GATE ダイアモンドドッグス 彼の地にて斯く、潜入せり   作:謎多き殺人鬼

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狼の過去

伊丹達は指定された箱根の旅館にやって来た。

 

旅館に入ると先ずは旅館にある露天風呂に入る事になり、男と女に別れて脱衣場へと入って行く。

リリー達は服を脱いでいると、ロゥリィが窓の外に振り向き、不審に思った栗林が聞く。

 

 

「どうしたの?」

 

「・・・誰か、此方を見てるわ」

 

ロゥリィがそう微笑みながら言うとリリーを除いた女性陣が驚きの声を挙げた。

 

「まさか・・・隊長が覗き!」

 

栗林が真っ先に伊丹が覗きをしているのかと伊丹を理不尽に疑っている。

リリーは気にも止めずに服を脱ぐとさっさと風呂場へと向かっていく。

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リリー達は風呂場へと来るとそこには広い露天風呂があり、湯は湯気が多く立ち込めていた。

 

「わぁ~広い浴場!」

 

「とても広い」

 

「此れだけの浴場は帝国にもないぞ」

 

「殿下、此処は異世界です・・・」

 

「そうだった・・・!」

 

それぞれの感想を言ってロゥリィは早速入ろうとするも、栗林に体を先に洗う事を言われて断念する。

リリー達は体を洗ってから浴場に浸かると恋ばなが始まった。

ポーゼスが富田と気があったり、理沙が伊丹と別れた経緯について等と話す中、話がリリーの元に転がる。

 

「ねぇ、貴方は何でその若さで兵士をしているのかしら?」

 

「兵士をしている理由?」

 

ロゥリィに聞かれてリリーは考える素振りを見せた後、ロゥリィの目を見て答える。

 

「私は・・・ただ、戦場でしか生きられないから兵士として立っているだけよ」

 

「戦場でしか生きられない・・・?」

 

栗林が疑問を浮かべるとリリーはその理由も答える。

 

「私はダイアモンドドッグスに入る前は・・・ISISの子供兵として活動していたの。その頃は六歳で」 

 

リリーの言葉に栗林は驚くと、リリーは続ける。

 

「私が物心ついた時には沢山人を殺してた。大人が殺せと言えば殺して、尋問しろと言われれば拷問をした。私はそんな中、何の疑問もなく殺して戦場を転々としたわ。そんな時、ビックボスに出会った」

 

「ビックボス・・・」

 

「えぇ・・・ビックボスよ。ビックボスと初めて戦場で見えた時は本当に死ぬと思ったわ。私がどんなに攻撃しても、罠を仕掛けてもそれを避けて私にCQCを仕掛けてくる。私は戦場で初めて恐怖を覚えると同時に、ビックボスに興味を持てた。だから、負けて連れ帰られた時にはビックボスの為に戦いと思えた」

 

リリーはそう言うと、ロゥリィが問う。

 

「だからダイアモンドドッグスの兵士を?」

 

「そうよ。でも、最初はミラーさんやオセロットさん達から子供は駄目だと言われたからその間、認められたくてどさくさに紛れてビックボスに着いていったりしたわ。その度に叱られたりしたけど諦められなかった。でも、転機はあった。私がダイアモンドドッグスに入れる様になった最大の理由・・・私が14歳の時に発生したアウターヘイブン蜂起でね」

 

「アウターヘイブン蜂起って、あの核を武装しようとした組織が起こした事件?」

 

「栗林。アウターヘイブン蜂起とは何?」

 

栗林にレレイがそう聞くと、栗林は説明する。

 

アウターヘイブン蜂起とは、南アフリカの奥地にアウターヘイブンと呼ばれるPFが誕生したのだ。

多くの優秀な人材、数多くの武器・兵器を抱え、更に核武装をしようと目論んだ核を拒む日本にとっては最悪な存在として知られている。

 

「結局、アウターヘイブンは壊滅したらしいけど主犯は分かっていないのよね」

 

「それもそうよ。だって、うちのボスだもの。主犯は」

 

「・・・え?」

 

「だから、主犯はビックボス。ダイアモンドドッグスの総司令よ」  

 

「え、えぇー!?」

 

栗林は叫び出し、理沙達は訳が分からないとばかりに首を傾げる。

 

「な、何で!ダイアモンドドッグスは核を廃絶させた組織でしょ!?」

 

「・・・理由は分からないわ。でも、何かしら変な案件に関わってたみたいだけど教えてくれなかった。でも、その時も私はどさくさに紛れてビックボスに着いていたんだけど、忌々しい偽蛇にビックボスが殺されかけて私が担ぎ出さなかったらビックボスはこの世にいなかったのは確かよ」

 

「あのビックボスが殺されかけた・・・と言うより、偽蛇って誰よ?」

 

「・・・さぁ、もうこれ以上は言わないわ。でも、アウターヘイブン蜂起が切っ掛けで私はいつの間にか大人として扱われてダイアモンドドッグスの仲間になったのはたしかよ・・・少し逆上せた。私は上がるわ」

 

リリーはそう締めくくると温泉から出て行った。

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~箱根山~

 

20:45  

 

リリー達が温泉を満喫していた頃、箱根山の奥地ではスニーキングスーツを着た男が無線を繋げていた。

 

「此方スネーク。箱根山に到着した」 

 

《よし、此処までは予定通りだ。今回のミッションは分かっている通り、来賓の招待だ。手荒な真似をして連れて来ない様に。それと面倒な事に他の勢力からの工作員が既に潜入し、自衛隊相手に戦っている。お前には工作員と自衛隊の戦闘を掻い潜りつつ、箱根山の旅館まで潜入し、来賓を招待してくれ》 

 

「・・・あまり気が乗らないが」

 

《分かっている・・・だが、気を付けて貰いたい事があるとすれば、かつてお前と二度も互角の戦いを仕掛けてきたブラッドウルフがいると言う事だ》

 

スネークはそれを聞いて嫌そうな顔をする。

 

「ブラッドウルフか・・・彼奴は俺を目の敵にして襲い掛かってくるから相手にはしたくないぞ・・・」 

 

《まぁ、参考招致に呼ばれた時点で相手にするしかないだろうが・・・兎に角、ミッションを開始してくれ。後、言い忘れていたが回収にはフルトン回収装置を使用してくれ。頼んだぞ》 

 

「分かった。これより、ミッションを開始する」

 

スネークは無線を切ると麻酔銃を構えつつ行動を開始した。


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