『射的』についてですが......少なくともバカ6人の内3人(保脇卓人、城ヶ崎大湖、芦名辰巳)は、暇潰しで外周区の『呪われた子供たち』をワイヤーで何重にも縛り付けて遠くから交代で撃っていく『射的』を日常的に行っていました
尚『生きて悲鳴を上げる人形は本当に撃っていて楽しかったし、殺したところで税金も納めていなければ戸籍もない連中だから、むしろエリア内の美化・清掃に一役買っていたと自負している』と供述しています
つまり、ド腐れ外道集団です
さぁ────
────巨大な翼
────鋭い牙と鉤爪
────刺々しい鱗の装甲
────毒針を持った6本の尾
────深紅に染まった8個の複眼
そして────100mを優に越える巨体
今も昔も変わらない。
「「「「「──バ、バケモノ......」」」」」
────
(どういうこと......?万が一にもこういうことがないように、室戸先生が渡した薬は5本だけだった筈なのに────)
そう。真守が形象崩壊するために必要な薬の数は
だが実際真守は戦闘前に1本、形象崩壊のために6本、つまり
なら残り2本はどこから現れたのか────
(────なんて、考えるべき点はそこじゃないでしょう私!今確認すべきは......!)
「うろたえるな!どんな化物だろうが頭か心臓をバラニウムで破壊してやれば死ぬんだ!」
「この図体だ、歩くだけでも相当辛いだろう!証拠に
(そうそこだ。完全にガストレア化しているにしては大人しい。まだ真守さんの自我が残っている可能性がある)
────だが悲しいかな。その保脇は実戦経験皆無な上に無知だった
彼は"ガストレアが大きさに応じて皮膚の硬度や体機能が強化される"ことも、最終形態たる
だから勝てるなどと勘違いしてしまう
だから彼等は──────地獄の責め苦を味わうことになったのだ
銃弾を受けて
── 尾の針は人体を何の抵抗もなく貫き、地面に深々と突き刺さる。これで彼等はもう逃げられない
次に両腕を切り落とした
── 一度尻尾を抜き、また突き刺す
両足も切断した
── 再び刺し直す
今後は生殖器を潰した
── 執拗に、何度も何度も千切り、叩き、その度に貫き続け────攻撃を止めると、夏世とティナを見た
(..................こんなの......真守さんじゃない)
──────そして
(ハハ......全く躊躇してくれませんか......)
夏世は己に空いた3つの穴を見て乾いた笑みを浮かべ────そのまま意識を手放した
☆
「千寿さん!起きてください!千寿さん!!」
── ............うるさい
誰かが私の名を呼び、体を揺すっているが────過去最高に頭と体が重くてどうにも反応する気になれない
普段は脳を半分ずつ眠らせて、常に何かしらの仕事をしているせいか、一度完全に眠るといつもこうなる
「おかしいですね..................心拍、呼吸共に異常なし。
............この子は何を言っているんだ?
そういえば、寝る前の記憶がない
── 何か......何かとても嫌なことがあったような────
「この6人は............まぁ放置でいいとして、流石にこの人を置いて
── 約束なんてクソ喰らえだ!!
「あぁっ!!」「キャッ!?」
──────思い出した
真守さんがゾディアックになって、聖天子付護衛官達を殺した後、私と......ティナと呼ばれていた暗殺者の少女も殺された筈だ
────だが少女の言った通り、あれだけあった傷が消えている
鉛弾の傷が治っているのはまぁいい、しかしバラニウムで付けられた傷まで治っているのはどういうことなのか......考えられる理由としては夢、もしくは────
「────まさかここは」
「違いますよ。現実ですし、あの世でもありません。私も最初にそれを疑いましたが、回りの景色がそのままですし、おそらく違うかと」
────言われて周囲を見渡す
確かに......崩れたビルも、無惨に殺された聖天子付護衛官達の死体もそのままだった
──────どうやら本当に生きているらしい
「............その反応ですと、貴女もどうして
「え?」
────まさか、この6人も生きている......?
そう思って恐る恐る近付くと────
── ウゥ......
── イタイ......
── タスケテ......
「ヒッ!?」
────ゾッとする呻き声が聞こえた
「私が起きた時にはもうその状態でした......私はフクロウの因子を持っているので、すぐに気付きましたよ......」
────彼等も私達と同じく傷は治っている
『痛い』というのが幻肢痛かどうかは分からないが、彼等は二度と理性と正気の世界には戻ってこれないだろう
「............私達を殺そうとした相手とはいえ......流石にコレは同情しますね......」
「えぇ............ところで千寿さん、私が気絶した後何があったのか、知っている範囲で教えてくれませんか?」
── どうする......?
下手に誤魔化していい話ではない。だが正直に話すのも得策ではないだろう
「............その前に、私の質問に答えてください。返答次第では、話すことは出来ません」
「了解しました。なんでも答えます」
「一つ目、貴女にとって神崎真守とはどのような存在ですか?」
── 誤魔化すにせよ、正直に話すにせよ、彼女について知らないことにはどうしようもない
そのために、先ずはこの子が真守さんにどんな感情を向けているのか知りたい
「"守護者"、義兄、救世主、命の恩人で、私の全てです」
── 即答ですか......嘘を言っているようにも見えませんでしたし............一体何をどうしたら敵をここまで心酔させられるんですか......?
「............あの後起こったことを、ありのままに話しましょう......絶対に信じないでしょうけど、本当のことを伝えます」
────すると、彼女は遠い目をし始めた
「真守さん......いえ、真護さんが色々規格外だということは知っているので......」
(対戦車ライフルで腹を撃ち抜いても2日後無傷で戦場に出たり、狙撃弾を拳で粉砕したり、身一つでビルを破壊したりする人ですからね......今更何を言われても驚きませんよ......)
「大丈夫です、信じますよ。あ、二つ目以降の質問はいいんですか?」
「必要ありません。貴女なら真守さんに害のある行動はしないと確信しましたから。それと、守屋真護は偽名です。まぁそれはさておき、あの後起こったことですが──────」
次回は真守視点です
それと、説明する機会がかなり後になりそうなので↓
『
原作4巻で延珠を気絶させるために蓮太郎が使った