後より出て先に断つ者として   作:かささぎ。
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皆さん、遅れてしまい申し訳ありません。
仕事の都合で一週間とは言いましたがもっとペース落ちそうです。
しかしお気に入りしてくれた方々、10件にもなり感謝の限りです。
また、ペースが落ちるとか言ってるくせに別のものも投稿させてもらいます。そっちは短めに書いていこうと思いますが。



4話 集まる者たち

パチュリーは緊張した面持ちで監視を続けていた。その目線の先には、とある少女がいる。最近は明るい表情を見せるようになり、紅魔館に元気な声が響くようになったのだが、今日の彼女は先ほどから驚く程に動きがなく、立ち尽くしたまま何処かを見つめていた。

 

「このまま杞憂で終わってくれたら楽なんだけれどね」

 

今日の事はレミィから耳が痛くなる程聞かされていた。警戒を怠らないでくれ、あの娘は今が踏ん張りどころだから、そう頼まれていた。

私としては、確かに今宵の月は明らかに悪影響を与えると思うが、彼女がいる場所は地下。月の光が差し込む余地は無く、現在も与えている影響は限りなく少ないと考えている。だから監視はすれど、そこまでの心配はしていない。そう思考しながら彼女-フランドール・スカーレットを見つめる。

レミィはこれまでの事が大きすぎて、心配しすぎているきらいが見えるが、最近の様子を見るに心配しすぎるのも彼女の為にならないと思う。

 

「さて、小悪魔ー休憩するわよー」

「わかりましたー、今紅茶お持ちしますね」

 

ずっと監視を続けているのも疲れてしまい、逆に見落としが出るかもしれないと考え、共に監視をしていた小悪魔と共に休憩に入る。

 

 

この時パチュリーは軽く監視は続けていたとしても、油断していた。また彼女が知る由も無い事実もあった。

 

一つは月が近づいている事である。厳密に言えば、近づいているとは違うのだが、明らかに先ほどに比べて大きくなっている。

もう一つはフランドールの様子である。何もせず立っているだけであり、様子がおかしいとは思ったが、このまま夜明けまでじっとしていれば問題無いと判断し、緊張した状態から幾らか警戒心を下げたのだ。

最後に……フランドール自身である。彼女はただじっとしていた訳ではなかったのだ。

 

パチュリーが休憩に入ろうとし、気を緩め小悪魔に指示を出した瞬間だった。彼女は右手を突き出し、掌に黒い球体のようなものを出現させた。その際の魔力の動きによりパチュリーも素早く反応するがもう遅い。普段のフランならばそこからでも間に合ったのかもしれないが、歪な月の影響なのか予想を超えた速度で彼女は能力を発動させた。

一瞬にしてパチュリーによる封印及び紅魔館を包み込んでいた雨雲を吹き飛ばし、同時に空へ飛び出していた。紅魔館自体も半分が倒壊し、無残な姿を晒していた。

 

「きゅっとしてドカーン……てね、もう壊した後だけど。さて、アイツ(レミリア)はあっちの方かな」

 

彼女は先程まで自分が居た場所を見下ろした後、レミリアの気配を追う。同じ吸血鬼、姉妹であり、この月の影響も受けている状態の気配など探し出すのは簡単だ。

 

「これ異変ってやつだよねー。てことは魔理沙も居るのかな?また遊んでもらうかな♪……それともフラガも居るのかなぁ。この前今度遊んでくれると言ってくれたし、今までで一番丈夫だし、居たら魔理沙の代わりにはなるのかなぁ」

 

彼女はレミリアが起こした異変で出会った二人を思い出していた。

 

「ふふふフフフフフ、みんなして遊んでるのに私省かれてるんダヨネェー。楽しそうなのになぁ。……ずるいなぁ……ズルいなァ……でもでも、今日は出て来れたし、まだまだ夜も長いし、いっぱいイッパイ遊べるよねー」

 

彼女は独り言を言いながらどんどんスピードを上げていく。鬼の力と天狗の速さを持つと言われる吸血鬼。その速度は尋常では無い。

 

「あー遊んでもらえると考えたら凄く楽しみになって来たなぁ!やばいなぁ、ニヤちゃうなァー。あは、あははハハ、アハハハハ!!」

 

 

真夜中に吸血鬼の笑い声が轟く。目指す方向にあるのは迷いの竹林。このまま何も起きず解決、なんて美味い話など何処にもない。彼女の綺麗な赤い瞳は黒く澱み、何を見ているのかなど誰にも分からない。

 

 

 

紅魔館から一人の吸血鬼が解き放たれている頃、迷いの竹林内部では霊夢達と魔理沙達が出会っていた。

 

「あーもう、魔理沙!邪魔すんじゃないわよ!」

「んだよ霊夢ー。やけに余裕なさそうじゃねぇか」

「私達は貴女達の相手をしている暇など無いのだけれど、人形遣い」

「あら、八雲紫。この沈まない月について私達は聞きたいだけだと言っているでしょ?」

 

まさに弾幕ごっこの真っ最中。発端は出会った際に、アリスが沈まない月について問いかけた事からだった。アリスは疑問に感じていた、近頃の月は明らかにおかしいが沈まない事はなかったのに今宵に限ってだけ、未だに頭上に妖しく輝いているのだ。そして霊夢(博麗の巫女)が解決に動いたのも今宵。そこに関係性があると考えたからだ。

もちろ霊夢だけではそこまでは疑わない、むしろ解決のため動くのが遅いぐらいだ。しかしその横に胡散臭すぎる妖怪の賢者(八雲紫)がいるとなれば話が別。しかも霊夢当人がいつも以上にやる気に溢れているのも気になる。明らかに今宵で決着付けるように見える。

アリスに相対してる人物は、長い金髪の毛先をいくつかに分けリボンで結んでおり、紫を基調とした服を着ている。彼女こそが博麗神社で霊夢に話しかけていた八雲紫、幻想郷設立に携わった妖怪であり、賢者とも呼ばれるその人である。

 

「もーめんどくさい!こうなるからあんたに知られたく無かったのよ」

「おっと、私は異変の解決に臨んでるだけだぜ?疑わしきは撃つで大概はおっけーだ、そんで黒幕も私が撃つから任せとけ」

「あんたはもう……っ!」

 

四人で勝負をしていたところに更に勢力が加わる。

 

「あらあら〜紫、楽しそうな事してるわねぇ〜、私達も混ぜなさいな」

「幽々子様、異変の解決に来たのではないのですか!?」

「幽霊どもが勝手に付いて来やがって……しかしなるほど、月はともかく明けない夜に関しては此方の方が怪しいのか」

 

と、そこに加わるのは霊夢達が争っている間に追いついたレミリア達である。

そして霊夢と魔理沙の間に瀟洒なメイドが現れる。

 

「あんた達、取り敢えず煩いわね。たまには静かに出来ないのかしら」

「うるさいのはそこのステゴロ上等巫女だけで私は静かで可憐な乙女だぜ」

「はっ、ネズミのように這いずり盗む事しかしてない奴が乙女とか……ぷぷぷ」

「どっちもどっちよ」

「「吸血鬼依存症のロリコンはだまってろ」」

「あ?」

 

止めに入った筈の咲夜がナイフを構え始め、更にヒートアップしそうな勢いとなる。本来ならここで協力した方が早く終わらせられそうなものだが、喧嘩っ早く、我が強すぎて何も言えない。その時、レミリアが急に後ろを振り向き顔色が変わる。そしてこちらに向き直った。

 

「咲夜……まぁいいわ、取り敢えず私的には月も問題だが明けない方がもっと問題だ。それに急用ができた、というわけで」

 

開戦といこうか、とレミリアが一言言い、空気が変わる。

 

「やっぱり、兄貴が寺子屋の教師に取られるのがそんな怖いのかよ〜。そりゃ急いで解決したがるよな!」

「……魔理沙、歯ァ食いしばりなさい。そんでここにいる面倒臭い連中ども!全員まとめてぶっとばす!」

「ちょ、まって魔理沙。私それ知らないけどどう言うこと?」

「咲夜、取り敢えず霊夢と八雲紫をシメるわよ。そして早く帰るわ、まずい気配を感じた」

「了解しました。時間は掛けません。文字通り時間など、私にとっては体の一部のようなものですから」

「あーもう、幽々子まで来ちゃって。どんどんややこしくなるわ、こんな事してる場合じゃないのに」

「まぁまぁ、落ち着いて落ち着いて。それにこんな大勢で弾幕ごっこなんて楽しそうじゃない」

「幽々子様呑気すぎますよ……あの人間三人気迫が違いすぎるし、あーどうにでもなれ!私は目の前の邪魔なものを切るのみ!」

 

異変解決を目指していた訳だが、各勢力の思惑?が絡まり戦闘が始まる。しかし、月は止まっていても刻一刻と時間は流れている。一体先へ進めるのはどの組なのだろうか。

 

 

 

 

レミリア達が去った後、相変わらず妖怪達を迎撃していたフラガ達。だが徐々に違和感を感じ始める。

 

「……フラガ、明らかに先程よりか妖怪達の妖力が上がってるな。単純な身体能力も」

「そうですね、そしてその原因も明らかですね」

「そうだよなぁ、防衛始めてた時と月の位置が変わっていないのも驚いたが、なんであんな大きくなっているんだ」

 

二人はずっと見晴らしの良い場所で戦っていた。それ故に月の状態にもすぐ気付いたのだが、それと比例するかの様に妖怪達の力が強くなっている。

今はまだ対応出来ているが、これ以上強くなりながらも数が増えてくるのは、人里を見えない様にしているとはいえ、安全とは言い切れない。

 

「くそ、せめて本物の満月であれば力が発揮できるんだが」

「あんまり人の前で見せたくなかったんじゃないですか?」

「人の命が関わってる時にそんな事言ってられんよ」

「ごもっともです。……しかしどうしましょうかね」

「私もお前もそこらの妖怪が強くなろうと対処は可能だが……数が多くて広範囲過ぎる」

 

そう、油断しなければ負けはしない。しかし慧音とフラガ、共に広範囲への対処を得意としていないのだ。

二人でカバーしながらも、かなりきつくなって来た。危険に晒してしまう為、この方法は取りたく無かったが、万が一の時の為に待機させていた警護団へ慧音が連絡しようとした時だった。

 

「あら、困ってる?慧音」

 

周囲の妖怪達を一瞬にして焼き払える程の炎が吹き荒れる。そこへ現れたのはもんぺを、着ていて、長い白髪に赤いリボンをつけた一人の少女だった。

 

「妹紅!なんでここに!?」

「こんだけ騒がしいと流石に分かるわよ。加えて人里が遠目から確認できないじゃない。慧音がやってるってすぐ分かったわ。そして困ってそうだなって」

「慧音さん、この人は?」

「藤原妹紅、私の友人だ。しかし助かった」

「見たところ、広範囲の戦いには明らかに私達より向いてますね。あ、フラガと申します」

「ふーん、慧音が男と二人でこんな夜中ねぇ」

「妹紅、そんなんじゃないの分かってるだろう?よし、戦力は揃った……どころか十分過ぎるな。挨拶は改めて後にして貰えるか?一気に押し返すぞ!」

 

慧音が叫び防衛を再開する。妹紅が焼き、慧音が弾幕を放ち、漏れた単体をフラガが迎撃するという流れが生まれ、順調に撃退して行く。

 

「……!」

「おーこりゃまた凄い魔力がえらい速さで動いてんな」

「こいつは誰の気配だ?しかし此方へくる様子はないな……ってこの方角は、迷いの竹林?」

 

突如としてそこらの妖怪とは、文字通り格が違う気配が動き出した。人里へ来る事は無さそうだと慧音は安心しつつも、迷いの竹林へ向かっていると気づいた直後に顔をしかめる。

 

「これはこれでまずいな、とはいっても竹林には博麗の巫女、吸血鬼に冥界の主が居るはずだから、余程な事が無ければ心配ないと思うが」

「……すいません、慧音さん」

「ん?なんだ?……もしかして」

「あれ、知り合いかもしれません。ちょっと止めてきます」

「ま、まて!人里はどうする!?」

「慧音、行かしてやりなさいよ。あんた、行ってきなさい。こっちは任せておいて」

「も、妹紅まで!……あー!行ってこい!こっちは妹紅と二人で大丈夫だ。だいぶ減ってきたし、増えたとしてもなんとかなる」

「という事で、行ってきな。アンタ、初対面だけどそのくそ真面目っぽい所が慧音に似てるから気に入った」

「すまない、今度お礼する」

 

そう言い残して、フラガは飛び立つ。此方の方が竹林にはまだ近い。十分先に回れるくらいは余裕あるはずだ。そんな彼を見送りながら慧音と妹紅は迎撃を続ける。

 

「ちなみにあれが慧音と飲んでる時に出てくる男?」

「ち、違う!いや、違わないがお前が想像してるものとは違うぞ」

「あーはいはい、今日の話してるとこ見てたらそれは分かったから」

 

二人は気楽に会話も続けている。

未だ先が見えない異変解決。そこにやってくる新たな問題。どう自体は収束して行くのかは誰もまだわからない。

 







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