番長三女の戦車道   作:バンバニッシュF
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前話にてとんでもない誤字とミスが発覚したので修正致しました。まずはそちらもご覧下さい。
今更ですが高評価付けて下さった非非緋想天の娘さん、ハイパー扇風機さん、ありがとうございます。


大会編
17話 初陣!! vsサンダース大附属高校!!


『潜入!サンダース大学附属高校!』

 

独特のテロップ、そして音楽から繰り出された、秋山優花里によるサンダース大学附属にスパイとして潜り込んできたという映像。

それをなほとみほは繰り返し視聴し、1回戦に備えるべく作戦を練っていた。

 

 

「サンダースは米国の影響が強いらしいな。米国式が相手となると、戦法は数にものを言わせた正面突破…だろうな…」

 

「なほ、本当にそうなの?」

 

「あくまで予想…だ」

 

あの戦車道カフェでの西住流との決別の日以来、みほは元々慎重で大人しい性格だったが、その性格に拍車がかかっていたいた。それは即ち、戸惑いや後悔、西住流との決別から来る不安感だった。

なほがいなければ、間違いなくみほは精神を壊していた。

 

 

「…みほのためにも、私が頑張らなくては」

 

なほはそう決意したのだった。

 

 

 

__________________

 

 

 

「オラオラそこの1年!!って私も1年か、そこのウサギチーム!前みたく逃げんじゃねえぞ!」

 

なほが演習場でM3チームに向かって叫んだ。

 

「はいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

 

「すいません!!」

 

「キャァァァァァァァ!!」

 

なほのスパルタ戦車指導が、この前の対聖グロリアーナ女学院戦にて逃亡したM3リーのウサギチームを襲った。尤も、西住流のように出来て当然を前提とした理不尽な指導ではなく、ミスすれば解決法を提示し、上手くいけば褒めちぎるという、ある意味怖いだけで適度な指導とも呼べる。

 

「私も的に当てたり砲撃は苦手だがな!! お前らは6人いる!!各自のそれぞれの担当さえ極めれば、性能差を諸共しない戦い方ができる!その2つある砲は生かすんだ!! 相手となるサンダースはM3の上位版、M4シャーマンを使ってくんだぞ!!」

 

「はい!!」

 

「姐さん!!」

 

「頑張ります!!」

 

「そうだ!!それでいい!!」

 

練習の最中、すっかり打ち解けたなほとM3チーム。厳格ながらも他人には西住流の反面教師からか甘い部分が多く、それは必然とチームの戦闘力を高めていた。

伊達に全国各地に散らばる傘下から慕われるカリスマを持ってはいない。

 

「姉貴、クルセイダーまた煙出てますけど」

 

「後で直しておく」

 

「なほはさしずめ信頼されている女性だからエリザベスなんてソウルネームはどうだ?」

 

「マリーアントワネット?」

 

「邪馬台国の卑弥呼か?」

 

「いや、周囲を奮い立たせるその姿勢はジャンヌ・ダルクだろう」

 

「「「それだ!!!」」」

 

「いや、それ処刑される人だろ」

 

「自動車部の力でもこれ無理っすよ、なほ姐さん」

 

「なほ、1回戦の作戦はどうだ」

 

なほの周囲には、いつの間にか大量の戦車道履修者が押し寄せていた。

 

「…こりゃまた大変だな」

 

「姉貴モテモテじゃないか」

 

「男との出会いはないですがね」

 

「紀香お前あとでシバくぞ」

 

そんなこんなで戦車道の練習の日々。来たるべき1回戦に備えて各々は自らの技量を鍛えるのだった。

 

 

「姉貴、例のものは完成してます」

 

「そうか、早速1回戦から使うとしよう」

 

 

__________________

 

 

そしてサンダース大学附属高校との対戦の日。

 

 

上空では旧日本海軍の陸攻が色彩やかな煙幕弾を打ち上げ、全日本戦車道大会がいかにどれだけ大きいイベントかを示していた。

 

 

 

「さて、準備整ったな」

 

なほのオオカミチーム、砲弾からメンテまで準備を終え、あとは試合が始まるのを待つだけだった。

 

 

 

「あら、ナホ!!」

 

突如、背後からなほに話しかける人物。

 

 

 

 

 

 

 

 

「久々だな、ケイ」

 

「戦車道リスタートしてたの初めて知ったわ!!」

 

なほに話しかけたのはサンダース大附属の隊長、ケイだった。

 

「アイツらはどうだ?」

 

アイツら、それはかつてサンダース大学附属高校周辺、佐世保で活動していた不良軍団。市民からの印象は良くなく、サンダースの生徒ではないが故にサンダース大も干渉しづらく、市民たちが頭を抱える暴力団組織だった。

 

「ナホがぶちのめして傘下にしてくれたおかけで落ち着いたわ!!サンキュー!!」

 

なほはかつてバイクを利用して全国各地を巡ったことがあるが、その時に佐世保も訪れていた。各地を巡る度にその都度そのエリアを仕切る不良グループを力で捩じ伏せてきたのだと言う。

 

「今日はフェアなゲームをしましょう!それと、ここの屋台はいつでもウェルカムだから、是非食べていってね!」

 

「OK!!OK!!」

 

「食べていいの!?」

 

バッと食いついた美玲。

 

「えぇ、勿論OKよ♪」

 

「アイツ返事聞く前にもう行ったぞ」

 

財布を握りしめて屋台へ飛び込むように走っていく、チーム1番の大食い美玲。

美玲の食い意地は、あんこうチームの五十鈴華すら超えているのだ。

 

 

「…今日はよろしく頼むぞ、ケイ」

 

「えぇ、フェアプレイでいきましょう♪」

 

 

アメリカ式ビッグサイズハンバーガーを片手に戻ってくる美玲。そして、試合の時間は刻一刻と近づいていた。

 

 

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『試合開始!』

 

 

「しゃあ!行くぞ!」

 

サンダースのシャーマン軍団と大洗戦車がそれぞれ動き出す。

ちなみに、M4A1シャーマンがサンダースのフラッグ車。38t戦車が大洗女子のフラッグ車。

 

 

「みほの姉貴、どうする?」

 

試合が始まり、まずオオカミチームを含めた大洗女子はみほの作戦に乗ることとした。

 

『オオカミさんチームはまず左方向の偵察をお願いします』

 

「だそうだ紀香」

 

「はい」

 

「とにかく森を抜けて行くぞ」

 

 

「ってかクルセイダークソ暑い」

 

「我慢しろ美玲」

 

クルセイダー巡航戦車は左方偵察に向かった。

 

 

 

__________________

 

 

それから僅か数分後のことであった。

 

『こちらM3!!敵に集中砲火浴びてます!!』

 

飛び込んできた無線はまさかの、敵に場所がバレたというものだった。

 

「動きが読まれてたみたいだな」

 

しかしこの時は、敵の実力だと思って特に気に止めることもなかったなほ。

 

『6両に囲まれました!!』

 

M3リーは南東と南西、更には背後からで2両ずつのシャーマン軍団に囲まれていた。

 

『こちらオオカミチーム、援軍に向かう!!』

 

『はい、オオカミさんチームは援軍に向かってください!!』

 

「援軍に向かえだそうだ。姉貴」

 

「分かった。頼むぞ紀香!」

 

そんな時であった。

 

 

 

 

「なっ!?来てる!?」

 

なほがみほからの通信を美玲を通して聞いたその時、なほは背後から3両のシャーマンが迫っていることに気づいた。

 

 

『こちらオオカミチーム!! シャーマン3両に追尾された!!』

 

同じく偵察に向かったM3を包囲した6両と合わせると、9両というフラッグ車を除いた全車両を大洗女子の偵察組の殲滅に宛てたということとなる。

 

「まさか全車両の10両中9両を投入してくるとは…」

 

サンダースの大胆な戦術により、なほのオオカミチームは援軍に向かうどころではなくなった。

 

「物量国家アメリカだし、正面突破が好きな国だからなぁ、とにかく上手く逃げるぞ!! クルセイダーのスピードならシャーマンを撒ける!!」

 

『オオカミさんチームとウサギさんチームもこちらへ合流してください。作戦を立て直します!!』

 

 

 

 

しかし、この時点のクルセイダー巡航戦車を含めた大洗女子の動きは、敵に完全に読まれていた。

 

 

 

『クルセイダー巡航戦車はその持ち前のスピードで仲間と合流しようと計る筈。合流したところを6両のM3リーに付いていたシャーマンとのコンビで包囲して殲滅しなさい!』

 

隠れているフラッグ車のM4A1シャーマンが指示を飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、動きを読まれていたのは、ここまでの話だった。

 

 

 

 

 

「………紀香、日本海海戦で何故日本が勝てたか知ってるか?」

 

唐突になほが紀香に尋ねた。

 

 

「さぁ、私頭が悪いもので…」

 

「そうか…」

 

 

なほはニヤッと笑い、口を開いた。

 

 

「丁字戦法を皆が理解し、ボロジノが逃げようとした際、第2艦隊が"独自の判断"で逃走を阻止したからだ。紀香、言いたいことは分かるな?」

 

 

「…そういうことですか」

 

紀香もなほの意図を理解し、フッと笑った。

 

 

「美玲、悪いがみほ姉の指示を一旦スルーするぞ。恐らくコイツら、何かしらの形で私らの行動を読んでいて、全員合流したところを包囲して一気に叩く算段を立てているだろうからな」

 

「おう姉貴!」

 

そして、シャーマンに背を向けて逃走を図っていたクルセイダー巡航戦車は一転、戦車へのダメージ覚悟で突如逆ターンした。

これには、クルセイダーを追尾していたシャーマン軍団もただ驚きを隠せなかった。

 

「へっ?」

 

砲塔がシャーマンに狙いを定めた。

 

「撃てェ!!」

 

クルセイダー巡航戦車より放たれた弾はシャーマンの弱点である下腹部に命中した。そして、シャーマンより白旗が上がった。

 

 

「バイク乗り回していた私の操縦に狂いはない!」

 

「FPS日本全国大会で優勝経験のある私のエイムを舐めんなよ!!」

 

それぞれ紀香と美玲のコンビネーションにより、追尾してきていたシャーマン3両のうち、まずは1両を撃破。

 

 

「まだまだァ!!」

 

更に持ち前の怪力を生かして、片手で徹甲弾を装填するなほ。

 

「姉妹1の装填手を舐めんなよォ!!」

 

なほは両手に3つの徹甲弾を持つほどの怪力の持ち主。装填が片手で出来るために砲撃のタイムラグが少なく、次弾を撃つのにシャーマン軍団に何が起こったかを考える時間の余裕すら与えなかった。

 

「2発目!!撃てェーッ!!」

 

 

そして次弾が放たれ、それは真っ直ぐにシャーマンの装甲の薄い箇所を貫いた。

 

 

 

 

 

 

シャーマンの動きは止まり、その数秒後、白旗が上がった。

 

「えっ!なんで!?」

 

あっという間に2両が撃破されて焦る、残った1両のシャーマン。そんな中でも尚、出された指示を全うしようと進撃を止めないシャーマン1両。それに対し、なほは美玲に指示を出しつつ、持っていた3発目の砲弾を装填した。

 

「次は横の木に当てろ!!」

 

「へい姉貴!!」

 

そして、残り1両となったシャーマンの横の木に徹甲弾を命中させる。

 

 

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

シャーマンを潰すように倒れる木。

 

「ブレーキ!!ブレーキ!!」

 

クルセイダーが撃って倒した木は、シャーマンの前方を塞いだ。だがシャーマンがブレーキを踏んで木に衝突し、前方を封じるだけに留まったため、潰して撃破とは至らなかった。

 

「姉貴、どうする?」

 

なほはハッチを開けてシャーマンの様子を窺った。

 

「合流を阻止するぞォ!!」

 

それでも尚、叫びながらクルセイダーを追おうとするシャーマン1両。

 

「…………ハァ」

 

シャーマンは前方を塞がれたため、木を左方から回避してこちらに再び向かってきていた。こんな状況でも課された指示に従おうとする姿勢に、思わずなほは溜息を付いた。

 

「大きなタイムロスにはなったし、これなら合流にも差し支えない。何より、奴らに混乱を招くことが出来たからな。撤収だ!!」

 

「「はい!!」」

 

クルセイダーはその場から一目散に離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「アイツら、余程司令塔の指示を信用してるんだな」

 

なほは、相手の動きを読んでくるトリックに気づいたようだった。

 

 

 

 

 

 

『サンダース大学附属高校!!シャーマン2両撃破!!』

 

 

 

 

そしてここは、独自の判断で行動に出た、なほの勝利となった。




原作に沿いつつも、なほのぶっ壊れた作戦をしていければいいと思っています。







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