その男の名は「ヤン・ウェンリー」   作:第2戦闘団

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なんだかんだで4,000文字に落ち着きましたので、できれば維持したい。(フラグ)

後、たまに息抜きで投稿してる小説があるので良かったら見てください。雑さがハンパないですが。

それとタロット占いの死神の正位置は《停止、終末、破滅、離散、終局、清算、決着、死の予兆、終焉、消滅、全滅、満身創痍、ゲームオーバー、バットエンディング、死屍累々、風前の灯》

逆位置は『再スタート、新展開、上昇、挫折から立ち直る、再生、起死回生、名誉挽回、汚名返上、コンテニュー』という意味でした。

ラーパッナ少将との会話を訂正。


第7話 戻りはしない過去の夢

私は、夢を見ているのか…懐かしい感覚だ。過去のものになってしまったがな。

 

家に帰ればユリアンがいて、艦隊に戻ればアッテンボローが側にいて、そんでもってアッテンボローとポプランが騒いでて、それを鎮めるムライ中将がいて、そこに油を注ぐが如く煽るシェーンコップがいて、呆れながら毒を吐くキャゼルヌ先輩がいて、それを遠巻きに見て笑う将兵や提督達がいて、釣られて笑うフレデリカがいて…

 

私には…幸せ過ぎるのかもしれないな…

 

私が出してきた死人達だってこんな風に生活する権利があった。私は…それを奪ってきた身だが。

 

こんなこと言ってるくせに、いざ戦闘になると口を挟んでしまうんだから不思議だ。

天国か地獄かの道の基準が簡単だったら、私は殺戮者として地獄に落とされるだろう。

ただ、一回で済むものだろうか…

 

……提……提督……ヤン提督、起きてください!ヤン提督!

 

ユリアンの声か。夢の中でもこうもはっきり聞こえてくるとは、私はいい記憶力をしている様だ。

 

しかしおかしいな、さっきより視界がぼやけている。気分も何もなく重たい…それに左脚の感覚が…

 

私の……死体?

 

「ハッ?!」

 

「うお?!」

 

…あぁ、やっぱり夢か…しかし、心臓に悪い夢だった。

あんな経験は一度で十分だ。最も、人生で一度きりの体験が「死ぬこと」なのだからな。

 

「お、おイ…大丈夫カ…ですカ?」

 

「ん?あぁ大丈夫だが…此処はどこかね?それに君は誰だね?」

 

「わ、私はエイラ・イルマタル・ユーティライネン飛行曹長で…ス。ここは、マルミ空港の士官用兵舎だ…でス」

 

兵舎となると彼女は軍属だったか、しかしなんかぎこちなく喋るが…上官との会話は苦手なのか?さっきからタメ口になりかけてたりしてるが。

 

「ああ、そこまでかしこまれても困るんだが…」

 

「上官にストーカー紛いなことした挙句膝蹴り食らわして気絶させて今度は誘拐紛いなことして正常デイラレマスカ?」

 

最後感情が抜けてるんだが、まあ普通だったら会議ものだけどね、普通だったら。

だが今はなぜつけてきたのか、理由が聞きたい。

 

「しかしだ、ユーティライネン飛行曹長。何だったって私の後をつけて来たんだ?」

 

「(住所特定しようとしたなんて言えない…)そ、その…昨日の…事でその…感謝の意図を…」

 

「その感謝があの蹴りだと?」

 

「あ、あれは…その…その……」

 

言い過ぎたか、話を変えよう。

 

「んん、話を変えよう。あの時何故私が振り向いたり、拘束しようと分かったんだね?あと敬語は使わんでいいぞ」

 

「オ、オウ…ウィッチの個性って知ってる…カ?」

 

「個性?技みたいなものかね?」

 

「ウゥン…まあそんな感じダ。私の使い魔の個性は「未来予知」って言って、対象物の未来位置がわかるものダゾ」

 

敵からしたら悪質極まりない個性だな。

 

「だからあんなひょいひょい隠れられてたのか…」

 

「え?見えてたのカ?」

 

「ちょっとね、靴の先だけだったが」

 

「それでも見えてたのカ…」

 

なんだ、見えてない自信でもあったのか?

 

「取り敢えず私は帰りたいんだが…うぐっ!?」

 

なんか…急にみぞおちあたりがギンギン痛くなってきた…痣どころじゃ済んでないんじゃないか?

 

「な、なア…痛むならあまり動かないほうがいいゾ?」

 

「なら…ハァ…解決法は…ないかね?…ハァ…」

 

…ダメだ声が震えて来た。

 

「と、取り敢えず!今はソファに寝てたらどうダ!?」

 

「しかし…あ」

 

手紙…書いてない…

今更だが、ヤバイ…かなりの期間送ってない…まずい、クリスって案外怒ると何するかわからないタイプなのに…

全身から血の気が引いていく…

 

「ハハハハハハハハハ…」(ドサッ

 

「お、おい!今度はどうしたんだヨ?!」

 

 

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「んあ…」

 

私はまた気絶したのか…勤勉さの次には日常的な運も使い果たしてしまったかな?多分ステータスでラックがEどこじゃなくなってそうだ。それに自分でトラウマを抉るとは、なんとまぁ…

 

「あれ、やっと起きましたか?」

 

「…誰かね?」

 

「申し訳ないんですが、それを聞きたいのはこちらもでして…」

 

「…水を貰えるかな?」

 

「ど、どうぞ」

 

あ〜だがやっぱり飲むなら紅茶の方がいいなぁ…でも贅沢は言ってられないな。

 

「すまない、私はウォルター・レーヴェン、ブリタニア陸軍で中将をやっている者だ」

 

「…何故中将ともあろう方が、ここに?」

 

気のせいか?声が震えてるように聞こえるが。

 

「話せば長くなるがそれでいいのなら、構わないが?」

 

「では、聞かせてもらいましょう」

 

 

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「は〜、よかった…」

 

「ん?どうかしたかね?」

 

「い、いえ…ストライカーを壊したことで何か言われるんじゃないかって…」

 

どうやら何らかの疑いは晴れたようだ、しかしあまり長居が出来ない状態だな。

最後に確認しておきたい事があるから聞いておこう。

 

「あ〜それと、何故…彼女は私の後をつけてきたんだ?何か心当たりは?」

 

「さぁ、それに関しては…でも昨日帰ってきてから、何かこう…別の物を、見ているような感じでした」

 

理由にならない理由ってこういう事を言っているのか?

私が何かしたか?だが昨日って事は私とクルト上等兵とで暴漢を叩いた後か?

 

「すまないが、彼女の首元に傷はなかったか?」

 

「マフラーを巻いていたので、確認はできませんでしけど…あっ!ハンカチを大切に持っていましたよ?」

 

止血する時に使ったやつか、あれたしかクリスからの贈り物だったが気がするが…まあいい。ハンカチを返すつもりで後をつけていたのか?なら普通に直接渡せばいいものだと思うがなぁ…

 

「あぁ最後に、君の所属と姓名は?」

 

「ニッカ・エドワーディン・カタヤイネン、スオムス空軍で曹長を務めております」

 

しかし、何だ…彼女からは負のオーラが垂れ流されてる気が……私の考えが正しければ近いうち、負が洪水のように流れ出てくるんじゃないか?

 

「あっそれと。君たちが撃墜された時に出る回収部隊にいるから、その内職場でも合うことになりそうだからね、今の内に挨拶しておくよ」

 

「そうですか…いざという時、お願いしますよ?」

 

「あぁ、頼りにしてくれ、私はそろそろお暇させてもらうよ」

 

さっさと帰って手紙を書かねば…怒ってるよなぁ絶対。今度会う時はクリスの言う事に逆らわない方がいいな。

 

 

 

「………ほんとに良かったの?行っちゃったよ、あの人」

 

「う〜……」

 

「ほんと変な所でヘタレなんだから…」

 

「でも……」

 

「でもじゃない!言いたい事があるのならハッキリ言う、それで損するのはイッル自身なんだからね?」

 

「……わかったヨ、努力すルヨ」

 

「努力が実る事を期待してるからね?」

 

 

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新年が明けてから3日くらい。未だ季節は冬だから油断ならない。天気予報なんて存在しないし、日々天候の変化に気を配りながらの生活は疲れる。

救いは紅茶が飲める事だ。取り敢えずいつ届くかわからない謝罪の手紙を連絡船に預けて、今は仕事のない日々を満喫している。

 

でもどっちみち連隊の後を追わなければいけないので、あんまり長居は出来ないという。

連隊に関してはここ最近問題が起こってないのが不思議なくらいなんだよなぁ。癖の強い人物ばっかの集団だからどうかと思ったが、案外上手い事やってるんだな。

 

最近だとマンネルヘイム線近くのラッペーンランタに移されたらしいが、やっぱり奴らの出現率が頻繁になってきたのが原因か。オラーシャ・カールスラント軍は次の作戦の為に戦力温存に精進してるし、出張ってるのはスオムスと義勇軍のプラスαにうちの連隊というごちゃ混ぜ状態だ。

 

…………寒気がする…また面倒ごとに首を突っ込む事になりそうだ。

 

 

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ラッペーンランタ

 

ここに来る前に渡された書類を見た限りだと着いて早々、救難救助の要請が来るとか、やっぱり首突っ込まなきゃいかんのか…

 

「あなたですか、私はエリッキ・ラーッパナ少将。話はある程度あなたの部下から聞いている。もしわけないが長々と話している猶予がないもので…」

 

「ちょっと、落ち着きましょう少将。話しが見えてこない」

 

何を焦っているんだ?落ち着かないと大事な部分でしっかしと相手に伝える事が出来んぞ?

 

「も、申し訳ありません……実は、カタヤイネン曹長とユーティライネン飛行曹長が帰還途中にエンジントラブルを起こし、ロシノ付近に墜落したとの報告があったのです。2人はペアだった為に、他の戦闘隊が気付いていなければ危うく知らないうちに2人を見殺しにしていたかもしれない。あなたの連隊にはこの2人とストライカーの回収をお願いしたいのです。我々スオムスにとって彼女らは貴重な存在……申し訳ないのですが彼女らを救ってきてはくれませんか?」

 

地味に遠い上に女性2人と荷物が2つ、どっちを優先させるなんてわかりきっている。

 

「わかりました…しかし人命優先で動かさせていただきます。ストライカーの回収は行えないものとみなしてください」

 

「機械や部品はいくらだって補充が効きます。優先させるのはあくまで彼女ら2人の人命…頼みます」

 

 

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取り敢えずシェーンコップ以下私を含めた10人の小隊規模で行く事に。

 

「この地点までは輸送機で行く事になっている。そこから降下した後、地上で対象の捜索を行う」

 

「んで、小隊規模での散策で見つかるものなんですかね?」

 

「そこで君達の装備が役に立つ。何かとオーバーテクノロジーだからね。サーマル機能もナイトビジョンも、まだ試作段階の上、性能がダンチだ。それに…」

 

「色々、聞きたい事があるのですな?」

 

「ああそうとも私が死んだ後の歴史の流れを…君達が知っている限りは聞かせてもらうよ」

 

 

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「はぁ…何でこうなるの〜…」

 

「やっぱり「『ツイてない』カタヤイネン」の名は伊達じゃないって訳ダ」

 

ニパに限って物凄く不吉な事が起こりまくるんだよな。

 

「でも、他人を巻き込むなんて今回が初めてだよ?」

 

「確かに…今まで大体、ニパだけだったよネ」

 

タロット占いしてみるかな…確かウォルターとかいってたっけ…過去でも占ってみるかな。

 

「ん?何してるのエイラ?」

 

「タロット占い」

 

「ほう…なになに、あの中将の事気になるの〜?」

 

フギュッ!?

 

「そ そソソンな訳ガな ななナイだろ!?」

 

あったとしても絶対に無理だよ!!

 

「動揺しすぎだよ、何?そこまでになるって事はやっぱり…」

 

「 な イ ! その話はこれでオシマイ!」

 

私が思ってても、向こうがそうとは限らないし…

 

「わかったよ、ごめんって」

 

「全く…エ?」

 

「ん?どうかした?」

 

「え?いや…何でもナイ!その…ハハハ…」

 

「?」

 

正位置の…死神…やっぱり何か隠してる……多分一番自分でも思い出したくないような事を…

 

 

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「ヘックシュイッ!!」

 

「どうしましたかな、中将?」

 

「んん、いや誰かに自分の秘め事を当てられたよう感じでな…」

 




先週は申し訳ない(博士並感)

いつの間にかお気に入り100超えそうで、変な汗が出てしまった。お気に入りや見てくださり有難うございます。

これからも何卒宜しくお願いします。

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