人は誰しも引き金となる言葉、態度を取り知らず知らずのうちに引いている


人を苦しめ、最悪、死に至らしめる事を知らない無知な引き金を引いている


付き合いの中で、それは常々潜んでいることを知らない


これは。知り合いとのやりとりがきっかけとなり、鬱病を再発、追い込まれ苦しみ抜き、求めた救いの結実

……無知なる引き金が起こした悲劇


コレを読むアナタも、無自覚な引き金を引いてるのかも知れない



pixiv、暁にも投稿してあります

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ある青年の終わりの日


ある青年の最期のの日

「ん~だめだ……」

 

 

布団へスマホを投げ枕に顔を埋めた彼は何度目かになる言葉を吐く

 

 

彼はあることで知り合いに問題を起こしてしまった。メールが届き見て。慌てて確認してから謝罪のメールを二度送った

 

最初はメールは返ってきた

 

 

しかし、それだけでは許されたと思っていない彼は、二度目の謝罪のメールを送った

 

 

しかし返ってこない、半日を過ぎても待っていても、ボックスには届かない

 

彼は、もっと謝罪をしなければいけない、謝らなければ許してくれない、この対応は間違いなく許されていないのだという証であると思ってしまった

 

 

メール内容がぐるぐると浮かんだ、怒りがこめられた文…引き金を引くには充分だった

 

 

 

…急な胸の痛み、極端な虚脱感、異常な発汗、そして後ろ向きな気分へと落ち込み蹲ると、ようやく気づいたのだ

 

何度も自身を苦しめてきた鬱病が、再びぶり返したのだと

 

 

鬱病は根治が難しい病気、何より忘れたころに、何かがきっかけとなり再発してしまうモノだと主治医から何度も聞かされていたことを忘れてしまっていたのだ

 

 

気分を前向きに考えるよう、務めるも長続きしない、そればかりか、後ろ向きで真っ暗な感情か心に広がっていくばかり

 

気力を振り絞り向かった職場でもたびたび集中力が途絶えた、そして急激な虚脱感に襲われて怪我をしてしまった

 

最悪な事に足へ50キロもの鋼材を…安全靴の保護されていな部分へと落ち、余りの痛みに我に返り叫んだことで同僚が気づき、すぐさま病院に運ばれ痛む中、見たのは膨れ上がった足の甲が大きくザクロのように裂け血がダクダクと流れ落ちる様、麻酔無しで縫われてからレントゲンを撮った結果、20針も縫う足甲部裂傷、骨にも罅にが入っていた

 

 

「明日からどうするかな…」

 

 

呟くも痛む足では、近くのコンビニへいくのも難しい。労災はでるモノの自分が抜けた穴を誰が引き継ぎやるのか、そして会社と同僚達に迷惑をかけた事が頭によぎる

 

会社は鬱病をもっていることを知っている、以前に鬱病の治療を受けていた病院へ告げたのだが来週にしか自分の担当医師が空いていないことを知った

 

 

自分以外に誰もいない部屋に一人ベッドに座る

 

 

 

何もやる気が起きない

 

 

スマホを取り画面をボウッと見る、今までやっていたアプリを起動する気力もでない

 

ただ、ぼうっとしながら包帯が巻かれギブスが目立つ右足甲へ目を向けた時だった

 

 

もう外したい、窮屈だと

 

 

ゆっくりと手を伸ばし、指が触れた時、激しい痛みが走り我に返った

 

 

「痛い……」

 

 

ボウッとした意識が真っ青な空の下にいるようにクリアになるの感じた

 

 

鬱など気分がすっかり消えた…しかし、それは僅かなときしかつづかず、先ほどよりも強烈な虚脱感と陰鬱な感情に包まれた

 

 

気分が晴れない、無気力感にさいなやまれる。こんな気分からはやく逃れたい、開放されたい

 

 

なぜ、こんなに苦しまないといけないのか?それより、自分は人に迷惑をかけた

 

 

会社にも。

 

 

同僚にも。

 

 

自分が抜けたせいで仕事に穴を空けてしまった

 

 

自分が怪我をしなければこんな事にはならなかった

 

 

 

 

 

自分は人に迷惑をかけるばかりの、必要のない人間だ

 

 

自分は誰からも必要にされていない

 

 

毛布をかぶり頭を押さえうずくまった…でも頭に響く、響く、響く……響く!!

 

 

お前は迷惑をかけるばかりの必要のないヤツだ

 

 

お前のせいで、迷惑してんだよ

 

 

お前なんか会社に来んな。二度とくるな

 

 

会社の同僚、仕事先で知り合った人達が浮かんでは消え、浴びせる声は深々と突き刺さり、涙が溢れてきた

 

感情が波立ち、悶えるようにベッドを転げ回った

 

 

苦しい、苦しい……苦しい!誰か助けてくれ!

 

精一杯叫ぶも誰もいない薄暗い部屋にむなしく響くだけ

 

 

 

やがて動きが止まる…ゆっくりとたつ彼から毛布が落ち、ベッドから降りた

 

 

向かったのはキッチン、鬱病になり完治してから料理を趣味にした彼は柳刃包丁を手にし、自分へ向け突き立てた

 

 

「う、うっ!うっ!うううううううう!?」

 

 

何度も、何度も腹や胸へ突き立て、フロアに血が跳ぶ、涙と鼻水、苦悶の表情を柳刃包丁を奮う彼は、ただひたすらに突き立てる

 

 

痛みが意識を晴れさせてくれる

 

 

「ん、ふうう!ん、ふうう!ふうううううう!!」

 

 

 

頭に響く声が消えていく、真っ赤な血を口から吐き出し何度も、何度も。何度も、ナンドモ、ナンドモ、ナンドモ……

 

 

「ふ、ふう!ふうう!ふう……ふ…」

 

 

暗い室内に響く、彼の叫びはやがて静かになり聞こえなくなった

 

 

やっと彼は鬱からくる苦しみから、救われたのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




青年の終わりの日




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