ヤンキー娘は女神の義声の所有者   作:星のお姫様
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ヤンキー娘、人助けをする。

side Amane

 

「オールドファッション三つとストロベリーリング五つくださーい」

『かしこまりました』

「店員さ~ん!このドーナツポップ一番大きいの二つとブラックコーヒーとカフェオレ二つづつ~!!」

『少々お待ちください』

 

皆さんこんにちは。

ただいま私、アマネ・ミソラは…

 

 

 

 

 

絶賛バイト中です。

 

因みに私がバイトしているのは某人気ドーナツショップで、主に品出しとレジ打ちを担当している。

時計の針は二本とも空をさし、人(人ではない者が大半だが)がどんどん入店してくる。

レジに並ぶ列が途切れ、一息ついていると不意に肩を叩かれた。

振り返ると、緑色の肌の額に二本の角が生えた大柄な異界人の男が立っていた。

 

「お疲れ、アマネちゃん」

『店長…』

 

この(異界人)はこの店の店長で、大柄な体型に似合わず、お茶目で心優しい人だ。

HLに来たばかりの頃、バイトを探して町を歩き回っていた私に声を掛け、雇ってくれたのもこの人だ。

 

「今日はもう上がっていいから、お昼食べておいで」

『え…でも、まだ勤務時間「そう言ってこの前お昼食べないで倒れちゃっただろ?」うっ;』

「ほらほら、今日は上がって上がって!これは店長命令だよ!!」

『(職権乱用…)…わかりました』

 

私は渋々うなずき、裏口から店を出た。

 

──────────────────────

 

『ハァー…』

 

私はHLに来てからお金をためて買った青いベスパにもたれかかって大きなため息をはいた。

店を出た私は、よく昼食を取るお気に入りのレストランに向かったのだが、サイとイノシシを足して二で割った様な巨大異界生物のせいで全壊してしまったのだ。

 

『…食べずに戻ろうか((グギュ~

………』

 

昼食を取るのを諦めて店に戻ろうかとも思ったが、腹の虫がもう限界だとでも言うように大きな音をたてている。

 

『ハアッ…別のところ探そ…』

 

そう呟いてベスパを発進させようとしたその時…

 

「さっさと来いや!」

『わっ?!』

 

急に怒鳴り声が聞こえ、何事かと思い振り返ると、全壊したレストランの先にある裏路地へ続く道に、人間(ヒューマ)の少年を引きずり込もうとする二人組の異界人が目に入った。

 

『ッツ…!!』

 

私は慌ててベスパから降りると、その路地裏に急いだ。

 

「~~~!?」

「~~!!」

 

路地裏に近づくと怒鳴り声が聞こえ、ソッと物陰から様子をうかがう。

そこに居たのは少しダボついた服を着た濃い藍色に近い癖付いた髪に糸目の少年と、少年を片手で押さえつけるライオンの顔に虫の複眼を持つ大柄な異界人、二足歩行の狐と狸を合わせたようなヒョロッとした異界人がいた。

押さえつけられている少年はなんとか逃れようともがいているが、異界人はびくともしない。

 

「う~~?!」

「暴れんな小僧!なーに、商品を少し貰うだけだ…大人しくしてれば痛くはねぇよ」

「キヒヒッ、そうそう!俺たちも早く終わらせたいし、暴れたら商品を傷付けちまうかもしれないからなぁ~」

「むぐっ、む~!!!」

 

下衆な笑みを浮かべる二人の言葉を聞いて、少年はさらに激しくもがく。

 

 

商品

 

貰う

 

傷付けてしまう

 

 

これらのワードから弾き出される答えは…

 

『(臓器の密売!!)』

 

そう、二人の異界人はあの少年の臓器を取り出し、それを売り捌こうとしているのだ。

 

「おい、速いとこ終わらせるぞ」

「ヘイッ!」

「?!ふぐ~!?!?」

 

大柄な異界人の横に控えていたヒョロい異界人は、足元にあった黒い鞄からナイフの様なものを取り出し、それを少年に向ける。少年は必死に抵抗するが、ナイフの切っ先は無慈悲にも少年に向かっていく。

 

『チィッ!』

 

私は舌打ちをすると足元にあったレンガを手に取り、それを大柄な異界人の横面めがけて投げつけた。

 

 

ガンッ!

 

 

「グアッ!?」

「アニキッ?!」

「!?」

 

レンガは見事に命中、大柄な異界人はレンガがぶつかった際に脳が揺れたのか、その場に蹲ってしまった。

 

私は急いで状況が理解できず座りこんで呆然としている少年に駆け寄る。

 

『大丈夫!?』

「ッ!き、君は((『話は後!早く逃げるよ!!』あ、ちょっと?!」

 

私は少年の手をとり立ち上がらせると、ダッシュでベスパのところまで戻り、メットインに入れていた予備のヘルメットを少年に投げ渡し、自分用のヘルメットを被り、ベスパに乗る。

 

『早く乗って!』

「えっ、で、でも((『つべこべ言わずに、さっさと乗る!!』は、はいっ!!」

 

ベスパに乗るのをためらっている様子の少年に、痺れを切らして思わず怒鳴り付けると、少年は慌てて私の後ろに乗る。

 

『しっかり捕まってなさいよ?』

「はいっ!」

 

少年の手が私の腰辺りに回されたのを確認した私は、エンジンをふかし、ベスパを急発進させた。

後ろからあの二人組の怒鳴り声が聞こえるが、それを完全無視し、他の車の間を縫うように走り抜ける。

 

 

 

 

 

 

 

暫くベスパを走らせ、大通りに近いところにベスパを止めた。

私と少年はベスパを下りると、ホッと一息付いた。

 

『ここまで来れば大丈夫ね…怪我はない?』

「は…はい…」

『なら良かった!』

 

私は少年からヘルメットを受け取り、それをメットインにしまう。

すると、

 

「あ、あの…」

『ん?どうしたの?』

「どうして、俺を助けてくれたんですか?」

『へ?』

 

唐突な問いに驚いた私が少年を見ると、少年は眉をハの字にして私を不安げに見ていた。

 

二人の間に暫しの沈黙が訪れる。

 

私は暫く少年の顔を見つめた後、フッと笑った。

 

『あなたを助けた理由は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私があなたを助けたいと思ったからだよ』

 

少年は驚いたようにこちらを見ると、クスリと笑った。

 

「御人好しなんですね」

『そこは正義感が強いって言ってほしいかな』

「はいはい」

『ちょっとなーに、その適当な返事は~!』

「…ブフッ!!」

『…プッ』

『「アハハッ!!」』

 

二人は暫く笑いあっていたが、ふと少年が思い出し訪ねてきた。

 

「そう言えば、貴方はどうして彼処に?」

『私?私はグギュルル~…お昼忘れてた…』

 

会話の途中に唸り声をあげた腹の虫に、私は顔を真っ赤にして俯いた。

 

『(恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい…!!なにこんなときにお腹鳴るの私のバカァ…!!)』

「…ブッ、ククッ」

『(しかも笑われた?!)』

 

ガビーンと古い効果音がしそうなほどショックを受けていると、笑いが収まったらしい少年がこう言ってきた。

 

「助けてくれたお礼に、俺のおすすめの店に案内しましょうか?」

『!い、良いの?』

「勿論!」

『ありがとう!えーっと…』

「あっ、そう言えば名乗ってませんでしたね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はレオ、レオナルド・ウォッチ!」

『レオナルドね!私はアマネ、アマネ・ミソラよ!』

 

 

──────────────────────

 

 

 

 

神々の工芸品を宿す少年

 

 

女神の調べを宿す少女

 

 

この出会いは偶然か

 

 

或いは必然か

 

 

それは

 

 

神のみぞ知る…







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