その男の名は「ヤン・ウェンリー」   作:第2戦闘団

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バルクホルンの口調が砕けすぎのようなので訂正致しました。

前回コメント欄に、指摘に関するコメントをして頂き、その事から大幅に改善を施しました。

やっぱり他人に見てもらはなければ、分からない事ってありますよね。

え?「投稿する前に、誰かにでも確認してもらえ?」

やめてください、そんな事したら作者の心が恥ずかしさでメルトダウンを起こします。

指摘や改善点を出来ればコメント欄に書いていただければ幸いです。

後お気に入り登録者の皆様とコメントくださった方、ありがとうございます。




第2話 ひとときの休息〝訂正″

ダンケルクには今までにない規模の船舶や水上機が集まっており、その数十キロ先ではウォルターが指揮する殿の三個師団が奮戦し倍以上の敵を食い止めている。潜水艦は最低限の乗員を残しダンケルクの沖合に浮上、漁船などで運ばれて来る将兵をギリギリまで乗せ別の海域に待たせている潜水艦に乗せブリタニア半島に運ぶと言う海上バケツリレーを繰り返していた。

他にも付近に航行していた哨戒艦や商船、大小の漁船、航空会社の水上機や軍の水上機、戦艦や重巡などドーバー海峡に展開する海軍艦艇のほぼ全て、フェリーや客船、輸送艦や揚陸艦などダンケルクに待機している将兵達が思った以上の船舶が急行したのだ。

「海が三に船が七」この時のド・ゴール将軍が口にした言葉である。

砂浜の将兵達は近づいて来る数えきれない漁船や水陸両用車に乗り込み輸送艦や揚陸艦、戦艦や重巡など待機している船という船に乗船し、ブリタニアに赴く事になった。

 

この作戦のために旧式の軽空母「アーガス」「アーク・ロイヤル」「ユニコーン」など主な艦艇を含めた軽空母6隻の格納庫を空にして出撃、将兵達の救出の任についたことからブリタニア海軍の本気度が見られる。

ガリア海軍からは「ダンケルク」「ストラスブール」「リシュリュー」「クレマンソー」以下20隻とガリア海軍の保有する全ての戦艦と補助艦からなる艦隊を派遣、こちらは殿部隊の撤退の際支援する為の戦力であり、邪魔にならない様、沖合に待機している

 

カールスラント海軍は大型艦船で代表的な戦艦「ビスマルク」や「シャルンホルスト」などを含む地中海に派遣する予定の艦隊を急遽呼び戻し、投入した。

後に「ダンケルク作戦」などと呼ばれることになる。

 

欧州の列強が動かせる海軍艦艇や民間企業の船舶、はたまた近隣の漁師などの総力を挙げた救出作戦は殿部隊の7万余名、撤退途中に撃沈された駆逐艦6隻、輸送艦3隻に乗船していた乗組員以下1万5千名の犠牲を出した戦いだが結果、40万近い将兵達をブリタニア半島に逃すことに成功、ウォルター・レーヴェン大佐の率いる殿部隊はその数を一万にも満たない数にまでうち減らされた。戦死した7万余名もの名もなき殿部隊の将兵達は「ダンケルクの英雄達」と呼ばれ戦死した将兵は回復後のウォルター(当時)大佐の願い出によりブリタニアのドーバーに、ドーバー海域を挟んで後に解放されるガリア共和国のダンケルクに彼らに対する慰霊碑が建てられた。

 

 

 

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時を遡り、ダンケルク 砂浜から20キロの防衛ライン

 

ウィルフェムスハーフェンの時とは違い戦力も、弾薬も、友軍の支援も受けられる好条件で挑むことができた。

だが今回の敵は空ではなく、ダンケルクにて初めて確認された多脚の戦車型や歩兵型の地上を這う大群であり対空砲や対空機銃、高射砲などを急遽配置し直し迎え撃った。

戦車型は兎も角、歩兵型は散り際に「瘴気」を放つ為、これにより大多数の将兵を初戦で失うことになった。

殿を務めてから約三時間が経過し、三個師団は先の戦闘で実質一個師団にまで打ち減らされていた。海岸まで撤退し海軍や空軍の支援などを受けながら輸送艦や揚陸艦に乗り込んだが、ウォルターが乗船していた輸送艦が流れ弾により被弾し大破炎上、ウォルターは艦橋にて指揮をとっていたが飛んで来た破片が右胸部に刺さり艦長や側近のジョンなどによって運び出された。

 

 

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次にウォルターが目を覚ましたのはブリタニア、バースの軍病院であった。

ここには試作型ではあるが対空ミサイルが試験的に配備されており、新型の対空レーダーや高射砲など、至る所に設置されており対空に関してはブリタニア1の防空網を持っている為、ウォルターはロンドンの大学病院からこのバースの軍病院に移されたのだ。

そして天井を見上げるウォルターはある違和感を覚える、二の足あたりに上から押さえつけられている感覚があった。少しずつ顔を上げていくと12歳かそこらの少女が突っ伏して寝ていた、その少女の顔にウォルターは見覚えがあった。数十日も前の事を必死に思い出そうとしたが少女が握っていた万年筆にも見覚えがあった

 

「そうか……あの時の」

 

ウォルターは5月中旬、自分が初めて指揮し、民間人への被害をゼロにした代わり、自分の旅団は壊滅、「人間」以外の敵と初めて戦った事を思い出した。

その時、破片の直撃を庇いながら塹壕に飛び込み、部隊が来るまで自分が必死にあやしていた少女の事を思い出した。

 

「…確かこの万年筆は、中々言う事を聞いてくれないから渡したんだっけな」

 

説明してはいなかったがウォルターが中々落ち着いてくれない少女に対し、お願いをした事を思い出した。「君に私が大切にしている万年筆を渡す、君はそれを持って行きなさい、もし又会う日が有ればこの万年筆を私に届けてくれ、それまで大切に持ってるんだ、いいね?」と少女に対しお願いをし、部隊に預けた事だけはよく覚えている。

ウォルターはそっと少女の頭を撫でる、寝言には姉の名と「おじさん」と口にしていた。どうやらおじさんとは自分のことを言っているようだ、とウォルターは思った。

 

「私ももうそんな歳か……できれば過去よりは長生きしたいものだ」

 

ウォルターは過去の自分が33歳の時、レダⅡの艦内の通路で銃撃を受け、止まらない出血で一人静かに死んだ自分を思い出した。あの時から26年、精神年齢は実に59歳になる、がそれは数字だけが増えていき脳の老化は実年齢に比例していくとわかったのでウォルターは少し安心した。「飲んだ紅茶の分だけ老化が止まってくれくれてるのかな?」などと思った。

 

「それに、この子のような子供達は簡単に言えば「未来」だな。私のようなお先が知れてるような存在ではなく、やり方次第で色んな方面に飛んでいけるのだから」

 

少女の頭を撫でながら誰に語りかけるのでもなく一人淡々と話している

 

「それに、ウィッチが主な対抗手段である現状では、当分相手と同じ土俵に立つ事は難しいだろうなぁ…」

 

ウィッチに所属する女性の主な年齢は16から20後半と幅広くいる、中にはこの少女と同じ12歳の子供までいるらしい。

「人を殺す」のではなく「人を守る」為に、彼女らは訓練を受けている。

しかし力は使い方次第であり、彼女らの力も然り、それを悪用する形で使おうとする人間は必ず出てくる筈。それに今は人類が共通の敵と認識できる物がある。これが無くなった時、人間は対立するのか、それとも共存の道を歩むのか……ウォルターは「共存の道だけはありえないかもな」と結論付けた。

 

ガラガラッ

 

病室の戸が開き患者のチェックをする女性の声が聞こえて来た、看護婦か、とウォルターは順番が来るのを静かに待った。数分したら通路側のカーテンが開き看護婦が来た、が彼女は目を見開き、口を小刻みに震えさせ固まっている。

 

「あ、あの、大丈夫で(rv「先生ぇぇぇええ!?!」」

 

悲鳴混じりの大声で廊下に駆け出しすぐさまここの院長を呼びに行ったのであろう。だがウォルターは突然の事で分からなかった、さっきの大声で少女が起きこちらを見てウルウルと目に涙を溜め始めた。ヤンは慌てて少女を撫でようとしたが少女がおもいっきり抱きついていた、ウォルターの身体は重度の悲鳴を上げたが中々離してはくれないので暫くこのままである事になった。廊下から怒鳴り声とともに院長らしき人物が入って来た、皆私を見て呆然としている。

 

「…起きなかった方が良かったかな?」

 

「い、いや我々としては起きてもらはなくては困ります」

 

そして此処までの経緯を動揺していた院長が説明した、ウォルターは輸送艦の艦橋にて指示を飛ばしていたが奴らが放った流れ弾が艦橋や燃料タンクに被弾し大破炎上、その際飛んで来た破片が右胸部に突き刺さり気絶したと、その後ロンドンの大学病院にて破片を取り除き、軍病院のあるこのバースに送られたとのことだったが、昨日今日でここまで回復するとは誰も思わなかったのである。

 

この後、会いたいと言っている人がいると院長から言われ

仕方なくブリタニア南西地域に正式に設立された初の「統合戦闘航空団」の所属する基地に向かう事になった。

 

理由としては病室にいた少女の姉が礼を言いたいらしいのとどうやら自分と、他にもジョンや殿を務め生き残った師団に自分らと同じ「瘴気」を吸っても異常が見られない者や、かけ離れた再生能力を持った物が居たらしくそれらを再編成、墜落したウィッチとストライカーの回収、又はガリア奪還作戦の際上陸後、支援戦闘を行わせるなど、主に補助的な役割をこなさせる為、新たに「第11混成特技師団」としてドーバー海域に面する基地に配属になった

 

 

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「考えればあんな事が広がっている中後方に下がるなんてまず無いよなぁ…その上、逃げられないよう階級も上げられてしまったし」

 

列車の中でそう呟く、ウォルターは昨日、召集がかかる前にロンドンの士官学校時の行きつけの店に立ち寄っていた。その際タブロイド紙を拝見して自分の事に関する記事が大々的に掲載されており「まじかよ……」と項垂れてしまった。

道理で店の融通が良かった訳だ、とウォルターは気付いた。普段から融通が利かなくは無いがウォルターの注文通りの紅茶を出す程柔らかくはなかった、それ程彼の名は広く知られてしまったのだ。

そして師団長に就任する際、大佐から中将に格上げされ、抜け出したくとも、抜け出せない様になってしまった。

 

「にしても…」

 

「んむ……」

 

「気持ちよさそうに寝るなぁ…そういえば最近まともな睡眠とってなかったな」

 

そう言うとウォルターは犬か猫かを撫でるようにクリスの頭をなでた。ウォルターが起きた後、「名前を教えて?」掠れた声と潤んだ目で見てきた為断りきれず名前を教えた。帰って来たのは「クリスティアーネ・バルクホルン」と言う名だった。本人はクリスと呼んでと言われウォルターはそう呼んでいる。

 

クリスはあの日以来、ウォルターの渡した万年筆を大事に持っていたらしく、クリスにその万年筆を渡す事にした。

「大事な物じゃないの?」と言われたが「君が持っていてくれてる方が、安全そうだからね。だからこれからも大切に使ってくれ」と万年筆にクリス両手を被せ、その上からウォルターは自分の手をさらに被せた。

クリスは恥ずかしがったが、女性、ましてや子供の扱いなどしたことがないウォルターは、クリスが恥ずかしがっている事に理解ができなかった。

 

それと何故クリスの様な一般人がウォルターが入院している軍病院に居たのか、と聞いたところ。彼女の姉が軍属の少佐であり、少しながら融通が利いたので中にいたと言っていた。

そして久しく姉に会いに行くと言うので一緒について来る事になった。

 

「少しくらいは寝ていても問題はないと思うから着くまで寝ていることにするか…私も寝させてもらうよ、クリス」

 

ウォルターはそう言うとそのまま眠りについた。天気や気温など、揺れる列車の中という事を除けば昼寝にはちょうど良い最適の環境であった為に以外と長く寝てしまい、基地付近の駅に着き、車掌に起こされるまで、クリスとウォルターは起きることはなかった。

 

 

 

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「いやぁ、お恥ずかしい所を見られてしまったよ」

 

「大丈夫ですよ、それよりクリスちゃんをなんとかしたほうがよろしいのでは?」

 

ウォルターが話しているのは「ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ」。階級は中佐であり、この航空団の指揮官を務めている。ウォルターはミーナが恥ずかしがって自分の背中から前に出てこないクリスの事を話した。

先程ウォルターに我儘を言って「お姫様抱っこ」をしていたのをミーナに見られた事に対して相当恥ずかしがっているようだ。背中からビクッと振動が伝わり鼓動が早くなるのが分かる、どうやら今度は緊張しているようだ。

子供は感情がすぐ顔や行動に出る、がクリスの場合段々と握っている手の力が強まりこれ以上は「自分の身が危ない」と体の警鐘を感じ取ったウォルターは、一度ミーナを背にしてしゃがみクリスと同じ目線に立ち頭を撫で落ち着かせる。

頭を撫でながらウォルターはクリスに話そうとするが、等のクリスはどうやら更に緊張してしまったようで顔を赤くし、姉のいるであろう寮に走って行ってしまった。ウォルターは後を追うようにしたが、ミーナが呼び止めた

 

「大丈夫です、彼女は何度か姉に会いにきているので迷子にはならませんよ」

 

「そうでしたね、それと彼女の姉は相当妹思いなようですね」

 

「度が過ぎますがね、軍病院の件もそうですが、何かと自分の権限を妹の為とは言え私欲に使い過ぎてるのが…」

 

「いや、多少はいいでしょう。聞けば、クリスは彼女にとって唯一残っている家族なのですから、気持ちは分からなくはないですよ」

 

姉にとって、クリスという妹は最後の身内であり、生きる理由。だとここに来る前、クリスから姉の事を聞いた際の事を思い出した。

 

「でも、さすがに度が過ぎてはいけませんね、姉は良かれと思ってやっている事が逆に妹の成長を妨げてしまう。ですからある程度、姉には妹離れをしてもらわなければ。でなければ妹は水を与えられ過ぎて、栄養過多で枯れてしまう」

 

「その姉があなたに会いたがっているのですよ?ですがまずは、私と本棟の方に来てもらいましょう。我々はいずれ、危険な任務に赴かざるを得ない事になるかも知れませんから」

 

「此処に来てまでウィルフェムスハーフェンやダンケルクの様な事は懲り懲りだけどね」

 

「いざとなったらあなた方の様な存在が頼りです、我々は単独では戦えません」

 

「そうだな、我々は「人間」だ、足りない所があるから集まり補おうとする。奴らの様な「化け物」ではないからね」

 

「その言葉が聞けるとは、ちょっと嬉しいですね」

 

「君まで私をからかうつもりかね?私だって好きで新聞に載ったわけじゃないんだぞ?」

 

ミーナがからかう様にそう言うと過去に自分が発言した事を思い出し、ウォルターは過去の自分を哀れみの目で見たくなる気持ちになっていた。

 

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一通りの事を事を済ませたウォルターは自分に会いたいと言っていたクリスティアーネ・バルクホルンの姉、「ゲルトルート・バルクホルン」の元に行くため、ミーナに案内をされている。

そしてウォルターは心底疑問に思ったので、聞いてみる事にした。

 

「中佐、その……ズボンは、履かないのかね?」

 

「?これがズボンですが?」

 

ウォルターは決して表情に出さない悲鳴を内心上げていた。

なんだ?アレがズボンといったか?アレがズボンの枠に入るのか?しかも私服だと?露出狂の間違いじゃないのか?

など考えていた。

ウォルターは基本、ウィッチを間近で見たことが余りない。その為、戦場で見る彼女らの服装は戦闘服と思っていたばかり、ストライクのはずがホームランを打たれた気分になっていた。

ウォルターは改めて謝罪する事にした。

 

「すまない、なにぶん軽率だったと反省している」

 

「いいですよ、大体がそういう反応ですから。慣れてしまいましたよ」

 

ミーナ自身も幾らか質問された事だそうで、慣れてしまったとのことだった。

 

「ここで少し待っていてください、本人を呼んできますので」

 

ミーナはそう言うと部屋を後にした。

ウォルターは改めて考える、特にズボンの事についてだ。

そういう趣味や欲情といった感情はない、が流石に目のやり場に困る。ここに所属している整備士は良く普通でいられるな、と感心を露わにした。

 

ウォルター「これが、価値観の違いとでも言うのか……流石にあれはどうかと思うぞ?動きやすそうだけど」

 

ミーナに謝罪したが、内心、平常心を保てておらず今でも困惑している。まさかアレをズボンと言われるとは思ってもいなかった事であり、それをなんとも思はない所に、感心したくなるくらいの物であった。

はっきり言えば常識外れである。そして「まさか……街でもこうなのか?」とウォルターは噴き出してきた冷や汗をハンカチで拭きながら考えた。

 

ミーナがバルクホルンを連れてくる時には、ウォルターは一通り落ち着きを取り戻し、記憶と出来事を処理し終えていた。

 

「やぁ、私はウォルター・レーヴェン、階級は中将だ。もっとも、望んでなったわけではないがね」

 

「ゲルトルート・バルクホルンです。階級は大尉ですがカールスラントでは少佐になっています。妹の、クリスの事は本当に感謝しています」

 

お互い名前と階級を明かし、テーブルを挟んで対面するようにソファに座った。

 

「私としては当然の行為をしたまでさ、それにあの時は尚更だったからね」

 

「だから感謝しているのです。もしあなたが、クリスを助けてくれなければ…私は、妹を…死なせていたかもしれないのですから……」

 

バルクホルンが少し憂鬱な気分になり掛けていた所、頭に手が添えられた。そして、その手は彼女の頭を撫で始めた。その手は彼女にとってはとても暖か物であり、同時に心地いい物であった。慌てた事を除けば。

 

「へ?ッ!!な、なな何を!??!?」

 

「君はまだ若い、色んな所で失敗し、躓くだろう。だが、過去を悔やみ続けてはいけない。君がしなければならないのは過去の過ちを振り返り、悔やむことではなく、その過ちを繰り返させない様にする事だ。

挫折は成長の過程でいつか必ずする事になる、だが余りにも大きな挫折は、成長の妨げにしかならない、だから君にはまだ挫折はして欲しくはない。それと、どんなに辛い事があっても、生き残る努力を忘れないでほしい」

 

戸惑うバルクホルンを他所に、淡々と語るウォルター。そしてその内バルクホルンは撫でられている事に落ち着きを感じ、静かになり、ぼーっとしている。そして無意識になのか、頭から犬耳を生やし、何処からか生えた尻尾を左右にゆっくり振っている。

 

「ああぁ…バルクホルン?」

 

「え?ッ!?あ、あえ?!?!!」

 

ミーナの呼びかけに応えたバルクホルンは頭と腰に生えた犬耳と尻尾を確認し、慌てたと思えば部屋のドアを物凄い勢いで蹴り破り、出ていってしまった。

 

「………なんか…申し訳ない」

 

「………い、いえ…あの子があんな表情になるとは、意外だった物で……」

 

部屋に残されたミーナとウォルターは、なんとも言えない空気に包まれていた。

取り敢えず、ウォルターは輸送機は無いかと尋ねた。

 

「中佐、此処には輸送機はあるかな?」

 

「ありますが……しかし、どうしてです?」

 

「輸送機を改造して「空中管制機」を作ろうと思ってる、これから指揮する際は、空中での事が多くなるかも知れないからね。それに、今の〝空軍大将″はとても申し出が通るとは思えない」

 

ミーナはその事について納得するように頷いた、ウォルターが言っている人物は「トレヴァー・マロニー」、空軍大将であり現在の空軍最高指揮官である。

前任のダウディング大将を追い落とす形で台頭、空軍を自身の管轄に起き、政府内部にもある程度の権限を持っている。そして彼はとても自尊心が強く、野心家でありウォルターが所属する事になった統合戦闘航空団、通称「ストライクウィッチーズ」の挙げている戦果が妬ましいらしく、補給や兵器の開発などの様々な面で妨害をしているらしい。

そのせいか、陸軍や海軍、ましてや自身が管轄に置いている空軍の中でさえよく思われておらず、彼の支持者は一部の側近や同じ事を考えている連中だけである。

 

「才能はあるんだが、彼はどうもその使い道を知らないらしい」

 

「随分な言い様ですね」

 

ウォルターの発言に、ミーナは少しニヤケながら話した。

 

「そうかい?君は私以上に彼の事を良く思ってはいないのだろう?」

 

「あら、分かりますか?」

 

「ええ、〝空軍大将″と言う単語が出た時、とても嫌そうな顔をしていましたよ?」

 

そんな他愛もない話をミーナとしていると、先程ドアを蹴り破って出ていってしまったバルクホルンが謝罪をしに戻ってきた。ウォルターはあまり気にしてはいなかったが、等のバルクホルンは「やってしまった…」、と言う感じでいたので「大丈夫だ、気にしてはいない。さっきのは私にも非があった、だから気にしないでくれ」と言ったら「気にして…いないないのならば……その…もう一度……撫でては…くれないですか?」と返って来たばかり「ファッ?」と内心思った。が改めて見れば彼女はまだ15歳であり、「親心を感じたい年頃なのかな?」と思いながら撫でる事にした。

「なんか、とても気持ちが良さそうだった」ウォルターが撫でられているバルクホルンを見て思った事である。

 

 

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取り敢えずウォルターは自身が提示した「空中管制機」を作成するため、ミーナに頼みカールスラントの「Ju-52」を譲り受け早速、ウォルター主導で改造を施す事になった。

ウォルターとしてはブリタニアで開発中の4発爆撃機「ランカスター」の試作機か、リベリオンの「B-17」あたりが望ましかったが、空軍大将がダウディング大将からマロニーに変わっている事で厳しいと判断し、輸送機を代替えにする事にした。

 

此処で「ランカスター」の開発意図について説明させてもらう。これはダンケルクにて確認された地上型とそれを輩出する「バンカー」の様な物に対し、リベリオンの「B-17」では十分にダメージ、又は破壊に至るには積載量不足であるとして、新たにブリタニアで「重爆撃機」として開発される事になった。

開発からまだ一年も経たないが、数多くの試作機が製造された。積載量は当初15トンに想定したが、エンジンや、特に機体の適正高度と運動性能がかなり低くなってしまうとのことで最終的に10トンに抑えられたが、それでも「B-17」より5トンも多く積載出来るものになった。現在では機銃座の配置や操縦桿の調整、パイロットの視界状況、特に新しいエンジンを乗っけては飛ばし、乗っけて飛ばしで、現状で計30機程試作機が存在する。

 

ウォルター主導で改造が終了したJu-52は現代で言う「空中管制機」に分類される性能になった。

アンテナは機体後部と中部、そしてコクピットの上部に設置されそれぞれの無線機に繋がっている。

ウォルター曰く「空飛ぶ司令部みたいな物さ」と話している。だが流石にJu-52では機体が小さい為、そこまでの改造はできなかった、なので機体が大きいB-17などにしたかったが、現状であればJu-52でも事足りるので、機体はまた別の機会に貰い受ける事にした。

 

ウォルターは一連の作業を終えて自分の指定された宿舎に向かった、がクリスが内緒でついてきてしまうと言う不祥事が起きた。時間帯が深夜近くであり、この状況を他人に見られ、勘違いでもされれば、自分は社会的に死ぬ事は明白であり、急ぎクリスを風呂に入らせた後、ベットで寝かし、自分はソファに毛布を被って一夜を開ける事にした。

次の日の早朝、ソファで目覚めたはいいが、どうにも自分の胸のあたりに温かい物を感じ、不審に思ったウォルターは毛布を退けると、猫の様に縮まって、頭をすり寄せながら寝ているクリスがいたが「布団から出てきたのか…」と冷静に判断し、クリスを起こさぬ様、そっとソファから脱出し、寝間着からいつもの戦闘服に着替え、書き置きを残し基地に赴いた。

 

後にクリスをどこに預けるかで議論し、最終的にウォルターのところに回ってきた為、ウォルターが預かる形になった。そして今後、彼女の様々な行動により、ウォルターは精神を限界まですり減らされる事になった。

 




今回はパンツの事を絡ませました。
多分、ヤンでも平常ではいられないと思うんだよなぁ…

クリスは可愛い(これは決定事項)

こんな感じかな〜と思いながら書いています。それと彼女に関しては公式の方にも詳しい詳細が書かれていないので、文中では12歳とさせて頂きます。

ウォルターに預かられてからも、よく姉のバルクホルンの所に行ったりします。

バルクホルンの反応は、当時15歳で身内が妹だけだったら「まあこんな感じかな」的な事で書きました。
もし「こんなのバルクホルンじゃないは!ただの別人よ!!」と思う方がいらしたが「許してくれ、(作者は)死ぬ程疲れてるんだ」という感じなので許してください。

ストパン自体は友人に勧められたものですが、あまり深入りはしていません。どっちかっていうと、元ネタの人に行き着き、搭乗機を見て段々と違う方面に根を生やし始めました。
だから必死に詳細を検索し、口調や性格を確認して書くという感じです。

次回もよろしければ見てください。


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