ありふれていない者たちの英雄譚   作:マーベルチョコ

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第一話 ありふれた日常の崩壊

少年、『日ノ上 晃』は暗闇の中を彷徨っていた。

ここが夢か、現実か、どこに向かって歩いているのかも晃には分からなかった。

しかし突然、晃の周りの景色が一気に変わる。

 

その景色は空は黒煙に覆われ、周りは炎が彼方此方に立ち上り赤く染め上げていた。

さらには周りには黒く焦げた焼死体や、何かに両断された死体、貫かれた死体など様々な死体が晃の周りに多く転がっており、地面には血が流れており、血の匂いが充満していた。

 

「な、なんだよ…これ……うぶっ……!!」

 

突然の光景に晃は戸惑い、リアルな血の匂いが吐き気を催す。

もう少しで吐きそうなとき、離れたところで大きな爆発が起きた。

 

「なんだ…うおっ!!」

 

晃がそちらを向くと、景色が一気にズームするように晃の後ろに流れ、爆発が起きたところに晃を連れて行く。

晃は咄嗟に腕で顔を守り、ゆっくりと腕を解くと新たな光景が晃の目に入ってきた。

そこには空中に浮いた白い光を纏った人の形をした何かと赤、青、緑、黄、黒、白の鎧のようなスーツを着た6人が対峙していた。

6色の6人はスーツの隙間から血が流れ、息が荒く苦戦しているように見えた。

すると、白い人型が口は無いが6人に向かって話しだした。

 

〈何故抗う?闘士たちよ。もうお前たちに勝機はない〉

 

〈勝機は無くとも、戦う理由がある!!!エヒト!!!お前を倒すことだ!!!〉

 

それに答える赤の闘士は白い人型、エヒトと呼ばれたモノの見下す話し方に真っ向から対立して大きな声で話す。

全く聞いたことが無い言語で話すが晃には何故かその言葉の意味がスラスラと理解できた。

そしてエヒトの光が大きくなり、激昂した口調になる。

 

〈ならこの星とともに朽ちろ!!!ロード!!!!〉

 

エヒトが腕を上げると周りに白い光球がいくつも現れ、6人に向かって行き、それと同時に6人もエヒトに向かって飛び出す。

 

〈オオオォォォォォォオッ!!!!!〉

 

〈ハアァァァァァァアアッ!!!!!〉

 

双方がぶつかった瞬間、大きな光が発生し晃を包み込んだ。

 

 

ジリリリリリリリリッ!!!

 

「………はっ!!」

 

目覚まし時計の音が鳴り響く部屋で晃は苦しそうな表情から突然目を覚まし、起き上がる。

全身に汗がびっしょりとかいて、寝起きは最悪だった。

 

「ハァ…ハァ……なんだよ。今の……」

 

「コウく〜ん!!もう起きなさ〜い!!!朝ですよー!!!」

 

そこに小柄な女性が入ってくる。

晃が呆然としている姿を見て、心配した表情になって晃に駆け寄る。

 

「コウくん!?大丈夫!!?」

 

晃は怖いのか、その女性の手を握る。

 

「愛姉ちゃん……俺……アレ?」

 

すると晃は不思議そうに首を傾ける。

 

「俺どんな夢見てたんだっけ?」

 

「はい?」

 

 

小柄な低身長に童顔、ボブカットの髪を跳ねさせた女性、畑山 愛子は自分が作った朝食を摂りながら、晃に笑いかける。

 

「コウくんも高校生になったのに悪夢にうなされるなんて可愛いね♪」

 

「うなされてねえよ。どんな夢見たかも覚えて無いのに……」

 

それに対して晃は少し不貞腐れた態度で答えながら、朝食を食べる。

 

「でも私安心した」

 

「何が?」

 

「コウくん、高校生になってから喧嘩すること多くなったけどちゃんと私を頼ってくれたこと」

 

愛子はそう言って晃が自分の手を握ってくれたことを言った。

それを言われた晃はすごく恥ずかしくなり、大声を出して誤魔化す。

 

「バッ…!!そんなじゃねえよ!!!それに喧嘩を売られるのはこの髪のせいだろうが!!!」

 

晃はそう言って自分の頭を触る。

晃の髪は黒毛に真紅のメッシュがいくつか入っている日本人ではあまり見ない髪だ。

晃はその髪のせいでよく他校の不良に絡まれるのだ。

何度黒髪に染めてもすぐに色は落ちてしまうので染めていないのもあってよく絡まれる。

しかし晃はそれをよく返り討ちにし、周りから恐れられていた。

 

「しかも愛姉ちゃんだってホラー系見たら怖くて一緒に寝てくれって言ってきたじゃねえか!!!」

 

「そ、そんなことしていないわよ!!」

 

「どうだか。この前の心霊特番見たとき一緒に風呂に入ってくれって頼んだよな……高校生の男子に何頼んでんだ!!」

 

「あ、あれは!コウくんが怖がっちゃうと思ったから言ったのよ!!私はお姉さんだからね!!」

 

愛子が苦し紛れに破茶滅茶なことを言って、小柄な体で胸を張る。側から見れば子供が見栄を張っているようにしか見えない。

しかし愛子は25歳のれっきとした大人だ。

愛子が『コウくんのお姉さん』と言うと晃は少し、申し訳なさそうにする。

 

「……なあ、愛姉ちゃん。前も言ったけど俺と愛姉ちゃんは赤の他人だ。血の繋がりもなければ、法律的にも何も無いんだ」

 

「そんなことないよ。コウくんは私の弟だよ」

 

「兄ちゃんはもういないんだ」

 

「………」

 

そう言うと愛子は少し悲しそうな表情になって、棚の上に飾ってあるいくつかある写真のうちの一つを見る。

そこには愛子と晃とよく顔だちが似てるが晃より知的な印象がある長身の男が並んで腕を組んでいる写真だ。

写真の男は『日ノ上 修司』。

晃の兄であり、愛子の恋人だったが、3年前の事故で行方不明になってしまった。

それ以来、兄と二人暮らしだった晃は1人になってしまい、以前からよくうちに来ては世話をしてくれた愛子が晃の世話を見るようになったのだ。

晃はそのことに感謝していたが、それと同時に申し訳なく思っていた。

自分が愛子の幸せを邪魔しているのではないかと、自分と兄 修司のせいで前に進めないのではないか、と。

 

「それでも私はコウくんのお姉さんだよ。修司さんは関係ない」

 

愛子はそう言うが晃には愛子が無理をしているのはわかった。

愛子はまだ修司を愛しているのだ。

2人の間に気まずい空気が流れる。

その時、愛子の目に時計が目に入る。

 

「あっー!!遅刻しちゃう!!!私先に行くね!!」

 

愛子がその場を切り上げるように声を出して、仕事場である晃が通う学校に出向いた。

晃は1人残されるが、愛子が自分の弁当を忘れたのを気づいた。

 

「仕方ねーなぁ……愛姉ちゃんは」

 

 

愛子より少し遅れてマンションを出た晃はいつも通りの通学路を歩きながら、音楽を聴いていた。

晃がいつも通る道は近道ができるが、人通りが少なく朝は誰も通らない道だった。

しばらく歩いていると晃の背後に2人の人影が現れる。

晃のブレザーの制服とは違い、昔ながらの学ランを大きく着崩した2人は誰が見ても不良だとわかった。

男子たちの手には鉄パイプが握られており、2人の目にはやる気に満ちてギラギラと輝いていた。

2人は晃に気づかれないように近づき、鉄パイプを振り上げ、振り下ろした瞬間、晃は体をひるがえし鉄パイプを避ける。

 

「はあ!?」

 

「なんでだよ!!」

 

不良たちは驚きの声を上げるが晃は2人を見て面倒くさそうにする。

 

「またお前たちかよ……一昨日も来たよな」

 

「お前にやられた傷が疼くんだよ!!」

 

「落とし前つけろや!!コラァ!!!」

 

そう言って片方は膨れ上がった頬をもう片方は青く腫れ上がった腹を見せた。

 

「落とし前って……腹のほうは俺がやったけど顔の奴は俺じゃなくてそいつが鉄パイプをフルスイングしてぶつけたからだろうが」

 

「う、うるせえ!!!」

 

「とりあえず殴らせろ!!!」

 

2人は鉄パイプをブンブンと振り回してくるのを晃は全て身をよじって避けるが、そのうち鉄パイプが晃の頬を掠る。

 

「いてっ……!」

 

掠った頬から少し血が滲む。

それを見た晃は表情が面倒くさそうな表情から一気に怒りの表情になる。

 

「てめぇ……!」

 

その路地から2回殴る音が響いた。

 

 

晃がコソコソと教室に入り、席に着くが髪のせいで目立ってしまいあまり隠れていない。

すると後ろから肩を突かれる。

 

「おはよう!晃。今日も喧嘩してきた?」

 

金髪をヘアピンで留めたチャラそうな男子『明石 翔』だ。

チャラそうで皆から遠ざけられそうな印象だが、人の心に機敏で女子からは恋愛相談、男子からは接しやすいなどとなかなか人気がある。

上級生、下級生、同級生に問わず、人気があるためよく告白されるらしいが浮ついた話は一切ないのも人気がある理由かもしれない。

更には人の性格を正確に分かるという謎の能力も持っている。

そして彼は晃の親友だ。

 

「お、おはよう。そんなことねえよ…」

 

「顔に傷がついてる」

 

晃が慌てて頬を隠すために頬を押さえると痛みが走る。

それを翔が面白そうに見てると1人の女子生徒が近づいてきた。

 

「日ノ上君。また喧嘩したの?」

 

彼女は『八重樫 雫』。

ポニーテールにした長い黒髪がトレードマークであり、切れ長の瞳は鋭く、しかしその奥には柔らかさも感じられるため、冷たいというよりカッコイイという印象を与える。

女子にしては高い身長と引き締まった身体、凛とした雰囲気は侍を彷彿とさせる。事実、彼女の実家は八重樫流という剣術道場を営んでおり、雫自身、小学生の頃から剣道の大会で負けなしという猛者であり、現代に現れた美少女剣士として雑誌の取材を受けることもしばしばあり、熱狂的なファンがいるらしい。

後輩の女子生徒から熱を孕んだ瞳で“お姉さま”と慕われて頬を引き攣らせている光景はよく目撃されている。

晃は雫が来ると頬を押さえたまま向き合う。

 

「よ、よお八重樫。おはよう」

 

「おはよう八重樫さん」

 

「ええ、おはよう2人とも。それで日ノ上君、どうなの?」

 

晃は若干動揺しながらもなんとか取り繕うが、雫はそれを見逃さず、翔は面白そうに見ている。

 

「そんなことするわけ無いだろ」

 

「じゃあその手は何かしら?」

 

「これは……」

 

晃がなんとか言い訳を考えていると雫は突然晃の手を掴んで目の前まで持ってくる。

 

「この傷…殴らないとできない傷よね?それにその頬の傷も」

 

「いや、その……これはだな……」

 

「やっぱり喧嘩したんじゃない!保健室に行くわよ!!」

 

「俺も行くよー」

 

3人は教室から出て行き、クラスメイトはいつもの光景だなー、と思いながら見ているがその中でも面白くなさそうに見ている人物がいた。

 

「まったく、なんで雫はあんな不良に構うんだ」

 

彼は『天之河 光輝』。

容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能の完璧超人だ。

サラサラの茶髪と優しげな瞳、高身長で細身ながら引き締まった身体。誰にでも優しく、正義感も強いが思い込みが激しいところもある。

小学生の頃から八重樫道場に通う門下生で、雫と同じく全国クラスの猛者だ。

雫とは幼馴染である。ダース単位で惚れている女子生徒がいるそうだが、いつも一緒にいる雫やもう1人の幼馴染である白崎 香織に気後れして告白に至っていない子は多いらしい。

それでも月二回以上は学校に関係なく告白を受けるというのだから筋金入りのモテ男だ。

 

「別にいいじゃねーかよ。雫も好きで構ってんだろ?」

 

光輝に答えた彼は『坂上 龍太郎』。

短く刈り上げた髪に鋭さと陽気さを合わせたような瞳、2メートル近い身長に熊のような大柄な体格、見た目に反さず細かい事は気にしない脳筋タイプである。

龍太郎は努力とか熱血とか根性とかそういうのが大好きな人間で、不良の噂が絶えない晃の毛嫌いしていると思えば、そうではなく一目置いている。

 

「よくないさ!雫は風紀委員だから不良の日ノ上に構うけど、いつ変なことされるかわかったもんじゃない!!俺が雫守ってやらないと!!」

 

「うーん、そうかなぁ?日ノ上君ってそんなに危ない人じゃないよ?この前も委員会の仕事手伝ってくれたし、喧嘩は多いけど学校も毎日来て、ちゃんと授業も受けてるし」

 

光輝の少しくさいセリフに疑問を持ったのはもう1人の幼馴染『白崎 香織』。

学校で二大女神と言われ男女問わず絶大な人気を誇る途轍もない美少女だ。腰まで届く長く艶やかな黒髪、少し垂れ気味の大きな瞳はひどく優しげだ。スっと通った鼻梁に小ぶりの鼻、そして薄い桜色の唇が完璧な配置で並んでいる。

いつも微笑の絶えない彼女は、非常に面倒見がよく責任感も強いため学年を問わずよく頼られる。それを嫌な顔一つせず真摯に受け止めるのだから高校生とは思えない懐の深さだ。

それから雫を心配した光輝が保健室に行こうとするが、香織と龍太郎が止めるのもいつもの光景だった。

 

 

雫が頬と手の傷に消毒液をかける。

 

「いてっ!」

 

「我慢しなさい。自業自得よ」

 

テキパキと治療を行う雫に晃は少しジト目になる。

 

「なんで俺にそんなに構うんだよ?」

 

「前も言ったでしょ。愛子先生から貴方のこと頼まれてるんだから」

 

雫がそう言うのは事実で晃は兄 修司がいなくなった直後の中学時代は荒れに荒れており、喧嘩ばかりしていた。

高校に入学してからはそんなことはなくなったが、中学時代の行いがそう簡単に消えるわけでもなく、よく絡まれて喧嘩になり、それを心配した愛子は幼い頃より晃と知り合いでしっかり者の雫に面倒を見てくれと頼んだのだ。

 

「日ノ上君、貴方は優しいし、思いやりもあるけど、その短気なところは治したほうがいいわよ」

 

「………わかってるよ」

 

「……このやり取りも貴方が私の道場にいた頃からずっと続いているわね」

 

雫はやれやれと言った表情をするが、それはどこか嬉しそうな表情であることは晃は分からなかったが、翔はわかっており黙っていた。

 

「はい!これで終わり」

 

「いてっ!……もうちょっと優しくしてくれよ」

 

「それじゃあ、日ノ上君を甘やかしちゃうでしょ。さっ、教室に行きましょう」

 

雫の後ろを晃と翔が付いて行く形で保健室を出ると翔が晃に話しかけた。

 

「ね、晃と八重樫さんてさ。幼馴染なんだよね?」

 

「ん?ああ、一応な。兄ちゃんが八重樫のところの道場に通っていて俺も吊られる形で行ってたぐらいだけどな」

 

「じゃあ晃も剣が強いかったりするの?」

 

「いや、俺は剣はからきっしだった。足捌きだけ覚えたぐらいだよ……なのに八重樫の奴、妙に俺に突っかかってきてさ。メチャクチャに叩かれたよ。あいつ『お姉様』とか言われてるけど、お姉様より『女王様』のほうが合ってるよ」

 

「それか『アマゾネス』とか」

 

「ハハッ!そっちのほうがいいな!!」

 

晃と翔が雫に聞こえないくらいの声で話すが、晃が笑った瞬間にギロリと睨みながら振り返った。

 

「なにか言った?」

 

「「いえ、何も!」」

 

あまりの迫力に2人は声を揃えて返事をしてしまう。

すると3人の前を1人の男子生徒が通った。

 

「あ、彼……」

 

「ん?誰だ?」

 

「日ノ上君……もう学校が始まって一月経つのよ?クラスメイトの顔と名前くらい覚えておきなさいよ。彼は南雲 ハジメ君よ」

 

雫が紹介した彼は『南雲 ハジメ』。

容姿は極々平凡であり、“趣味の合間に人生”をと、謎の座右の名を掲げているオタクだ。

彼はいつも学校が始まるギリギリに来ており、しかも授業はほぼ全て寝て過ごしている。

 

「あー、南雲か……話したことがないから名前忘れてた」

 

「貴方はそうじゃなくても人の名前を覚えるの苦手でしょ」

 

雫が呆れたようにため息をこぼす。

 

「愛姉ちゃんが言ってたよ。いつも授業寝てるから先生の目の仇にされてるらしくて、どうすればいいか相談されたな」

 

「彼、ね……」

 

晃が思い出したように言うと翔は彼をじっと見ていた。

 

「どうしたんだ?翔」

 

「彼が来たってことは香織がいつものようにするから、私先に行くわ。2人ともちゃんと教室に行きなさいよ」

 

雫の親友であり、幼馴染でもある香織がハジメを何故か気にかけており、よく話しかけたり、世話をしたりするが、それを目の仇にしている男子も多く、更には香織が世話をするのはハジメがいつも夜更かしをして授業中寝てるので、それを改めたり、もう世話をしてくれなくてもいいと言えばいいのに、ただ笑って誤魔化しているので女子もいいかんじようを向けない。

別にオタクだから、イケメンじゃないからと言うわけではない。

そしてそこに正義感が強い光輝が突っかかり、雫が宥めるのもいつもの光景だ。

 

「雫も大変だな。問題児たちの面倒見てて」

 

「そのうちの1人は晃だと思うけど」

 

「え、そうなの?」

 

「さっ、俺たちも行こう」

 

翔が教室に入っていき、晃も教室に行こうとすると後ろから声がかけられる。

 

「コウくん……」

 

「愛姉ちゃん……」

 

2人の間に気まずい空気が流れ、愛子が口を開こうとするが何を話せばいいかわからない。

すると晃が口を開いた。

 

「あ、あのね……」

 

「今朝はごめん……いつも支えてもらってるのにあんなこと言って……今日もよろしくお願いします。愛子先生」

 

晃のその言葉に愛子は嬉しくなり、笑顔になる。

 

「うん!任せてね!コウくん!!」

 

「学校でコウくんは辞めてくれよ。愛子先生……」

 

「わ、わかってますよ!!日ノ上君!!」

 

いつも通りのありふれた日常が始まる………はずだった。

 

 

午前中の授業が愛子が受け持つ社会科が終わり、皆、弁当を出したり、談笑に花を咲かす。

晃は愛子が忘れた弁当を渡すため、クラスメイトと話している愛子に近づく。

愛子は生徒のためにとあくせく走り回る姿が何とも微笑ましく、その何時でも一生懸命な姿と大抵空回ってしまう残念さのギャップに庇護欲を掻き立てられた生徒は少なくない。

 “愛ちゃん”と愛称で呼ばれ親しまれているくらいだが、本人はそれを言われるのは嫌らしく、何でも威厳ある教師を目指しているらしい。

生徒に囲まれた愛子はその生徒たちより背が低いため、姿が見えないので晃は苦笑いしながら近づく。

 

「なあ、ちょっといいか?」

 

「あっ、じゃあ後でね!愛ちゃん!」

 

「だから愛ちゃんじゃなくて愛子先生です!もうっ!」

 

愛子は怒った様子を見せるがそれは親しまれている証拠なのは愛子自身もわかっているので本気で怒っているわけではないのだ。

 

「相変わらず人気だな。愛ちゃん」

 

「もう!からかわないでよ!コウくん!」

 

「学校でコウくんはやめたほうが良いと思いますよ。愛ちゃん先生」

 

「明石君まで!私は先生なんですよー!!」

 

手を振り上げて怒る愛子に生徒がほんわかしていると南雲の周りが少し騒がしくなったのが聞こえてきた。

 

「どうしたんだろ?」

 

「いつも通り白崎が南雲に構って、天之河がちょっかいかけてんじゃねえのか?」

 

「南雲君ですか……どうしたら授業に集中してくれるんでしょうねぇ」

 

その瞬間……教室の床、光輝を中心に魔法陣のような広がり、徐々にに輝きを増していく。

 

「なんだよ…これ……!!」

 

「みんな!教室から出て!!!」

 

愛子の咄嗟の叫びとともに魔法陣の輝きが爆発し、教室中を光で包み込んだ。

光が治るとそこにはさっきまで談笑していた愛子を含む生徒たちの姿が誰一人無かった。

 

 

晃は白い光に包まれた直後、白い空間で浮いていた。

晃自身も意識が薄くなっており、自分が浮いているのかも分からなかった。

そこに赤い光が近づく。

 

〈見つけたぞ……後継者を!!!〉

 

これはありふれた職業を持った少年が世界最強になる物語ではなく、運命に導かれた少年が描く物語である。

 




オリキャラ
日ノ上 晃
17歳 175cm 70kg
黒の短髪に赤色のメッシュが入った頭髪で、染めたわけでもなく生まれた時からこの髪色、そのせいでよく目立つため不良に絡まれる。
目は少し切れ目だが優しい目でもあると言われる。
背の割に体重が重いのは体を鍛えているため。
幼い頃、兄とともに八重樫 雫の道場に通っていたが中学に上がると通うのをやめ、ボクシングジムに通い始めた。
両親は晃が幼い頃に他界している。
生活費は両親が残した財産から出している。
兄の元恋人、愛子と一緒に暮らしている。

明石 翔
16歳 172cm 64kg
髪を金髪に染めて長髪のためヘアピンで留めている。
学校から注意されるが、これが好きだからと一向に直さない。
教師が無理やり直そうとするが本人の成績もトップクラスで素行も悪くないので悩んでいる。
人の性格が的確にわかる能力があり、それを利用して人の相談相手をよくしている。
その中には教師もいるため学校からは好かれている。
晃とは過去の出来事で親友となった。
光輝とまではいかないがモテる。

日ノ上 修司
享年23歳 180cm 70kg
晃の兄であり、愛子の恋人。
髪は晃のような特殊なものではなく黒髪で、晃の顔を優しく、知的にした顔である。
過去に雫の道場で免許皆伝されたほどの剣豪。
雫、光輝とも関わりがあった。
愛子とは大学で知り合い、恋人となった。
大学院の実験中に事故に巻き込まれ、行方不明となった。

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