NO SIDE
リナとネギが麻帆良の駅に降り立った頃、2人の運命を担う少女たちの歯車もまた、回り始めるのだった。
SIDE:明日菜
『登校中の生徒に連絡です。今週は遅刻撲滅週間です。遅刻した生徒は…』
「のわぁ~っ?!…ち・こ・く・だぁ~っ?!」
ヤバい、今日は早く行かなくちゃいけなかったのにぃ!
「すまんなぁアスナ、ウチの用事に付き合ってもうて。」
謝ってきたのはあたしの親友で寮のルームメイト、近衛木乃香。
「それはいいんだけどさ…なんであんたが新任の教師迎えに行かなきゃいけないのよ?」
「おじいちゃんに頼まれたんよ~。」
実は彼女、学園長の孫娘だったりもする。
「…だいたいさ、学園長の知り合いだったらそいつらもジジイやババアじゃないの?」
「そうかなぁ…でも『今日は運命の出会いあり』って占いにはでてるえ?」
ピクッ!
木乃香の言葉に思わず耳が反応するあたし。木乃香の占いはよく当たるのだ。
「マ、マジ?!」
「…しかも回転しながら好きな人の名前を10回言って最後に『ワン!』って鳴いたら願いがかな…」
「高畑先生、高畑先生、高畑先生…(×10)…ワンっ!」
よし、言い切ったわ!これで…そう思いながら木乃香の方を見るとその引いた表情は…えっ?!
「まさか本気にするとは思わなんだわ…?!」
冗談…だと?…いくら木乃香でも承知しないわよ?!
「それはそれとしてアスナ足早いなぁ~、わたしローラーブレードやのに?」
…悪かったわね体力バカで。あたしがそう言おうとすると…
ふわっ…
何か真横に風を感じてそちらを向くと、そこには赤い髪の毛の子供…9~10歳ぐらいかな?
「あの~…あなた、失恋の相がでてますよ?」
………え゛?!(怒)
あたしは思わず足を止めると…
「なんだとコンガキャーっ?!」
「ひえ~っ?!…な、何か占いの話をされてたみたいなので…」
おどおどしながらも話を続けるガキんちょ。むか~っ!
「どういうことよ、適当な事言ってたらただじゃおかないわよ?」
「い、いえ…でもかなりドぎつい失恋の相が…?!」
まだ言うかこの口は!あたしはガキんちょの頭をわしづかみにして吊り上げる。
「い、痛いですぅ~っ?!」
「止めといたり~なアスナ?まだちっちゃい子やんか。」
「あたしはガキんちょが嫌いなのっ!…第一、ガキんちょが一体中等部に何の用が…」
『…リナ・ストラ~ッシュ!』
バキッ!
「がはっ?!」
突然した声と共に、今度は女の子が飛び蹴り!あたしとガキんちょはブッ飛ばされる。
「あたたっ…いったいなんなの…」
「なんなのじゃないわよ!」
身体を起こしたあたしの前に立ちはだかったのはガキんちょと同い年ぐらいの女の子。
「あんた、あたしの最愛の弟になにしてくれんのよ?!その罪、万死に値するわっ!」
「弟?!あんたお姉ちゃんならちゃんと教育…」
「お黙りっ!ちょっとばかり身長と胸があるからって馬鹿にすんな!!」
な、なんなのよこの子?
「あんな君たち?ここは麻帆良学園の中等部の校舎で、初等部は1つ前の駅やで?!」
「そ、そうよっ?!わかったならさっさと…」
「いや、ここであってるよアスナくん、木乃香くん!」
(えっ…今の声ってまさか…)
あたしが声のした校舎の2階を見上げると、そこにはヤングアダルトな男性の姿。
あの人の名前はタカミチ・T・高畑先生。あたしの憧れの人。
「お、おはようございます高畑…『タカミチっ!久しぶり~っ!(×2)』…え゛っ?!」
(こ、この子たち高畑先生と知り合いなの?)あまりな展開に戸惑ってるあたしに高畑先生の言葉が追い討ちをかける。
「2人とも本当に久し振り、そして麻帆良学園へようこそ。…いいところでしょう、『ネギ先生、リナ先生』?」
(え゛っ…?!)
超斜め上の予想外な展開に声の出ないあたし。
「せん…せい、なん?」
唖然とした表情で尋ねる木乃香に2人のガキんちょ…リナとネギは互いに見合って頷いた。
「あ、はい。…今日よりこの学園で英語を教える事になりました、ネギ・スプリングフィールドです。よろしくお願いします!」
「…あたしはリナ・スプリングフィールド。ネギはあたしの弟よ。化学の授業を受け持つわ…とりあえずはよろしくね♪」
…ち、ちょっと待ちなさいよこんなガキんちょらが先生なんて…
「大丈夫だよ。2人ともこう見えて大卒資格持ってるからね。」
いつの間にか降りてきた高畑先生…だ、大卒資格ぅ?!
「あと、僕の代わりに君たち2ーAの担任と副担をしてもらうから。」
「え、そ…そんなの嫌です!このガキんちょら…じゃなくてこの子たち失恋…失礼な事ばっかり?!」
「でも本当の事…」
「本当っていうなぁ~っ?!…大体あたしはガキんちょが嫌いなのっ!あんたらみたいに無神経でチビで…」
あたしが怒鳴るのを弟のほう…ネギはムスッとした顔でにらみながら聞いてる。一方のお姉ちゃん…リナは少し離れた所からこっちをにらんでぶつぶつ言ってるみたいね。「…………ん………ハ、ハクチンっ?!」
ぶわっ!
…?! ネギの奴がくしゃみした途端に一瞬つむじ風が。何よ、今、の…
周りの醒めた視線にふと自分を見ると、な…
「なんであたし下着姿にっ?!」
「…毛糸のクマパン…お・子・ち・ゃ・まね♪」
リナが小馬鹿にした口調で呟く。でもそれより…
「…高畑先生にみられた、クマパン…な、なんで~っ?!」
朝の校庭にあたしの悲鳴が響き渡った…
SIDE:リナ
ふふっ…どうやらうまくいったみたいね。
実はネギってくしゃみすると魔力が暴走して武装解除〈フランス・エクセルマティオ〉が暴発するのよね~。
だからあたしはちょっとネギの鼻をむずむずさせてくしゃみを誘発させた…ってわけ。
(…まさか毛糸のクマパンとは思わなかったけど。)
というわけで場所は変わって今は学園長の部屋。
「いったいどういうことなんですか、学園長先生?!」
ただいまアスナが学園長先生に絶賛クレーム中。でも…
「まあまあアスナちゃんや…そうか、修業の為にここで先生を、しかも姉弟2人でか…」
「は、はい…よろしくお願いします…」
もう!相変わらずネギは堅苦しいわね?…まぁ、そこが可愛いんだけど♪
「しかしまぁまずは教育実習じゃな…とりあえず3学期の間頑張るのじゃな。」
「は、はいっ!」
…どうやら話は終わったみたいね。
「…そうじゃ、もう1つ言いわすれとったわい…アスナちゃん、木乃香。しばらくネギ君とリナちゃんをお前たちの部屋で預かってくれんかの?」
「わたしはえ~よ~。」
「なっ?勝手に決めないでよ木乃香?!」
それはこっちのセリフよ?!…とは言っても仕方ないか。
コンコンっ!
「おう、入っておいで。」
「失礼しますわ、学園長先生。…雪広あやか、参り…?! 」
ノックの音の後入って来たのは黄色の髪のロングヘアーの女の子。でも何かあたしとネギを見て硬直してる。
「げ、いいんちょ?!…いったい何しに来たのよ?」
「今日からわたしたちの担任と副担になられるお方たちをお迎えにきたのです!…ところで、そちらのお二人は?」
「…この子たちがその先生やでいいんちょ。男の子がネギ君、女の子がお姉ちゃんのリナちゃんや。そんでネギ君とリナちゃん、彼女は雪広あやか。ウチのクラスの委員長や。」
木乃香がお互いを紹介してくれた。
「ネギ・スプリングフィールドです。よろしくお願いします、雪広さん!」
「リナ・スプリングフィールドよ。リナでいいわ、よろしくね。」
「…雪広あやかでございます。以後、お見知りおきを。…じゃ、クラスに案内しますわね。」
さぁ、いよいよ生徒たちとご対面ね、どんな子たちか楽しみだわっ!
原作1話終わるのになぜこんなにかかる…まだ半分だぞ(苦笑)
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