何回も転生した奴がありふれた世界に転生しました。   作:オット
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狩人と獣

・・・俺は・・・そうだ、吐いて気絶して・・・何が起きた?身体が動かせない。

 

『全く、俺ともあろうものが、とんだ異物になったな。』

 

誰だ?いや、違うな、俺か。

 

『ククッ、理解が早くて助かる、本来ならばお前は既にこの迷宮をいとも容易くクリア出来てしまう、だから、お前の試練の内容だけ変えさせてもらった。』

 

チッ、クリア判定は貰えるんだろうな?

 

『安心しろ、ちゃんとステータスに入っている。』

 

そうか、で?俺がクリアなら試練ってのは何なんだ?

 

『まぁ、教えても構わないか、自分に呑まれた者にもう一度チャンスを与えるのさ、お前の力を使ってな。』

 

・・・つまり、主な試練の相手は勇者パーティーか?

 

『ああ、お前は結果がどうあれそこで見ているだけでいい、相手は全部俺がやる。』

 

なるほど、俺の本性として、か?

 

『止めたいんなら止めていいぞ、現実のお前は動けないから一方的に殺せるけどな。』

 

いや、いい機会だ、俺の本性を見たあいつらがどんな道を選ぶのか、少し気になる。

 

『・・・それで自分を傷付けて、君はそれで良いのかい?』

 

良いさ、何たって俺は化け物だからな。

 

『恐れを知りながら、それでも狂乱に身を任せて戦うか、そんなもの、獣と何が違うのかね?』

 

ただ恐怖するだけならそうだろう、だが、狂うには私は生き過ぎたのさ、それこそ毎日戦う様な日々から逃げる位には、ね。

 

『所詮贋作である俺には分からないな、だが、覚えておこう。』

 

ーーーーーーーー

「此処は・・・。」

 

氷のドームの様な部屋ではなく、外が見えている、百合の様な花が咲き、草原の様になっている。

 

「ハハッ、よく来たな。」

 

「!?」

 

百合の様な花の中に1つだけ、桜がある。

 

その桜の下で、ボロボロになっている、黒い自分と、そして消えた筈の秋月風魔が笑いながらその刀を自分の足に突き刺した。

 

「あっがああああああ!!!?」

 

「お前!何やってるんだ!?」

 

「おいおい、所詮ニセモノだ、遠慮する必要も無いだろう?」

 

「お前・・・お前は・・・何が目的なんだ!?」

 

「決まってるだろう?闘いだよ。血が飛び散り、肉を割き、抉られ殺し殺される、殺戮の狂宴が私の望みだよ。ヒャハ、ヒャハハハハハハハ!!」

 

「狂ってる・・・。それなら、俺が正気に戻してみせる!」

 

「アッハハ!ニセモノよりかは楽しめそうだ!さぁ、お前はどんな声を出してくれる?なぁ、勇者様よぉ!」

 

「うおおおおおお!!」

 

ーーーーーーーー

何だこれ、何だこれ、いや、確かに本性よ?でもこんなサイコパスじみたもんじゃないだろ、しかも勇者(笑)だぞ?楽しめそうだって、しかもニセモノ生きてるし、殺せよ。

 

突っ込みどころがありすぎるわ、しかも俺の体桜かよぉ!?

 

すっげえゲーム映像見てる気分だよ。

 

『アッハハハハ!どうした!?力が入ってない様だが!?』

 

『ぐっ・・・。』

 

『正義の味方なんてものは存在しない、この世界に確たる正義など存在しない!何故ならそれは神の領域だからだ。』

 

『俺は、正しい事をするために此処にいる!お前なんかに負けるか!助けられる人を助けないお前なんかに!』

 

『ただ助けを求めるのならば死ねばよい、諦めるなど、命を手放したと同義、故に、諦めを拒絶した者のみ闘いを生き残ることが出来る。貴様はただ、自分の為だけに人を助けているだけだ。』

 

ニセモノさんや、そんな言葉じゃあいつには届きませんぜ。

 

『助けを求めている人たちを助けて何が悪い!絶望から救い出すことが悪とでも言う気か!?』

 

『違うぞ勇者よ、絶望から這い上がる者こそが尊いのだ、絶望から逃げず、立ち向かい、絶望の中で生きる者こそ人間の中でも尊いものになる、お前と違い、大多数の人間は絶望に直面した時、折れる、お前も同じ、折れる側の人間だ、ただ大多数の者達より絶望が少ないだけだ。』

 

『俺は・・・もう誰かを奪われたくない!だから力がいる!お前と同じだ!だから、お前を倒して力を証明してみせる。』

 

『出そうだが?ニセモノよ、こいつは奪われたくないらしいが、さて、それは正しい事なのか?教えてもらおうではないか。』

 

『・・・。』

 

天之川のニセモノは黙っている、そしてその様子を見て天之川は信じられない事を言い始めた。

 

『香織は最初から南雲が好きだった!だから後悔なんてしてない!』

 

『嘘だ・・・奪われたと感じてる。』

 

『何でそんな事言うんだよ!俺は・・・納得してる!』

 

『クハッ・・・。』

 

俺のニセモノは物凄い悪い顔をして2人?の口論を見ている。

 

内容はユエ達に慕われるハジメが羨ましい、本来なら彼女達は自分のモノだ、何で無能だったお前なんかが、秋月風魔は気に入らない、澄ましたような顔も、何か問題が起こった時にすぐに矢面に立つ、その役目は俺のものだ、桜もお前さえいなければ俺と一緒に居るはずだった。その他にも色々とまぁ口論で出てくる出てくる気持ち悪い自己弁護。

 

『そして何より・・・お前は人殺しを当たり前の様に肯定する2人が悪だと思っている。』

 

『黙れっていってるだろうが!!俺はそんな事思ってない!』

 

『・・・そして、香織が南雲の事が好きだと言ってから、雫が誰を見始めたかが分かった、それは、やっぱりあの2人だった。』

 

『黙れ、黙れよ!』

 

『おっと、もう少し聞こうぜ、なぁ、ヒーロー?』

 

煽ってんなーいいぞ、俺が許可する、やれ。

 

『雫まで奪われるのは嫌だ、香織を俺から奪っておいてお前らは雫まで奪っていくのか?』

 

『違う!』

 

『雫、お前は、俺に惚れてなければいけないんじゃないのか?』

 

『違う!』

 

ん?あ、ハジメ達向かってんじゃーん、教えといてやろう、ニセモノさんや、もっと煽る材料入荷よー。

 

少し目を離したら俺のニセモノと天之川は鍔迫り合いをしていた。

 

『おいおいどうした?俺を倒すんじゃなかったのか?』

 

『うるっさい!』

 

『ふむ、では現実を見せてあげよう。』

 

『何だと!?』

 

近くの空間が裂け、そこからハジメと八重樫が入って来た、八重樫はボロボロになっており、ハジメの背中で爆睡してる。

 

『あ?何だ此処、草原?』

 

天之川の意識が逸れた瞬間に俺のニセモノは天之川のニセモノ共々ハジメ達とは正反対に投げ飛ばした。

 

そして手を鳴らす。

 

『よく此処まで来たね、歓迎するよ、親友。』

 

『・・・テメェ、ニセモノか、本物は何処にやった?』

 

『フフ、教えると思うかい?でも、君の試練の切り抜け方はかなり珍しいね、そこで寝てる八重樫くんも、王道の少年漫画の様だ。』

 

『ああそうかい。で?』

 

『これから茶番が始まる、ゆっくりと見ているといい、題目は・・・そうだな、狩人と獣だ。』

 

『俺からすれば今のこの状況こそが茶番だな、さっさと死ねよ。』

 

ハジメのドンナーから撃ち出された弾丸は俺のニセモノの眼の前で止まった。

 

『まぁそう言わずに、その為に彼を向こうに投げたんだから。』

 

『何だと?』

 

『風魔!?・・・ちがう!誰!?』

 

いつの間に桜が来て・・・あ、結構前から反応あったっぽいなこれ。

 

『ウオオオオォォォォォォン!!』

 

『かつての聖人が醜い獣となり、その力を使って戦う、実に甘美な余興だろう?』

 

『なぁぐぅもぉ!』

 

『で狩人は俺と桜ってか!?ふっざけんなよ!後でその頭撃ち抜いてやる!』

 

天之川の見た目は狼の様に身体全体に長い毛が生えていた。爪には赤黒い魔力がまとわりついており、俺のニセモノが言った通り、獣、といった方がしっくりくる見た目だ。

 

『少し改造を施してある、心臓が破壊されようが頭が無くなろうが再生する、倒すには魔力をすべて使わせた上で拘束し、魂魄魔法を用いてニセモノを取り除くしかない、さて、殺してもいいが、君達ならともかく、それを幼馴染達が容認するかな?』

 

『きゃあ!危ない!』

 

『君の洗脳もすぐに解いてあげるから、安心して!』

 

『は?』

 

あ、桜が切れそう。

 

ドンナーで撃ち抜かれてもほとんど動きを止めていない、ビットで焼き尽くしたとしてもすぐに肉が盛り上がり、元に戻る。

 

『さぁ、狩人と獣との戦いだ!存分に狩り、楽しみたまえよ!』




ニセモノは風魔の頭の中のゲーム類から気に入ったのを選んで使ってます、要するに中二病状態、ただし本人も割と乗り気。







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