その男の名は「ヤン・ウェンリー」   作:第2戦闘団

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今回から大体6000文字ぐらいで書きたいと思いますので短く感じたら申し訳ない。

一万文字キチィ…

それと今回、会話多めです。



第4話 受難

「やっとまともに寝た気分だよ……全く、押し付けるだけ押し付けやがって……」

 

ウォルターはベットに横になりながら、珍しく悪態をついているがこれには訳がある。少し前、上層部のよく分からん行動によって現れた旧男性の女性ウィッチの処遇を全て、任された。

その為、只でさえ多い普段の4倍の書類に目を通さなくてはならず、寝る間を惜しんで3日3晩、紅茶を精神安定剤にして仕事に励んだ。だが4日目の朝、遂に過労で倒れてしまったので現在はミーナに代わってもらっている。

そして自分の宿舎にて、クリスに看病をしてもらっている。だがクリスは最近構っていなかった事や、自分を頼りにしてくれない事に拗ねており、あまり会話をしようとしないが撫でてあげたりすると嬉しそうにするので、時々撫でている。

ちなみに倒れた事は箝口令や口封じを行なっている為当分はバレない様にしている。

 

「向こうだと夜か朝かなんて分からない上、タンクベットがある分、ある程度平気で入られたが……正直、こんなにタンクベットが欲しいなんて思ったのは初めてかもしれん…」

 

「一体何のお話ですか?」

 

ドアを開け、看病をしに来たクリスが入っていた。「聞かれてたのか?」と内心思いつつ、話題を晒す事にした。

 

「ん、まあ久しぶりに横になったなって」

 

「……心配したんですからね?」

 

「悪かったって。今度からは気をつける、それでいいだろう?」

 

「信用できません、するなら今からです」

 

そんなクリスの姿を見てウォルターは1人の少年と照らし合わせた。

 

「(性別以外だったら、殆どユリアンと変わらんな…今頃、どうしているだろうか…)」

 

自分が死んだ後どうしているか、迷惑はかけたなぁ。と考え始める。

 

「……聞いてます?」

 

考え始めると同時、クリスに呼び戻される。

 

「ああ、それで何だっけ?」

 

「聞いてないじゃないですか!最近お酒の量が増えてます、少し抑えてください!!」

 

「クリスが言うほどか、なら善処しよう」

 

その後、また口を聞いてくれなくなったクリスだが、近づいて撫でてアピールをする為、撫でてあげたりして機嫌を取った。

ウォルターの感想は「まるで猫だな」である。

尚、箝口令を敷いたにもかかわらず、倒れた事がジョンにバレてそこから広がっていってしまった。

後日から2日間、ウォルターの宿舎には見舞いが来る様になった。

 

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「なあ、そろそろ動いても平気ru「ダメです×2(だ)(であります)(…です)」…ダメかね?」

 

ウォルターの問いかけジョン、クリス、バルクホルン、ホーキンス、サーニャが揃って答える。

 

「心配してくれるのは嬉しいんだが、些か度が過ぎやしないか?」

 

「では中将、こんなに心配させたのは誰ですか?」

 

「お酒も控えたけど、今度は全然睡眠取ってないじゃないですか…

 

「中将。あなたには一度、生活リズムを整えてもらう」

 

「中将!自分のお身体を酷使し過ぎです!!少しは休息を取ってください!!」

 

「その……頑張り過ぎ……かなって?」

 

それぞれ彼を思っての行動なのだが、等の本人は迷惑ではないが不便そうにしている。その上…

 

「心配てくれているのは有難いんだが……そんなかね?」

 

「中将……何処に3日3晩紅茶だけ口にして仕事する人間がいるんですか?」

 

ジョンが3日間の真実をぶち撒けた。

そう、ウォルターは3日間、精神安定剤として飲料していた紅茶だけで過ごしてていたのだ。

尚、本人は知らず知らずに紅茶を飲んでは足し、飲んでは足しを繰り返していたと言う。

 

「へぇ……ウォルターさん?」

 

「なッ?!」

 

「流石に…看過できませんぞ?」

 

「………嘘吐き………」

 

クリスは知らされていない事実に怒り、バルクホルンは驚き、ホーキンスは「え?正気ですか?」と心配し、サーニャは自分に嘘を吐いていたウォルターに殺気を露わにしていた。

 

「は、はははははは……」

 

「今はミーナ中佐と事務能力のある隊員にやってもらってますから、その分しっかり休んでください。又同じ事になったら……どうなりますかね?」

 

愛想笑いで誤魔化すウォルターにジョンは簡潔に「取り敢えず休め、でないと殺す」と言う内容を話した後、部屋を出て行った。

 

「それでは、将官も帰らさせてもらいます。中将…余り無理をなさってはいけませんよ?」

 

「今度は……嘘、吐かないで……下さいね?」

 

「中将……二度目は無いですよ?」

 

それぞれが言いたい事を言った後、部屋から出て行った。

 

「いやぁ、怖かった。バルクホルン大尉やリトヴャク中尉もそうだが、特にジョンがあんな感じになるとはな。」

 

「そんな減らず口が出るって事は、随分と余裕だったんですね?」

 

「いや、ジョンに3日間の事をバラされた時はゾッとしたよ。しかし……なんで知ってたんだ?私以外に知る人間なんて中佐くらいの筈だが……だが中佐が口を割るとは考えにくい……」

 

実際、書類の件で執務室に入ってきたミーナ以外に知る人はいない。だから、ジョンが何故知っているのかが理解できなかった。

 

「まっ良いか、ジョンはどこか抜けてるところがあるから、今度鎌かけてみるか」

 

「そんなことより、寝て下さいね?」

 

取り敢えず、2日間の休息を取ったウォルターは後日から秘書兼監視役の者を置かされる事になった。

仕事が速くはなったし、監視しているのは執務室で仕事をしている間だけなので、あんまり気にはならないらしい。

 

 

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「やぁ、私はウォルターだ。ひょんな事があり、現在近場の街に側近のジョンと来ている、ジョンは監視が何とかでと言っているが正直言って来たかっただけだろう。

だが動機がわからん。」

 

「…誰に話してるんです?」

 

「気にするな、それよりジョンは服とか買わないのかい?」

 

「下着は買いますけど、服とかは軍服で事足りちゃいますから正直買うほどでも…」

 

「と言うより過去の自分が抜け落ちてないだけじゃ無いか?」

 

「新しい自分になれないんですよ……」

 

「そうかね、では私は紅茶の補充分を買ってこようかね」

 

「ちょ、中将!!1人にしないで下さいよ!!」

 

「だったら、しっかり付いてくるんだな。」

 

 

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「やってしまった……あれだけ言われたのに逸れてしまった……」

 

そう嘆いているジョンは、近場のベンチで項垂れている。

無理やり付いて来た挙句、途中で迷子になり、ここが何処だかもわからない。

心境は最悪である。

 

「はぁ…」

 

「お姉ちゃん何してるの?」

 

ジョンがため息をついていると、近くに少年が寄ってきた。

 

「ああぁ…お姉ちゃんは大事な人と逸れちゃって、ここにいるんだ」

 

「大事な人って?」

 

子供ながらの純粋な質問にジョンはどう返したら良いのか少し考える。

 

「まぁ…慕ってる人…かな?」

 

「好きな人じゃないの?」

 

「はっ?!」

 

あまりの変化球にジョンは立ち上がり、少年から少し離れる。

 

「好きじゃないの?」

 

「そ、そういうのじゃなくて!!」

 

「でも好きじゃないけど、そういう気持ちはあるんだね?」

 

「んな?!」

 

「じゃあね、お姉ちゃん。からかい甲斐があったよ」

 

と言って手を振った後、声をかける暇もなく走って路地裏に消えて行ってしまった。

 

「……私は……「どっち」なんだ?」

 

右手に拳を作り胸にあてる。過去と今の「どっち」が自分かわからなく、不安が込み上げて心拍数が上がってきているのが分かる。

 

「「どっち」なんだろ……」

 

悩みふけっているうちに時間が過ぎていき、ウォルターに声をかけられるまでずっとベンチで考えていた。

 

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時間を巻き戻し

 

とある喫茶店、ウォルターは紅茶を飲みながらタブロイド紙を拝見している。そこには最近の戦況と軍のユニット不足の方が掲載されていた。

 

「やっぱり安定はしているが、不安定の中の安定だな」

 

今ウォルターが見ているのはガリア南部の戦線の記事であり、所々で逆侵攻をし、そのたんびに弾き返されると言う内容であった。が、そこに目を見張る物があった。ウォルターにとって見覚えのある部隊証であり、中世の騎士を催す装甲服、紅い薔薇、五角形の星、その部隊名は「ローゼンリッター」薔薇の騎士である。

 

「まさかな…」

 

「そのまさかですよ「ヤン准将」」

 

ウォルターは肩に手を乗せてきた者の顔をはっきりと覚えている。

 

「……「シェーンコップ中将」…と言う事は、君もか?」

 

「ええ、あなたとは全く違う物ですがね」

 

「そうか…だが何故私が「ヤン・ウェンリー」だと、確信できたのだね?」

 

「感というやつですかな、伊達にあなたより長く生きてはいませんよ」

 

「成る程、人生経験の差って奴か」

 

「ま、そんな所でしょうなぁ。それより准将、悩める子羊があなたを求めて彷徨っておりますぞ?」

 

「それは助言か?はたまた予言かな?」

 

「助言ですかね、ここににいるとだけ言っておきましょう。まだ聞きたい事はありますが、そうもいかないのでね。これで失礼しますよ、「准将」」

 

そういうと印が付けてある地図と無線の周波数が書かれたメモ用紙を渡し、シェーンコップは人混みに消えてしまった。

 

「助言と連絡先だけ渡されたはいいが、どうして彼がいるんだ?ガリア南部にいるはずじゃ…」

 

シェーンコップが何故、いるはずのないブリタニアいるのかを考えてるうちに大事な事を思い出した。

 

「……ジョンの事、放ったらかしてた……」

 

ウォルターは釣りを受け取らず、急いで店を出た。

 

 

 

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「予想が正しければシェーンコップが言って居たのはジョンの事だと思うが……」

 

ウォルターはシェーンコップの言葉の意味を考えながら渡された地図に示された場所に向かっている。

 

「……いた」

 

遠目ではあるがベンチにジョンが座っているのが見えた。

 

「しっかし、こんなひと気の無い所にいたら危ないだろうに……」

 

あまりにひと気がない事を気にしたが、取り敢えずジョンに声をかける事にした。

 

「ジョン、こんな所で「中将…」ん?なんだね?」

 

「私って「どっち」なんですか?」

 

いきなりの問いかけに困惑するウォルターだが、まず理由を聞く事にした。

 

「どっちと言われて「ちゃんと答えてください!!」うぉ!?」

 

そういうとジョンはウォルターの胸ぐらを掴み、力一杯掴み上げている。女性とは言えウィッチで、軍属に所属しているのでそこらの男性並みに力はある。

 

「私にとって「本当の私」はどっちなんですか?!もう戻れない過去の23年の「私」と、今のたった3ヶ月の「私」は!?どっちが本当なんですか?!!どっぢを…信じれわぁ…いいんでずがぁ……!!?」

 

最初は威勢があり、呂律もしっかりしていたが段々と自分の心境を掘りさげて行くうちに、地面に膝をつき顔を俯け泣きながら、問いかけてくるジョンにウォルターは一次混乱したが、冷静を取り戻し泣き崩れているジョンを抱き寄せ、頭を撫でながら、ゆっくりと語る。

 

「ジョン、誰しも過去を捨てる事や、なくす事は出来ない。それは思い出や記憶と言う形で「歴史」になって残り続けるからだ。過去のジョンの23年は記憶の中に残り続ける、過去は残す事はできるが作る事は出来ない。私には「どっち」が正しいのかなど、検討が付かない。聞くがジョン、「どっち」が君にとって自分でいられるんだ?過去かい?」

 

「………」

 

ウォルターの問いかけに、頭を横にふる。

 

「そうか、では今かね?」

 

「………」

 

今度はどっちに振ればいいのか分からなくなっており、ウォルターの服を掴んでいる手に力が入り、少し引っ張られる。

 

「うおぉぅ、じゃ、これから作ればいいさ。過去と違い今は作り変える事ができる、そしてそれが過去になって行く。まだ3ヶ月だ、これから新しい自分を作っても良いんじゃないか?」

 

「………私は………」

 

ジョンは小さくまだ悩んでいそうな声で話そうとするが、ウォルターには届いていなかった。

 

「それにこんな所で長話もなんだ、帰ってから続きを話そう」

 

「…………手…繋いでください………」

 

「ん?」

 

「……二度も言いませんよ……」

 

ジョンの奇妙な行動に理由を求めようとしたが、当人が無理矢理手を繋いで来る。それと始め、無茶苦茶痛かったらしい。

 

「ジョン、できればもう少し力を緩めてくれた方が……」

 

「……その代わり、離さないでください……」

 

「緩めてくれるのなら、ありがたい限りだよ」

 

気がすむまで手を繋いでいてくれとジョンから言われた。がウォルターは結局ジョンの寮まで連れて行かれることになった。

 

「(この気持ちを…忘れてしまうのなら……今の方がいい……それに中将の手…とっても暖かい……)」

 

他人から見れば親子に見えなくもないが、彼らを知っている者から見れば異常な光景であった。その為、基地前や寮にいた時は周りから視線が集中したらしい。

 

 

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「結局、ジョン」

 

ウォルターは昨日の一件を考えていた。ジョンに話を聞こうにも、向こうから逃げていってしまい聞くにも聞けないので、こうして悩んでいる次第である。

 

「それに、ガリアにいるはずのシェーンコップが何故いたんだ?」

 

「中将、何をそんなに考えているんです?」

 

執務室にバルクホルンが書類を持ち、扉を開けて入ってきた。

 

「あぁぁいや、古い知り合いにあってね。それより大尉、その書類は?」

 

「上からの指令書です。それと…」

 

「ん?」

 

「その…撫でて…ください?」

 

「仕事と私情は、別にしてもらいたいんだが…」

 

「それをしても、してはくれないですよね?」

 

仕方なく、バルクホルンの願い出を承諾し、撫でた。

 

「〜〜〜〜〜」

 

「随分と嬉しそうじゃないか大尉」

 

「親心を感じたいんです。私にもう、両親は居ませんから」

 

「それはいいが、やはり仕事中は控えてくれよ?」

 

「プライベートでこうしてくれるのなら」

 

「善処するとだけ、言っておこう」

 

「期待はしますよ?では失礼しました、中将」

 

満足したのか、バルクホルンは上機嫌で執務室を出て行った。そしてウォルターは改めて、運ばれてきた書類を確認することにした。

 

「どれ、確認だけでもしておくか」

 

書類に目を通すなり、最初からぶっ飛んだ事が書かれていた。「現在、ガリア南部にて確認された所属不明の連隊「ローゼン・リッター」は今月未明、「第11混成特技師団」に組み込み、来年6月に行われる「バルバロッサ作戦」に「ローゼン・リッター」と共に参加されたし。尚、ウォルター・レーヴェン中将指揮下の航空団、及び師団は一時的にミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐に一任する。」である。

 

「要するに、「言うこと聞かないから一緒について来い」か。全く、こっちでもじゃじゃ馬の様だな。それに、この書類で何故彼がブリタニアにいるのか、やっとわかった」

 

懐かしき戦友がこの世界にいるとあって、ウォルターは少し嬉しくはあるが「来てしまったのか」と言う思いも浮き出して来た。

そして、違う戦線に飛ばされる事を、ジョン達にどう誤魔化せばいいのかを四六時中考える事になった。

 




ジョンの精神的ストレスやばそう、って思いながら書きました

あと大体土曜と火曜に投稿しようと思ってます。

シェーンコップは混ぜたくて混ぜた。
悔いはない。

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