二番目の天才   作:首吊り男

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始まります
頑張ります。


第1話

初めに見たのは乱舞だった。白い騎士が無数のミサイルを一つも残さず撃墜していく。それはまるで踊ってるかのように。それはとても美しかった。

 

転生して目を開けたら白騎士がミサイルを迎撃している場面、つまり白騎士事件である。

物語の始まりにいれたことを転生させてくれた神様に感謝しつつ自分の様子を確認する。

うん。小学生だ。

戸籍とかあるんかな…なかったら孤児院で暮らすことになるが、孤児院はあまりいい話を聞かないし、なんならもっと劇的な何かがあるような気が…

それにしても白騎士はすごいなぁ本当に1つも残さずに迎撃してるし。

「あれはすごいですね……まるでロボットアニメのようだな!」

やっぱりそう思います?……ん?

「キャスパー、気持ちはわかるけどここも危ないから移動しないとまずいよ」

「いやいやチェキータさん。あの機体、相当の手練れだ。チェキータもそう思うでしょ?」

「どんな手練れでもミスはあるし、雇い主と心中はまっぴらよ?」

「まあまあ、そう言わずに。ほら、もう全部迎撃したみたいですよ!ほんとすごいなぁ」

 

ん?あれ、キャスパー・ヘクマティアルじゃね?

そう思ったら案の定、アルビノみたいに真っ白な男とやばそうな女性が並んで立っている。チェキータさん怖すぎる。まあ駄目元で話しかけて見るか。

 

「こんにちは」

「おや、こんにちは坊や。こんな危ないところで何をしているのかな?」

それはこっちのセリフだ。俺はここに転生させられたから仕方ないの。

「こんな子近くにいたかしら…」

やべ、チェキータさんに警戒されてる。下手な手打ったら首飛びそう。

「白い髪のお兄さんはあれ何かわかりますか?」

「あれ?さっきのロボットかな?ごめんね、僕もあれがなんなのかはわからないんだ」

「お兄さん、あれはISって言うんですよ」

ここは丁寧に教えておく。

あとキャスパーの名前は出さないでおく。知ってると思われたら下手したら鉄砲玉か何かと思われるかもしれん。たぶんないが、念のため

「へえ……何で小学生の君がどこぞの秘密兵器としれないあれの名前の知ってるのかな?」

まあここで警戒されるんですけど。チェキさんも睨み効かせてきてるし。まあ変なことしなければ大丈夫大丈夫。

「しばらく前に論文が出ているからですよ。篠ノ之束って人が出してるんですけど」

おそらく間違いはないはず。論文も現時点では突拍子も無い夢物語と思われてるはず。故に規制もかかってないはず。

「ふむ……確かにあるね。これがあのロボットだと?」

「正確にはパワードスーツです。宇宙活動用の」

「なるほど、確かに君の言う通りだ。本来これは宇宙での活動を想定しているみたいだ。しかし…」

「今のを見た人には兵器にしか見えないでしょうね。いくつかの兵器も返り討ちにしてましたから」

「確かにな。あんなものが量産されたりしたら……」

「それは無いと思いますよ。あそこまでのものを真似できるのはいないと踏んでいます。」

「その根拠は?」

「まず乗り手のレベルから高すぎること、技術レベルが明らかに2世代は先のものだからです。特にこれのコアに関してはおそらく意図的に詳細が伏せられてます。恐らく自らにしかISコアを作れない環境を作ることで管理しようとしてると思います。」

「市場の独占だね。彼…いや彼女1人で作れないようにして金儲けかな?」

「それもあるかもしれないですが一番は数の規制による抑圧ですかね。自分にしかISコアを作れないと言う絶対的な優位を取るため。こう見るのが自然ですね。」

「ふむ…およそ小学生が考えられる発想じゃないな。君は何者だい?」

「さあ…それが気づいたらそこにいたんですよ。なのであの白い騎士を眺めながらどうしようかなと。ちなみに知識はたくさんあったんですけど記憶はほとんどないんですよ。」

さすがに前世の記憶ありますとは言えないしな。

「じゃあ名前は?」

「名前……ですか」

前世の名前はあるが、それを名乗ることもないだろう。わからないと言おうとしたがふと思いついたので名乗ることにした。

「朝霧…オルト。確かそんな名前だった…気がします。」

「そこもおぼろげか。そうなると親を探すのも大変そうだな。」

親か…正直精神的には前世含めて成熟してるので、必要ないが…

「お兄さん、あなたの名前を教えてください。」

「そうだな。君が名乗ったのだから僕らも名乗らないとまずいよな。

僕はキャスパー・ヘクマティアル。こっちは護衛のチェキータさん。

さて、君はどうしたい?」

「1人で暮らせる環境を。僕に親は必要ないです。」

「そうきたか。となると後見人は僕になるのかな?」

「別にあなたでなくてもいいです。1人で暮らして、ISを研究できる環境を」

「なるほど。だが僕は商人でね。君に何かを提供するなら君から何かを受け取りたい。君は何を差し出せる?」

 

そうきたか。まあやることは一つだが

 

「僕は一生をかけてISを研究します。あなたたちに提供できるのはISの技術、対策です。たとえISというものが世界のトップに立ってもそれをどうにかする手段を見つけましょう」

 

これを今生の目標にしようじゃないか。ISという超兵器に対抗する手段。恐らくないわけはないはずだ。

 

「いいぞ、気に入った!君を技術顧問として雇おう。」

「ありがとうございます。あとひとつお願いがあるのですが。」

「なんだい?言ってみるといい」

「自衛の手段が欲しいのです。具体的にはいざという時戦えるような指導をして欲しいのです。」

「そうか……ならチェキータさん、しばらく彼を指導してみませんか?」

 

げえ、チェキータさんの指導とか何回死ねるんだ。

 

「いいの?キャスパー。」

「構いやしません。チェキータさんがいなくてもなんとかなります。技術をしっかり叩き込んでください。」

「わかったわ。彼を立派な小熊(ミーシャ)にしてあげる」

 

これは色々と大変なことになりそうだ…

 

 

それからはグアムに行って訓練訓練訓練あと語学とか

体術ナイフ射撃etc

特にナイフや近接格闘に関してはチェキさんの右に出るものはいないこともあり、メキメキ伸びた。

まあ一年訓練した程度だとチェキさんには一回も当てられることはなかったが。

そんなある日

 

朝はいつも通り簡単に用意して食べてる

今日はトーストベーコンスクランブルエッグサラダといった感じだ

 

チェキさんはいつからか小熊を意味するミーシャと呼ぶようになった。

ヨナ坊は会うことはあるのだろうか。

チェキータさんは長いのでチェキさんと呼んでいいか?と聞いたら昔を思い出すと笑っていた。バルメのことだろうか。

一度師匠と呼ぼうとしたが、「そんな柄じゃないから」と断られてしまった。

ちなみに前にも教えたことはあるのかと聞いたが、「いたいた。ミーシャよりちょーっと飲み込み悪いからその分厳しくした」と聞いた。あれより厳しいとか死ぬじゃん。

ちなみにその人は何してるのかと聞いたら

「今頃キャスパーの妹とアフリカヨーロッパ飛び回ってるんじゃないかな」

とのこと。バルメさんですね。

チェキさん曰く

「あそこには爆弾魔やらクソムカつくスナイパーやらいるし多分向こうに行くことがあったら私が教えたこと以外も教えてもらえると思う」

いやぁココさんの部隊はゲテモノ揃いですからねぇ

……ISある環境でココさんとかキャスパーさん仕事できるんかな

ふと気になってチェキさんに聞いてみたが

「小熊がなんとかするっていったんじゃない。頑張りなさい」

と言われてしまった。

 

閑話休題

 

「ねえミーシャ」

「どうしました?」

「そろそろ私が教えることもなくなってきたし、何よりそろそろキャスパーのところに戻らないといけなくてね。朝霧はどうするってキャスパーが聞いてたよ」

「キャスパーさんが?そろそろチェキさんがいないと厳しく感じてきたってことですか?」

「ISって言う大物物件が多く入ってきててちょっと大変だーとは言ってたわね」

「そろそろ僕にも動いて欲しいって感じでもありますかね。」

「そうなんじゃない?あ、そうそう。今日キャスパー来るから訓練お休みね」

「わっかりましたー」

「でも来るまで時間あるし、食後の運動でもしよっか♪」

「ういーっす」

「…時々思うんだけどミーシャって子供らしくない時あるよね」

「今更では?」

「そうね。ほら行くよミーシャ」

 

 

それからひたすらナイフで訓練してたら、キャスパーがやってきた。

いつみても真っ白でどこの地域の人間が全くわからない。

「おや、やってますね。2人とも」

「キャスパー。久しぶり。」

「久しぶりですチェキータさん。オルトくんも、元気にしてましたか?」

「元気にしごかれてましたよ。」

「うんうん。チェキータさん、彼には伝えましたか?」

「今日の朝ねー」

「そうですか。とりあえずこんな時間ですし、一旦お昼にしませんか?」

「あら、もうそんな時間?じゃあ私はシャワー浴びて来るからキャスパーの相手しててねミーシャ」

「はーい」

 

とりあえず現在借りている家の中に戻り、キャスパーと話することになった。

「最近はどうですか、オルトくん」

「悪くないですよ。お願いした要件は十二分に解決しましたし、語学の授業もすごく助かりました。」

「君が日本語しか知らないんじゃないかなと差し込んだが本当に良かった。

これで世界中どこにでもいけるな。」

「そうですね。…それでキャスパーさん、一旦ここは引き払うんですか?」

「君がここにいたいと言うならそのままにしておくが、どうする?」

「個人的には日本に戻りたいと思っています。今やISは世界中に注目されています。ならどこで開発しても変わらないでしょう?なら馴染みの深い日本でってことなんですが」

「なるほど、君がそうしたいと言うならそうしよう。他に提供して欲しいものはあるかい?」

「ソフトとハードの開発環境。あとHCLIの方にISが来たら1機はこちらに回して欲しいです。」

「研究用だね。フフーフ、もちろんだとも。部下はいるかい?」

「さすがにガキに付いて仕事したい人はいないでしょうから、いいです。どうしても人手が欲しくなったら連絡します。」

「わかった。その時は最適な人材を送ろう。」

「ありがとうございます。」

「いやいや、君はIS技術顧問だ。これくらいは当然だ。できればISコアの解析までして欲しいが…」

「今現状どこもISコアを作れていないので難しいかと。」

「なるほどねぇ、よしじゃあ頼むよアサギリ技術顧問」

「任せてくださいキャスパーヘクマティアル。…チェキさんが出て来たみたいですね。僕もシャワーを浴びて来ることにします」

「わかった。お昼に行くから早めに出ろよ」

わかってますと言ってシャワーを浴びにバスルームに向かった。

 

###

 

キャスパーヘクマティアルはアサギリがいなくなった後1人で考え込んでいた

(初対面のISに対する知識、チェキータさんの訓練について行くセンス。どれを取っても一流か、これが天才というものなのか)

なおも思考は続く。

(篠ノ之束博士も最近は各国にISを配っているみたいだし、そろそろ本格的にIS装備の開発に踏み切らなければならないか?既存兵器の売り上げが少しずつ下がり始めている)

(おそらく本社は対策部門を立てるが、そこにアサギリ君を入れることは叶わない。見た目は小学生だし、本人も拒否している。そうなると別で場所を作ってやるしかないが、僕1人だと手が回らない部分もある…ココにも手伝ってもらうか?)

「キャスパーお待たせ」

「ああ、チェキータさん。アサギリ君はシャワーを浴びに行きました」

「さっきすれ違ったから分かるわよ。結局ミーシャはどうするって?」

「日本に戻るそうです。あそこなら馴染みも深いからとのことでした。」

「なるほどね。本社には彼のこと知らせたの?」

「いやいや、フロイドさんにこんな逸材があることを教えるなんてもったいないじゃないですか。」

「なるほど、キャスパーらしい。それで、日本に帰すとして、生活はどうさせるつもりなの?」

「そうですね……屋敷に偽装した研究所を立てます。身の回りに関しては、彼1人でどうにかなるとは思いますが、見た目だけとはいえ子供1人だと何かと問題があるかと思いますので、こちらで1人雇っていざという時の代理人にさせましょう。」

 

そこで先程までシャワーを浴びていた話中の人物(アサギリ)が戻って来る。

 

「キャスパーさん」

「アサギリ君早かったじゃないか」

「早くしろって言ったのはキャスパーさんじゃないですか。ところでその代理人の話なんですけど」

「ん?誰か気になる人がいるのかい?」

「ええ、できれば織斑千冬さんにお願いしたいと」

「へえ、白騎士の彼女にね。受けてくれると思うのかい?」

「彼女は確か親なしで現在バイトを掛け持ちして弟との二人暮らしだったと思います。そこにいざという時の代表者をするだけで生活費がもらえるとすれば彼女からすれば乗らない手はないと思います。」

「ふうん…なるほど?だが僕らは武器商人だ。警戒して受けない可能性があると思うが?」

「そこは僕が説得します。ダメなら適当に雇ってください」

「わかった。乗ろう。」

 

そして少年は日本に戻ることになった。

 




終わりの締め方がよくわからない、、、
織斑姉弟には優しくしたいお年頃

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