 

「Lv4が?…多い被害者はエルフ…」

 

Lv4と言えば、アイズさんの一つ下のレベルだ。

ありえない…あの国が関与しているとしても今現在、過去の自分より強い人間はいるはずがない。レベルが高くてせいぜい2程度。いや…2人覚えがあるが…あいつは違うか…なら宮廷魔法使いの方か…?他は…消去法で闇派閥…奴らに関しては知っていることは少ない。いや、"便利屋"をやっていた時に狩っていたのは覚えている。だが、あまり関わろうとしなかったしなぁ…。今考えれば、あんな辺境の村に良く依頼が来ていたものだ。

 

そう言えば…アーさん元気かな…

 

昔を思うとふと頭を過る。

あの村の神は元気だろうか。復讐を諦め、抜け殻になった得体の知れない僕を、村に置く為に奔走してくれたあの優しい神は。

…今度逢いに行くとしよう。正義を司ってるとか抜かしていたが…なんだか、頼りなかったことしか印象にない気がする…まぁ、あの人のお陰で今があるようなものか。親兄弟とは違うけど…友人の様な…いや、近所のお姉さんと言ったところか?

手紙だけでは何かと寂しいはずだ、今度逢いに行くとしよう。

 

脱線したが…エルフが仮に攫われているとしたら?…この都市に奴隷がいないから考えなかったが、エルフは価値が高い。ラキアのブラックオークションなら1人数百万ヴァリスは下らない。戦闘奴隷にして良し、性奴隷にして良しの多様に使える種族。他の種族だとしても性奴隷ならば使えないことは無い。顔さえ良ければ高値がつく。最悪、顔が悪くとも…

 

────冒険者ならば更に高く売れる…か。

 

「…私も調査しているのですが…全く…」

 

この人は引き込める可能性がある。協力者は多い方がいい。

彼女は明らかに実力者。ステータスで言えば僕は遥かに下。今はおかしい数値だが、あれから全く上がっていない。技術とスキルがあるから彼女に勝てただけ、しかもあれは半分ズルみたいなものだった。僕のステータスが強いわけじゃない。保険は必要だ。

 

すると、シルさんが質問を投げかけてくる。

 

「そう言えば、ベルさんはパーティーを組まないんですか?」

 

「ん?あー…いますよ。でも、そいつに会う機会がなくて…でも、サポーター位はそろそろ欲しいんですけど…」

 

「クラネルさんは、中層にはもう?」

 

「えぇ、18階層までは行きましたよ。すぐ帰ってきましたけどね。」

 

「サラマンダーウールなしにですか?」

 

「えぇ、何故かヘルハウンドの攻撃が全く痛くも痒くもなくて…耐性でもあるんですかね?」

 

そう、何故かヘルハウンドの炎が欠片も効かないのだ。熱くも何ともない。まさかとは思ったが…魔法だろうか。加護にはそういう効果も含まれていたり…まさかね。

 

「…まぁ、私は今更ベル君のそう言うのに驚いたりしないからいいけど…」

 

「だが、クラネルさん。パーティーは増やすべきだ。せめてスリーマンセルの形が望ましい。」

 

「そうですねぇ…まぁ、今は必要無い「パーティーをお探しかい?ベル・クラネル!」かなぁ…」

 

ニヤニヤと笑い、僕に声をかけながら登場する冒険者3人。しかし、その目はエイナさんの胸を捉える。

僕はため息を吐きながら、その視線を遮るようにエイナさんの前に入る。

 

ほんっとに冒険者ってこんなやつしかいないのだろうか。困ったものだ。いかにもエイナさん達が目的と言う目をしている。

 

ぶっ殺…いや、止めておこう。

 

「…なんの用だよ?」

 

「俺らは、レベル2だ!中層にだって潜れるぜ?その代わりよォ…」

 

あっ、来るぞ。あのセリフが。

 

「そのえれぇ別嬪のエルフの嬢ちゃんたち貸してくれよ!仲間なら助け合いだろ?助けあぃ~だ…」

 

もはやパターンだ。こういう輩はこういうことしか言えないのだろうか。ここは僕が追い払うべきだろうか?

 

「はいそうですかって、渡すわけないだろ?」

 

シッシと、追い払おうとするも、相手方は酔っているからか何なのか、全く聞いてない。

 

何故か、エイナさんとシルさんが頬を赤く染めている。

2人の反応に焦る僕の言葉に、リューさんが付け加える。

 

「失せなさい。貴方達は彼に相応しくない。」

 

「まぁまぁそう言うなよ!俺たちじゃこんなカスみたいなクソガキのお守りも出来ないってのか?」

 

「そうだ。貴方達3人が束になってもクラネルさんの足元にも及ばない。足でまといなるのが関の山だ。いいから、失せなさい。」

 

「へっへっ…そう言うなって…」

 

そう言って、リーダーらしき男がリューさんに触れようとする。すると、リューさんが僅かに殺意を出しながら叫ぶ。

 

「触れるな!!」

 

ジョッキを男の手に嵌めて、見事な脚さばきで男を倒して、腰から取り出した小太刀を首に添える。

これは、僕が朝リューさんに仕掛けた技だ。

 

へぇ…一回やられただけで僕の技を…

 

男は、顔を恐怖に歪めて跪く。

 

「ひ、ヒィィィィィ!!?」

 

「貴方のような輩に触れられるのは不快だ。それに、私の友人を馬鹿にしたことは許せない。」

 

…そう言えば、僕ってリューさんに触れてたけど大丈夫だよね?友人って言ってくれたし大丈夫だ…きっと…うん。

 

その後、僕がすることは何も無く、リューさんや他の人達が追い払って、仕切り直しとなった。

 

いや、前から思っていたんだけど…ここの従業員は戦闘力が高すぎやしないだろうか?気の所為?

 

───────────────────

 

「ベルさん、肩に力が入りすぎてますよ?そんな時は気楽に読書とかしてみたらどうですか?」

 

「わ、分かりますか?あー、神様が本好きなんですけど…そうですね、たまにはいいですね。」

 

「じゃあ、これなんか…」

 

クラネルさんと、シルが仲睦まじく話している。

これがあるべき姿なのだ。彼女の幸せそうな表情でわかる。やはり、彼女たちはお似合いだと。

 

だが、この胸につかえたような感覚がどうも気になる。

なんなのだろうか…

 

そうこうしているうちに、クラネルさん達は仕事へ向かうべく、店を出るようだ。

 

「じゃあ、そろそろ仕事に行きます。ありがとうございました!楽しかったですよ、シルさん、リューさん!」

 

「お料理とても美味しかったです。是非またこさせてください!」

 

「それは、良かったです!」

 

「またいらして下さい、クラネルさん。チュールさん。」

 

「はい!では!」

 

クラネルさん達は仕事に向かって行く。すると、クラネルさんがくるりとこちらを向いてニヤッと笑い、口をパクパクさせる。

 

『ポッケ、見てください。内緒でお願いしますね?』

 

「…?」

 

読唇術を使って言葉を理解する。

まるでイタズラが成功した子供のような無邪気な顔をして、シーっと手話をする。

疑問を覚えたが、その意味を直ぐに理解する。

 

「────!これは…」

 

ポケットを探ると、紙がでてきた。いつの間にと思ったが、どうやら私宛らしい。

手紙には、地図と軽いメッセージ、そして行方不明者の位置や見張りの配置。どうやら、手掛かりになるものらしい。

 

『その場所にはエルフの方達はいませんでした。恐らく別の場所かと思われます、そちらは任せてください。』

 

私は、そこまで詳しく調べるつもりは無かったのだが、この手紙を見て思考を切り替える。

 

────救わねば

 

…だが、もう正義を語る冒険者【疾風】は死んだ。今の私…ただの【リュー・リオン】に何かを裁く資格があるのだろうか?

 

「アリーゼ…アストレア様…私は…」

 

それにしても…だ。彼はこの手の案件に慣れている…いや、慣れすぎている。

 

あの太陽のように笑う彼は…どのような過去を背負っているのか…願わくば…いや、それは願ってはいけませんね…

 

どうも、彼には同じ雰囲気を感じる。だが、気のせいかもしれないのだ、あまり詮索してはならないと、自分を律する。

だが、私が触れても不快感を感じない彼の正体がどうしても気になってしまう。

 

クラネルさん…貴方は、何者なのでしょうね…

 

────────────────────

 

「ベル君。本当に此処で待ってれば来るの?」

 

騒音被害が出ている地区の住宅街の屋根の上で何かを待つベル君。

 

「えぇ、来ますよ。昨日夜中に1人で調べ回っていて、ここを巡回する不審人物がいるのを見つけたので。それに、捕まっている人達の場所はもう発見しました…協力者も向かってくれているはずです。」

 

この子は本当に仕事が早いなぁ…

 

しばらく待っていると、暗闇から人が現れる。ベル君に再びお姫様抱っこをされて移動を開始する。

 

や、やっぱり恥ずかしぃ~…

 

「…いた…尾行開始…」

 

屋根から屋根に飛び移り、気配を消して気品のある服を纏ったヒューマンの男を尾行する。男は、路地裏の奥のある建物の前で止まって、周りを確認するようにキョロキョロと周囲を警戒する。確認し終えると、そのまま重い扉を開けて中に入る。扉の左右には、黒いローブのを纏った者が一人ずつ。ベル君の反応を見る限りあそこで間違いないようだ。念の為に、私たちは離れた家の屋根の上で偵察中だ。

 

 

「…騒音被害の近所、行方不明者の最終目撃地点と照合しても比較的近い…ビンゴだな…運がいい。どうぞ。」

 

ベル君が購入していた遠眼鏡を私に渡してくれる。

 

「ありがと…うん、あの建物に入っていくみたい。門番が2人…っ────ベル君!」

 

「なんですか?エイナさん?────これは…」

 

新しい人影が現れ、ベル君が警戒する。

現れた人影はまたもや男。その姿は居なくなったはずのLv4冒険者の片割れ。しかし、その男は麻袋に包まれた"人の大きさ程"の何かを中に運んでいく。

 

「ベル君…行方不明者の居場所ってここなの?」

 

「いいえ、都市外に設置された倉庫に収容されています。あっちは恐らく売り飛ばす目的でしょうね。となると…ここに運ばれてきたのは何か…あの袋の中身は気配から見て生きている人である事は間違いありませんよ。」

 

「ど、奴隷…オラリオじゃ人身売買から禁止しているのに…」

 

「ここは、比較的統治されてますからね…なにより、ここは人外魔境って言っても過言じゃないくらいです。そんなに強い人達が統治してるのに、まだあるのが不思議なくらいです。でも、外じゃ結構ポピュラーですよ?テルスキュラなんかじゃ、男はほぼ奴隷ですしね。」

 

「そ、そうなんだ…」

 

まさか、こんな所で外の奴隷事情を知る羽目になるとは思わなかった。と言うか詳しすぎではないだろうか?…まぁ、ベル君の歩んできた道を考えれば納得ではあるのだけど…

 

「で、あの門番はどうするの?」

 

「…この状況で白って可能性の方が無いですね…無関係の場合もありますけど…そこは自己責任。でも、殺したら殺したできっと面倒になる…少し眠ってもらいます。でも、中に入ったら殺しは確実にすることになる…見たくなければ、見なくていいんですよ?」

 

優しく、確認してくる。確かに、人が死ぬところなんてできれば見たくない。でも

 

それがこの子の歩んで来た…歩んでいく道なら…私は…

 

「…大丈夫だよ…私は、君のパートナーなんだから!なんて事ない!」

 

せめて、彼の隣で見ていよう。

 

道に迷わないように、彼の手を引こう。

 

折れないように、彼を支えよう。

 

たとえ、彼が全ての敵になったとしても傍にいよう。

 

今度は、私が彼を救う番なんだから。

 

「…じゃあ、こいつの試運転ですね。」

 

ちょっとした頬笑みを浮かべて、彼は私の手を少しだけ握る。そして、すぐに手を離して背中の弓に手をかける。ガショッと言う音をたて、弓が展開する。

私もベル君の腕前は見ていたが…

 

「べ、ベル君?まさかここから狙うの?」

 

「その通り…ま、見ててください…!」

 

ベル君は矢筒から、矢を2本取り出してそれぞれを、人差し指と中指、中指と薬指に挟んで同時に矢を番え、弓を地面と並行に構え、弦を引き絞る。

 

「────────っ!」

 

少しの停滞の後に、目を細めて更に絞る。

次の瞬間に、矢を放つ。だが、その威力が尋常ではない。矢が飛んでいっただけでちょっとした風が巻き起こるレベル。その証拠に、ベル君の髪と羽織りがバサバサと揺れる。

 

矢はあっと言う間に見えなくなってしまった。見えなくなって直ぐにベル君が「よっし。」と呟く。

 

「…いやいやいや!待って!?当たったの?!て言うか、暗闇なのに見えるの?!」

 

「当たりましたよ?そりゃ、夜目なんか暗殺者やってたら嫌でも身につきますよ。」

 

「いや、当たり前でしょ?みたいな顔しないで!おかしいよ!だって!ここ!」

 

 

 

「あそこから、500メートルも離れてるんだよ?!」

 

正直、さっきの門番は私には見えない。くらいのもあるし遠いのもある。

 

「そうですけど…変ですかね?まぁ、早速潜入しましょうか。」

 

もう、この子の性能の高さに突っ込むのは疲れた。

 

───────

 

〜倉庫屋根~

 

屋根の上を器用に私を抱えながらぴょんぴょんと、飛んでいきあっと言う間に倉庫までついた。矢は、本当に男達に命中して気絶していた。ベル君はそれを回収して縛って隠しに行く。

小声で作業中のベル君に話しかける。

 

「それにしても…ベル君の【気配遮断】って便利だね。くっついてれば私までその効果が来るなんて…」

 

「ファルナを得て、技術が昇華したんでしょうね。というか、今まで自分も知りませんでした…どうやら、一定距離を保っていれば効果ありみたいです。」

 

更に、ランクアップした彼1人なら恐らく目の前にいても認識できないレベルで使えるのだろう。

 

ランクアップで思い出したが、彼はアレを何にしたのだろうか?

 

「そう言えば、ベル君はランクアップした時の発展アビリティは何にしたの?やっぱり【狩人】?」

 

 

「いいえ、僕は【守護聖火】にしました。そう言えば、エイナさんに見せてませんでしたね。」

 

「え?【守護聖火】?ごめん…聞いたことが…それと、何を見てないっけ?私…」

 

「僕のステイタスですよ。ステイタス!僕が貴女を守れるに値するか参考にしてください。どうぞ、目を通してください。」

 

そう言って、あっさりと自分のステータスシートを渡してくる。

 

「ち、ちょ!ベル君!ステータスはこんな簡単に他人に見せちゃダメなの!流されたらどうするの?!」

 

「流すんですか?それに、貴女は他人じゃない。僕の大切な人だ。」

 

「うぐっ…」

 

また…この子は本当に…!

 

「それに、エイナさんになら神様も見せていいと言ってましたから。」

 

「えっ?神へスティアが?」

 

意外…いや、不思議だ。普通眷属のステータスは秘匿すべきものなはずなのだが…

 

そこで、思い出した。五日前に二人きりになった時に言われたあの事を

 

『エイナ君のベル君に対する愛はよーーーーくわかった…ボク並みにキミはベル君を愛している…不服なことにベル君も君に懐いてるし…仕方が無いから!認めてやるよ!!だけど覚えておいてくれよ!ボクが!一番だからな!キィーーーーー!』

 

そ、そうだった…神へスティアに認められたんだ…って何を!?コレじゃまるで私がベル君にぞっこんみたいじゃない!…いや……そうなんだけども…なんか…悔しい…と言うかベル君はハーレム決定なの?!

 

「という事なのでどうぞ。」

 

「じ、じゃあ…お言葉に甘えて…」

 

ベル君にステイタスシートを受け取って私は絶句する。

 

 

 

ベル・クラネル

 

Lv.2

 

力  :SS1208

 

耐久 :I60

 

器用 :EX3899

 

俊敏 :EX3970

 

魔力 :S950

 

気配遮断EX :気配を完全に断つ。

 

気の運用A:体内の気の運用が可能。魔力の回復速度上昇

 

守護聖火EX:追加詠唱

 

《魔法》

 

炉神の加護(へスティア)

 

・マインド消費時『聖火』を出現させる

 

・追加効果あり

 

 

【追加詠唱】

 

第一位階・神官守護聖火(ファッロバーイ)

 

────嗚呼 神様 貴女を守る為に 全てを守る為に どうか力をお貸しください 『へスティア様』守護を

 

・マインド消費時にステータスの最上位の物を2ランク上昇、魔力のランクをワンランクアップ。最下位の物をワンランクダウン。

 

・【炉神の加護(へスティア)】の効果上昇。

 

第二位階・軍人守護聖火(グシュナプス)

 

────嗚呼 神様 貴女を害する全てを斃す為に どうか猛々しい炎の力をお貸しください 『へスティア様』力を

 

・マインド消費時に火力超上昇。

 

・マインド消費時に聖火の操作性度上昇。

 

・マインド消費時に追加詠唱【聖火よ(ウェスタ)】使用可能。火力上乗せ。

 

《スキル》

 

【中国拳法EX『天巧星』】

 

・無手での攻撃に威力上昇補正。

 

・鍛錬時のステータスの上昇補正。

 

・武器を持つと極端な威力減少補正。

 

・飛び道具の威力超上昇補正。

 

・飛び道具での攻撃時、確率でクリティカル。器用補正クリティカル威力・確率アップ。

 

 

主神一途(ファミリア・フレーゼ)

 

・早熟する

 

・愛せば愛す程効果上昇

 

・愛されれば愛される程効果上昇

 

・【魅了】にかからない

 

・愛する者がいる事で効果持続

 

 

思わず吹きだした私は悪くない。

 

 

 




はい、終わりです。

ね?言ったでしょ?
なんでこんなクソみたいな詠唱で作者は平気な顔してんのって事。

文句は言わないでほしい。
聖火に関しては、ゾロアスター教の三大聖火をモチーフにしてます。なんで3つ目無いんじゃいってコメントはしないでくれ…だって…農民って効果どうすりゃいいの?!軍人と神官は何となく能力ありそうだよね。農民は?!無理!私の頭じゃ考えられませんでした!すいません!

書き忘れが複数あったので書き直しました。

では、また次回。

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