遠野物語(四季に憑依)   作:チョコラBB

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不穏の気配

 

 

事件から3ヶ月が経過して正式に俺こと「遠野四季」の処遇が決まった。

 

結果は「お咎めなし。ただし、まだしばらくは監視付」

理由としては事件から一度も反転せず、落ち着いていること。

また遠野家の長男であり、その当主の遠野慎久が処刑に反対していることが挙げられる。

 

そうそう先日慎久に伴われ、久しぶりに七夜志貴、遠野秋葉、琥珀、翡翠の4人にあった。

久しぶりに会ってみると、みんなにお帰りなさいと言われて少し嬉しかった。

 

しかし、しばらく会話を楽しんでいると違和感を感じた。

秋葉と翡翠はたまに何かに怯えているような素振りを見せ、接し方も「シキ」の記憶と

比較するとどこか余所余所しい気がする。

志貴は以前通り、琥珀は・・・原作知識があるせいか人形と話している気分になる。

やはり原作通り、慎久に・・・。

 

琥珀の件は確証がないので保留だが、どうやら秋葉と翡翠は俺に怯えているようだ。

まあこれが普通の反応で、以前通りの志貴の反応が異常なのだ。

「シキ」の記憶はあっても「俺」の主観では初めて会う人物なためかそこまでショックは

無いが、彼女たちが慣れるまでは少し距離を置いた方が良いのかもしれない。

 

それ以降も何度か監視付きで彼女たちと話しているが、あまり改善されていない。

また確証もないままだが、琥珀に対する違和感が増してきている。

 

 

 

 

 

 

事件から半年が経過した。

もう監視はほとんど無くなったが、あまりお手伝いさんや一部の例外以外とは会話する機会がない。

というか遠野の屋敷自体空気が澱んでおり、徐々に滞在している親族等人の数が少なくなっている

せいだ。

その大きな要因は慎久がここ最近様子がおかしく、感情の落差が激しかったりと奇行が多くなっているからで、おそらく慎久は「反転」が始まったのだろう。

それを察して、親族たちも距離を置いていると考えられる。

 

また以前よりも改善されているが、秋葉と翡翠は未だ俺に対してギコちない。

トラウマにでもなってしまったのだろうか?

8歳児の身体に引きずられているのか、少々ショックである。

 

琥珀は慎久の悪化と共に、加速度的に人形のようになっている。

やはり原作通りということなのだろう。

やはり事態を把握している者としては琥珀や慎久を放っておくことは出来ない。

慎久の反転の一因は間違いなく俺にもあるだろうし、良い父親としての彼には恩も感謝もある。

それにそのせいで犠牲になっている琥珀を見ないふりするなんていくらなんでも後味が悪すぎる。

主に俺の胃がマッハでヤバイし、忘れていたが琥珀こそが原作の「シキ」にとって

最大の死亡フラグなのだから。

今夜の鍛錬で目標がうまく達成できれば準備が始められる。

もう少しの辛抱だ。

 

 

 

既に夜半。

今俺はこの半年間の鍛錬に一つの節目を迎えることとなる。

 

この半年間をふりかえってみる。

 

異能に関しては、一人での外出は禁止されているので遠野家の庭で身体を鍛えながら鍛錬した。

といっても肉体に関しては成人男性並の身体能力はあったので筋トレ、庭をランニング、柔軟、など簡単な身体作りだけである。

教えてくれる人もいないし、さすがにロアも格闘技は経験していないようだった。

残念!

 

「不死」と「共融」。

前者は試しようがないの詳しくは不明だが、体が疲れにくくなっている・・・気がする。

後者は原作で行っていた「血刀」や血のトゲを生成することが可能で、硬くする以外にも変化させたり、予想よりも遥かに硬かったりと良い意味で予想外な結果だった。

思うに原作の「シキ」は長年幽閉されており、生来の能力を鍛錬していなかった。

そのため鍛錬した俺の方がより精密に、より硬度を高くしたりできるようになったのではない

だろうか?

 

他にも原作との相違点として「偽直死の魔眼」を持っていないことだ。

この魔眼は生物を生かしている部分(=命)を視覚化し、干渉することができる魔眼で線や点を切ることで生命そのものを直接削ることができる対生物には鬼畜使用なくせに反動が一切ない魔眼である。反面、死徒とか無生物には見るべき生命が無いため、ただの眼であるが。

何故だろう?

志貴と繋がってない影響か?

期待していただけにマジ残念なんだけど。

 

そしてお待ちかねの「魔術」。

これに関しては良い結果と悪い結果がある。

 

まず悪い結果から。

簡単に言うと俺には魔力が少ない。

少ないといっても一般的な魔術師程度は十分にあるのだが、初代ロアや同じ転生体のシエルと比較するとあまりにも普通すぎる。

クソッ俺tueeeee!とは夢だったのか!!

 

次に魔術の素養。

いくら初代ロアの記憶があるからといって、後で語るが、そもそも俺と初代ロアは属性とか起源とか違っているため、ある程度魔術の難易度が上がってくると、そのプロセスが全く違うのだ。

 

例えば俺の属性が「風」、ロアが「火」としよう。

ロアは「モノを燃やす」という結果のために、単純に「火」の属性に含まれる「燃やす」という性質を行使すれば良い。

しかし俺の場合は「風」という属性に「燃やす」という性質は含まれないため

風を操り、圧縮し、熱を生み出さなければ同じ結果が得られない。

 

そのような違いがあるため、ぶっちゃけ初歩的なもの以外はロアの記憶をもとに自分で手探り

である。

 

属性ェ

 

しかし悪いことばかりではない。

いくつか良い結果もあった。

 

第一にロアの知識、そして記憶越しの擬似的な魔術行使の感覚。

 

どういうことかというと

魔術回路を開いて属性があまり関係ない初歩の魔術なら鍛錬を始めて数日で完全にマスターした。

また試行錯誤はあったもののより難易度が高い魔術もある程度は行使できるようになった。

8歳の子供が師も付けず独力で半年で一人前の魔術師クラスの力量を身につけている。

そのことを考えると、ロアの記憶にはチート具合がよくわかる。

だって疑問や事例を思い浮かべると勝手にそれに関わることが思い浮かんでくる。

 

今度から脳内でグーグル先生、いやロア先生・・・ゴロが悪いな。

う~ん、もう脳内wikiでいいや。

 

 

第二に異能との相性。

 

俺の属性は「水」、特性は「吸収」、起源はなんか怖くて調べていない。

どこかの蟲ジジイとかなり近くて嫌なのだが異能の強化や変質には恐ろしい程相性がいい。

特に俺の武器は血液。

液体である血液ならば水で干渉しやすく、強力な武器となるだろう。

 

 

長くなったが、これで状況説明は終わり。

 

さて目標「異能と魔術の複合」に挑戦するか!!

 

 

 


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