体内侵食率は平均的な戦闘をして80日過ごすと1%進行します(傷の再生でも進行するらしいのですが、延珠が普通の人間で言うと致死量の何十倍もの麻酔を打たれても侵食が少ししか進まなかったので、どの程度影響があるのか不明)
上記の根拠は、原作二巻のラストで延珠の侵食率が43%で予測生存可能日数が560日とされ、一巻のラストが42.8%なのですが、一巻と二巻の間に約一月経過しています。約30日経っても16日分しか侵食していないというデータからです(この期間はガストレアの出現数が減っていたため延珠はあまり戦っていない)
────孤独。
人間誰しも生まれた瞬間には家族がいるもので、私の場合は両親と双子の兄が該当する。
優しい両親に、優しい兄。特別なものは何もない、ありふれているが充実した、穏やかな日々を送っていると……そう思っていた。
しかし世間一般からすると、私達の幸せは『異端』だったらしい。
両親は共に民警で、イニシエーターとの関係が良かった。そんな両親に育てられた私と兄は『呪われた子供たち』を『世界の救世主』だと思いながら育ったが──民意は、その真逆。
小学校に入る前にはそう教えられていたが、実感したのは入学してからだったか。交友範囲が広がったことで、私と兄はそれに気付かされたのだ。
誰もが『呪われた子供たち』はガストレアの同類であると、思い込んでいた。
私と兄は、それに同調することこそなかったが……真っ向から逆らう気も無かった。
────だから一人目を失った。大切な、親友を。
趣味が合う、明るくて優しい子だった。文武両道という言葉が似合う子だった。喋り方が特徴的な子だった。誰とでも仲良くなれる子だった。沢山の友人の中から……私を親友に選んでくれた。
──そんな彼女に出会ってから一年後、私の絶望が始まる。
ある日突然その子が『呪われた子供たち』だという噂が流れ、それを信じた子たちが嫌がらせを始めたのだ。
私は……何もしなかった。
確かに目が合ったのに。目で『助けて』と言っていたことを認識したのに。
私は逃げた。その目から逃げたのだ。
その時が、最初で最後の機会だった。勇気を出してもう一度会おうとした時には、もうその子は学校を去っていた。
その子は学校に鞄を置いて行った。だから翌日それを届けることを口実に、兄と二人でその子の家に行ったのだが、そこには誰もいなかった。
そのアパートの隣人達から情報を得ようとしたが、誰も行方を知らなかったので仕方なく諦め、鞄を持って家に帰った。
家に帰って、目に入ったのは、両親の置き手紙。
────遺書だった。そう明記されていたワケではないが、そうとしか思えない内容だった。
ショックを受けた私は、何も考えられなくなって部屋に閉じ籠った。
それから何度も、兄が部屋の外で私を励ますために声を掛けてくれたが……その時の私には逆効果だった。
私は一人になりたかったのだ。だから兄を拒絶した。『一人にさせて』と叫んでしまった。
────だから残る筈だった者まで失った。
── 勝手にしろよ。オレも勝手にする
そう言って兄が家を出る音が聞こえ、私は眠った。
────独りになって最初の日。
寝た時間が早かったせいか、この日は5時前に目が覚めた。気分は大分落ち着いていた。
二度寝する気にはなれなかったので、一人で食事を済ませて登校時間まで天誅ガールズのゲームをすることにした。
それから登校時間が迫ってきて、自分以外の部屋からは物音一つしない現状に不安になった私は兄の部屋へ行きノックをしたが……返事はなかった。
まさかと思いドアノブを回すと──部屋には誰も居なかった。
両親の部屋も、他の部屋も……私以外に誰もいない。昨日出ていった家族は、誰一人帰ってきていなかったのだ。
──その事実を認識した瞬間、鞄も持たずに家を飛び出した。
学校まで全力で走って行き、既に教室に居たクラスメイト達に昨日の放課後兄と会った人がいるかと聞いたが、誰も会っていなかった。
その後も兄が行きそうな場所を探し回ったが、何処にもいなかった。
そして手がかりが無くなると、家に帰って眠った。もう、何もしたくなかった。
────2日目。
この日はインターホンの音で起こされた。
兄が帰ってきてくれた────
そう思ってドアを開けたが、そこに居たのは知らない人だった。両親の殉職を報告しに来たらしい。
心の準備は出来ていた。だから泣かなかった。
代わりにストレスで吐いた。
この日は学校に行かなかった。
────3日目。
この日は両親の遺産目当てで近づいてくる、顔も名前も知らない親族にたくさん会った。
何より許せなかったことは、そいつらが全員『呪われた子供たち』を差別していて、民警の両親を侮辱したことだ。
だから全員追い返した。
その後また知らない人がやって来て、兄の扱いが行方不明から死亡に変わったと報告していった。
その人が帰ると大声で泣いた。泣いて泣いて泣き疲れるまで泣いて、また眠った。
この日も学校には行かなかった。
────4日目。
この日のことはあまり覚えていないが、私が倒れて病院に運ばれたことと、救急車を呼んでくれたのが心配して家に来た先生だということは覚えている。
────5~7日目。
倒れた原因は栄養失調だった。
この期間は食べた物を全て吐いてしまっていたので点滴だけだった。
────8日目。
この日はクラスメイトの一人がお見舞いに来た。
だが、その子も差別主義者だと思うと全く嬉しくなかった。
だからこう言ってやった────
── 実は私も『呪われた子供たち』なんだ
こう言われても私を友達と言うなら、それは本物の友情だと思った。だが、結果は予想通り。その子は悲鳴を上げて逃げ帰った。
── ハハ、バカな子……私が『呪われた子供たち』なら、この点滴の針はどうして黒くないんだろうね……
これで、いいのだ。もっと前からこうするべきだった。
そうしていれば、ただ一人の親友だけは失わずに済んだだろうに──
────そんなことを考えていたときだった。彼に出会ったのは。
『初めまして。突然押し掛けてごめんね?でもどうしても君に伝えたい情報があるんだ』
『何?まず名乗れ……?嫌だと言ったら?』
『ナースコールは面倒だなぁ……でも本名は言えないから通称で名乗ろう。ボクは〝グークル〟 なんでも知ってる不思議なお兄さんさ。例えば────』
── 君のお兄ちゃんが実は生きていることも、知っているよ?
グークルさんて誰?って思った人が殆どだと思いますが、一巻で名前だけ出てる人です
原作での行動:菫と同じく延珠に性知識とアレな語彙を提供している人。蓮太郎曰く悪人
つまり、名前だけ借りたオリキャラです
妹ちゃんはオリキャラじゃないです。誰でしょうね?(バレバレ)