ミーくんの信仰心が実際どこまであるのかわからないのですが・・
短いです
ランス10の短編とは言いにくいですが・・
川中島のAL教本部。
そこには法王のみが入ることを許される神への謁見の間があった。
偶然に偶然がいくつも重なり、法王となったミ・ロードリングが金髪の荘厳な雰囲気を持つ女性、女神ALICEの前に血濡れで横たわっていた。
床を汚すおびただしいほどの流血は誰がどう見ても致命的であった。
事実、彼は致命的どころか、比喩ではなく死んでいた。
生命活動を停止し、死という覆せない現象に陥っていた。
だが、彼はこの場において死ぬことすら許されない。
女神ALICEが軽く手を振るえば、そこには傷一つないロードリングが立っていた。
「はい、蘇生一回目ね。
感謝・・」
「うおおおおおおぉぉお!!
これが神の奇跡!
ALICE様ありがとうございます!!」
女神ALICEの言葉を遮るようにしてロードリングの熱い言葉が響き渡る。
わずかにでも言葉が遅れたらまた押し潰して殺してやろうとしていた女神の手は心なしか手持ち無沙汰のように見えた。
「うるさい」
グシャリとロードリングの身体が潰れるが、また女神が手を振るえば傷のないロードリングが立っている。
もはや何度繰り返されたかわからない死と生き返りであったが、ロードリングの目は死んでいなかった。
「これが神の試練……。
は!私は試されているのか!
本当に法王に相応しいのかを女神ALICE自らが試してくださるとはなんたる幸運!
ALICE様ありがとうございます!!!」
狂信者と言っても良いほどの彼にしてみれば女神から与えられるものは全て愛の鞭なのだ。
その思考を助長させているのは女神の蘇生である。
最終的には傷一つないからこそ、これは女神からの愛なのだと、ロードリングの思考はあさっての方向に進んでいた。
人類を見下す女神ALICEはそんな彼の特殊な思考に気づけない。
歴代の法王はこれくらい立場をわからせれば目が死に、言いなりになっていたというのにどうしてこの男は変わらないのか。
女神ALICEは思う。
こいつめんどくさいと。
「とりあえず、さっきも説明したけど神は混乱を望んでいるの。
あんたは法王として神を喜ばせなさい」
「む、混乱を……わかりましたぁぁ!!
ALICEさまぁぁあ!!」
この男はいちいち絶叫しないといけないのだろうか。
暑苦しいとALICEは殺したくなったが、それをしても意味がないことを何十回というやり取りでいやが応にも理解させられていた。
それならば早く謁見を終わらせてしまおうとALICEはスルーすることに決める。
事実を知る者からしてみればこれもまたかなりすごい奇跡みたいなことである。
ロードリングからしてみればこれもまたALICE様の慈悲深き愛ということだろうか。
「じゃ、そんな感じで頼むわね」
もう顔も見たくないと言わんばかりに女神ALICEは呆れた声で告げてその場から消えた。
返事はしてたし、ちゃんと仕事はするだろうと思っているが、彼女は致命的なまでにロードリングという存在を見誤っていた。
「私は真なる信徒!
その言葉の裏も読み取りますぞ!!!」
さあ、世界を救いに行こう。
ロードリングは決意を秘めた目で歩き出す。
そう、女神ALICEは勘違いしている。
ロードリングの信仰はたしかに女神ALICEに向けられているが、彼は本質的に女神ALICEを信仰しているわけではないのだ。
長年空想の中で育まれてきた彼の中の女神ALICE様像を信仰しているだけなのだ。
ゆえに、彼はブレない。
全ては女神ALICEのお心のままにと、彼は彼自身の中にある都合の良いALICEに従うのであった。
これ以上は無理なので短め。
とりあえず、ギャグ系に収めたくなったので、ミーくんの信仰心は捏造です。
作中屈指の良い人ですし、きっとうまくやってくれるでしょう(グシャァ