GATE ダイアモンドドッグス 彼の地にて斯く、潜入せり 作:謎多き殺人鬼
~アルヌス駐屯地 自衛隊医療施設~
アルヌス駐屯地には自衛隊とダイアモンドドッグスが共同で医療施設を運営している。
施設は自衛隊とダイアモンドドッグスで別れてはいるが、自衛隊の医療施設は事件の参考人や他国の重要人物を、ダイアモンドドッグスの医療施設は規模が大きいので自衛隊員とスタッフそして一般人を受け入れている。
リリーは今回、自衛隊医療施設にて鉱山で強制労働を強いられていたリョウイチこと"村井亮一"から事情を聞く為に訪れていた。
「亮一さん。いる?」
リリーは亮一のいる部屋を覗くと、そこには今は健康な体になり、体のあちこちを包帯で巻いている亮一がベッドに横になっていた。
「あ、リリーさん・・・すみません寝たきりで」
亮一は申し訳なさそうにベッドから起き上がろうとすると、リリーはそれを制して近くにあった椅子に座る。
「具合はどうかしら?」
「おかげで良くなりました。助けて頂いて本当にありがとうございました」
亮一の丁寧なお礼にリリーは少し関心を寄せた後、本題を切り出す。
「亮一さん。辛いかもしれないけど、貴方の他に誰かいたかしら?確か、彼女がいた事を言ってた気がするけど」
「はい・・・僕の彼女の三咲と友達の裕樹とその彼女の紀子の四人です」
「つまり、貴方も含めて四人いたのね?」
リリーの問いに亮一は頷くと、リリーはこの事態をどうすべきか考える。
特地の国家、帝国が日本人を拉致し、拷問したうえで奴隷に落として強制労働を強いていたのだ。
このまま行けば日本と帝国の講和は成立しない可能性が浮上するのだ。
「・・・後の三人の行方は分かるかしら?」
「裕樹は、自分と同じ鉱山にいましたが落石で・・・紀子と三咲は分かりません」
「・・・そう、お気の毒です。友人の一人を失うなんて・・・もう休んでください。後の二人は必ず見つけて、助け出して見せますから」
「はい、よろしくお願いします」
亮一はそう言った後、リリーは病室を後にして医療施設の廊下を歩いていると、ミラーからの無線が入る。
《リリー。自衛隊からの緊急ミッションが入った。帝国軍が自衛隊の足止めを理由にルッシュガル地方の各近隣の町や村に対して焦土作戦を行う事が発覚したらしい。既に帝国軍は幾つかの村と町を略奪、放火を行い、畑に塩をまいて駄目にしている・・・それで今回のミッション内容は帝国軍の焦土作戦の妨害。このミッションは端末にリストアップしておく。準備ができしだい出撃してくれ》
「分かりました」
リリーはそう言って無線を切ると、ミッションに向かう為にヘリを呼んだ後でヘリポートへと向かって歩いて行く。
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~帝国領 ルッシュガル地方~
~12 :00~
リリーはルッシュガル地方の空をヘリで飛びながらブリーフィング用のテープをセットした。
《今回のミッションは自衛隊からの帝国軍の焦土作戦の妨害だ。帝国の焦土作戦を行う部隊は中隊規模。幾ら中世止まりの武装とは言えまともに戦う事はせず、敵のコマンダーを仕留め、大きな混乱を与えてくれ。なお、万が一サイファーの気配を感じれば・・・対応は任せる》
ブリーフィング用のテープは切れると、ヘリがランディングゾーンに到着し、リリーはヘリから降りた。
《気を付けてくれ、ウルフ》
ヘリはそう言うと飛び立って行き、リリーはミッション開始した。