進撃の巨人ー名も無き兵士ー   作:神野伊吹

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見切り発進だったもので迷走気味ですが、生暖かい目でどうぞ

今回は訓練兵時代を共に過ごした仲間たちが中心です

主がいません、どうしよう

何とか出せる展開にしたい


追憶~Ⅰ~

立体起動装置の整備を終え、ふと顔を上げると沈んでいく夕陽が目に入る。

そういえば、あいつはいつもこんな時間まで自主訓練をしていた。

「......」

思い出すのは立体起動について聞きに来た彼女のこと。

ちょっとしたアドバイスをしただけであいつは成長していった。

動きが改善される度に礼を伝えに来て、新な教えを請うていった。

気が付いたら俺自身もあいつに教えて、共に訓練し、改善するのが楽しみになっていた。

 

夕陽が滲む。

慌てて目元を拭うとしっとりと濡れていた。

どうやら感傷的になっていたらしい。

こんな世界だ。

仲間が死ぬのは当たり前の事だと知っている。

知っていたはずだ。

 

『ジャンよりも上手くなったかも』

 

あの日、あいつはそう言っていた。

だが、あいつは戻ってこなかった。

「クソ...俺より上手くなったんじゃねぇのかよ...」

呟いた声は震えている。

 

『ねぇ、ジャン。今日も教えてよ』

 

あいつとの記憶が溢れてくる。

「...もう負けらんねぇよな...」

震える声は、それでも力強く。

「お前の...お前らの仇は絶対に取るからよ...」

失った二人の親友に。

「見ててくれよ...」

静かに誓うのだった。

 

 

 

 

あの日、私は信じたくはなかった。

彼女が死んだということを。

だから虚勢を張った。

帰ってくる、と。

 

「...」

手帳を捲る。

私が走らされたこと。

一緒に狩りに行ったこと。

故郷の言葉を話したこと。

逃げ遅れた女の子を助けたこと。

私たちとの事まで事細かに書かれている。

「まだ...帰ってこないんですね...」

分かっている。

彼女はもういない。

あんなに強くて、皆に好かれていたのに。

「あんなに怖かった教官も、ここ数日は暗い顔をしているそうですよ...」

誰も座っていない席に語りかける。

埃は無い。

きっとクリスタだろう。

まだ、みんな信じたくないのだ。

「また...来ますね...」

静かに部屋を出る。

今も信じていない。

彼女はきっと帰ってくる。

これからも信じ続ける。

明日にはあの席に座っていると。

 

 

 

 

「モブリット...彼女は本当に死んだのかい...?」

研究の合間、助手に問い掛ける。

「何度聞いても答えは変わりませんよ...」

このやり取りも数え切れないほど繰り返している。

多くの巨人を捕らえてきた、もう一人の助手。

エルヴィンに捜索をすべきだと談判したがダメだった。

分かっているんだ。

今の状況で一兵士を探しに行く余裕などない。

更に言えば望みは無い。

きっと、彼女は見つからないだろう。

でも、彼女であれば、とも思ってしまう。

「ねぇ、モブリット...彼女が何故、調査兵団に入ったか覚えているかい?」

再び助手に問い掛ける。

「鎧の巨人への復讐、でしたよね...?」

これはあの日からずっと引っ掛かっている事だ。

「そうだ。でも、彼女はどうして鎧の巨人を諦められたんだ...?」

経緯はアルミンに聞いていた。

だが、そんな事で諦められるだろうか。

目の前に復讐の対象が無防備に転がっているのだ。

如何にアニの確保が優先だとしても、彼女の実力なら造作も無かったかもしれない。

ならば何故?

「皆を危険に晒したくなかったんでしょうか...」

可能性はある。

だがあくまでも可能性というだけ。

答えは出ない。

あの優秀な助手は何を考え、何故、復讐の対象を見逃し、一人で戦ったのか。

分からない。

「最後にとんでもない問題を出していったね、彼女は...」

彼女の同期達はどう考えているだろうか。

私は立ち上がる。

「どちらへ?」

モブリットの質問に答える。

「少しヒントを探しにいってくるよ」

一日くらいなら研究を投げ出してもいいだろう。

明日明後日で埋め合わせたらいい。

それよりも今は疑問の解決が優先だった。




短めにパシパシと。
その後の話という形にしました。

どれが誰かはあえて名前をほぼ出してません。
で、一人称にしてるのは理由があります。
詳しくは言いませんが。

因みにスマホで書いてるんで2000とか3000とか4000とかの文字数は期待しないでください。

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