TS賢者ハルの異世界放浪紀《改訂版》   作:AJITAMA5

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少々遅れましたあああ(焼きスライディング土下座)

理由としては前回が本来は日曜日に投稿するものだったんです。
そこをミスって土曜日になってしまったんです。
お騒がせして申し訳ありません。

と言うわけで今回からは当初の予定通り日曜日投稿とさせていただきます。

それでは、本編をどうぞ。


第三話

 

 

 一歩踏み出した。しかしブルフロアから反応は返ってこない。

 

 もう一歩踏み出してみた。耳がピクッと動いた。

 

 ならば先制攻撃だ、と僕は現在撃てる最強の魔法を放つ。

 

「《フレイムアロー》!」

 

 フレイムアロー。三本の炎で出来た矢を対象に放つスキルだ。

 

 詠唱せずに放たれたそれはブルフロアの鼻面に命中し、煙を上げた。

 

「BUOOOHHH……?」

 

 ブルフロアは不思議そうにこちらを見ている。

 

 まるで、これごときが切り札なのか?と、言いたげな様子。痛くも痒くもなさそうだ。

 

 実際、ブルフロアのHPは100も削れていない。………鼬の最後っ屁にすらなりやしなかったか。

 

「ッ!《フレイムアロー》!《フレイムアロー》!《フレイムアロー》!」

 

 同じ魔法を何度も撃ったが、全てブルフロアの体毛を焦がす程度にしかダメージは入らない。

 

 そして突然視界が切り替わった。…恐らくあの棍棒で殴られたのだろう。

 

 すさまじい速度で景色が切り替わり、固いものに後頭部と背中をぶつけて、漸く止まった。

 

 次の瞬間には僕の頭からは熱く紅い液体が止めどなく溢れ出す。

 

 ………走馬灯だろうか、思考はとても落ち着いている。恐怖も感じていないのか、失禁は起こしていない。

 

 このあと僕はどうなるんだろう、オークの餌?奴隷?………いや慰み者だろうな。

 

 あーあ、せっかく二人を見つけるって決意したのにな。また死んじゃうのかあ。

 

 生きてまた笑いあいたかったな。語り合いたかったな。

 

 生きて………、生きて………ッ!

 

「生きなきゃ…ダメだ、………生きなきゃダメなんだ」

 

 生きろ!()()こんなとこで死んではいけないんだ!

 

 だから、立ち上がれよ!私、神代晴輝ッ!立ち上がれよッ!!

 

「うう………ああああああああああッ―――!」

 

 私が叫び声を上げた瞬間、私は光に包まれた。

 

「BUOOOHHH!?」

 

 ブルフロアは驚愕で動けないようだ。

 

 瞬間、誰かの声が聴こえた。

 

『一時的憑依です、すみませんがこの身体、借りさせて貰います』

 

(……何…これ………?)

 

 次の瞬間、僕の意識は暗転した。

 

 

   ◇

 

 

 憑依に成功してすぐ、私は私自身に鑑定をかけた。

 

『肉体損傷レベルC、精神損傷レベルB、適合率5%ですか…』

 

 《僕》は随分やられてしまったようですね。安定さえしていれば適合率10%は妥当なのですが…。

 

「BO…BO…!?」

 

 おや、貴方は気付いているのですか。それはそうですね。なんせ今の私は、

 

 全ての光を反射せんと煌めく純白の髪、

 

 見るもの全てを吸い込まんと揺らめく紅の瞳、

 

 そのような姿となっていればそれは嫌でも気付くでしょうね。

 

 今の状態ならば効くでしょうと、私はブルフロアに《覇気》を浴びせます。

 

 するとどうでしょう、ブルフロアはガチガチに硬直してしまいました。

 

 これなら、と私は赤色の三重の魔方陣を展開し魔法を詠唱します。

 

『汝熱く燃ゆる人、その猛り狂う熱を、我が杖に捧げ』

 

 私が放つのは炎の最高位魔法、その中でも速射型の、詠唱の少ないものです。それでもまあまあな威力はあるのですが、やはり他の者には見劣りますね。

 

『その熱き魂を、現世(うつしよ)に顕現させよ!』

 

 まあそれでもこれ位の者なら消し炭に出来るのですけれどね。

 

『《フェニックスフレイムアロー!》』

 

「BOOOHHH!?」

 

 不死鳥の鏃がブルフロアの腕を穿ちました。何とか我にかえって防御したようです。そしてこちらを向き鼻で笑いました。……ちょっとムカつきます。これは教えてあげるべきですね。

 

『腕…燃えてますよ?』

 

「BO?」

 

 そう、燃えているのです。実はこの魔法ほとんど攻撃用ではなく、状態異常用なのです。

 

 ―――状態異常《エターナルバーン》

 

 この状態異常は自然治癒することはなく、徐々に火達磨にされてしまうという恐ろしい状態異常です。水で消すこともできず、治癒する方法は最高位状態回復魔法《エクスキュア》のみです。

 

 詰まり、このモンスターは既に詰んでいるのです。

 

「BO……BOAAAHHH!?」

 

 おや、腕が炎上していることに気がついたようですね。まあ気がついた所で死ぬのには代わりありませんが。

 

「BOOOHHH!BOOOHHH!」

 

 流石はオーク、いくら強くなったところで燃えるものは燃えますね。

 

「BOOOHHH………」

 

   パアアァァン!

 

 あら、もう駄目ですか。弾けてしまいましたね。

 

『さて、オークは丁度良い狼煙代わりになってくれましたし、素材回収したら…眠って……誰かが回収するのを待ちましょうか………』

 

 少々無理をし過ぎたのでしょうか、私の意識は素材を回収した後、すぐに暗転しました。

 

 

   ◇

 

 

 突然、大きな火柱が上がった。その火柱は(あか)く、天すら焦がさんと立ち上っていた。

 

 僕はそれを見た瞬間、何故かそこへ行きたくなった。何とか仕事の休憩時間を変わってもらい、鎧を脱ぐ。

 

 脱いだ鎧は今は片付けない。何故か、急がなければ間に合わない気がしたからだ。

 

 兎に角急いで仕事場である城門を抜けて、平原へと駆ける。

 

 火柱が上がっていたところにたどり着くと、そこには青髪淡青目のなんとも可憐な少女が横たわっていた。

 

「君っ…大丈夫じゃ…ないか」

 

 少女は後頭部から出血をしていた。抱き起こした右手に血がベットリと付いた。打撲もあるようで、このままだと少女は死んでしまうかも知れない。それを悟った僕はすぐに少女を背負い、街門へと走り出す。

 

 街門を抜けるときに、誘拐じゃないかと同僚に囃し立てられたが構わず門を抜けて僕の掛かり付けの医者へと連れていった。

 

「ふむ、よくぞ連れてきてくれましたね。あの傷は本当に危なかった…あと一時間もすればこの子は亡くなっていたかもしれません」

 

 医者のその台詞にホッとした。助けられたんだ、そう思うと達成感が湧いた。取り合えず代金を、と医者に掛け合ったが、

 

「いえ、要りませんよ。人を助けただけの貴方に代金を求めるのは性分じゃないのでね。それにこれからも贔屓にして頂ければ」

 

 と一蹴されてしまった。相変わらずいい人だ、これからもここは贔屓にさせてもらおう。

 

 それから家に帰った。ベッドは一つしかなかったので少女を寝かせた。家に丁度貰った蜂蜜酒があったので、湯煎で温めてから少女に少し飲ませてやった。その後、僕は椅子で眠りに就いた。明日は少女が目覚めている様に祈りながら………。

 

 

 

 

 




ハルの体を乗っ取ったのは一体誰なのだろうか。
ブルフロアは一体何に気がついたのだろうか。
チート持ち主人公をワンパンでダウンさせるモンスターを作り上げた魔神王とは一体何者だったのか。


…また謎が増えた…。

これらの伏線回収はかなり後(おそらくは五十話よりも後)になると思います。
頭の片隅にでも置いて読んでいただければ、と思います。
プロットはそこまで出来ているのであとはエタらなければ…
え、文字数が少ないって?
ステータスが一度も出てないからね。仕方ないね。




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