何回も転生した奴がありふれた世界に転生しました。   作:オット
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3人で

暫くすると飛空船が浮き始めた、すぐにとは言わないが雲を抜けて上まで行く事ができるんじゃないだろうか、その前にハジメが力尽きそうな気もするが、移動を始めた飛空船は進路をまっすぐに帝国に向かっていた。

 

道のりだとかなり遠いのだろうが直線だとせいぜい四百キロメートル程のようだ、ビーム撃ったら終わるんじゃね?

 

暫くはタバコを作りながらゆっくりさせて貰おう。

 

自分の分のタバコを作り終え、ゆっくりと移動する船の上で静かに佇んでいると八重樫と天之川が近付いてきた。

 

「どうした?ハジメに怒鳴られでもしたか?」

 

「流石に助力を乞いに来てるのに怒らせるような真似はしないわよ、聞きたい事があるんだけど、良いかしら?」

 

「それは天之川もか?」

 

「・・・ああ。」

 

「そうか、何が聞きたい?」

 

八重樫はニッコリと笑いながら俺を見ている、天之川も少し気まずげだ。

 

「あなたの目的は何なの?それを聞いていなかったわ。」

 

「日本に帰る事。」

 

「それは聞いたわ、貴方の話だと帰る時に邪魔が入るかもしれないって言ってたじゃない?その時、どうするの?」

 

「勿論逃げる、逃げて逃げて逃げまくる。」

 

「倒さないのか?」

 

天之川は少し意外と言いたげにそう俺に聞いた。

 

「俺が倒すと思うのは・・・そうだな、桜達が傷付くと判断したら、だな、日本での下積みもあったとはいえ、俺はハジメと違って死にかけても居なければみんなの様に恐怖したこともない、要するに何処かが壊れているんだろう、それでも、そんな俺を家族と言った桜や、ずっと親友でいてくれたハジメ達の為なら、俺は命だって賭けられる。」

 

「そんな覚悟があって、それでもギリギリまで戦わないのか?」

 

「知っているか天之川、憎しみは消えることは無い、ただ忘れるだけだ、負の感情というものは消えはしない、一度でも憎しみを持てばそれを忘れることはできてもそれをなくすことは出来ない、それは自分を生かすための燃料であり、無意味なことを成すための原動力だからだ。」

 

「復讐は駄目なことだと俺は思っている、だってそれはいけない事だから。」

 

「ハハッ、お前らしいな、だが復讐をしなければ他の事を考えられないほどの憎悪であればどうする?、復讐の対象が、国をも恐れぬ大罪人ならどうする?何にせよ、ケースバイケース、場合によるんだよ、天之川。」

 

大罪人に復讐できれば美談となり、ただの一般人の復讐であれば醜聞になる、受取手の問題なんだ、それを止める権利などありはしない。

 

「そんなの、信じられるわけないだろ。」

 

「八重樫はどう思う?自分の大切な物が無慈悲に壊されていくのは、ただのお遊びで今までの全てが潰えていくのは、大切な、今まで育ててくれた人が、目の前から居なくなる絶望、そんなもの、ただの人間に耐えられるはずないだろう?」

 

「親離れ出来てないの?」

 

「いや違う、親など元から居ないさ、俺のいる孤児院のほとんどがそんな奴ばっかりだ、捨てられた子供、親が死んだ子供、目の前で殺され、塞ぎ込んだ子供、悪魔の子と言われ、迫害にあった子供、そんな奴らを世界中から集めて引き取っている、ただの自己満足だ、そうでもしなければ、親が居ない俺が他の子供に何もしてやれないと思ってしまう。」

 

目を瞑ると今でもあそこが思い浮かんでくる程度には、俺はあの孤児院が好きなんだから。

 

「私達に何かできる事はあったの?」

 

「お前らに?ハッ、どう頑張っても力不足だよ、学校ですら自分の思い通りに出来ない癖に、偽善者ぶるなよ、俺が天之川に助けただけと言ったのはそういう意味だ、世界中で迫害は起きる、必ず、それは集団の中で自分は強いと思えるだけの力が欲しいからだ、だから自分はみんなと同じだこいつはみんなと違う、たったそれだけの理由で迫害出来る。」

 

天之川は不満そうだ。

 

「そんな事があるはずない、か?だが実際に起きている、村を襲う盗賊や国の工作機関を振り切り、拉致被害者と言われない為の根回しもして、その上で新しい戸籍と住所を用意する、それまで出来てやっと救いだ、お前のはただ自分が苦しんでいるのを見たくないからといってその場しのぎをしているだけだ、救いを為すというのならば完璧に仕上げろ、躊躇をするな、助けると、救うと誓ったのならばそれだけに専念しろ、時には秩序さえ切り捨てる覚悟があって初めて人は救えるんだ。」

 

「それが、貴方が桜さんを助ける理由?」

 

「ああ、天之川との仲を悪くしているのも、学校での立場をわざと揺るがしたのも、俺に不良という烙印を押されてなお否定しなかったのも、全てが俺の思惑通りだ、俺はどうにでもなる、だが桜は違う、俺のように強くない、ならばその弱さを受け入れる場所が必要だった、強くなる為の土壌が必要だった、支える柱が必要だった、だから俺は自分で孤立する道を行く、それが、少なくとも桜が無事で居られる方法の一つだ、まぁ、他にも色々と細工はさせてもらっているがな。」

 

「お前はやっぱり、俺とは合わない。」

 

「当たり前だ、ポーズではなく、俺はお前を本気で嫌っている、その考えが気に入らない、お前の全てが気に入らない、全てが自分の思い通りに動くと考えているその幼稚な考えを見ていると反吐がでる。」

 

俺と天之川は睨み合う、と言っても俺はただ見つめているだけだが。

 

八重樫が止めようとすると艦橋の方が騒がしくなっている。

 

「話は終わりにしよう、ああそうだ、八重樫、お前は何かに頼った方がいい、出なければ壊れるぞ。これは忠告だ。限界も近い、気を付けろよ。」

 

俺はそう言って艦橋の方に歩いて行った。




ゆっくりしようと思った瞬間に天之川登場、ハウリアすぐに出せる、はず、うん、多分。




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