何回も転生した奴がありふれた世界に転生しました。   作:オット
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八つ当たり

「みんな生き返るから、手加減はしないよ。」

 

私は目の前の勇者という人物の言ったことが一瞬わからなかった。

 

「・・・あんた、生き返るって言ったの?」

 

知らず知らずのうちに手に力がこもった様だ。

 

「そうだよ、ミナ、みんな生き返るんだ、あいつらの洗脳を解いてきっと君も正しいことがわかる様になる。」

 

今まではあの覇王が何とかしてくれてたから分からなかったけど、覇王がこいつを嫌う理由が分かったわ。

 

「もう良いわ、雫ちゃん、龍太郎君、ちょっと暫くの間相手させて、殺したりはしないわ。」

 

「・・・俺は残ってるわ、親友だしなぁ、流石にどんだけカッコ悪くても見てやらねぇと。」

 

「私は鈴のところに行くわ、親友同士での言い合いもあると思うけど、攻撃力は足りないでしょうし。」

 

雫ちゃんはそう言って中村って奴の所に行った鈴ちゃんの方へ走り出した。

 

「・・・待ってくれてありがとね、今すぐその澄ました顔骨格毎砕いてやるわ。」

 

「やっぱりいつもいた君も洗脳されてるんだね、でも大丈夫!俺がきっと君を助けてあげるよ。」

 

覇王印の籠手、ハインドを装備して構える。

 

「そう?私あんたの事嫌いだから、あんたが助けなくても構わないわよ。」

 

勇者が聞いて呆れるわ。

 

勇者が剣でなぎ払ってくるのを避けながら質問する。

 

「あんたが私の何を知ってるの?」

 

「君は大切な仲間だ!」

 

「勝手に仲間にしないでよ、私、あんたみたいな奴は嫌いなのよ、独善的で、身勝手で!自分の事しか考えてない!」

 

思い出すのは幼少期の頃、スラムで暮らしていた頃、いく先々でいやらしい視線を送ってくる変態共の事だ、弓の練習をしていたアッシュがすんでのところで私を助けてくれなければ私は7歳にして処女では無くなっていた。

 

「あんたはスラムに居たクソ野郎共と一緒だ!あんたみたいな自分勝手な奴のせいで他人からいろんなこと言われる身にもなってみなさい!」

 

拳で勇者の剣を思いっきり殴る。

 

勇者は呻き声を出して耐えている所へ踏み込み下からアッパーを繰り出す。

 

態勢を大きく崩した勇者の腹にショットシェルで勢いをつけた右ストレートを当てると勇者はビルを何本も巻き込んで吹っ飛んで行った。

 

だがすぐに飛び上がり背後のドラゴンがビームを吐き出した。

 

普通なら私ではまず耐えられない、ここで死ぬ事になる、でも。

 

「覇王印は伊達じゃないのよ!モード!『ブレッド』ぉ!」

 

籠手が変形していく、魔王の良く使っているパイルバンカーの様な装置が拳の先に取り付けられる。

 

「撃ちぬきなさい!」

 

ビームに真正面からぶん殴る。

 

それだけでビームは拡散し、私の身体にはかすりもしないほど減衰する。

 

「それなら!数を揃えれば良いだけだ!」

 

同時に現れるかなりの数のドラゴンが一斉にビームを放つ。

 

「アンタ、聞こえなかったかしら?私は撃ちぬきなさいと言ったのよ?」

 

飛んできたビームを避けながらそう言うと同時に全てのドラゴンが全く違う方向から飛んできたビームで消えた。

 

「弾丸はあんたの力よ、勇者!」

 

それは先程拡散されたビームだった、数が増えた分だけ威力は下がるが一度放ったものの威力は変えられない。

 

「モード『ジェット』、此処からが本番よ、アンタに嫌ってほど分からせてあげるわ、世界には理不尽な事が一杯あるってね!」

 

薬莢が籠手の周りを囲う様にして装填される。

 

移動用のショットシェルで一気に勇者の居る場所へ飛ぶ。

 

勇者は反応が少し遅れたがしっかりと防御を固めていた。

 

「喰らいなさい!月砕牙!」

 

覇王印は籠手だけではなく防具全てに及ぶ、ブーツから服まで、一度下着まで出してくれと言われた時は1発殴ったわ、顔に。

 

ブーツは重力魔法が付与されていて装着者の任意で重力を上げられる、でも一番の目玉はそれではない。

 

勇者の剣に踵落としが決まる、すると勇者の剣が折れた。

 

「なっ!?」

 

「獣爪撃!」

 

握り拳を合わせて衝撃を全て相手に伝える技を勇者に叩き込んだ、魔王は指銃とか言っていたが。

 

「あんたは生き返らせるって言ったわね。」

 

剣が折れた事に動揺して防御を固め切れていない勇者に連撃を叩き込む。

 

「死んだ人はもう二度と生き返らないのよ!!!?ふざっけんじゃないわよ!!!」

 

勇者の腕を弾き飛ばして左でパイルバンカーを起動させる。

 

それを撃ち込み、鎧に少しずつヒビが入ってきた。

 

「あんたは人死にを出さないために戦ってんでしょうが!!!?そんなあんたが簡単に生き返らせるなんてふざけたこというんじゃないわよ!!」

 

「君は洗脳されてるんだ!だから君は目を覚ますべきなんだ!」

 

「あんたがそんなだからオルクスでアンタのお仲間は死にかけた!アンタの考えが足りなかったから覇王と魔王が出るハメになった!まだ分からないの!?アンタはただ大人に甘える子供なのよ!目を覚ますのはあんたよ!」

 

覇王から何度も受けて出せるようになった発勁を撃ち込む。

 

「あんたみたいな一度助けただけで満足するような奴がいたから!私のお母さんは死んだのよ!!」

 

自分勝手な子供の貴族が私のお母さんを買った、その貴族は大人になると私のお母さんを犯した。

 

それでお母さんは妊娠し、私を身籠った。

 

私は人間と亜人のハーフだった、だから普通の亜人より人間に近かった、だから私の種族より体つきが良かった、だから狙われた。

 

私が金になると見るやその貴族は私を売ろうとした、お母さんはそれを阻止しようと何度もその貴族に訴えた、でもその貴族は君には負担だろうと善意で私を引き剥がして私を売った。

 

「ふざけるな!ふざけるなぁ!何が善意よ!ただのペット扱いじゃない!なんで私のお母さんがそんな奴のために命をかけなきゃいけなかったのよ!なんで!」

 

もう途中からただの八つ当たりだ、自分の中の冷静な部分が理解している。

 

「あんたね!生き返らせられるならやってみてよ!私のお母さんを生き返らせてみてよ!」

 

「恵里が居たら出来るんだ!だから君は洗脳から目を覚まして俺と一緒に!」

 

あーもう、良いや。

 

「・・・もういいわ、あんたには何を言っても分からないみたいだから、私のお母さんは死んだ、生き返るなんてことは出来ない、命はその場限りなのよ。」

 

それに私には、愛してくれる人が居る。

 

家族になる人が居る。

 

「ぶっ飛びなさい!」

 

防御の上から殴り付けると勇者は遠くまで飛んで行った。

 

「・・・もう良いのか?」

 

「・・・ええ、ある程度はスッキリしたわ、それに私はもう大丈夫だしね。」

 

「・・・そか、んじゃ、やるか。」

 

「合わせるわ、好きにやりなさい。」

 

「分かりやすくて良いな!んじゃ!親友の目を覚まさせるとしますか!」

 

此方に飛んで迫っている勇者を見て2人で笑いあう。

 

「「行くわよ(行くぞ)!!」」




書いててゲームのストーリームービーか何かかと思った。

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