TS賢者ハルの異世界放浪紀《改訂版》   作:AJITAMA5

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どうも、万守誠也(あらがみ せいや)です。

初めましての方は初めまして。旧版を読んでくださった方々はお久しぶりです。

改訂版一話目と言うことで急ピッチで仕上げました。
出来るだけ週一投稿目指して頑張りたいと思います。

注意

前作との違いは以下の通りです。

イージーモードからハードモードに。
シリアスが若干増えます。
淫夢語録は汚いものは一切使いません。



剣と魔法の世界ファウリア
第一話


 ───拝啓。親愛なるお父さん、お母さんへ。

 

 

 僕、神代(かみしろ)晴輝(はるき)は修学旅行の帰り、不幸にも飛行機事故に遭い死んでしまいました。

 

 親不孝者の息子でごめんなさい。育てて貰った恩も返さず死んでしまいました。

 

 二人や、仲の良い友人達は悲しんでくれているのでしょうか?

 

 僕がいなくなって不安にはなっていないでしょうか?

 

 後輩の女の子は―――後追いなどと考えて自殺していませんか?

 

 突然消えてしまった僕たちの身を案じてくれているのですか?

 

 案じてくれているのならば、その心配は及びません。僕は元気です。

 

 突然異世界と言う未知の環境に女の子になって放り出されたけれど、僕は何とかやっています。

 

 出会いにも、仲間にも恵まれて、賑やかに暮らしています。

 

 冒険で日々のお金を稼いでその日暮らしの危ない生活だけれど、目的のためなら苦にはなりませんでした。

 

 だから―――

 

 

 ―――………絶対に生きて帰るよ。お父さん。お母さん。

 

 

   ◇

 

 

 事の発端は20XX年の9月の中頃、日本ではまだ残暑に悩まされている頃、シンガポール修学旅行4日目の帰りの飛行機の中で起こった。

 

「いやぁ、楽しかった。な、ハル」と、僕に声を掛ける奴が居た。

 

 こいつの名前は村上(むらかみ)一樹(かずき)。僕の幼馴染みであり、腐れ縁の男。小さい頃に一樹から女の子みたいだと言われ、喧嘩して以来の親友だ。見た感じはかなり筋骨隆々(ゴリラ)の日本男児という感じ。

 

 ―――女の子みたいだという言葉で察した人もいたかと思うが、僕の見た目は世間一般の男性と比べると圧倒的に線が細く、身長も小さく、体重も軽く、肌は白磁のようにキメ細やかで真っ白で髪の毛は長く(切ろうとしたらお母さんから怒られそれっきり切っていない)枝毛は全くと言って良いほど無い。

 

 …ああ、なんか、自分で言っててすごく悲しくなってきた。って誰だ今美女と野獣コンビとか言った奴、怒らないから出てこい(激怒)

 

 話は戻るが「ハル」というのはカズ…一樹が勝手に僕に付けた渾名(あだな)だ。カズ曰く、僕には可愛い渾名の方が似合うらしい。まあ言った本人は後でシメたが。見た目少女にシメられるゴリラ…。

 

「ハルって言うな、カスキ。まあ楽しかったけどさ」

 

 僕はカズを睨み付けながらそう言う。効き目無いだろうけど。女の子にこれをやると絶対に「かわいい!」とかいって撫でてくるし。あ、撫でるのはドンとこいだよ?

 

「人のことを親の仇みたいに睨みながらカスって言うなよ、男の娘。結局楽しかったんじゃねえか」

 

 やはりカズはその睨みを飄々とした態度でかわす。もうちょっとデリカシーって物を覚えられないのかね。この男は(←とか言ってる自分も男)

 

「男の娘って言うなぁ…、これでも鍛えてるんだよぉ…」

 

 五年続けてもぷにぷにだけどさぁ…

 同じサッカー部の筈なのになぁ…

 

「心中お察しするよ。…それよりさ、昨日の事…ありがとな」

 

 いつも通りの会話をしていると、カズが話を変えてきた。

 

 …昨日の事、ああ、あれか。

 

「ああ、あれね。見てたよ、『ずっと俺の側に居てくれ!』…だっけ?」

 

「うぐっ…見てたのかよ趣味悪いな。…まあそうだ。おまえが居なかったら今頃俺はヘタレのままだったろうな」

 

「言えてるね。…それより、告白成功おめでとう。ミナをよろしく頼むよ。」

 

「ああ、頼まれた。絶対に幸せにする」

 

「それは結婚したときに言ってあげなよ。…まあどうせカズの事だからプロポーズまで僕を付き合わせるんだろうけど」

 

「い、いやぁ…それはない…と、思います」

 

「あはは、何だよその自信なさげな物言いは。もっと自信を持っていこうよ」

 

「き…気を付ける…出来るだけ」

 

「頑張ってね、村上一樹(ヘタレ野郎)くん」

 

「なんか今ルビ振りおかしくなかった!?」

 

 …ここまでの会話を聞いて察しのいい人なら気づいていると思う。

 

 ───こいつ、リア充です。

 

 ちなみに「ミナ」というのは黒沢(くろさわ)美奈(みな)という僕たちのもう一人の幼馴染みである。小さい頃はとても勝気な女の子でカズとは馬が会わなかったのか、いつも喧嘩をしていた。中学生ともなると落ち着いてきたのか暴力による喧嘩から口喧嘩に変わった。もちろん口喧嘩では女の子であるミナの方が圧倒していた。しかし内容が内容。殆ど痴話喧嘩のようなものでいつもクラス中から「夫婦」と囃し立てられていた。結果として、カズは否定するがまんざらでもなさそうに、ミナは顔を真っ赤に染め涙眼になっていた。

 

 ゴリラと喧嘩するってことはそのミナはアマゾネスなのかって?

 

 無い無い、ミナはかわいい女の子だよ。流れるような黒髪に整った顔立ち、身長は低め。胸はそこそこで括れはあるし腰も細い。つまりスレンダーな美人。

 

 ───しかしここまで行っていてそんな二人は、高校のほぼ中間地点の修学旅行になるまで付き合っていなかったのである。

 

 大体の原因がこのヘタレの糞チキン(村上一樹)にあるのは勘のいい人なら想像つくと思う。

 

 修学旅行前にこいつに頼られたとき、こいつはやれ突然の呼び出しに不快に思わないだろうかとか、やれ断られたらどうしようだとか、…まあ簡単に言えば、告白できない意気地無しのテンプレみたいになっていた。ヘタレなゴリr…あ、もういい?………はい。

 

 このままではミナの方が可哀想なので一発ぶん殴って協力した。

 

 結果は大成功で、見事二人は昨日ようやく付き合うことになった。

 

「全く…、僕が居なかったらどうなっていたことか」と言い窓から空を見る。

 

 空は綺麗な紫色に染まっている。標高が高いと空が紫色になるって本当だったのかと感心していると、一筋の黒煙が見えた。気になってその方を見ると、

 

 ───飛行機の右翼のエンジンから黒煙があがっていた。

 

「…カズ、あれはもしかして───」

 

 ヤバイんじゃないか。そう言おうとしたとき、

 

 ───エンジンがボウッと幻聴が聞こえそうな程綺麗に炎上した。

 

 そしてそれに呼応するように飛行機が右側に傾きだす。

 

「うわああああああっ!!」

 

「いやああああああっ!!」

 

 急な出来事に騒ぐ生徒達。隣では「ミナ…こんなはずじゃ…」とうわ言のように呟き顔を真っ青にしたカズがいる。

 

 そんな悲愴に暮れたカズの横顔を見て哀れに思っていると、飛行機の傾きは45度を越し、もう墜落してもおかしくはない状況だった。

 

「誰かああああああっ!!」

 

「皆落ち着いてえぇっ!!」

 

 ───これはもう見ていられない。…そう思った僕はみんなより一足先に眼を閉じ、意識を手放したのであった。

 

 

   ◇

 

 

 真っ暗な空間、その中にひとつ煌めくディスプレイがあった。

 

 突然ピコンという音がたち、画面には『転生適合者を発見しました』の文字が浮かんだ。

 

「………来た」

 

 突然、どこからともなく人が現れた。シェルエットからして13~14才の少女だろう。

 

 その女性がディスプレイに触れることに呼応し、ディスプレイの文字は切り替わっていく。

 

『›転生システム、オールグリーン』

 

『›転生先:ファウリアに決定』

 

『›転生被験者:ハルキ·カミシロ、カズキ·ムラカミ、ミナ·クロサワ』

 

(ここまでは順調か………いや、待て)

 

 少女は突然手の動きを止めた。

 

(このハルキ・カミシロの文字…若干だがノイズがかかっている)

 

 少女はディスプレイから手を放し、そのすぐ下に淡く光るキーボードらしきものを呼び出した。

 

(システムログイン…enter)

 

『›管理者の干渉を確認しました』

 

(これは少々こちらから弄るしかない………)

 

『›ネーム変更:ハル·カミシロ、ヴィルヘルム·アインス、イルミナ·ノワール』

 

(うむ………?)

 

 少女は何かおかしいことに気が付いた。今まで男性名だったものが明らかに女性名に変わっていたからだ。ノイズも心なしか大きくなっている。

 

『›Warning:ハル·カミシロに重大なバグが発生。』

 

(……やはりバグか………)

 

 取り合えず、と少女はその転生適合者の情報を覗き見た。

 

(ふむ、これは………女性は必須条件か、戻そうにも反応すらしない。転生年齢まで8才と固定されている。それに初期ステータスが異様に高い………何なのだろうか、全てがバグだったらまず適合者にはなれない筈だし………ここはある程度優遇するべきか………)

 

『›データ修復開始………完了』

 

(加護は他の二人より強めにかけた………これなら簡単には死なないだろう)

 

『›これより転生者三名の転生を行います』

 

「それでは…貴殿方の健闘を祈る」

 

 

 物語はここから始まった。

 

 

   ◇

 

 

 

 暫くして手放し、冥界へ向かった筈の意識が肉体に舞い戻ってきた。

 

 ───死んでいない?あんなことが起こったのに?

 

 そう思って、まだ光に慣れない重い(まぶた)をうっすらと開け、自らの五体を確認する。

 

 右腕、左腕と順番に力を込める。…しっかりとした感触がある。どうやら身体は無事なようだ。うっすらと開けていた眼も段々と光に慣れてきたのでしっかりと開け、起き上がってみる。

 

 まず一番最初に目に入ったのは、ふっくらとした太ももだった。脛毛は元々ないからいつも通りだが、心なしか少し白くなった気がする。

 

 その次に目に入ったのは、何故か履いているスカート。…事故が起こったのに寝ている間になんて悪戯(いたずら)をしてくれたんだ、あいつらは。

 

 さらに次は小さいながらも柔らかそうな…、

 

「…って、あれ!?」

 

 何で僕に胸が?と言おうとしたところに、更に違和感を感じた。

 

 ───元々男としては高かった声が今は不自然なほどに声が高い。というよりアニメ声。

 

「まさかっ…!」

 

 と言い、僕はたまたまポケットに入れていた折り畳み式の手鏡を開け、自らの姿を確認する。…そこ、女子力高いとか言うな。

 

「─────っ」

 

 そこに写っていたのは、

 

 神秘的に青く輝く長い髪、

 

 美人というよりも可愛いといった整った顔立ち、

 

 吸い込まれるような淡青の眼、

 

 そんな見た目をした()()だった。

 

───体感的に言って7~8歳ってところかな?

 

「ってそうじゃなくて!!」

 

 今は周りの状況確認だ。…そう言おうとしたが、

 

 ───辺りは鬱蒼とした森の中だった。飛行機が落ちているような痕跡は無い。

 

「もしかして………これって異世界に来ちゃった感じ?」

 

 元々の僕は身体はあまり強くなく、外に出るよりも家の中でラノベを読むことの方が多かったので意外とすんなりこんな発想ができてしまった。

 

 あ、部活には出てたよ?………ほとんどマネージャー扱いだったけど。

 

「…ここが異世界だって言うならこんなことは出来る筈だよね」

 

 そう言って興味半分に右手を前に伸ばし、テンプレな魔法(アレ)を唱える。

 

「《ステータス》!」

 

 と唱えると、目の前に青色のウインドウ(テンプレ中のテンプレ)が現れた。

 

 

─────────────────────────────────────────

 

 

名称:ハル·カミシロ

年齢:8歳

基礎Lv.:Lv.1

職業Lv.:賢者Lv.1

基礎ステータス

 HP 50/50

 MP 1000/1000

 STR 12

 INT 200

 VIT 8

 WIS 150

 DEX 10

 MIN 100

 AGI 7

 LUC 13

スキル

 火魔法Lv.1 水魔法Lv.1 風魔法Lv.1 土魔法Lv.1 雷魔法Lv.1 氷魔法Lv.1 龍魔法Lv.1

 木魔法Lv.1 幻魔法Lv.1 光魔法Lv.1 闇魔法Lv.1 無魔法Lv.1 空間魔法Lv.1

 スペルブレイク

 無詠唱

パッシブスキル

 絶対神の加護Ⅹ…基礎ステータス上昇率、取得経験値量が120%増加

 魔法使いの秘術Ⅹ…基礎MP、INT、WIS、MINを10倍加

 異世界言語翻訳

所持金:0ファルス

説明

 前世で事故に遭い異世界に転生した神城晴輝。しかし何らかのエラーによって異世界転生時に性別や年齢が変化してしまった。

 

 

─────────────────────────────────────────

 

 

「リアルすぎる夢…、なのかな?」

 明らかにおかしい。こんな天文学的数字でお察しな確率の異世界転生が自分に起きるなんてあってたまったものじゃない。

 そう呟いた瞬間「ピコン」という音と共に、ステータス上部にレターマークのアイコンが出てきた。

 僕はそれを恐る恐るタッチしてみる。…すると軽快な音が鳴り、ウインドウの画面が切り替わった。

『メッセージボックス』と上部に書いてあるウインドウで、一番上に一つだけメッセージがあったのを発見した。

 僕はそれを、今度は思いきって開けることにした。

 

 

─────────────────────────────────────────

 

 

 どうもー☆この世界の管理者でーっす!いやぁ、なんか分かんないけど異世界転生させたら謎のバグが起きて君をょぅι¨ょにしちゃったみたいだわー。めーんご☆(爆)…いやほんとに修正しようとしたんだけどね?よく分かんないけどプログラムには弾かれるしね? どうやって修正すりゃ良いんじゃこんちくしょうと徹夜でプログラム修正してるよー☆つまりここまで深夜テンションだよん。うー☆

 

 …とふざけるのはここまでにしておいて、

 

 本当にごめんなさい。

 

 君の事、助けられなくて。

 

 本当は赤ちゃんからやり直すのに8才で固定されちゃったし。

 

 力が及ばず女の子になるのを止められなくって。

 

 だから、せめてもの罪滅ぼしに最高位の加護を付けた。

 

 ある程度の情報の開示も約束しよう。

 

 今の君ならば、これが良いか。

 

 

 村上一樹君と黒沢美奈さんはこの世界に転生した。

 

 君の転生する8年ほど前にずらして。

 

 君と出会うときは、きっと同い年が良いだろうから。

 

 

 …さて、今のうちにこのウインドウで出来ることとこれからのしなければならないことを説明しておくよ。

 

 まずウインドウで出来ること、これは箇条書きで書いておくよ。

 

·ステータス…文字通りステータスの確認が出来る。

 

·ディクショナリィ…一度見て《鑑定》したアイテムやモンスターの情報を見ることが出来る。

 

·アイテム…Lv.1空間魔法《アイテムボックス》で収納したアイテムを確認できる。

 

·スキル…アクティブスキルの確認、パッシブスキルの確認とONとOFFの切り替えが出来る。

 

·メッセージボックス…自分に届いたメッセージを確認することが出来る。自分でメッセージを打つことも可能。

 

·フレンド…この世界にで出会った転生者とフレンド登録が出来る。これをしたものは、メッセージを送る対象に出来る。

 

 …といったところかな?多分これで全部のはず。

 

 …次にしなければならないことは、…あ、箇条書きで書けるか。

 

·森を南下して抜ける。

 

·そこから南にある街に行く。

 

·冒険者ギルドに行って、登録を完了させる。

 

 …まあこっちもこんなものか。…ああ、冒険者登録用のお金は振り込んでおいたよ。色はつけておいたから大事に使ってね?ちなみにコンパスもあるよ。

 

 じゃあ他の人にも説明しなきゃいけないから、もうこれでこの文章は終わりだよ。

 

 まったねー☆

 

 あ、ついでにこの世界について書かれた《ワールドディクショナリィ》も貼付しとくよー☆

 

 

─────────────────────────────────────────

 

 

「………なぁにこれぇ」

 

 思わず言ってしまった。…うん、最初のこのテンション、ね?こんな感じで来るとさ、一瞬『ああ、駄目神だ』って思うじゃん?だけど最後はしっかり仕事してんじゃん?謝罪も、してくれたじゃん…?嬉しいこともッ、教えて、くれた、っく………

 

「うわぁあああああっ!!!」

 

 よかった…っ。二人とも、生き返れたんだ…っ!

 

 こりゃ、涙は止まらないよ…。

 

 

 三十分後………

 

「…ひっく…まあ多少はまともな神様で良かったよ。《アイテム》《コンパス》《リリース》!」

 

 そう唱えると、アイテムウインドウにあるコンパスの文字にカーソルが行き、軽快な音が鳴って、掌の上にコンパスが現れた。

 

「行くしかないかぁ………泣いて喉乾いたし」

 

 諦め半分にそう言いつつも僕は南を目指して歩きだすのだった。

 

 

 ―――二人とも、絶対に見つけるよ。

 

 

 

 

 




コーナー《ワールドディクショナリィ》
ここでは世界の設定をネタバレにならない範囲で語らさせていただきます。

今回ハルが降り立ったのはファウリアという世界。
人間族、亜人族、魔族の三種族が存在している世界です。
その中ハルが降り立ったのは人間族の国、イルレインです。
イルレインは数千年前から続く王国で、
特産品は金鉱石等の希少金属類、ダイヤモンド等の宝石類です。
国土は全世界二大陸の内の一つの大陸の4分の1を占めています。
隣の帝国からよく喧嘩を売られています。

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